特集「平成28年度耐震改修優秀建築・貢献者表彰」

No. 470 2017/3月号

特集「平成28年度耐震改修優秀建築・貢献者表彰」

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◆防災随想

◇被災建築物の応急危険度判定という実務について-熊本地震による応急危険度判定事例からの経験-/有木克良 ((独) 都市再生機構)(2ページ)

◆特集「平成28年度耐震改修優秀建築・貢献者表彰」

◇平成28年度耐震改修優秀建築・貢献者表彰 表彰式/一般財団法人日本建築防災協会(4ページ)

 本会では平成29年2月21日(火) に平成28年度耐震改修優秀建築・貢献者表彰の表彰式を開催しました。

 この耐震改修優秀建築・貢献者表彰制度は平成23年度に創設したもので、耐震改修を実施した既存建築物のうち、特に耐震性、防災・安全性、意匠等に優れた建築物及び関係者を表彰する耐震改修優秀建築表彰と、耐震改修の促進、耐震改修技術の発展等に顕著な貢献を行った者を表彰する耐震改修貢献者表彰があります。

◇耐震改修優秀建築・貢献者表彰について/岡田恒男(一般財団法人日本建築防災協会理事長)(1ページ)

 一般財団法人日本建築防災協会では既存建築物の耐震化のより一層の促進に資するため、耐震改修優秀建築・貢献者表彰制度を創設し、今年度で6回目の表彰式を迎えることとなりました。この制度は、耐震改修を実施した既存建築物のうち、耐震性、防災・安全性、意匠等に特に優れた建築物及びその耐震改修に主体的に関わった関係者を表彰する耐震改修優秀建築表彰と、耐震改修の促進、耐震改修技術の発展等に顕著な貢献をされた方を表彰する貢献者表彰から成り立っています。耐震改修優秀建築及び貢献者の内で特に優れた者には国土交通大臣賞又は日本建築防災協会理事長賞が授与されることとなっています。

◇耐震改修優秀建築・貢献者表彰審査にあたって/和田章(耐震改修優秀建築・貢献者表彰審査委員会委員長)(1ページ)

 地震災害は毎年のように世界各地で起きているが、特に昨年は多く起きたように感じる。主な地震をあげると、2月に台南地震、4月に熊本地震とニカラグア地震、8月にイタリア中部地震、10月には鳥取で地震災害が起きた。建築の構造はその国の歴史や伝統、使用される構造材料や耐震基準、構造技術などによって同じではなく、災害の様子も異なる。我が国では、木造建築の長い歴史があるが、鉄筋コンクリート構造、鉄骨構造、鉄骨鉄筋コンクリート構造などは、明治以降、欧米から輸入された技術が元になっている。

◇耐震改修優秀建築・貢献者賞『賞牌』デザインについて/三井所清典(芝浦工業大学名誉教授)(1ページ)

 耐震補強は、さまざまな条件を持つ既存の建物を安全な建物として安定させる技術である。安定した建物は安定した形によって構成されると想定し、「建築を安定させる形」、「建築を構成する要素の形」として○△□の形が浮上した。建築、特に日本建築の形の基本は四角であり、たまに三角と丸が登場する。建築はこれら2次元の要素を組合せて3次元の空間をつくる。また○△□の形には建築を超えた普遍性がありなじみ深い。丸、三角、四角の要素を美しい形に納めるために、内接、外接、分割などのスケッチをしているうちに黄金比に納めることに思い至った。そして黄金比と関連する1,1,2,3,5,8というフィボナッチの数列と、その比を辺の長とする正方形を組合せた図を思い出した。形の組合せには柱と梁の軸組、ブレース、面剛性、免震、制震等の補強技術を重ねて象徴したい。また耐震技術は日本の誇りであり、日本を暗示する意匠としてわが国の伝統の紋様である格子紋、市松紋、鱗紋などを選びだした。こうして賞牌デザインを構想する材料が揃い、それらの要素を構成し、一体のものとして総合化する作業に入った。このプロセスは建築設計とよく似ている。二次元のコンポジションの検討をしながら面の凹凸、線の太さと深さ、表面のテクスチャーなど三次元的要素を構想する。製造関係者から鋳造における製作技術を聞き、面や形の製作限界、すなわち最小の大きさ、形の彫り込みのエッジの勾配や深さ、線の太さやつながり、表面のテクスチャーや色などの具体的手法を理解し、ここに賞牌が完成した。

◇国土交通大臣賞を受賞して/遠藤正幸(一般社団法人 静岡県建築士事務所協会 会長)(1ページ)

 一般社団法人静岡県建築士事務所協会は、その前身である社団法人静岡県建築事務所協会が昭和43年12月に設立され、以来、静岡県内の建築士事務所の発展、建築主の利益の保護を目的に様々な活動を行ってきておりますが、その活動のうち最も重点的に取組んできた事柄が建築物耐震化の推進であります。

◇日本建築防災協会理事長賞を受賞して/洪忠憙(明治大学名誉教授)(1ページ)

