木造住宅耐震診断・改修Q&A

木造住宅の耐震診断耐震改修について、疑問・質問と回答
今のままで大丈夫?地震への不安を解消する「耐震改修」

阪神淡路大震災から早10年、平成16年は新潟県中越地震、インド洋大津波…と、度重なる大きな地震に不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
中でも、今住んでいる住宅の耐震性への不安や疑問は、一定年月の経った住宅に住む人たちのほとんどが持っていると言われています。
そこで、地震から住宅を守る耐震改修について、良くある疑問・質問に回答を用意しました。

Q1: 耐震改修に対する社会的な関心が高まっているのはなぜですか?
Q2: 阪神淡路大震災では、建物の倒壊が原因でどのくらいの方が亡くなられましたが?
Q3: 地震が起きたとき、耐震構造が弱い場合、住宅から逃げ出すのは困難なのですか?
Q4: 家の倒壊と火災の被害の関係は?
Q5: 自分の家が地震に強いかどうか、どうやって判断すればいいのでしょうか?
Q6: 今、日本の住宅で耐震性の不十分な住宅はどのくらいあるのですか?
Q7: 昭和56年以前の建築の場合は、専門家による耐震診断を受けた方がいいでしょうか?
Q8: 耐震性は木造や鉄骨などの工法によって決まるのでしょうか?
Q9: 専門家に耐震診断をお願いするのにはどうしたらいいですか?
Q10: 補強計画、補強工事の依頼するに何に気をつけたらいいでしょう?
Q11: 耐震補強工事にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか?
Q12: 耐震改修促進のための助成制度があると聞きました。どこで調べたら分かりますか?
Q13: 公共団体の助成制度にはどのようなものがありますか?
Q14: 耐震補強のためにはどのような方法がありますか?
Q15: 生活をしながらの耐震改修も可能ですか?
Q16: 増改築やリフォームと同時に耐震改修を行うことで費用は安くなりますか?
Q17: 耐震補強するときのポイントは何ですか?
Q18: 一般的な耐震補強の例はどのようなものがありますか?

Q1: 耐震改修に対する社会的な関心が高まっているのはなぜですか?

A1: 地震と地震が原因で起こる災害についての関心が非常に高まっています。
その背景には、10年前の平成7年に阪神・淡路大震災が起きて多くの方が亡くなったことや、平成15年に宮城県北部地震という都市型ではない地方にも地震が起こったことなどがあげられますし、昨年の平成16年は、新潟県中越地震が起こりました。
さらに東海・東南海・南海沖地震、首都直下地震等の起こる危険性も高まっており、ますます耐震改修への関心が高まっているように思います。
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Q2: 阪神淡路大震災では、建物の倒壊が原因でどのくらいの方が亡くなられましたが?

A2: 阪神・淡路大震災のときに約6,500人の方が命を落とされています。そのうち、地震の直接的被害で亡くなられた方は約5,500人です。
その中で、建物の倒壊によって亡くなられた方は約88%、地震による火災で焼死された方は約10%です。焼死された方は、倒壊した建物の下敷きになって逃げられなかった方がほとんどと考えられますので、地震の直接的被害で亡くなられた5,500人のほとんどの方が建物の倒壊が原因で亡くなられています。
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Q3: 地震が起きたとき、耐震構造が弱い場合、住宅から逃げ出すのは困難なのですか?

A3: 神戸市内では、地震が起こった午前5時46分から午前6時までの間に亡くなられた方が全体の92%という監察医の報告があります。
地震が起きた直後の約15分以内に息絶えたのではないかと推定されています。この数字からわかることは、地震が起こった時に、地震に耐えられない住宅や地震に対して構造的に弱い住宅から逃げ出すのはほとんど不可能だということです。
これが阪神・淡路大震災の教訓です。また、よく言われる「地震が起こると火災が怖い」というのは、旧東京市街地の43%が消失した関東大震災の教訓や記憶が受け継がれてきたもの
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Q4: 家の倒壊と火災の被害の関係は?

