特集「阪神・淡路大震災から20年 その1 どのような震災であったか」

No. 443 2014/12月号
特集「阪神・淡路大震災から20年 その1 どのような震災であったか」

 

※執筆者名の後の( )内の数字はその記事のページ数を表す。

 

◆防災随想

構造技術者に求められるもの(1ページ)

石川勇治

(株)山下設計 技術設計部門

◆特集「阪神・淡路大震災から20年 その1 どのような震災であったか

◇「阪神・淡路大震災から20年」の特集にあたって(1ページ)

坂本 功

東京大学名誉教授 「建築防災」編集委員会委員長

 来年(2015年)1月17日は、阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震が発生してから、20年目である。そこで、本「建築防災」誌では、この地震と震災に関する記事を、今回の12月号から、2015年1月号、2月号の3回にわたって特集することにした。ちなみに、この地震と震災に関しては、これまでも5年目ごとに次のような特集をしている。

◇阪神・淡路大震災を引き起こした地震(5ページ)

纐纈一起

東京大学地震研究所

 NHK大阪がやはり阪神・淡路大震災20周年の番組を作られるとのことで、すでに二度取材を受けました。9月上旬にあった最初の取材で、大阪から来たディレクタ氏が、10周年直前の2005年1月8日に私が、東大教養学部の大教室、900番教室で行った講演の要約1)を見せてくれました。実は私自身はこの講演をしたことをすっかり忘れていましたが、内容を見てみると自分で言うのもなんですが、なかなか良くできているので、この記事もそれを基に書かせていただくことにします。なお、この講演は、この年から始まった東大地震研の特別公開講座の中で行われました。また、講演内容は岩波書店の雑誌「科学」に書いた二つの論文2、3)によっています。

◇地震被害概要と建物被害の全体像(7ページ)

加藤博人

独立行政法人建築研究所

 阪神・淡路大震災では兵庫県、特に南部の阪神地区や淡路島に甚大な被害が発生し、現代日本の大都市が初めて経験する都市災害であった。阪神高速道路の橋脚の倒壊や同時多発的に各所で発生した大規模火災、港湾地域や人工島で発生した液状化現象などの衝撃的な映像は、震災からほぼ20年を経過した今でもはっきりと記憶に残っている(写真1、2)。

◇鉄筋コンクリート造建物の被害の特徴(6ページ)

大野義照

大阪大学名誉教授

 兵庫県南部地震では鉄筋コンクリート造建物も大きな被害を受けた。日本建築学会初動調査で調査された大破・倒壊した建物棟数は610棟である。ここでは鉄筋コンクリート造建物の被害の特徴、および建設年代と被害の関係、材料強度に関する調査結果を紹介し、その後の構造設計について述べる。

◇兵庫県南部地震における鉄骨造建物被害を顧みて(6ページ)

中島正愛

京都大学防災研究所

多田元英

大阪大学大学院工学研究科

 建築防災編集部から、1995年兵庫県南部地震における鉄骨被害の様相を、20年を経た今もう一度思い返す記事が欲しいとの依頼を受けた。ご承知のように、わが国は鉄骨造建物が多用される世界でも珍しい国で、年間着工床面積においても、長年にわたって木造に続く第二位にある。ただ過去数十年の歴史を振り返ると、例えば1960年新潟地震、1968年十勝沖地震、1978年宮城県沖地震等、多くの建物に被害をもたらした地震のいずれにおいても、鉄骨造建物は、ブレースの破断など限定的な損傷は見られたものの、多数の建物が甚大な被害を受けることはなかった。ところが1995年兵庫県南部地震においては、鉄骨造建物の被害が続出し、わが国鉄骨造建物の耐震性能が初めて深刻に問われる事態となった。本稿では、1995年兵庫県南部地震を受けて実施された、鉄骨造建物被害に関する初動調査と本格調査の概要を、当時の記憶と記録を参照しながら記述してみたい。

◇木造被害の特徴(8ページ)

大橋好光

東京都市大学 教授

 建設省建築研究所(当時)は、地震後の被害判定の結果を集計した。その報告書によれば、分析対象とした低層(2階以下)建物388,882棟のうち、木造は約77%を占め、また、低層建物の全壊・大破建物46,022棟のうち、木造は約94%を占めるという1)。これを数値に直すと、木造建物は、29万9千棟のうち、4万3千棟、14.5%が全壊・大破したことになる。

◇建築基礎・宅地地盤被害の特徴(7ページ)

二木幹夫

一般財団法人ベターリビング

 兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)においては、基礎構造や地盤に起因した被害が、多くの建築物、住宅あるいは宅地に発生した。基礎構造や地盤被害の発生は、その数の多さばかりではなく、いろいろな形態の被害を示し、その後の教訓として生かされてきた。兵庫県南部地震は、近年に発生した地震としては、地震エネルギィが、M=7.2と海洋型の大規模地震と比較すると大きくはないが、地盤の深部や浅部の地盤、地形の影響を受けた直下型地震としての特異性を有しており、建築基礎については、軟弱地盤上の建築物を中心として、地盤変形の影響を強く受けた状況を示している被害が認められた。

◇阪神・淡路大震災による市街地火災と喚起された課題-大規模地震によって惹き起こされる市街地火災の危険を忘れるな-(7ページ)

関澤 愛

東京理科大学大学院教授

 2015年は、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の20周年にあたる。10年ひと昔といわれるが、すでにふた昔経過したことになる。最近では、講義中に学生たちに阪神・淡路大震災のことを語っても、彼らに直接の記憶はなく何か遠い昔の話を聞いているような表情であるのに気がついてこちらが拍子抜けすることがある。20年という年月は一世代変わることを意味するし、災害の記憶がこのようにして薄れていくことにはやむを得ない面もあろう。しかし、災害経験と教訓の継承の重要性があらためて認識されたのはわずか3年半前の東日本大震災であったはずだ。

◇インフラの被害と対応(7ページ)

高田至郎

神戸大学名誉教授

 1995年阪神・淡路大震災では市民のライフ・サポートシステムとしての都市ライフラインは壊滅的な打撃を被り、日常生活はもちろんのこと、都市機能をも混乱に陥れることとなった.日頃、当然のこととしてその恩恵にあずかっていた電気・ガス・水道・下水・電話の突然の機能停止は、市民がそのありがたさをあらためて認識する機会となった.しかし、ライフラインの停止は、日常生活の破錠のみにとどまらず、ガスの漏洩や消防用水の不足によって、地域住民の生命を奪う深刻な事態を生みだすことになった.地震時のライフラインの機能停止が懸念され、その対策が検討されていたが、その破壊は想像以上に激しく、被災地域のライフライン事業者にとっては痛恨の事態となった.表1.1には兵庫県下における被害状況と被害額を示す。

 

 

*情報交流制度にお申し込みいただいた方には、当協会の月刊誌である「建築防災」をお配りしています。

 

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