 私が耐震診断・改修設計の評価委員会に直接的に関与するようになったのは、建築学会・関東支部の教育普及活動(1981年~2003年、構造テキスト作成etc)、また学会支部の神奈川支所長を担当し、結果として行政職の方々、構造技術者との情報交換、交流を持ったお陰だと思います。特に、神奈川県工業試験所長の故戸塚学氏には、当地の耐震評価委員会の立ち上げ、その実施に当たって、大いに指導を受けました。

◇米子市公会堂の耐震補強・大規模改修/吉田聡 石坪章 阿波野昌幸(株式会社日建設計 日建設計コンストラクションマネジメント株式会社 近畿大学)(9ページ)

 米子市公会堂は、総合文化の象徴として公会堂の建設を望む市民の声のもと、建築家・村野藤吾氏の設計により、1958年に市制30周年の記念事業として開館した。建設当初の工事費確保においては市民の「1円募金活動」が展開され、当時の金額で約5,000万円もの募金が集まったとの逸話が残っている。その後1980年には楽屋や機材搬入庫部分の増築、フライタワーの新設を含む大規模改修工事が再び村野藤吾の設計により行われた後、公共建築100選にも選ばれ、市民の文化芸術活動の拠点として親しまれてきた。

◇通天閣免震レトロフィット-世界に類を見ない既存鉄塔の免震改修-/日下哲、西崎隆氏、松原由典、山田晃平、植田道則、田中健嗣、永野顕、津髙達哉 (株式会社 竹中工務店)(6ページ)

 初代通天閣は1912年(明治45年)第5回内国勧業博覧会を機に建設された。当時東洋一の高さを誇る展望塔で、凱旋門にエッフェル塔を載せたような斬新なデザインであったが、1943年(昭和18年)、隣接する映画館からの延焼火災で鉄骨が大きく変形した。太平洋戦争の最中でもあり、軍需資材としての鉄材供出のため解体された。

◇島根県指定有形文化財興雲閣の耐震補強 歴史的洋風建築の活用に向けて/古川洋(有限会社安芸構造計画事務所)(7ページ)

 興雲閣は、松江市が明治36年に松江市工芸品陳列所として建てた建物である。国宝松江城天守の近くに位置し、敷地は国の史跡に指定されている。

 当初、明治天皇の行在所に使用する目的でつくられたため、装飾・彫刻を多く用いた華麗な仕上げとなっている。結果的には天皇の巡幸は実現しなかったが、明治40年、皇太子嘉仁親王(のちの大正天皇)の山陰道行啓の際の御旅館となり、迎賓館としての役割を果たした。

◇山梨県庁舎別館の耐震改修~県指定有形文化財の保存修復~/髙相正樹(株式会社 馬場設計)(6ページ)

 山梨県庁舎別館(旧本館)は昭和5年創建で築85年以上が経過しており、県教育委員会編集の「山梨県の近代化遺産」において、隣接する県議会議事堂と共に「質・規模・意匠」のいずれの面からも貴重な遺構とされる県内に残る数少ない近代公共建築物のひとつである。

◇柳星山常念寺本堂耐震改修―面格子壁による耐力付与と地震時応力の円滑な伝達―/加藤工※1 山内義章※1 小野徹郎※2 (※1:株式会社 浦野設計 ※2:名古屋工業大学名誉教授)(7ページ)

 柳星山常念寺は、明徳元年(1390年)に空遄召運上人による開山の西山浄土宗の寺である。境内には100鉢の花蓮が咲き誇る蓮の寺として名高く、多くの拝観者が訪れている。

◇東京文化会館(25)改修工事-天井耐震化について-/田中茂※1 江川徹※1 草野浩※2 鈴木暁※3 (※1:前川建築設計事務所、※2:横山建築構造設計事務所、※3:清水建設株式会社)(8ページ)

 東京文化会館は、1961年の開館から今年(2017年)で56年目を迎える。この年月の流れは、現在まで多くの人々の手によって育まれたものであり、竣工後の数々の改修に携わった人々も数しれない。設立経緯や建物概要については、すでに数多くの文献が出ているため、ここでは簡単にまとめる。

◇都立横網町公園(25)慰霊堂・慰霊塔耐震補強工事/木村靖(戸田建設㈱東京支店)(7ページ)

 東京文化会館は、1961年の開館から今年(2017年)で56年目を迎える。この年月の流れは、現在まで多くの人々の手によって育まれたものであり、竣工後の数々の改修に携わった人々も数しれない。設立経緯や建物概要については、すでに数多くの文献が出ているため、ここでは簡単にまとめる。

◇鳥取県庁舎の耐震改修/宮脇儀裕・安田文明(鳥取県総務部営繕課)(8ページ)

 鳥取県庁舎(本庁舎・講堂・議会棟)は、建設省営繕局の設計により建設し、昭和38年の供用開始以降約半世紀に渡り県政の中心として県民に親しまれてきた。

 平成7年の阪神淡路大震災の発生を受け、耐震診断を行った結果、本庁舎、講堂、議会棟に加え、後に整備した議会棟別館、第二庁舎を含めた5棟が耐震安全性に問題があることが判明した。

 

 

*情報交流制度にお申し込みいただいた方には、当協会の月刊誌である「建築防災」をお配りしています。

 

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その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。

一般財団法人 日本建築防災協会 建築防災編集係

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電話:03-5512-6453 FAX:03-5512-6455

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