特集「建築物各部位の安全性 その1 床」

No.435 2014/4月号

特集「建築物各部位の安全性 その1 床」

 

※執筆者名の後の( )内の数字はその記事のページ数を表す。

 

◆防災随想

二つの大地震での被害調査を通して思うこと(1ページ)

井上芳生

(株)URリンケージ 構造技術部

◆特集「建築物各部位の安全性 その1 床」

◇特集にあたって(1ページ)

横山 裕

東京工業大学大学院理工学研究科建築学専攻

 床は、建築物内の人間が、直接あるいは間接的に絶えず触れている部位である。そのため、床は、その空間の使用者の日常の安全性や快適性を大きく左右する。畳と板の間と土間しかなかった時代は、普段建築に携わっている以外の者でも、それぞれの床がどのようなもので、使っているとどのように変化するか、経験的に理解していた。しかし、現在のように様々な材料,構法の床が出回ってくると、プロである設計者でも、どの床を選択すればよいのか、的確に判断するのは容易ではなくなってくる。そこで必要となるのが、性能の概念の導入である。

◇床のすべり<基礎編>(6ページ)

横山 裕

東京工業大学大学院理工学研究科建築学専攻)

 すべりは、建築物使用者の日常の安全性に最も大きく影響する性能の1つである。そのため、古くから、国内外の多くの研究者が、すべりの評価方法に関する研究に取り組んできた。しかし、使用者がすべると感じる床をすべる床、すべらないと感じる床をすべらない床と的確に表示できる試験機を開発し、かつ安全と感じる床を安全な床、危険と感じる床を危険な床と定量的に評価できる方法を確立した例は、本特集の筆者らの共通の恩師である小野英哲博士(東京工業大学名誉教授,東北工業大学名誉教授)の研究成果以外見あたらない。

◇床のすべり<応用編>(5ページ)

工藤瑠美

奈良女子大学研究院生活環境科学系

 床のすべりを左右する要因は多様であり、床以外の物理的要因についても常に考慮する必要がある。例えば、紳士靴やスリッパなど履物の種類によってすべりは変化する。また、実際床表面にはホコリや土砂、雨水、油、石鹸水など様々なものが常に介在しており、これら介在物によってもすべりは変化する。さらに、床表面のすべりは、上述したような介在物の有無による短期的な変化はもとより、床表面の摩耗による長期的な変化も影響してくる。

◇転倒衝突時のかたさ(5ページ)

三上貴正

東京工業大学大学院情報理工学研究科情報環境学専攻)

 厚生労働省の人口動態調査には「衝突」に関わる不慮の事故として「交通事故」と「転倒・転落」が集計されている。このうち、交通事故に関しては、交通システムの発達などの恩恵により、最近の17年間で、死者数は15,147人(平成7年)から6,414人(平成24年)と半数以下に減少している。一方、転倒・転落事故による死者数は、同期間において5,911人(平成7年)から7,761人(平成24年)と単調増加を続け、平成21年にはついに交通事故による死者数を上回った。

◇床の表面性状、足元の安定性、段差-「すり傷」から「つまずき」まで-(6ページ)

高橋宏樹

ものつくり大学技能工芸学部建設学科

 我が国では室内では素足になることが多いが、触れるのは足の裏だけではなく、床の上に寝転がれば、手のひらや肘、腰、膝などを直接床に着くことになる。その際に、表面がざらざらだったりかたかったりするとすり傷や痛みが生じることもある。このような床のあらさやかたさは多くの人々、とりわけ高齢者や身体が不自由な人々、乳幼児などが利用する場合により重要となる。

◇スポーツ施設の床のかたさ(5ページ)

高橋宏樹

ものつくり大学技能工芸学部建設学科)

 人々の健康志向は食べ物から家電まで様々なものにおよんでいるが、大きな柱のひとつは自ら体を動かすこと、すなわち運動、スポーツである。生涯スポーツ、という言葉も広まってきており、老若男女を問わず多くの人々がスポーツを楽しんでいる。一方、スポーツには激しい動作を伴うことが多いので、思わぬけがをすることがある。他の人とぶつかったり無理な動きをしたりしてけがに至る場合はまだしも、床が不適切であったために疲労が蓄積したり不自然な動作を続けたりしてけがに至る様な場合は、建築物をつくる立場の者であれば誰もが防ぎたいと考えるであろう。

◇フリーアクセスフロアの耐震性(3ページ)

横山 裕

東京工業大学大学院理工学研究科建築学専攻

 近年、オフィスなどの床では、OA機器の普及などにともない、フリーアクセスフロアが当たり前のように用いられている。日常だけでなく緊急避難時も含めた使用者の安全性確保や、電気、通信配線などの管理、保護、レイアウト変更への対応性、さらには見た目のスッキリさなどの観点から、今やオフィスになくてはならない存在となったフリーアクセスフロアであるが、その歴史は、建築的なスパンでみると、決して長いものではない。どちらかというと、未だ発展途上の段階にある技術と位置づけることができる。だからこそ、種々のフリーアクセスフロアの有する優れた点、あるいは注意しなければならない点を、性能を軸に整理しておく必要がある。

 

 

*情報交流制度にお申し込みいただいた方には、当協会の月刊誌である「建築防災」をお配りしています。

 

———————————————————————————————

 

その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。

一般財団法人 日本建築防災協会 建築防災編集係

東京都港区虎ノ門2-3-20 虎ノ門YHKビル

電話:03-5512-6453 FAX:03-5512-6455

mail:kenbokyo@kenchiku-bosai.or.jp

バックナンバー