特集「平成25年度 耐震改修優秀建築・貢献者表彰」

No.434 2014/3月号

特集「平成25年度 耐震改修優秀建築・貢献者表彰」

 

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◆防災随想

◇防災分野にもグローバル化を(1ページ)

福井 潔

株式会社 日建設計 設計監理技術センター防災計画室長 日本防火技術者協会理事長

◆特集「平成25年度 耐震改修優秀建築・貢献者表彰」

◇平成25年度耐震改修優秀建築・貢献者表彰 表彰式(4ページ)

池田博文

一般財団法人日本建築防災協会業務部

受賞されました皆様には心よりお祝いを申し上げます。
本会では平成26年2月18日(火)に平成25年度耐震改修優秀建築・貢献者表彰の表彰式を開催し、審査結果を発表しました。
◇耐震改修優秀建築・貢献者表彰について(1ページ)

岡田恒男

一般財団法人日本建築防災協会理事長

 一般財団法人日本建築防災協会では既存建築物の耐震化のより一層の促進に資するため、耐震改修優秀建築・貢献者表彰制度を創設し今年度で3回目の表彰式を迎えることとなりました。この制度は、耐震改修を実施した既存建築物のうち、耐震性、防災・安全性、意匠等に特に優れた建築物およびその耐震改修に主体的に関わった関係者を表彰する耐震改修優秀建築表彰と、耐震改修の促進及び耐震改修技術の発展等に顕著な貢献をされた方を表彰する貢献者表彰から成り立っています。耐震改修優秀建築および貢献者の内で特に優れた者には国土交通大臣賞、あるいは、日本建築防災協会理事長賞も授与されることとなっています。

◇耐震改修優秀建築・貢献者表彰審査にあたって(5ページ)

和田 章

耐震改修優秀建築・貢献者表彰審査委員会委員長

 建築を建てるためには大きな資金が必要であり、この限られた予算や建主からの多くの要求、建設敷地および周辺の環境条件、設計時の法律、学会・協会などの規準を参考に、その時代の知見、技術、材料などに支えられて、新しい建築は設計され施工されていく。このとき、その時代の条件を最低限で満たそうとして設計された建築物はその後の時の変化に対応できず、取り壊されてしまうことが多い。これに対し、遠い将来をみすえて冗長性をもたせた建築物は時の変化に対応できる。さらに重要なことは、構造的・耐震的な性能をそれぞれの時代に合わせ向上させるだけでなく、時の変化に合わせて機能を対応させ人々に使いやすく、内部空間・外観など全てについて人の手を入れ、美しく適切に改修され続けて、建築は長く人々に慕われ長生きできる。

◇耐震改修優秀建築・貢献者賞『賞牌』デザインについて(1ページ)

三井所清典

芝浦工業大学名誉教授

 耐震補強は、さまざまな条件を持つ既存の建物を安全な建物として安定させる技術である。安定した建物は安定した形によって構成されると想定し、「建築を安定させる形」、「建築を構成する要素の形」として○△□の形が浮上した。建築、特に日本建築の形の基本は四角であり、たまに三角と丸が登場する。建築はこれら2次元の要素を組合せて3次元の空間をつくる。また○△□の形には建築を超えた普遍性がありなじみ深い。丸、三角、四角の要素を美しい形に納めるために、内接、外接、分割などのスケッチをしているうちに黄金比に納めることに思い至った。そして黄金比と関連する1,1,2,3,5,8というフィボナッチの数列と、その比を辺の長とする正方形を組合せた図を思い出した。形の組合せには柱と梁の軸組、ブレース、面剛性、免震、制震等の補強技術を重ねて象徴したい。また耐震技術は日本の誇りであり、日本を暗示する意匠としてわが国の伝統の紋様である格子紋、市松紋、鱗紋などを選びだした。こうして賞牌デザインを構想する材料が揃い、それらの要素を構成し、一体のものとして総合化する作業に入った。このプロセスは建築設計とよく似ている。二次元のコンポジションの検討をしながら面の凹凸、線の太さと深さ、表面のテクスチャーなど三次元的要素を構想する。製造関係者から鋳造における製作技術を聞き、面や形の製作限界、すなわち最小の大きさ、形の彫り込みのエッジの勾配や深さ、線の太さやつながり、表面のテクスチャーや色などの具体的手法を理解し、ここに賞牌が完成した。