A4: 家が倒壊してしまうと、どういうことが起こるのかというと、救助しに行こうと思っても救助に行くことができない、火を消そうと思っても火を消しに行くことができないということがあります。
実際に経験された方々の記録ですと、倒れた家の中で救助を求めている人が目の前にいれば救助を優先せざるをえず、消火活動というのはどうしてもその次になってしまったと。実は、住宅が倒壊したことが原因で、延焼を広げてしまったという側面もかなり大きいのです。
地震が起こると火事が怖いから火元をすぐに消すというのは正しい判断ですが、実際問題としては、住宅の倒壊が火事の延焼の原因になっているのです。住宅の倒壊を防ぐことは、命を守ることと同じように火災の被害の拡大も防ぐのです。そこで今、地震が起きても倒壊しないための耐震改修がクローズアップされているのです。
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Q5: 自分の家が地震に強いかどうか、どうやって判断すればいいのでしょうか?

A5: 今住んでいる住宅が地震に強いかどうかを自分で簡単に調べる方法があります。
それは、国土交通省が監修した住宅の所有者向けに作成した、リーフレット「誰でもできるわが家の耐震診断」です。
問いには、建築年度をはじめとした10のチェック項目があり、その回答を点数化して、点数に応じて判定し今後の対策を判断できる内容になっています。また、住宅の耐震性能についてのポイントもわかるようになっています。数分でできる簡単なものになっていますので、すぐにチェックしてみてはいかがでしょう。
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Q6: 今、日本の住宅で耐震性の不十分な住宅はどのくらいあるのですか?

A6: 日本の住宅の総数は、約4,700万戸あります。国土交通省の試算(表参照)によると、地震による倒壊の危険がある耐震不十分な住宅は木造建住宅では約41%、共同住宅・その他の住宅では約7%。住宅全体では、約25%の住宅が大規模な地震で倒壊する危険性があるという状態です。

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Q7: 1981年以前の建築の場合は、専門家による耐震診断を受けた方がいいでしょうか?

A7: 建築基準法で耐震基準が昭和56年に改定されています。「新耐震基準」と言い、この基準できちんと建てられた家は、阪神・淡路大震災でも大きな被害は受けていません。
問題なのはそれ以前に建てられた住宅で耐震性が不安です。昭和56年以前に建てられた家は、地震に対する強さを一度チェックする方がよいでしょう。
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Q8: 耐震性は木造や鉄骨などの工法によって決まるのでしょうか?

A8: 住宅の工法が鉄筋・鉄骨だから大丈夫、木造だから危険ということではありません。地震に対する耐震性は工法による違いではなく、設計と造り方の問題です。
木造住宅でも地震に強い家を造ることはでき、耐震補強をすることで木造住宅でも地震に強い家に造り替えることができます。鉄筋コンクリートでも鉄骨でも、地震に強いように造らなければ耐震性は強くなりません。
鉄筋コンクリート住宅や鉄骨でも木造住宅と同様に耐震診断法が確立されています。特に耐震基準改正(昭和56年)以前の建築の場合は、専門家の耐震診断を受けることをおすすめします。
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Q9: 専門家に耐震診断をお願いするのにはどうしたらいいですか?

A9: まず、お住まいの市区町村の建築行政部局に問い合わせをしてみてください。(財)日本建築防災協会のホームページの「住宅の耐震診断・耐震改修の相談窓口一覧」で見ることもできます。
そこでは地域にある耐震診断を引き受けている専門家を紹介してくれます。また、協会のホームページ「耐震診断・耐震改修を実施する建築士事務所一覧」から探すこともできます。
耐震診断費用については家の大きさや場所、構法、現況調査の仕方等によって違いますので、一概に言えません。都道府県・市区町村の担当部局や相談窓口に問い合わせをすると、地域での実情を調べることができると思います。また、専門家に耐震診断を頼んだ場合、診断結果を書類で受け取ること、そして耐震性能が不足すると判定された場合は、耐震補強をすることを検討してください。
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Q10: 補強計画、補強工事の依頼するに何に気をつけたらいいでしょう?

A10: 訪問販売等で「無料の耐震診断をします」といった会社が増えています。協会ホームページ「耐震診断・改修工事のトラブルにご注意ください」を参照してください。
一概には言えませんが、診断の結果、口約束のような形で補強工事を依頼し、後で高額な工事費用を請求されるトラブルも少なくありません。トラブルを防ぐのには、必ず、補強工事の内容を設計図で確認することが鉄則です。
また、設計図を第三者に見てもらって補強が正しいかどうか確認してもらうなど、自分で納得してから工事の発注をすることが大切です。また補強工事は必ず工事契約書を交わすことも大事です。
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Q11: 耐震補強工事にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか?

