賞牌

耐震改修優秀建築・貢献者賞『賞牌』デザインについて

三井所 清典
芝浦工業大学名誉教授

 耐震補強は、さまざまな条件を持つ既存の建物を安全な建物として安定させる技術である。安定した建物は安定した形によって構成されると想定し、「建築を安定させる形」、「建築を構成する要素の形」として○△□の形が浮上した。建築、特に日本建築の形の基本は四角であり、たまに三角と丸が登場する。建築はこれら2次元の要素を組合せて3次元の空間をつくる。
 また○△□の形には建築を超えた普遍性がありなじみ深い。丸、三角、四角の要素を美しい形に納めるために、内接、外接、分割などのスケッチをしているうちに黄金比に納めることに思い至った。そして黄金比と関連する1,1,2,3,5,8というフィボナッチの数列と、その比を辺の長とする正方形を組合せた図を思い出した。形の組合せには柱と梁の軸組、ブレース、面剛性、免震、制震等の補強技術を重ねて象徴したい。また耐震技術は日本の誇りであり、日本を暗示する意匠としてわが国の伝統の紋様である格子紋、市松紋、鱗紋などを選びだした。こうして賞牌デザインを構想する材料が揃い、それらの要素を構成し、一体のものとして総合化する作業に入った。
 このプロセスは建築設計とよく似ている。二次元のコンポジションの検討をしながら面の凹凸、線の太さと深さ、表面のテクスチャーなど三次元的要素を構想する。製造関係者から鋳造における製作技術を聞き、面や形の製作限界、すなわち最小の大きさ、形の彫り込みのエッジの勾配や深さ、線の太さやつながり、表面のテクスチャーや色などの具体的手法を理解し、ここに賞牌が完成した。

国土交通大臣賞・耐震改修優秀建築賞
日本建築防災協会理事長賞・耐震改修優秀建築賞
耐震改修優秀建築賞
国土交通大臣賞・耐震改修貢献者賞
日本建築防災協会理事長賞・耐震改修貢献者賞