特集「平成26年度 耐震改修優秀建築・貢献者表彰」

No. 446 2015/3月号
特集「平成26年度 耐震改修優秀建築・貢献者表彰」
 
※執筆者名の後の( )内の数字はその記事のページ数を表す。
 

◆防災随想

◇自然災害と人為的な災害/岡本隆之祐((株)山下設計 顧問)(1ページ)

◆特集「平成26年度 耐震改修優秀建築・貢献者表彰」

◇平成26年度耐震改修優秀建築・貢献者表彰 表彰式/一般財団法人日本建築防災協会(4ページ)

受賞されました皆様には心よりお祝いを申し上げます。

本会では平成27年2月17日(火)に平成26年度耐震改修優秀建築・貢献者表彰の表彰式を開催し、審査結果を発表しました。

◇耐震改修優秀建築・貢献者表彰について/岡田恒男(一般財団法人日本建築防災協会理事長)(1ページ)

一般財団法人日本建築防災協会では既存建築物の耐震化のより一層の促進に資するため、耐震改修優秀建築・貢献者表彰制度を創設し、今年度で4回目の表彰式を迎えることとなりました。この制度は、耐震改修を実施した既存建築物のうち、耐震性、防災・安全性、意匠等に特に優れた建築物およびその耐震改修に主体的に関わった関係者を表彰する耐震改修優秀建築表彰と、耐震改修の促進、耐震改修技術の発展等に顕著な貢献をされた方を表彰する貢献者表彰から成り立っています。耐震改修優秀建築および貢献者の内で特に優れた者には国土交通大臣賞、あるいは、日本建築防災協会理事長賞が授与されることとなっています。

◇耐震改修優秀建築・貢献者表彰審査にあたって/和田 章(耐震改修優秀建築・貢献者表彰審査委員会委員長)(6ページ)

1995年阪神淡路大震災から20年目の年が明けた。建築防災協会の会誌では特集が組まれ、多くの関係者が当時を振り返り、重要な指摘をされている。今年の1月17日の前後には、新聞やテレビでも多くの特集記事や番組が組まれ報道され、あらためて阪神淡路大震災の大きさに思い知らされた。建築構造の専門家としてハードの災害に注目しがちであるが、人々の心やコミュニティなどのソフトの面が受けた長く続く災害の甚大さを忘れてはならない。

◇耐震改修優秀建築・貢献者賞『賞牌』デザインについて/三井所清典(芝浦工業大学名誉教授)(1ページ)

耐震補強は、さまざまな条件を持つ既存の建物を安全な建物として安定させる技術である。安定した建物は安定した形によって構成されると想定し、「建築を安定させる形」、「建築を構成する要素の形」として○△□の形が浮上した。建築、特に日本建築の形の基本は四角であり、たまに三角と丸が登場する。建築はこれら2次元の要素を組合せて3次元の空間をつくる。また○△□の形には建築を超えた普遍性がありなじみ深い。丸、三角、四角の要素を美しい形に納めるために、内接、外接、分割などのスケッチをしているうちに黄金比に納めることに思い至った。

・国土交通大臣賞・耐震改修貢献者賞

◇国土交通大臣賞を受賞して/西川孝夫(首都大学東京名誉教授)(1ページ)

この度は日本建築防災協会の耐震改修貢献者表彰において国土交通大臣賞を戴き、誠に光栄に存じます。御推挙頂いた方々に深く御礼申し上げます。1997年から山梨県の耐震判定委員会委員長として、700棟を超える建物(主に学校建築)の耐震判定業務に関わらせて頂きました。判定委員会の先生方、建築事務所協会の業務委員の方々の御協力があってのことです。おかげで山梨県内の学校建築の殆どがその診断を終わり、耐震性に問題のあるものは順次耐震補強が行われています。

・日本建築防災協会理事長賞・耐震改修貢献者賞

◇日本建築防災協会理事長賞を受賞して/太田 勤((株)堀江建築工学研究所 取締役所長)(1ページ)

此度、大変名誉ある日本建築防災協会理事長賞を授与して頂き、感激しております。受賞に際して原稿をとのことですので、日本建築防災協会との係わりを主に纏めてみようかと思い、拙文ではありますが、筆を執った次第です。

・国土交通大臣賞・耐震改修優秀建築賞 耐震改修概要

◇伝統の継承・発展を実現するキャンパストータルデザインに基づく耐震改修 神戸海星女子学院中学校・高等学校/芹澤好徳(株式会社 竹中工務店設計部)(8ページ)

本建物は、兵庫県の東側、神戸市灘区に位置する小中高一貫校である。図1のように、教室からは神戸港を望む申し分のない高台に立地している。

完成以来、マリア像を頂いた端整なフォルムは、卒業生をはじめとする多くの学校関係者にとって思い出深い学び舎として受け継がれているとともに、地域のランドマークとしても愛されている。

・日本建築防災協会理事長賞・耐震改修優秀建築賞 耐震改修概要

◇ホテルニューオータニ ザ・メイン~超高層建築物のリニューアル~/原田公明、林 博之((株)日建設計 エンジニアリング部門 構造設計グループ )(7ページ)

