特集「2012年改訂版 木造住宅の耐震診断と補強方法」

月刊「建築防災」
No. 416 2012/9月号
特集「2012年改訂版 木造住宅の耐震診断と補強方法」
※執筆者名の後の( )内の数字はその記事のページ数を表す。
◆防災随想
◇志賀マップのこと/西田哲也(秋田県立大学教授)(1ページ)

 
◆特集「2012年改訂版 木造住宅の耐震診断と補強方法」
◇木造住宅の耐震診断法のあゆみ/坂本 功(東京大学名誉教授)(2ページ)

 この「建築防災」誌を出している一般財団法人日本建築防災協会の「木造住宅の耐震診断と補強方法」が、8年ぶりに改訂された。私は、その改訂作業のまとめをした木造住宅等耐震診断法委員会の委員長をつとめた。
 
◇「木造住宅の耐震診断と補強方法」の構成と改訂の考え方/岡田 恒((財)日本住宅木材・技術センター試験研究所 2012年版、原案作成部会 部会長)(6ページ)
 はじめに、2012年版の改訂の趣旨を紹介する。改訂の基本方針は、(1)2004年版において、解説などの曖昧さ、分かり難さがあったが、それをできるだけ解消すること、(2)診断にあたっては、調査を実施するが、その重要性をあらためて強調すること、(3)一般診断における、方法1(=耐力壁の主たる耐力要素とする場合の評価法)での“その他の耐力”の評価方法を見直すこと、(4)耐力要素のデータを充実するとともにその必要な見直しを行うこと、(5)耐震診断法、耐震補強法の適用を非住宅へ拡大すること、(6)低減係数の見直しと不連続による不具合の解消を図ること、ただし(7)これまでの連続性を重視し、大幅な改訂はしないということであった。それぞれについて、2.以下で、詳しく解説する。
 
◇調査内容の明記/佐久間順三((有)設計工房 佐久間)(3ページ)
 信頼性の高い診断を行うためには、まず、現況をしっかり把握しておく必要がある。建物概要、基礎地盤種別、耐震要素仕様、劣化状況、などを正確に調査しなければならない。2012年改訂版では、正しい調査の必要性に基づき具体的な調査方法などを新たに記述している。
 
◇一般診断法の「その他の耐震要素の耐力」の見直し/腰原幹雄(東京大学生産技術研究所)(2ページ)
 一般診断法における「その他の耐震要素の耐力」では、無開口壁以外の垂れ壁・腰壁などの効果を考慮して、標準的な木造住宅を想定して必要耐力の25%として評価する方法1と、伝統的構法の木造住宅を想定して「垂れ壁付き独立柱の耐力」を評価する方法2が用いられてきたが、本改訂において見直しがされた。
 
◇耐力要素のデータの充実と見直し/大橋好光(東京都市大学教授)(2ページ)
 診断で用いる耐力要素の荷重変形関係を整理し、各特性値の充実、見直しを行った。
 「一般診断法」と「精密診断法1」は、いわゆる「耐力壁構造」を中心とした構法を前提としている。ここでいう「耐力壁構造」とは、耐力壁などの耐力を累加することで、建物の階の耐力を求めることができる構造を指している。
 
◇柱頭・柱脚接合部の仕様による耐力低減係数の見直し/中川貴文((独)建築研究所)(2ページ)
 本稿では今回の耐震診断法の改訂において見直しとなった柱頭・柱脚接合部の仕様による耐力低減係数について、見直しの概要と背景について解説を行う。
 
◇ねじれによる低減係数の見直し/荒木康弘((独)建築研究所 構造研究グループ 研究員)(2ページ)
 本稿では、壁配置と床仕様による低減係数の内容と今回の改訂による見直し内容について紹介する。
 
◇劣化による低減係数の見直し/青木謙治((独)森林総合研究所 構造利用研究領域)(2ページ)
 木造建築物の劣化に対する各診断法の基本的な考え方を纏めると、次のようになる。
 
◇非住宅(学校、幼稚園)への利用拡大/五十田 博(信州大学工学部)(2ページ)
 今回の改訂によって住宅レベルよりも大きな規模の木造建築物を診断する方法が記載された。文部科学省の資料によれば、木造の小中学校で耐震性が不足しているか、耐震診断がされていないのは230棟余りとされている。この230棟に加え、非住宅の木造建物として、幼稚園舎や地域の集会場、高校の校舎や体育館などがあげられる。鉄筋コンクリート造や鉄骨造などで診断が必要な建物の数からみれば少なかろうが、非住宅の耐震診断法についての具体的な方法の確立は技術者から要望の多いものであった。これには、大規模な木造の診断をできる技術者の数が鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べ極端に少なく、手法が明記、整理されないことには診断しようがないということも背景にあった、と推察される。
 
◆行政ニュース
◇東京都の緊急輸送道路沿道建築物耐震化条例の概要と現況/東京都都市整備局市街地建築部耐震化推進担当(3ページ)

 東京都は、災害時の救急救命・消火活動、物資の輸送、復旧復興の大動脈となる緊急輸送道路の機能確保の重要性や首都直下地震の切迫性を踏まえ、平成23年3年に「東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例」を制定し、沿道建築物の耐震診断を義務付け、重点的に耐震化を推進しています。今回、条例の概要と現状、耐震化推進の取組等についてお知らせします。
 
 
 

*情報交流制度にお申し込みいただいた方には、当協会の月刊誌である「建築防災」をお配りしています。

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