特集「平成27年度 耐震改修優秀建築・貢献者表彰」

No. 458 2016/3月号

特集「平成27年度 耐震改修優秀建築・貢献者表彰」

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◆防災随想

◇緊急輸送道路沿道建築物の耐震化の取組/惠美奈 裕征 (東京都都市整備局市街地建築部)(1ページ)

◆特集「平成27年度 耐震改修優秀建築・貢献者表彰」

◇平成27年度耐震改修優秀建築・貢献者表彰 表彰式/ (一般財団法人日本建築防災協会)(4ページ)

 受賞されました皆様には心よりお祝いを申し上げます。

 本会では平成28年2月16日(火) に平成27年度耐震改修優秀建築・貢献者表彰の表彰式を開催し、審査結果を発表しました。

 この耐震改修優秀建築・貢献者表彰制度は平成23年度に創設したもので、耐震改修を実施した既存建築物のうち、耐震性、防災・安全性、意匠等に特に優れた建築物およびその耐震改修に主体的に関わった関係者を表彰する耐震改修優秀建築表彰と、耐震改修の促進及び耐震改修技術の発展等に顕著な貢献をされた方を表彰する耐震改修貢献者表彰があります。

 本特集では、平成27年度の耐震改修優秀建築・貢献者表彰審査結果の概要、耐震改修優秀建築賞を受賞した建築物の耐震改修概要等を紹介します。

◇耐震改修優秀建築・貢献者表彰について/岡田恒男(一般財団法人日本建築防災協会理事長)(1ページ)

 一般財団法人日本建築防災協会では既存建築物の耐震化のより一層の促進に資するため、耐震改修優秀建築・貢献者表彰制度を創設し、今年度で5回目の表彰式を迎えることとなりました。この制度は、耐震改修を実施した既存建築物のうち、耐震性、防災・安全性、意匠等に特に優れた建築物およびその耐震改修に主体的に関わった関係者を表彰する耐震改修優秀建築表彰と、耐震改修の促進、耐震改修技術の発展等に顕著な貢献をされた方を表彰する貢献者表彰から成り立っています。耐震改修優秀建築および貢献者の内で特に優れた者には国土交通大臣賞、あるいは、日本建築防災協会理事長賞が授与されることとなっています。。

◇耐震改修優秀建築・貢献者表彰審査にあたって/和田章(耐震改修優秀建築・貢献者表彰審査委員会委員長)(5ページ)

 建築は衣食住の一つ、人々の生活、社会の活動を支える基本であり、自然の猛威から個々の建築、これらが集まる村やまち、都市の平穏を守るのが我々の仕事である。さらに今日の社会は豊かになり、進んだ通信や交通で高度化・高密度化され、平常時の生活・活動はますます快適になるが、一方で災害時に失うものが多くなっている。このような災害を軽減するための基本は、我々の社会を構築している建築をより丈夫に、災害時にも機能を失わないようにすることである。特定の地に注目すると、大きな地震の発生頻度は小さいが、国内外で起きている震災経験をもとに、たゆまぬ研究・技術開発によって進めてきた耐震診断技術、耐震改修技術を活用して、大地震の到来前に多くの建築の耐震性の向上を図ることが非常に重要である。

◇耐震改修優秀建築・貢献者賞『賞牌』デザインについて/三井所清典 (芝浦工業大学名誉教授)(1ページ)

 耐震補強は、さまざまな条件を持つ既存の建物を安全な建物として安定させる技術である。安定した建物は安定した形によって構成されると想定し、「建築を安定させる形」、「建築を構成する要素の形」として○△□の形が浮上した。

◇国土交通大臣賞を受賞して/大久保全陸 (九州大学名誉教授)(1ページ)

 この度は日本建築防災協会の耐震改修貢献者表彰において国土交通大臣賞を頂き、身に余る光栄に存じます。ご推挙頂きました方々に厚く御礼申し上げます。地震による既存建築物の倒壊から国民の生命等を護ることを目的として、1995年(平成7年)の阪神淡路大震災直後に制定された「建築物の耐震改修促進法」を受けて、平成8年から全国的に既存特定建築物を対象として耐震診断を行い、その結果に応じて耐震改修を実施する制度が導入され、私は同年から長年に渡って福岡県と佐賀県の耐震評価・判定業務に委員として関わらせて頂きました。両県の評価・判定委員会の方々に心から御礼申し上げます。

◇日本建築防災協会理事長賞を受賞して/田中博美((株)白兎設計事務所 顧問)(1ページ)

 この度、名誉ある日本建築防災協会理事長賞を授与して頂き、この栄誉に心から感謝致します。

 私が耐震診断・改修計画に強く認識させられたのは、平成7年1月17日に起こった、阪神・淡路大震災の時ボランティアで被災建築物応急危険度判定士鳥取県支援団として、応急危険度判定活動をした時、道路は倒壊した建物で通行止めになり、倒壊した建物も多くその被災の凄まじさを痛感し、まさに眼を覆うばかりでした。