A11: 耐震補強に要する工事費は住宅の建築年代(古さ)、規模、補強工法などによって違いますので一概には言えません。
参考までに静岡県が調べた「H15年度補強補助に係る工事費の概算調査」によると、補強工事費の平均は178万円になっています。約800件の工事費を調べた結果では,0~100万円が24.6%、100~200万円が43.6%、200~300万円が18.9%、300~400万円が8.2%、400~500万円が2.5%、500万円以上が2.1%となっています。こうした工事により耐震評価の評点が平均して0.44から1.18に増加した結果になっています。
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Q12: 耐震改修促進のための助成制度があると聞きました。どこで調べたら分かりますか?

A12: 耐震診断や耐震改修の費用は地方公共団体で助成があり、現在は約600の県や市町村で助成制度が実施されています。
多くの場合、国の補助制度を活用するものですが、公共団体独自の上乗せがある場合もあります。一度、お住まいの市区町村の役所に問い合わせをしてみてください。
また、協会ホームページの「住宅の耐震診断・改修工事に対する支援制度」でもご覧いただけます。
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Q13: 公共団体の助成制度にはどのようなものがありますか?

A13: 公共団体で助成される制度には次のようなものがあります。住宅の耐震性を高めるために、耐震診断や耐震補強の助成制度を有効に活用しましょう。

(1)住宅の耐震診断に対する補助
地域等の条件はなく、住宅の耐震診断費用の一部を地元の公共団体が負担する。
(2)住宅の耐震改修に対する補助
地震防災対策強化地域等にある人口集積築地区や密集市街地整備促進事業等の地区で、震災時の倒壊によって被害拡大の恐れがある地区に建つ住宅に対して、耐震改修工事費の一部を地元の公共団体が負担します。ただし、倒壊の危険性等が耐震診断で判定されているなどのいくつかの条件がありますので、公共団体に確認をしてください。
(3)一般建築物の耐震改修に対する補助
地震防災対策強化地区などに建つ建築物に対して、耐震補強工事費の一部を地元の公共団体が負担します。ただし、耐震改修促進法の改修計画の認定を受けた建築物であることや、建築年度などのいくつかの条件がありますので公共団体に確認をしてください。
(4)住宅ローン減税
耐震改修工事費のローン残高1%が所得税から控除されます。これは、新築の住宅ローン減税と同様に10年間適用されます。また、平成17年4月以降に新耐震基準を満たした中古住宅を取得する場合も住宅ローン控除が同様に適用されます。

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Q14: 耐震補強のためにはどのような方法がありますか?

A14: 耐震補強の方法には基礎を補強する、柱の接合部を補強する、壁を増設するといった様々な方法があります。それは、どこに住宅の弱点があるのかをきちんと耐震診断で把握して、それを補う方法を選ぶことになります。耐震診断で補強が必要と判定されたら、早期に検討する必要があります。
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Q15: 生活をしながらの耐震改修も可能ですか?

A15: 耐震改修は建物によって耐震補強部分が異なりますが、普通に生活を送りながらの耐震改修が可能な場合もあります。外側から建物を支えたり、増築で弱い部分を補強したり、基礎や土台は、外側から緊結する工法もあります。
これらは、外部工事だけで済みますので、リフォーム工事中の仮住まいなどの必要はなく、短期間で施工することも可能です。ただし、注意も必要です。
例えば、基礎が不十分でない場合などに土台を補強してしまうと、建物上部が壊れることもあります。耐震改修は建物全体をきちんと耐震診断してから、ベストな工法を選ぶことが重要です。
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Q16: 増改築やリフォームと同時に耐震改修を行うことで費用は安くなりますか?

A16: 耐震改修を住宅の増改築やリフォーム行う時に一緒にするのも一つの方法です。一緒に行うことで耐震改修費用のコスト削減にもつながります。
その場合、リフォームを依頼される業者には構造の専門家がいない場合もありますので、その時は耐震のことが分かる構造の専門家のいる設計事務所を加えることや構造の専門家のいる工事業者を選ぶことが大事です。
ただし、耐震改修は緊急性を伴うものですので、早めに検討されることをおすすめします。
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Q17: 耐震補強するときのポイントは何ですか?