ホテルニューオータニ ザ・メイン(写真1)は、1964年の東京オリンピックを迎えるに際し、東京都より訪日客受け入れのための国際ホテルの建設要請を受け、客室1,058室の東洋一の規模を有するホテルとして開業された。設計および施工は大成建設によるもので、高さ60m以上の超高層建築物大臣認定第1号、本格的ガラスカーテンウォール、ユニットバスの採用など、我が国の建築史上初の新技術が多く取り入れられた。17か月という超短工期で完成させるという条件もあり、当時の構造施工技術の粋を集めてつくられた建物であった。当時の資料によれば、大成建設が構造設計を進めるにあたっては、梅村東京大学教授(当時)を始めとする各構造分野の先生方と協同で各種調査実験などを行い、安全性を確認し設計を行った1)。建築業界をあげて取り組んだプロジェクトといっても過言でない建築物である。

◇EKIMISE(エキミセ) 耐震改修~歴史的鉄道ターミナルビルの再構築~/柳澤幹夫(清水建設(株)設計本部)(7ページ)

昭和初期1931年の創建。日光・鬼怒川方面に向かう鉄道路線の、隅田川を渡る悲願の浅草乗り入れに合わせて建設された、関東初の百貨店併設の「駅ビル」である。駅ビルとして当時日本最大級の規模を誇った。設計は、鉄道省の初代建築課長で、南海難波駅等を手掛けた建築家久野節、施工は清水組(当時)によるものである。

・耐震改修優秀建築賞 耐震改修概要

◇中尊寺本堂の耐震改修/榎本浩之((株)大林組設計本部)(5ページ)

中尊寺とは本寺である「中尊寺」と山内17カ院の支院(塔頭、大寺の中にある小院)で構成されている一山寺院であり、寺格は別格大寺、東北大本山の称号を許されている。明治42年(1909)に再建された本堂は、一山の中心となる建物である。

築100年を超える伝統木造建築であるが、平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震において土壁の一部にひび割れが生じており、平泉が世界文化遺産に指定されたことからも構造安全性確保のため、耐震改修を行うこととなった。

◇築80年を超える歴史的建築物のリファイニング「北九州市立 戸畑図書館」/青木 茂(首都大学東京 特任教授 株式会社青木茂建築工房 代表取締役)、金箱温春(工学院大学 特別専任教授 有限会社金箱構造設計事務所 代表取締役)(4ページ)

既存建物は1933年に戸畑市役所として建設されており、1963年に5市の合併により北九州市が発足、その初代本庁舎として利用されていた。その後、小倉北区城内に新庁舎が完成するまでの9年間にわたり利用された。その後は戸畑区役所として長く区民に愛され利用されていたが2007年に新庁舎が完成して機能が移転し、本建物の使われ方が模索されていた。その頃、公園を挟んだ向かい側にある戸畑図書館が手狭となり、老朽化等で再生の検討がされたが、本建物を図書館にコンバージョンして機能を移転することが決定され、計画が進められた。既存建物は地下1階、地上3階、塔屋3階、鉄筋コンクリート造の帝冠様式の歴史的な建造物であり、北九州市民にとって宝ともいえる建築である。長年、役所として使われている間に別棟の増築や議場内部の増床、また倉庫等の増築により建設当時から形が複雑に変更されており、これをどうするかということも大きな課題であった。(写真1)

◇学校法人愛農学園農業高等学校の減築による耐震改修/藤村真喜(野沢正光建築工房)、大島嘉彦(山辺構造設計事務所)(5ページ)

三重県伊賀市にある私立愛農学園農業高等学校創立時に建てられたRC校舎の耐震診断を行い、その結果から当初、これを解体、木造校舎への建て替えを検討していた。これに対し、学校主催のプロポーザルにより選定された設計者である野沢正光建築工房は、学校関係者の思い入れのある校舎を減築という手法を用いて耐震改修し、さらに外断熱改修と太陽熱エネルギー利用設備を新たに導入することで温熱環境の改善を図るという、改修工事による既存校舎の再生計画を提案し了承された。1期工事で減築によるRC校舎の再生、2期工事で減築した面積相当分を木造校舎として増築する2段階で整備した。

◇北海道指定有形文化財「旧金森洋物店」の耐震改修/朴 永周((有)第一構造)(5ページ)

金森洋物店は明治43年、当時の豪商渡邊熊四郎が建設した煉瓦造2階建て洋風建築物であり、建築史上および北海道開拓史上貴重な建物として、昭和38年に北海道有形文化財に指定された。

この建物は、古くから大火の多かった函館市において防火建築普及の一環として建設され、建設後は何度もあった大火に耐え、当時の洋物を扱う店舗として賑わいを見せてきた。昭和43年、土地・建物が函館市に寄贈され、翌年より函館博物館郷土資料館として一般公開され、市民や観光客に親しまれている。

◆行政ニュース

◇病院及び診療所の防火設備に係るフォローアップ調査の状況について/国土交通省住宅局建築指導課建築安全調査室(4ページ)

平成25年10月11日に福岡市の整形外科において火災が発生し、死者10名、負傷者5名が犠牲になる痛ましい惨事となった。

この火災が発生した建築物は、建築確認の届出をせずに増築され、その際、煙感知方式に改修すべき防火戸が温度ヒューズ式のままとなっていることなどが確認されており、少なくとも防火戸が作動しなかったことが被害の拡大につながったと考えられている。

 

 

*情報交流制度にお申し込みいただいた方には、当協会の月刊誌である「建築防災」をお配りしています。

 

———————————————————————————————

 

その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。

一般財団法人 日本建築防災協会 建築防災編集係

東京都港区虎ノ門2-3-20 虎ノ門YHKビル

電話:03-5512-6453 FAX:03-5512-6455

mail:kenbokyo@kenchiku-bosai.or.jp

バックナンバー