◇東京タワーの耐震レトロフィット/塚本貴一(日本電波塔株式会社)、山野祐司・國津博昭・樫本信隆(株式会社日建設計)、西野啓介(株式会社竹中工務店)(7ページ)

 東京タワーは昭和33年に完成した高さ333mの自立鉄塔であり、関東100km圏に地上アナログテレビ放送波を送信する総合電波塔として建設された。以来、今日に至るまで60年近くの間、東京のシンボルとして親しまれている。

◇新宿三井ビルディングの耐震改修/黒川泰嗣(鹿島建設株式会社建築設計本部構造設計統括グループ)(6ページ)

 2011年の東北地方太平洋沖地震の際には首都圏の超高層ビルが長時間に渡り揺れ続け、主要構造体には大きな損傷はなかったが、天井や間仕切壁などの非構造部材の被害や居住者の恐怖心の問題がクローズアップされた。長周期地震のような共振的振動を抑えるには減衰付加が効果的であり、高性能な制震装置を用いた制震改修に期待が高まっている。

◇FORTUNE GARDEN KYOTO 基礎・地中梁増設による耐震性の向上 歴史的建築物「島津製作所旧本社」の保存再生/下岡浩・松岡篤・森望(株式会社ノム建築設計室)、福井弘司(株式会社福井建築設計事務所)(6ページ)

本建築物は、株式会社島津製作所が所有する島津製作所旧本社である。

竣工は昭和2年(1927年)。関西建築界の父といわれる武田五一が設計監修を務め、武田の建築部門実務担当の1人である荒川義夫が主軸となり設計された近代建築である。京都市の中心部に位置し、本建築物の南側には同じく武田が設計した京都市役所が建ち並ぶ。

◇京都大学百周年時計台記念館の耐震改修/橋本健(清水建設㈱関西支店)(6ページ)

 通称「時計台」と呼ばれていた旧京都大学本部本館は1925(大正14)年、建築学科初代教授・武田五一によって設計され、ほかに京都大学建築部長の永瀬狂三も設計や建設にかかわっている。この建物は法・経済学部の講義棟、本部事務棟として、大正末から昭和、平成へと長きにわたって京都大学キャンパスの象徴的な存在となっており、完成以来70有余年を経て老朽化も進んでいたところ、ちょうど京都大学百周年記念事業と重なる時期になり、学内の多くの議論を踏まえて、1994年1月に「百周年時計台記念館」として整備されることが決定された。その後、数年にわたる検討を経て基本構想の具体化が進み、京都大学施設部を中心に基本設計がまとめられ、1999年4月工事の実施が決定された。

◇富山県民会館リニューアル~60年代のランドマークを未来につなぐ~/本安真紀((株)福見建築設計事務所)

 富山県民会館が開館した昭和39年は、東京オリンピック、東海道新幹線開業の年で、富山県でも富山高岡地区新産業都市の建設が始まった活気あふれる年であった。その時代を象徴するように県民会館は、富山県の文化と産業振興の中心として、ホール、美術館、産業展示室、会議室などを併せもった先駆的な総合会館として発足した。起工式で当時の吉田知事は、「平和で豊かな富山県のシンボルとして、産業と文化の殿堂としたい」と発言し、他に類を見ない県民会館の完成に大いなる期待を込めた。それは“夢の殿堂”という見出しで当時の地元紙に大きく掲載されている。

◇鎌倉市景観重要建築物「湯浅物産館」耐震改修リノベーション/久下修(企画・設計・施工:清興建設株式会社)、福田亮一・高野淳一・菅原浩太(撮影)(設計協力:(一社)神奈川県建築士事務所協会鎌倉支部)

この建物は「湯浅商店」の商号で、明治30年に湯浅新三郎・リキ夫妻により貝細工の製造加工や卸売の店として創業されました。

関東大震災により焼失しましたが、大正14年に今の建物とは異なる「第1回店舗」を仮店舗のような形で新築しており、当時の貝細工作業の様子が「昭和初年」と裏書された写真などに残っています。

◇コクヨ本社本館ビルの耐震改修~外観デザインを一新し、付加価値を創出する外殻補強~/濱田明俊・池田英美(株)竹中工務店 技術研究所、大阪本店設計部)

 コクヨ本社本館ビルは、文具やオフィス家具、事務機器を製造・販売するコクヨ株式会社の本社ビルである。創業は1905年に遡り、1936年に現在の地に本社を移転、1969年に現在の本社ビルが建設された。その後、1984年に増築が行われ、新耐震基準で設計された増築棟とはエキスパンションジョイントを介して接続されている。竣工後47年が経った今なお、本社ビルとしての機能および顔としての役割を担い、社員に長く愛されてきた建物である。

 

 

*情報交流制度にお申し込みいただいた方には、当協会の月刊誌である「建築防災」をお配りしています。

 

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その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。

一般財団法人 日本建築防災協会 建築防災編集係

東京都港区虎ノ門2-3-20 虎ノ門YHKビル

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