(特集「20世紀の建築防災-災害と技術(6)」)

月刊「建築防災」
No.263 1999/12月号(特集「20世紀の建築防災-災害と技術(6)」)

◆ 防災随想 防災訓練はなるべく実戦さながらに/熊谷武生(三菱地所㈱)(1ページ)

◆ 特集「20世紀の建築防災-災害と技術(6)」

◇ 都市大火/熊谷良雄(筑波大学教授)(4ページ)
 「大火」に関する用語としては、
a)大火、大火災、おお火事、大きい火事
b)Conflagfation,Great
fire,Big fire,Large fire,Group fire,Multiple fire,Great mass fire

等さまざまなものがあるが、どの程度の規模の火災を「大火」とするかという明確な基準はない。消防白書では、その資料篇に「昭和21年以降の大火記録」を掲載しており、阪神・淡路大震災時の6件を合め47件が上げられている。この資料では「建物の焼損面積が3万3,000㎡(1万坪)以上の火災」と定義している。(
 
 建築防火研究と防火試験法・防火材料開発の変遷/鈴木弘昭(ヤマトプロテック㈱)(8ページ)
 昨今、防火に関する「性能的防火設計」とか「規制緩和」と言う言葉をしばしば耳にしたり、自分自身で使ったりしている。前者は、建築防火について、ここ約1世紀の間に社会現象を通して試行錯誤的に発達し、多くの建築家や建築技術者の知識となり、一般にも広く理解されるようになった成果を、建築設計士の優れた能力でさらに自由に駆使して頂き、「安全で、経済的な建物を設計して頂こう」と言うものである。後者は、ここまで貿易が自由に、容易になり、世界経済が1つになりつつあるのだから貿易の自由化と共に「ものの考え方もグローバルにすべきであり、従って、各国の独自の規制もはずして世界全体が一つの経済圏になるようにすべきだ」と言う考えに基づいている。
 数十年前までは、各国の大都市でも国によって建物、生活様式に多くの違いがあり、それぞれ大きな特徴があった。しかし、昨今では、何処の国々でも高層ビルが立ち並び、世界中の人々が行き交うようになって、建築防火にとって、火事の特徴もその形態も国によっての違いでは無くなりつつある。
 本報では防火研究の粗筋と建築材料の防火性能基準の確立、防火性能評価と防火試験の出現・改良、これに伴って開発された防火材料等の経緯について20世紀の足跡を振り返り、21世紀への橋渡しとして記したい。限られた頁数の中で十分には説明出来ない点は別の機会に譲ることにして、ご容赦頂きたい次第である。
 
◇ 室戸台風と第2室戸台風による災害について/桂順治(京都大学教授)(5ページ)
 昭和9年(1934)9月21目(金)、湾奥に発達した大都会大阪が超大台風に襲われるという未曾有の事態が発生した。多くの家が倒れ、多くの死者を出したが、60年以上を経た今日、この室戸台風の災害について語れる人も少なく、詳しい記録も見当たらないので、新聞記事に拠ることにした。新聞記事はニュースが届いた順番に書かれるため、断片的になっている。それを事象の発生順に並べ変えると、何とか物事の筋道が見えるのではなかろうかと考えた。27年後の昭和36年(1961)9月16日(土)ほぼ同じ程度の台風6118号)がほぼ同じコースをとり、第2室戸台風と命名された。こちらの方はいくらかの資料があるが、最初のものと体裁を整えるため、やはり記事中心のものとした。死者の数からすれば1/10以下に、大阪だけならば1/70近くに激減するが、それが何故だったのか読者は容易に見抜かれるだろう。しかし果たしてそれでよいのかという問題を忘れないでほしい。
 
