特集「CLT建築物」

No. 463 2016/8月号

特集「CLT建築物」

※執筆者名の後の( )内の数字はその記事のページ数を表す。

◆防災随想

◇災害公営住宅の整備/石川勇治((株)山下設計 技術設計部門)(1ページ)

◆特集「CLT建築物」

◇CLT建築の現状と今後/安村基(静岡大学 学術院農学領域)(8ページ)

 本年3月31日および4月1日にCLTに関する関係法令が公布された。これにより、平成25年12月に公布された日本農林規格に規定する「直交集成板」を用いた建築物が一般に建設されることとなった。CLTは、1990年代に欧州で開発された木質構造材料で、図1に示すように厚さ30mm程度の挽き板(ラミナ)を幅方向に並べたものを交互に直交させて積層接着して大型木質パネルを作成するもので、このパネルを壁や床版に用いることにより建築物を構成するものである。ここでは、欧州におけるCLT開発の歴史的背景と現状、わが国における対応、CLTパネルにおける品質基準と基準強度および今後の対応などについて概観したい。

◇CLT構造の構法と耐震性能/河合直人(工学院大学 建築学部)(10ページ)

 クロス・ラミネイティド・ティンバー(Cross Laminated Timber、以下、CLT)は、集成材に用いられるものと同様の挽き板(ラミナ)を層ごとに直交するように接着積層し、大型パネルとして使用することのできる木質材料である。1990年代から欧州で開発され、欧米を中心に、中・大規模の集合住宅や商業施設に用いられるなど、急速に普及が進んでいる。我が国では2010年「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の成立などを背景に、中・大規模木造建築物の構法の一般化が必要とされており、CLTパネルを用いた建築構造(以下、CLT構造)はこれを可能にする構造方法の一つと目されている。

◇CLTパネルの防耐火性能/安井昇(桜設計集団一級建築士事務所)(7ページ)

 木材は外部から強い加熱を受けると着火し燃焼する。この「木材が燃える」ことを短所だと言われることが多いが、一方で、厚いか太い木材はなかなか燃え進まないことも経験的に知られている。もちろん“燃えない”“燃え進まない”ほうがよいことはわかるが、“燃”を使った言葉はいろいろあるので少し整理してみたい。まず、材料表面への着火現象では、“燃えない”“燃え拡がらない”ことが良とされ、材料が着火防止性能や火炎伝播抑制性能等を有する場合に使う。また、部材の延焼過程では、“燃え抜けない”“燃えて壊れない”ことが良とされ、部材が延焼抑制性能や崩壊抑制性能等を有する場合に使う。世の中ではこれらの言葉をすべて“燃えない”と表現しており、ほとんど区別されることはないと思われる。しかし、建築基準法では、前者は内装制限の目標性能、後者は防火構造・準耐火構造等の構造制限の目標性能としっかり分けて考えている。具体的には内装制限は、壁や天井の仕上げ材が燃えて大量の煙を発生し、建物利用者の避難に支障が出ないように、内装仕上げ材に“燃えない”“燃え拡がらない”性能を求めている。構造制限は、壁や床が容易に壊れたり燃え抜けて隣室や隣棟に延焼しないように、壁や床といった部材が“燃え抜けない”“燃えて壊れない”性能を求めている。

◇日本CLT協会の取組み紹介/中島洋(日本CLT協会)(4ページ)

 CLTは1990年代の中頃からヨーロッパで研究開発、実用化が図られてきました。日本では2011年頃よりCLTを利用できるようにという取組みが本格化し、2016年にCLTに関連する建築基準法告示が施行されました。CLTを構造用の建築材料として、また、パネル工法として、一般的に利用することができるようになりました。

 ここでは、日本CLT協会設立の経緯から現在に至るまでの取り組みを中心に紹介します。

◇CLT建築推進協議会の概要とその動き/大野孝元(高知県庁 木材産業振興課)(7ページ)

 高知県は海のイメージが強い県ですが、県土の84%を森林が占める森林県です。森林に占める人工林の割合も65%と高く、この豊富な森林資源を活用し、本県の産業振興や雇用促進につなげていくためには、木材の需要拡大が重要です。

 国内の住宅着工戸数が伸び悩む中、木材の需要を高めていくためには、住宅に活用する国産材の一層の利用向上を図るとともに、新しい分野での木材を活用することが求められており、欧州で開発され普及が進んでいたCLT(Cross Laminated Timber:直交集成板)に着目し、取り組みを進めることとしました。

◇CLTの建築への活用、普及促進に向けた各種取組みの紹介/公益財団法人日本住宅・木材技術センター(8ページ)

 住木センターでは、木材と建築を結ぶ公的な機関として、様々な研究開発、技術審査等の事業に取り組んで参りました。ここでは、近年新しい木質材料として開発され、我が国の各種建築への活用が期待されている直交集成板(CLT)に関する研究開発の取組みについて紹介します。

◇つくばCLT実験棟の実践/青島啓太(芝浦工業大学 特任講師)(9ページ)

 CLT(Cross Laminated Timber)とは、ひき板を並べた層を板の方向が直交するように層を重ねて接着した大判の木質パネルだ。1990年代中頃からオーストリアを中心として発展してきた新しい木質構造用材料として、注目されている。2016年4月、CLTパネル工法(CLT:木質直交集成板)に関する告示が施行されるとほぼ同時に、つくばCLT実験棟(通称:CoCoCLT)が竣工した。一般社団法人日本CLT協会が事業主体となって、茨城県つくば市(国立研究開発法人建築研究所の敷地内)に建てられた地上2階建てのCLTパネル工法による実証実験棟である。

◇国内初のCLTホテル/尾宮洋一・上野雄太(鹿島建設株式会社 九州支店 建築設計部)(10ページ)

 近年、循環型社会の構築などの社会的背景により、国土交通省や林野庁を中心に建築物への木材利用を促進させようという動きが活発化している。その一つとしてクロス・ラミネイティド・ティンバー(以下、CLT)を用いた建築物にも注目が集まっている。

 CLTは、欧米においては既に多くの建物に採用されているが、我が国においては、指定建築材料に指定され、材料の基準強度や許容応力度が定められたのが平成28年3月、設計法が定められたのが同4月であり、普及は遅れているのが現状である。

 「ハウステンボス・変なホテル2期」は、平成25年から基本計画をスタートしたホテル全体計画の2期に当たり、CLTを構造躯体とした木質壁式構造(以下、CLT構造)として平成25年度木造建築技術先導事業に採択されたものである。本建物は、CLTが指定建築材料になる以前の平成27年に(一財)日本建築センターで性能評価を受け、国土交通大臣の認定を取得して建設された。本報では、本建物の計画および施工の概要について紹介する。

 

 

*情報交流制度にお申し込みいただいた方には、当協会の月刊誌である「建築防災」をお配りしています。

 

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