・国土交通大臣賞 耐震改修貢献者賞
◇国土交通大臣賞を受賞して(1ページ)

柴田明德

東北大学名誉教授

 この度は日本建築防災協会の耐震改修貢献者表彰において国土交通大臣賞を戴き、誠に光栄に存じます。私は長い間、東北大学で地震工学の基礎的な研究及び教育に携わってきた者であり、この度の受賞を大変面映ゆく思っています。ご推挙頂いた方々に厚く御礼申し上げます。

・日本建築防災協会理事長賞 耐震改修貢献者賞

◇耐震改修優秀建築・貢献者表彰 理事長賞を受賞して(1ページ)

中田愼介

高知工科大学

 私の建築物耐震診断および耐震補強に対する作業は昭和50年代の建築研究所時代から始まったのだと思う。耐震診断は昭和56年の新耐震設計法が出来上がるだいぶ前の昭和40年代から岡田先生、村上雅也先生が中心にやっておられたのだと思う。その後茨城県の学校建築耐震診断が始まり、建築研究所スタッフが中心になり、3グループに分かれて一日に100件近くの審査をしたこともある。その後大阪府の膨大な数の評定にも携わった。1995年1月17日の兵庫県南部地震で全国の構造技術者の参入を得て神戸市の54万棟の建物被害調査を建研がまとめさせていただいた。私は何もしなかったが、当時の兵庫県の地震調査の建研での最高責任者に私の名前があるのに驚いている。この後学会でその中身につき診断も沢山行われ、Is値の重要さを改めて知ったと同時に、地盤増幅係数の概念の重要性も感じた。

・国土交通大臣賞・耐震改修優秀建築賞 耐震改修概要

◇東京駅丸の内駅舎の免震レトロフィット(5ページ)

蓮田常雄

(株)東京建築研究所

 日本における本格的レンガ造建築の歴史は、明治初期に外国人技術者たちによってスタートした。特にイギリス人建築家コンドルが設計した建物におけるデザイン・技術は、彼の教えを受けた日本人建築家達に受け継がれ発展していくが、関東大震災の被害を教訓としてRC造が一般的になるにつれ、レンガ造は徐々にわが国から姿を消していった。

・日本建築防災協会理事長賞・耐震改修優秀建築賞  耐震改修概要

◇社会福祉法人カリタスの園小百合の寮―耐震補強とユニット化リフォーム改修―(7ページ)

三木 哲、小林瑞恵

(有)共同設計 五月社一級建築士事務所

児童養護施設とは?

 児童養護施設とは、児童福祉法により定める児童福祉施設の一つであり、2歳から18歳まで児童虐待や親による育児放棄、貧困などの理由で親の養育が難しいと判断された子供たちが生活している家である。全国には約570施設あり、約3万人が生活している。(2008年現在)

 児童養護施設の運営形態は「大舎制」「中舎制」「小舎制」「グループホーム」などがあり、他に「ショートステイ」「トワイライトケア」もある。

◇千葉県農業会館本館棟の耐震改修(5ページ)

豊田祥之

大成建設(株)設計本部

 1967年に竣工した千葉県農業会館本館棟は、鉄筋コンクリート造6階建ての事務所ビルである。各階庇により水平ラインが強調された美しい外観と開放的で明るい内部空間が特徴的な建物であった(写真1,2,3,4)。一方、旧耐震基準で設計された本建物は耐力が低く、耐震診断の結果「地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が高い」と判定された。本報では、2011年11月に耐震評定を取得、2012年10月に工事が完了した耐震改修の計画概要と本工事で採用した新しい耐震改修技術「グリッドフレーム」と「T.G-Wall」を紹介する。