 
◆安全の知識

◇ ロダン地獄の門の耐震対策/藤村勝(㈱竹中工務店)(6ページ)
 「地獄の門」は、オーギュスト・ロダンが制作した重量7tの彫刻であり、「国立西洋美術館」の前庭に展示されている。この彫刻は、高さ5.4mに対して厚さが1.0mと安定性に欠き、また、精巧な多数のブロンズ製彫刻が組合わされて1つの作品となっているため、大地震時において破損する恐れがあった。
 今回の計画では、この彫刻を固定する背面支持躯体を新設するとともに下部に免震装置を組込み、芸術的価値が高い本彫刻の修復と保存を図ることになった。免震装置には大きな地震力の低減効果が期待できる円弧ローラーと粘性体ダンパーを組合わせたシステムを採用した。この計画により、大地震が発生した時の地震力を1/8程度に低減できると考えている。
◇ 美術工芸品の地震対策/三浦定俊(東京国立文化財研究所)(6ページ)
 文化財は長い年月を経て今日に伝えられてきた。今でも数多くの文化財が残されているように思われるが、日本の文化財が木や紙でできていることを考えるなら、数多くあった内のごく一部分だけが私たちの手元に残されてきたと考える方が妥当である。文化財が傷む日常的な原因は、光、熱、湿気、空気汚染、カビ、虫などを挙げることができる。また火災、風水害などによって失われた文化財も数知れない。ここで述べる地震も一因である。しかし風水害などに比べて発生の頻度が低いために、耐震対策は軽視されがちであった。その中で阪神淡路大震災が起こり、文化財にも多くの被害が発生し、関係者に日頃からの備えの大切さを知らしめた。ここではその反省に立ち、今後の美術工芸品の耐震対策について考える。
 

◆建築防火材料コーナー

◇硝子繊維(グラスウール)/硝子繊維協会(7ページ)
 硝子繊維は長繊維と短繊維に大別されるが、いずれも無機質の硝子原料を繊維化することで特殊な性質を持たせている。
 長繊維は各種天然鉱物原料を約1500℃の溶解窯に投入、高温溶解後、約1200℃の硝子素地をノズルから落下させこれを高速で回転するドラムに巻き取って1本のストランドにする。(この束は約200~400本の細い繊維から成る)これを短く切断したものをチョップドストランドといい、これに接着剤を添加したものをチョップドストランドマットという。浴漕、浄化漕、波板などいわゆる、FRP(硝子繊維強化プラスチック)の基材として使用される。また、クロスにして鉄道車両や自動車部品、テープ状にしてモーターや発電機の絶縁材料として利用される。
  一般にグラスウールというと、短繊維の商品群を言う。短繊維は(1)空気を硝子繊維の中に閉じこめているので断熱性が高い。(2)硝子繊維は音のエネルギーを吸収するため吸音性が高い。(3)原料が無機質であるため不燃材料として耐熱性が高い。などの性能のため住宅や産業用として用途は広い。
 長繊維、短繊維の出荷量は別表の通りであるが合計60万tに近く10年前の約1.7倍である。
 最近では1997年の地球温暖化防止条約。京都会議で決議されたC02排出削減の目標に対してあらゆる産業がこの課題をかかえている。住宅分野では次世代省エネ基準が告示され温暖地域でもグラスウールによる断熱化が促進されることで短繊維の出荷は加速すると期待されている。
 ここでは建築分野に最も多く使用される短繊維を中心に記述する。
 

◆定期調査報告関係地域法人紹介コーナー
◇(財)群馬県建設技術センター/品川敦(6ページ)
 当センターは、建設事業に携わる県及び市町村職員の専門的かつ高度な技術者を養成するための研修の実施、建設工事の質的向上を図るための資材の品質試験の実施、公共工事の執行の補完的役割を果たすための設計積算業務の受託及び突発的に発生する災害緊急時における協力体制を整え、もって本県の建設事業の振興発展に寄与することを目的として、群馬県知事の許可を受け昭和61年6月1日に民法第34条の公益法人として発足いたしました。
 そして、建築防災課は建築物にまつわる災害を防止するため、県の要請を受けて、建築基準法第12条に基づく建築物、建築設備等の定期報告業務や住宅の品質、性能について消費者に補償する住宅性能保証制度業務及び建設工事の執行に当たり、建築技術者のいない、脆弱な町村をサポートするための設計積算業務の受託等を柱に平成5年4月にスタートいたします。その後、平成8年4月には平成7年1月17日に発生した阪神淡路大震災の未曾有の大被害の教訓により施行された「建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年12月25日法律第123号)」の趣旨に基づき、既存建集物の耐震性及び安全性の向上を図るため、(財)群馬県建設技術センター建築物耐震診断判定委員会を設立し、耐震診断業務を開始し、現在に至っています。


その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。

財団法人 日本建築防災協会 機関誌係
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