特集「定期報告制度の現状と課題」

月刊「建築防災」
No.350 2007/3月号
特集「定期報告制度の現状と課題」
シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識81」
 
※執筆者名の後の( )内の数字はその記事のページ数を表す
 
◆防災随想
◇我が家の耐火時間/道越真太郎(大成建設(株)技術センター)(1ページ)

 
◆特集「定期報告制度の現状と課題」
◇定期報告制度について/(財)日本建築防災協会事務局(7ページ)

 建築基準法第12条第1項では①特殊建築物等、第3項では②昇降機・遊戯施設、③特殊建築物等に設ける建築設備について、その所有者叉は管理者が、安全を確保するうえで重要な項目について、専門技術者に定期的に調査(特殊建築物等)・検査(昇降機・遊戯施設、建築設備)させて、その結果を特定行政庁(都道府県知事、建築主事を置く市町村長または特別区の長)に報告するように定めている。これが、「定期報告制度」と呼ばれる建築物等の安全を守るための制度である。以下特にことわりがない場合には、①特殊建築物等の定期調査報告制度を中心に記述する。
 
◇東京都における定期報告制度の現状/横山たみ子(東京都都市整備局市街地建築部建築企画課主任)(3ページ)
 東京都をはじめとする都内各特定行政庁では、平成13年の新宿区歌舞伎町雑居ビル火災事故を契機に報告対象建築物のうち、自己責任の見地から共同住宅の規模引き上げ行う一方、地下にある小規模飲食店等を報告対象用途とするなど、報告対象用途・規模の見直しを平成16年度に行った。その後、事故防止と安全確保の見地から改善指導等の運用を強化するとともに報告率向上のための施策に取り組んでいる。
 
◇定期報告制度の現状と課題について/二宮岳志(名古屋市住宅都市局建築指導部監察課 建築防災係長)(4ページ)
 本市では、建築物の敷地の整備から建築物の維持管理までに関わる建築行政業務を、住宅都市局建築指導部の、建築指導課、開発指導課、建築審査課、及び監察課の4課で部長以下総勢99名の職員で行っています。監察課では17名の職員のうち主に違反指導の業務を担当していますが、私の所属する建築防災係では定期報告、仮使用承認、地下街を含めた既存建築物の防災対策等の仕事を5名の職員が担当しています。
 
◇大阪府における定期報告制度の現状と課題、そして今後の取組について/中川啓三(大阪府住宅まちづくり部建築指導室建築企画課)(3ページ)
 近年、既存建築物を積極的に活用するなど、経済活動の変化が見受けられる中で、表1のとおり、雑居ビルでの火災、アスベストの健康被害、構造計算書偽装事件、それから昨年のエレベーターの人身事故等々、既存建築物、昇降機等の安全に深く関わる問題が噴出している。
 このような問題に対応するためには、建築基準法第12条に基づく定期報告制度を活用し、建築物の実態を的確に把握し、所有者・管理者への指導等に繋げることが重要である。以下、大阪府における定期報告制度の現状、課題、そして今後の取組について述べる。
 なお、定期報告には、建築物、建築設備及び昇降機等と3種類の報告があるが、ここでは、主に建築物について、述べることにする。
 
◇定期報告制度の現状とその施策について/山本哲也(福岡県建築都市部建築指導課 技術主査)(4ページ)
 福岡県における定期報告制度の運用におきましては、県内5特定行政庁連絡会議を通じ、所有者または管理者(以下「所有者等」という。)を対象とした説明会の実施、定期報告率の向上、未報告物件・不適合物件等への対応等に関する施策を相互に連携を図りながら行っております。特に、一昨年に甚大な被害をもたらした福岡県西方沖地震おいては、現行の建築基準を満たさない建築物に多くの被害が見受けられ、定期報告制度の啓発及び体制の強化について、その重要性を再認識するに至りました。本稿では本県における定期報告制度の現状及びその施策についてご紹介いたします。
 
◇地域法人から見た定期調査報告制度/有路寿人((財)東京都防災・建築まちづくりセンター)(4ページ)
 定期調査報告提出に関する案内書を、特殊建築物等の所有者又は管理者に送付した後「特殊建築物等とは何ですか。」「定期調査報告とは何ですか。」「定期調査報告書を提出しないと罰則はあるのですか。」等の問い合わせがあります。
 また、中には「調査費用はいくらかかるのか。」「定期調査報告書の提出窓口は、特定行政庁ではなく地域法人なのか。」「定期調査報告書提出の際に手数料を支払う法的な根拠はあるのか。」等の問い合わせは対応に苦慮する場合もあります。
 本稿では、当センターの定期調査報告に関する現状及び取組みを紹介します。
 
