特集「最近の大・中規模木造建築物 ~防耐火を中心として~ その1」

No. 456 2016/1月号

特集「最近の大・中規模木造建築物 ~防耐火を中心として~ その1」

※執筆者名の後の( )内の数字はその記事のページ数を表す。

◆防災随想

◇カトマンズ訪問記/中埜良昭 (東京大学生産技術研究所)(1ページ)

◆特集「最近の大・中規模木造建築物 ~防耐火を中心として~ その1」

◇建築事例から考える木質耐火建築物の展開/長谷見雄二(早稲田大学理工学術院 教授) (1ページ)

 この2,3年、木造に関する従来の通念では想像し難かった大規模施設、中層ビル等が、木造で建てられるようになった。2000年に施行された建築基準法性能規定化以来の木質耐火構造の技術開発、大規模施設の木造化への設計者の取り組みと社会的関心、そして公共建築物等木材利用促進法等の木造振興策による意欲的な大規模木造の取り組みの支援がつながって、大きな歯車が動き始めたということだろう。

◇高知駅における木造化の取り組み/神林哲也(内藤廣建築設計事務所)、 土屋伸一(明野設備研究所) (10ページ)

 高知県の森林面積は県土の8割以上を占め、その面積率は全国屈指である。そんな「森林県」にふさわしい木造の大架構を持つ駅舎が完成した。県産杉を使用した大断面集成材の木造アーチと野地板によって構成された国内でも類を見ない木造大架構の駅空間である。

◇国見町庁舎/朴明浩・青木豊実((株)ジェイアール東日本建築設計事務所 第5設計部) (6ページ)

 東日本大震災で大破し使用不可能となった庁舎の新築計画である。現地を訪れた時、震災の爪あとが生々しく残る庁舎を見て衝撃を受けると同時に、先進技術で構成された建築を提案すること以上に、震災復興のシンボルとして町民の誇りとなるような建築を提案しなければならないと感じた。それは、単にデザインされたランドマークとしての建築ではなく、町職員と町民が垣根を作らずに同じ目的(震災復興)に向かって力を合わせていける物理的・精神的な拠所となる建築、地元の産業が建設に積極的に関わることができる建築となるべきだと考えた。

◇国内最大級の木造耐火建築物「花畑あすか苑」/中田利夫・佐藤憲一(株式会社メドックス) 、三宅辰哉・堀健太郎・岡﨑友也(株式会社日本システム設計) (8ページ)

 1955年に閣議決定された「木材資源利用合理化方策」により木材利用が抑制され、都市や建築物の不燃化が促進された。さらに1959年の伊勢湾台風の甚大な被害を受けて、同年、日本建築学会は「建築防災に関する決議」の中で「防火、耐風水害のための木造禁止」という提起をした。木造建築全般の禁止を求めたものではないが、このような流れの中で、大規模・中規模・中高層建築物や重要建築物の構造形式は、鉄筋コンクリート造あるいは鉄骨造が主流となっていった。しかし、地球温暖化や木材利用促進など昨今の環境問題の議論の中、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(平成22年10月1日施行)が成立したことで、流れは都市の木造化へと大きく変わったといえる。

◇木造密集市街地とツーバイフォー耐火建て起こし工法/泉潤一(三井ホーム㈱技術研究所)(10ページ)

 枠組壁工法(以下、ツーバイフォー工法)が我が国で初めて木質耐火構造認定を取得して今年で11年経過し、その間数多くの建築実績を積み重ねて来た。ツーバイフォー工法は合理化された工法であると共に、現場で容易に施工できる点が評価されて普及した工法であり様々な敷地条件に適応しやすいという特長を持っている。現在都市部には建て替えが進まない木造密集市街地が相当な面積で残されており都市防災の観点から社会的課題となっている。三井ホームでは敷地条件に柔軟に対応して施工できるツーバイフォー工法の特徴を活かし耐火建て起こし工法を開発した。耐火建て起こし工法とは、クレーン等の建設機械が進入できない地域での施工を容易にするため、建て起し装置を用いて、敷地境界に近接して耐火外壁を建て建物の有効床面積を最大限に確保する技術である。施工環境の厳しいこのような地域での個別建て替えを容易にすることで、このような都市防災の課題解決に寄与することができる。本号ではツーバイフォー工法による耐火建て起こし工法と、この工法によって実現した銀座の5階建て店舗併用共同住宅等を紹介したい。

 

 

*情報交流制度にお申し込みいただいた方には、当協会の月刊誌である「建築防災」をお配りしています。

 

———————————————————————————————

 

その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。

一般財団法人 日本建築防災協会 建築防災編集係

東京都港区虎ノ門2-3-20 虎ノ門YHKビル

電話:03-5512-6453 FAX:03-5512-6455

mail:kenbokyo@kenchiku-bosai.or.jp

バックナンバー