特集「被災建築物のその後」

月刊「建築防災」
No.368 2008/9月号
特集「被災建築物のその後」
 
※執筆者名の後の( )内の数字はその記事のページ数を表す
 
◆防災随想
◇優良防火対象物認定表示制度の概要/中村眞一(東京消防庁予防部予防課)(1ページ)

 
◆特集「被災建築物のその後」
◇耐震補強を行った寺院建築物(平成16年新潟県中越地震および平成19年新潟県中越沖地震)/松田昌洋(東洋大学 木と建築で創造する共生社会研究センター)(3ページ)

 平成19年新潟県中越沖地震(以下、中越沖地震)で震度6強を記録した新潟県柏崎市に、平成16年新潟県中越地震(以下、中越地震)にて被災した後に耐震補強を行ったことにより、中越沖地震で大きな被害を免れた木造の寺院がある。本稿では補強前後の建物についての耐震診断を試みることで、耐震補強の効果を検証する。
 
◇財団法人 小千谷総合病院(新潟県中越地震)/小杉勝一((財)小千谷総合病院 用度・施設係長)(5ページ)
 平成16年10月23日 17時56分に発生した新潟県中越地震は震度6強(M6.8)を第一波として19時48分までの約2時間の間に震度5以上の地震が11回、午前0時までの6時間の間に体に感じる地震が111回相次いで襲来した。日本の地震史上稀な出来事であったため、建物は次々と破壊が進み被害が増幅した。病床数287床を有し、昭和43年~平成2年まで建築時期が異なる6つの建物が混在して一体となっている当院では、建物の境界部分での亀裂や敷地内の地盤陥没などの被害が多かった。
 
◇明石市立天文科学館(阪神・淡路大震災)/秋山友昭((株)東京ソイルリサーチ 取締役 構造調査設計事業部長)(4ページ)
 明石市立天文科学館は、東経135度日本標準時子午線の真上に建つ建物であり、日本標準時を刻む、明石市のシンボル的な建物であった。しかし、1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震により塔部分を中心に大きな被害を受けた。地震直後に詳細な調査が行われ、これを基に復旧設計が行われた。復旧工事は1995年12月から行われ、1997年12月に完成した。現在この復旧工事から約11年が経過している。
 
◇被災地の学校施設のその後(阪神・淡路大震災)~安全・安心の確保を目指し~/阿山修司(兵庫県教育委員会事務局 学事課長)(3ページ)
 平成7(1995)年、1月17日午前5時46分、淡路島北部を震源とする阪神・淡路大震災が発生。
 マグニチュードは7.2だが、震源が浅く、日本の観測史上で初めて震度7を記録した。周期の長い横揺れにより多数の建物が倒壊。14万棟もの住宅が全壊。多くの尊い命が奪われた。兵庫県下の公立学校でも、全校の約半数の1096校に被害がおよび、被害総額は1846億円。新築復旧が必要となった学校も54校にのぼった。
 
◇ツーバイフォー戸建住宅(阪神・淡路大震災)/清野 明(三井ホーム(株)技術統括本部 技術開発グループ長)(4ページ)
 神戸市東灘区は、1995年(平成7年)に発生した阪神淡路大震災において甚大な被害が発生した地域である。ここで紹介するツーバイフォー工法による木造戸建住宅は同区内に1988年(昭和63年)に建設され、阪神淡路大震災で被害を受けたものの、その後の補修工事により、13年を経た現在も使用されているものである。
 本号では、同建物の被害状況と補修方法について紹介する。
 
◇インドネシア世界遺産プランバナン寺院群(ジャワ島中部地震)/花里利一(三重大学)(5ページ)
 2006年5月27日ジャワ島中部地震では、古都ジョグジャカルタ市内およびその近郊の文化遺産が被災した。これらのうち、深刻な被害を受けた世界遺産プランバナン寺院群に対して、文化財保存学、建築構造学、インドネシア建築史などの専門家で構成される学際的な調査団による修復支援調査が2年間にわたって実施された。また、調査団には、文化財建築物の修理工事の専門家も加わった。この調査はインドネシア政府(文化観光局歴史考古局)の要請に基づく日本政府(文化庁、外務省)による文化遺産国際協力事業として行われたものである。本報告では、プランバナン寺院における構造調査の概要を紹介するとともに、修復・復興の現状と課題を示す。
 
◇八戸商工会議所(三陸はるか沖地震)/関 松太郎((財)日本建築防災協会(元(株)大林組技術研究所)、伊東茂美((株)石本建築事務所)、勝俣英雄((株)大林組技術研究所)(5ページ)
 本建物は1994年12月28日に発生した三陸はるか沖地震で被害を受け、被害調査、被害分析を経て、建物所有者の要望により耐震改修計画の立案、補強工事の実施を行い現在も使用されている。ここでは被災直後の被害状況とその後の耐震改修計画に重点をおき、一部を文献1)から引用しながら紹介する。
 
◇SPring-8の二重折板屋根の被害/奥田泰雄(独立行政法人 建築研究所)(5ページ)
 2004年には10個の台風が日本に上陸し、各地で強風被害が発生した。とくに大規模建築物の鋼板製屋根の被害がマスコミ等でも取り上げられ世間の注目を集めた。独立行政法人理化学研究所の大型放射光研究施設(SPring-8)では、台風16号と18号の2度にわたり二重折板屋根が捲れるなどの被害が発生した。理化学研究所ではSPring-8台風被害原因調査委員会を設置し被害原因の追究や対応策の検討を行った1)。ここでは、SPring-8の事例を中心に鋼板製屋根の被害に関してその後の業界や学会等の動向についてまとめた。
 
◆災害報告
◇2008年6月14日岩手宮城内陸地震による建築物の被害調査報告/前田匡樹(東北大学大学院都市・建築学専攻 准教授)、中埜良昭(東京大学生産技術研究所 教授)(12ページ)

 6月14日に岩手県内陸南部を震源とする地震が発生し、岩手県奥州市、宮城県栗原市で震度6強、宮城県大崎市で震度6弱など、岩手、宮城県で強い揺れが観測され、山間部を中心に地盤崩壊などにより、死者12名、行方不明10名、負傷者357名など人的被害や土木構造物の被害が発生した(6月24日現在1))。
 
◆寄稿
◇エレベーター発煙火災を端緒とした防火区画遮煙性能に関する調査研究について(その1概要)/東京消防庁 予防部 予防課(2ページ)

 東京消防庁では、「防火区画遮煙性能調査研究委員会」を設置して超高層建築物における乾式工法による防火区画の遮煙性能(気密性)を実験により検証し、煙漏洩等による危険性を明らかにした。本稿では、調査研究の概要を報告し、続いて、実験結果等の詳細について別途報告する予定である。
 
◇「建築・住宅地震防災国際ネットワークプロジェクト」について-International Platform for Reducing Earthquake Disaster : IPRED-/今村 敬((国土交通省より出向)ユネスコ自然科学セクター 防災担当プログラムスペシャリスト)(6ページ)
 国土交通省においては、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)、独立行政法人建築研究所等との協力により、建築・住宅分野における地震防災研究・研修の国際的なネットワークを構築するとともに、地震防災に係るデータベースの作成及び地震後の地震被害調査体制の整備を推進する「建築・住宅地震防災国際ネットワークプロジェクト」に着手したところである。
 
 
 

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