特集「特集 震災建築物の被災度区分判定基準と復旧技術指針改訂」

No. 455 2015/12月号
特集「特集 震災建築物の被災度区分判定基準と復旧技術指針改訂」
 
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◆防災随想

◇地震と津波を受けた建物の耐火性能/近藤史朗(清水建設株式会社)(1ページ)

◆特集「特集 震災建築物の被災度区分判定基準と復旧技術指針改訂」

◇被災度区分判定基準と復旧技術指針の改訂の経緯と概要/村上雅也(千葉大学名誉教授)(4ページ)

地震被害を受けた建築物等に対する被災状況の判定には、図1に示すように、第1段階として余震等に対する建築物の倒壊危険性やその付帯物の落下・転倒危険性を地震直後の時期に判定し、当該建築物の使用者やその付近を通行する第三者に対する危険を回避する「応急危険度判定」、および、第2段階としてやや混乱の落ち着いた時期に、復旧に向けて被災建築物の被災度の把握と、その結果に基づく復旧の要否とその程度を判定する「被災度区分判定」がある。これらは、いずれも被災地域の早期回復に資することを目的としている。

◇震災建築物の被災度区分判定-鉄筋および鉄骨鉄筋コンクリート造-/前田匡樹(東北大学大学院都市・建築学専攻 教授)(9ページ)

日本建築防災協会の「震災建築物の被災度区分判定基準及び復旧技術指針」は、1991年に初版が刊行され、1995年阪神淡路大震災による被災建物の被災度判定や解体・撤去、復旧の判断、さらには、復旧設計に本格的に活用された。そこで得られた知見に基づいて、2001年に改訂が行われた。その後も、2003年宮城県北部連続地震や2004年新潟県中越地震から2011年東北地方太平洋沖地震に至るまでの被害地震において多数の鉄筋コンクリート造建築物に適用されてきた。2011年東日本大震災では、現在の基準では想定としていなかった津波被害や、梁降伏型の全体降伏機構を形成する建物、耐震補強を施した建物の被害、あるいは、RC造2次壁の被害などの被害も目立つようになってきた。その他、記念の研究成果も踏まえた改訂作業が現在行われており、近く刊行される予定となっている。筆者は、改訂委員会・RC造部会の部会長として、改訂作業を行ってきた。そこで、本稿では、被災度区分判定の概要や今回の改訂の要点と背景について紹介をする。

◇構造別の被災度区分判定 鉄骨造/山田哲(東京工業大学 教授)(11ページ)

平成23年(2011年)に発生した東日本大震災では、新耐震基準で建てられた建物や耐震診断で新耐震基準同等の耐震性能があると判定された建物、耐震補強が施された建物を含め、多くの建物が被災した。その中で、鉄骨造の建物に関しては、東日本全域にわたる鉄骨造文教施設の被災度区分判定などが体系的に行われるなど、地震被害事例・被災度区分判定事例に関する知見・経験が蓄積した。また、平成13年(2001年)の旧版刊行後も鉄骨造建物に関わる耐震研究は進められてきたことから、最新の知見を反映するために、内容の大幅な見直しを行った。改訂にあたっては、前述した東日本全域にわたる鉄骨造文教施設の被災度区分判定に中心的に関わった若手研究者にWG委員として参画してもらい、実際に使って不具合を感じた点やわかりにくかった点の改善につとめた。

◇構造別の被災度区分判定 木造/腰原幹雄(東京大学生産技術研究所 教授)(8ページ)

木造住宅の耐震性能評価としては、新築の木造住宅用に建築基準法に示されるいわゆる「壁量計算」(2000年改正)、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に示される「壁量計算」(2009年)、既存の木造住宅用に「2012年改訂版木造住宅の耐震診断と補強方法」(2012年、日本建築防災協会)、大地震により被災した建築物の危険性を判定することにより、人命にかかわる二次的災害を防止することを目的とする「被災建築物応急危険度判定マニュアル」(1998年、日本建築防災協会、全国被災建築物応急危険度判定協議会)、そして今回改訂された「震災建築物の被災度区分判定基準及び復旧技術指針」(2001年、日本建築防災協会)がある。それぞれの耐震性能評価は、その目的が異なるために評価結果は異なるが、木造住宅の耐震性能評価に対する考え方は基本的に同じである。それでも、木造住宅の耐震性能に関する研究は日進月歩であり、最新の研究成果を反映して基準が整備されるため出版時期によって差が生じてしまう。現在、2000年の建築基準法改正から2009年の品確法、2012年の耐震診断法と改訂がされてきており、今回の被災度区分判定法の改訂はこれに続くものであり、最新の耐震診断法による耐震性能評価と整合性をとりながら新たな知見を加えたものである。

◆安全のちしき

◇2015年版建築物の構造関係技術基準解説書の改訂概要/五條渉(国立研究開発法人 建築研究所)(4ページ)

今般、「2015年版建築物の構造関係技術基準解説書」が発行された。これは、平成19年施行の建築基準法令の改正に伴い大幅に改訂された2007版の刊行以降、約8年の間に制定・改正された構造関係規定(東日本大震災後に導入された特定天井の脱落防止規定など)の内容とその解説を盛り込むことのほか、建築基準整備促進事業1)の成果や、日本建築学会の規準・指針類の改訂(鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説2010など)を含む最近の知見を踏まえたものとすることなどを目的に行ったものである。また、解説の内容については、わかりやすさの改善とともに、記述内容の法令上の扱い(審査対象か否かなど)をできるだけ明確にするための表現の見直しなども行っている。

◆行政ニュース

◇高層の建築物の出火防止対策等の運用基準/東京消防庁 予防課(3ページ)

東京消防庁では、約30年前から、非常用エレベーター及び特別避難階段が法令上必要とされる、おおむね15階建以上の建築物(以下「高層の建築物」という。)に対する出火防止対策をお願いしてきました。これは、火気使用設備器具を使用する場所の制限や、都市ガスの使用抑制などにより、高層の建築物の防火安全性の向上を図るものです。

 

 

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