A17: 震に弱い住宅とはどのような住宅なのか、木造の戸建住宅を例に紹介します。地震が起こると建物もあわせて揺れます。これは、建物の重さに対して慣性力が働いて建物が横揺れしています。その横揺れを「柱と梁が丈夫だと家は倒れない」と多くの人が誤解をしていますが、実は、木造の柱は上からの圧縮する力には強いのですが、強い横揺れには弱く、柱は横からの力に対してせんだん破壊をします。住宅を地震による横からの力から守っているのは、壁(耐力壁)の量と配置です。

戸建住宅の場合、地震による横からの力に対して抵抗している力は壁の量と配置のバランスです。耐力壁が東西方向、南北方向に一定の量必要です。これについては、壁の量を建築基準法という法律で決められていて、それが東西方向、南北方向に必要量入っているかどうかがポイントになります。

例えば、南面に面したところとか道路に面したところに壁のない家は、地震に弱い場合があります。壁の配置は、1Fが車庫になっていて壁がないような場合など、一方向に入っていないというのは捩れが起こり危ない場合があります。耐力壁の量とそれがバランスよく配置されているのかがポイントです。それ以外では、基礎に鉄筋が入っているかどうか、柱と梁の土台や筋交いを含めた構造が金物で緊結されているかどうか、腐食していないかなどの老朽度合いがポイントになります。

■壁の配置例(木造住宅のみ)

■建物の形の例

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Q18: 一般的な耐震補強の例はどのようなものがありますか?

A18: 基礎、柱筋交い、壁等は以下のような方法が一般的です。さらに様々な方法がありますので、協会ホームページの「我が家の耐震診断コーナー・耐震改修工法・事例の欄」を見てください。

(1)基礎
◆玉石基礎などの場合は、鉄筋コンクリート造りの布基礎に替え、これらの土台をアンカーボルトで締め付けます。
<改修>
鉄筋コンクリート造の布基礎を作りアンカーボルトをつけてください。
<改修前>
玉石に束立てしただけの柱は、浮き上がったり踏み外したりして、建物が壊れることがあります。
◆腐ったり、シロアリに食われた部材は取り替えます。
<改修前>
特に、台所・浴室の近くや北側の土台回りのように湿りがちのところは早く腐ります。
<改修>
土台を取替え、柱は根継ぎして金物で補強してください。この場合、防腐(防蟻)措置を忘れてはなりません。
(2)土台・柱・筋交い・梁
◆土台・柱、筋交いなどの接合は金物等を使って堅固にします。
<改修前>
ほぞ差しや胴付け、または釘止めだけの接合部は、抜けたり外れたりします。
<改修>
柱と土台は金物等で結び付けてください。筋交いと柱(または土台、梁)は、十分に釘または専用の金物で止め付けてください。
◆柱・梁の接合は金物等を使って堅固にします
<改修前>
ほぞ差しだけの柱、梁の仕口は、ほぞが折れたり、抜けたりして骨組みがバラバラになりがちです。
<改修>
梁の下端を羽子板ボルトで引き止め、抜け落ちないようにしてください。
釘または専用の金物で止め付けてください。
(3)壁
◆筋交いを入れたり、構造用合板を張って強い壁を増やします。
<補強前>
柱、梁だけでは地震の力に抵抗できません。
<補強>
筋交いを入れるか、または、構造用合板(厚さ9mm以上)を柱、土台、梁・胴差、間柱・胴縁に十分に釘打ちしてください。
◆壁の量を増やし、かつ、つりあいをよく配置します。
<改修前>
開口部(ガラス戸など)が多いほど地震に弱くなります。
<改修>
開口部を減らし、筋交いや構造用合板で補強された壁を増やしてください。隅部を壁にすると一層効果的となります。
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(一般的な耐震補強の例」と記事中のイラスト・写真は、『戸建て住宅耐震改修工法・事例』(財団法人 日本建築防災協会発行)より引用しています。ホームページ掲載がありますので、詳しくはそちらを見てください。)