特集「東北地方太平洋沖地震から5年 既存超高層建築物の制震改修」

No. 459 2016/4月号

特集「東北地方太平洋沖地震から5年 既存超高層建築物の制震改修」

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◆防災随想

◇被災地カトマンズから国際情勢をおもう/真田靖士 (大阪大学)(1ページ)

◆特集「東北地方太平洋沖地震から5年 既存超高層建築物の制震改修」

◇超高層建物の長周期地震動対策/北村春幸 (東京理科大学 理工学部) (5ページ)

 近年の地震学の進歩は著しく、1995年兵庫県南部地震を契機に、全国の活断層調査、大都市圏の広がる大規模堆積平野の地表から地震基盤までの地下構造調査、全国の数千ヶ所にわたって強震計を設置した地震動観測網の整備などが実施され、それらの成果をもとに地震動の解明が進んだ。

◇既存超高層建築物の制震補強時の検討項目と実施例~屋外吹抜部にオイルダンパー組込みの増設フレームを設置した制震改修事例~/佐野剛志・中塚光一 (株式会社大林組) (7ページ)

 2011年3月の東日本大震災を教訓に、内閣府は「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大地震を検討すべき」という考え方に基づいて南海トラフ地震の見直しを進め、2015年12月に発表された南海トラフ巨大地震の発生に伴う長周期地震動による超高層建築物への影響推計によると、大都市圏の超高層建築物では立つこと困難な揺れが長時間続く可能性があると指摘されている。

◇既存超高層建築物の安全・安心に向けた取り組み~質量ダンパーとオイルダンパーを用いた制震改修事例~/狩野直樹 (鹿島建設株式会社 建築設計本部) (8ページ)

 2011年の東北地方太平洋沖地震の際には、首都圏の超高層建築物が長時間に渡り揺れ続けた。柱や梁などの主要構造体に大きな損傷はなかったものの、天井や間仕切壁などの非構造部材の被害や居住者の恐怖心の問題が大きくクローズアップされた。このように大きく長時間継続する長周期地震動の際の不快な揺れを抑制するには、地震のエネルギーを効率よく吸収する制震装置を建物内に追加して建物の減衰性能(揺れを低減させる能力)を高めることが非常に有効である。弊社では様々なタイプの制震装置を1980年代から開発し、1989年に世界初のアクティブ制震建物を実現して以来、新築建物だけでなく既存建物の改修においても多数の適用実績を有している。

◇既存超高層建築物の制震改修~回転慣性質量ダンパーとオイルダンパーを組合せた制震ユニットによる制震改修事例~/渡辺泰志(清水建設株式会社 設計本部 技術開発部) (7ページ)

 本稿では、最初に既存超高層建築物の制震改修事例として、シーバンスS館を、次に弊社保有の関連技術について簡単に紹介する。

 2011年3月11日に、東北地方・太平洋沖地震が起きてから5年余となる。この地震で、東北地方はもちろん、首都圏や遠く離れた大阪平野でも多くの超高層ビルがこれまでに経験のない大きな揺れに見舞われた。これらの超高層ビルの構造体の損傷に関する報告は無いが、天井や間仕切り壁等非構造部材の被害、家具・什器の転倒等は数多く報告されている。また、長時間に亘る揺れは在館者の多くに不安感と恐怖感を与えた。

◇既存超高層建築物の制震改修の取り組み~変位依存型オイルダンパーを用いた制震改修事例~/細澤治・長島一郎・木村雄一(大成建設株式会社) (6ページ)

 2011年の東日本大震災では、震源域から遠く離れた東京や大阪の超高層建物が大きく揺れるといった、長周期地震動が原因と見られる被害が相次いだ。当社は、2009年の段階で長周期地震動への対策を進めており、東京都新宿区に建つ新宿センタービルの制震改修を行った。そして、2011年の東日本大震災の際には、新宿センタービルの揺れ幅や後揺れ時間が減少し、その効果が実証された。

◇既存超高層建築物の制震改修~マスダンパーを利用した制震改修事例~/井出豊、武藤肇、中山裕貴、斉藤道夫、西村卓也、曽根孝行(株式会社 竹中工務店) (6ページ)

 東北地方太平洋沖地震で長く続いた超高層建物の大きな揺れは、長周期地震動対策の必要性をさらに高めることになった。その中、新築だけでなく、既存超高層建物の長周期地震動対策としてマスダンパーを利用する事例が出初めている。オイルダンパーなどの制震部材を用いた改修では複数層に渡る工事が必要となるが、マスダンパーを用いた場合は設置個所付近だけに工事範囲が留まり、更に効率よく制震が可能であることから、既存改修方法として有効なものと考えられる。反面、高い制震効果を実現するためには巨大なおもりが必要となることや、おもりの大きな変位に追従できる設置スペースを備える必要があることなど、適用に際しては慎重な検討が必要と言える。

◆行政ニュース

◇第22期火災予防審議会人命安全対策部会中間報告について 諮問事項「オリンピック・パラリンピック施設等における防火・避難対策」/火災予防審議会事務局 (東京消防庁 予防部 予防課) (2ページ)

 第22期火災予防審議会人命安全対策部会(部会長 長谷見雄二 早稲田大学教授)では、平成27年5月25日に東京都知事から諮問された「オリンピック・パラリンピック施設等における防火・避難対策」のあり方について審議検討を行っており、平成29年3月に答申を取りまとめる予定です。

 これまでの審議の結果から、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会中における観客等の安全を確保するため、中間報告が取りまとめられたので、本稿ではその概要について紹介します。

 

 

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