◇地域法人から見た定期報告制度/薄井忠宏((財)大阪建築防災センター 業務係長)(3ページ)
 当センターは、「建築災害を未然に防止するために」当初、定期報告の関係業務を中心とした公益法人として、昭和48年12月25日に設立された。定期報告業務は、大阪府内18特定行政庁からの委託により、定期報告書の直接の受付窓口業務及び、定期報告対象物件台帳の作成などの業務を行っている。報告時期は建築物が3年毎に1回、建築設備は毎年毎の報告となっている。
 受付窓口業務では、報告書の記載内容及び、添付図面又は設備概要などとの正誤性をチェック後受付し、各特定行政庁にて報告書を審査している。また、報告者からの依頼により資格者紹介を行っている。
 
◇調査者から見た定期調査報告制度/大石富士子((株)スズキ技術士事務所)(2ページ)
 私がこの仕事を始めて丸7年になります。そろそろベテランの域に入ったでしょうか。
 始めの頃は月に1物件程度の仕事量でしたが、この1~2年で増えました。増えるにしたがって、何をしているのですかと質問を受けることが多くなりました。他の人から見ると図面を持ってただ建物を見て歩く仕事は、非常にわかりにくい仕事だと思います。依頼者側から見た場合もやはり同じで、ただ見て歩くだけの仕事だったら、もっと安くしてよと思うでしょう。しかしこの見て歩くことが重要なのです。
 
◇定期報告の現状と業務の進め方について/石橋正信(コスモエンジニアリング(株))(4ページ)
 最近、安全に関する社会的ニュースのなかで、建築に関する問題が多くあります。
 私達が実施している特殊建築物の調査・点検業務は、その重要性と責任の重大さが増して来ております。
 建築と設備の定期報告はそれぞれ切り離した形でなくて、一体のものと考えております。
 私達は調(検)査業務として、建物所有者や、管理者と直に接する立場であり直接に苦情や相談ごとを受けることが多々あります。
 ここでは、建築物については調査状況、建築設備は問題点等について触れてみたいと思います。
 
◇所有者から見た定期調査報告制度/碓氷辰男(東京建物(株))(2ページ)
 約5兆円の時価総額、東証上場39銘柄、約1,200棟、2006年12月の日本版不動産投信(J-REIT)の状況である、他にも不動産証券化の私募型ファンドや開発型等含め相当数の建物が全国主要都市に流動化され証券化されている、建物の用途も事務所、住宅、商業施設、物流施設、ホテルと様々である、不動産市況も活性化し投資家も増加している、その不動産流動化に大切なのが建物取引のための調査(エンジニヤリング・レポート等)であり評価資料である、投資家に対するコンプライアンスも含め情報を開示する上で大きな役割を果たしている。
 
◇建築物の所有者から見た定期報告制度/瀬川昌輝((株)昌平不動産総合研究所 代表取締役)(3ページ)
 当社は賃貸ビルを2棟所有しており、建築物の所有者としての立場であるが、それと共に本題にある建築物の定期報告制度で義務づけられた特殊建築物定期報告と建築設備定期報告の資格を持った社員を擁し、自社ビルの報告はもとよりいくつかのビルの定期報告業務を請け負っている。それ故、所有者の立場と報告者の立場の両面から、本テーマについて所感を述べてみたい。
 
◇定期調査報告制度の課題/服部 敦(国土交通省建築指導課建築物防災対策室)(3ページ)
 少子高齢化に伴うストック重視の傾向、大規模地震発生の可能性のたかまりなどを受けて、建築行政においては、定期調査報告制度を中心とした建築物の維持管理の重要性が指摘されてすでに久しい。近年さらに、回転ドア、防火シャッター、そしてエレベーターで発生した相次ぐ事故の発生、アスベストによる健康被害の顕在化などを受けて、定期調査報告制度に対する期待や要請は高まっている。一方、直接の関係はないものの、構造計算書偽装問題を受けて、建築行政や専門家に対する信頼がゆらぐ中、建築物の維持管理に従事する関係者にとっても、一層気を引き締めなければならない状況にある。
 
◆シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識81」
◇維持保全計画作成と管理/河合治郎((株)竹中工務店 東京本店 FM部)、伊藤和文((株)アサヒファシリティズ 東京本店 技術部)(5ページ)

 「維持保全計画の作成と管理」執筆にあたり、竹中工務店FM部(建物竣工後の窓口全般を担当)とアサヒファシリティズ(竹中グループのビルマネジメントを主業務、05年業務実績:管理物件数約1000件、管理物件面積約1000万m2)協同で担当する。
 前半に維持保全計画の作成、後半に建物保全の実施について説明をする。
 
 
 

*情報交流制度にお申し込みいただいた方には、当協会の月刊誌である「建築防災」をお配りしています。

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その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。
一般財団法人 日本建築防災協会 建築防災編集係
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