・耐震改修優秀建築賞 耐震改修概要

◇愛知県庁本庁舎の免震改修-歴史的建造物を防災拠点に改修する-(6ページ)

西澤崇雄

(株)日建設計構造設計部門

 現在の愛知県庁本庁舎建物が完成したのは昭和13年で築75年の建物である。名古屋城と調和した日本的な屋根を持つ特徴的な帝冠様式の意匠は、隣接して同時期に建設された名古屋市本庁舎とともに日本を代表する建物である。建設時期が、日本の大陸進出の時代と重なることから、帝冠様式の意匠は、日本の伝統を建築にも反映させる風潮の高まりが背景にあったとされている。設計は当時の県営繕課の課員によるが、外観の発想は庁舎建設の諮問を受けた委員によるものであった。当時の県の庁舎としては異例といえる大きな庁舎で、建物の平面は約

90m×80m、高さ約41m、延床面積28,314m2である。平面は中庭をロの字に取り囲む事務建物の中央に議場が配置された日の字型プランを有している。内装では特に貴賓室、知事室、議場等で大理石やチーク材による豪華で文化財的価値の高い内装が施され往時の原型をとどめている。施工は戸田組(現戸田建設)が担当している。

◇大和文華館 耐震改修(6ページ)

田中栄次、岩垂 誠

(株)大林組・大阪本店 構造設計部、建築設計部

 大和文華館は、奈良市学園前の閑静な住宅街に位置し、昭和35年に近畿日本鉄道(株)の創立50周年を記念して開館した美術館である。

 近鉄の第五代社長の種田虎雄は、京都・奈良・伊勢といった歴史ある地域の鉄道会社として、日本美術の素晴らしさを世界に向けて発信できる施設を沿線につくることを望んでおり、構想を実現するために戦後まもなく財団法人を設立し、世界的な美術史家の矢代幸雄を初代館長に任命して施設の運営から作品の選択・収集までの全ての計画を一任した。

◇早稲田大学2号館の耐震改修(6ページ)

藤村太史郎

大成建設株式会社

 本プロジェクトは早稲田大学2号館で実施された耐震改修工事である。この建物は 大正14年(1925年)に「早稲田大学図書館」として竣工した。(写真2)その後の改修で、従来の図書館機能に大隈記念室・會津八一記念博物館といった新機能が加わり、現在は早稲田大学2号館に名称が変わっている。(写真3)今回実施された耐震改修は、歴史的価値を損なわない方法で、かつ建物を継続使用しながら補強範囲の工事を行った耐震補強である。(写真1)

◇製粉ミュージアム本館 曳家工法による木造基礎免震レトロフィット(5ページ)

貞広 修

清水建設株式会社設計本部

 日清製粉グループは、明治33年(1900年)に館林市代官町で館林製粉として創業し、同社はその後明治41年に横浜の日清製粉株式会社を合併、その後事業の拡大を経て今日に至っている。

 平成24年に日清製粉の企業文化施設として製粉をテーマにした『製粉ミュージアム』が創業地である館林市にオープンした。日清製粉グループの110年の歴史と伝統を紹介する本館(明治43年改築 木造2階建 築100年)では、日本で初めての曳家工法を併用した免震レトロフィット技術により歴史的価値が有る建物の内外観をそのまま保存した。

 

 

*情報交流制度にお申し込みいただいた方には、当協会の月刊誌である「建築防災」をお配りしています。

 

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その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。

一般財団法人 日本建築防災協会 建築防災編集係

東京都港区虎ノ門2-3-20 虎ノ門YHKビル

電話:03-5512-6453 FAX:03-5512-6455

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