特集「大都市の地震火災対策」

月刊「建築防災」
No. 385 2010/2月号
特集「大都市の地震火災対策」
 
※執筆者名の後の( )内の数字はその記事のページ数を表す。
 
◆防災随想
◇何から何をどう守るか/濱田信義(濱田防災計画研究室)(1ページ)

 
◆特集「大都市の地震火災対策」
◇大都市の地震火災対策の問題点を考える/室﨑益輝(関西学院総合政策学部)(4ページ)

 東海地震や南海地震さらには首都直下地震など、巨大地震の発生が迫っている。そうした巨大地震が発生した場合、大都市では市街地火災による大規模な被災が懸念される。ところが、国および自治体の巨大地震対策への備えを見ると、必ずしもその大火の危険性に見合った取り組みになっていない。そこでここでは、大都市の地震火災対策の問題点を整理し、その克服の方向を展望することにしたい。
 
◇関東大震災における火災/武村雅之(鹿島建設小堀研究室 プリンシパル・リサーチャー)(8ページ)
 大正12(1923)年9月1日午前11時58分に発生した関東地震は、10万5千人の犠牲者を出すというわが国の自然災害史上、他に類をみない大惨事をもたらした1)。特に地震直後から発生した火災による被害は凄惨を極め、当時の東京市、横浜市を中心に推計9万2千人、実に死者行方不明者の87%の命を奪った。その実体は当時の地震に関する研究の中心的組織であった震災予防調査会による震災予防調査会報告第100号戊「火災編」に詳しく記載されている。本稿では当時の調査結果や最近の研究成果をもとに大火災の一端を紹介する。
 
◇地震火災と消防―大規模地震に対応した自衛消防力確保の必要性―/鈴木恵子(消防庁消防技術政策室)(5ページ)
 消防法はこれまで、一定の利用者がいる事業所について主に火災を対象とした防火管理の義務を定めてきたが、消防法の一部を改正する法律(平成19年6月22日公布、平成21年6月1日に施行)は、東海地震、東南海・南海地震、首都直下地震、宮城県沖地震などの大規模な地震の発生が懸念されることを踏まえ、新たに一定の大規模・高層の建築物について、自衛消防組織の設置と防災管理者の選任及び火災以外の災害に対応した消防計画の作成を義務付けたものである。地震災害やその他の災害に対しても大規模・高層建築物等の自衛消防力の一層の向上が期待されている。
 
◇高層集合住宅における地震火災時の課題/村田明子(清水建設(株)技術研究所)(6ページ)
 耐火造集合住宅の火災では、火元住戸以外に直接被害が及ぶ危険性は低いと専門家の間で認識されているが、都市の集合住宅で地震火災が発生した場合、高層化・大規模化等に伴って、緊急対応の遅れや被害拡大、居住者の混乱が予想される。集合住宅の警報設備は住戸内に伝わりにくく、避難設備は隣接住戸や上下階を通過する前提となっているが、居住者の高齢化・小世帯化に加えて、現在の都市集合住宅では居住者の相互支援は期待しにくいため、緊急時の運用には課題が残る。都市の高層集合住宅では、地震や火災に対する安全や防犯面に目が行きがちであるが、緊急時には居住者の相互支援が不可欠で、それが可能となるような日常的なコミュニティを構築しておく意義は大きいと考える(図1参照)。
 
◇地震時の建築物の火災安全性/成瀬友宏・岩見達也(国土技術政策総合研究所)(6ページ)
 我が国はこれまでに、多くの地震に起因する火災(以下、地震火災という)を経験してきた。地震火災は、しばしば市街地大火へと成長し、地震による被害を上回る被害をもたらしてきたため、地震は、強風と並んで市街地大火発生の主な自然的要因として考えられてきた1)。
 
◇足立区における防災まちづくりについて―住宅市街地総合整備事業(密集住宅市街地整備型)―/足立区役所密集地域整備課(3ページ)
 足立区の防災まちづくり事業の一例として、住宅市街地総合整備事業の密集住宅市街地整備型について述べる。
 
◇密集住宅市街地整備促進事業 品川区戸越1・2丁目における防災まちづくり/中村敏明(品川区防災まちづくり事業部)(4ページ)
 品川区で実施している防災まちづくりの取り組みには、密集住宅市街地整備促進事業をはじめ、都市防災不燃化促進事業、防災生活圏促進事業、避難道路の機能強化事業、耐震診断・改修・シェルターの設置支援など、さまざまなものがあります。(図1)個々の説明は省略させていただきますが、どの事業も建物の不燃化や道路拡幅などにより、避難経路の確保や延焼防止を図るなど、災害時の安全確保のために重要なものばかりです。
 
◇文化遺産を地震火災から守る/土岐憲三(立命館大学教授 歴史都市防災研究センター長)(5ページ)
 阪神淡路大震災が契機となって、文化遺産を地震火災から守ることの必要性と重要性が認識されるようになった。この地震に際して京都の二つの大寺院の消防施設が機能を失った。このことは、京都が内陸地震に襲われれば、多数の寺社が同時多発火災に対して無防備に近い状態になることを示唆している。一方、京都は国宝や重要文化財の人口に対する比率は全国随一である。このような京都盆地の近辺で内陸地震が発生すれば、多数の文化遺産が焼亡するであろう。そして、このまま無策でいれば、後生の日本や世界の人々から軽蔑されるのではないか。
 
 
 

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