(特集「リアルタイム地震防災」)

月刊「建築防災」
No.342 2006/7月号
特集「リアルタイム地震防災」
シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識73」
 
※執筆者名の後の( )内の数字はその記事のページ数を表す
 
◆防災随想
◇防火対象物使用届出の拡充強化・防火安全技術者制度の推進火災予防条例の一部改正/磯部孝之(東京消防庁予防部予防課課長補佐)(1ページ)

 
◆特集「リアルタイム地震防災」
◇リアルタイム地震防災-10年間の進歩と今後の動向-/山崎文雄(千葉大学工学部都市環境システム学科)(6ページ)

 10年前に本誌ではリアルタイム地震防災の特集を行った。筆者もその中で、「リアルタイム地震防災システムの現状と動向」という小論を書いた。それからもうはや10年が経過し、リアルタイム地震防災を標榜するシステムが多数、実用化し発展を遂げている。また、早期の地震情報を機器の制御や人間の避難に利用する動きも活発化している。本稿では、リアルタイム地震防災とは何かを再考するとともに、その近年の動向を振り返り、何が進歩し発展してきたか、今後の課題と進むべき方向は何かについて考えてみる。
 
◇緊急地震速報と連動した防災教育・訓練支援システム/源栄正人(東北大学工学研究科災害制御研究センター教授)(6ページ)
 高い確率で発生が予測される宮城県沖地震など、海溝型の地震に対しては、特に緊急地震速報の活用により、揺れが生じる前に地震を通知し、少しでも人的・物的被害を低減するための対策を施すことが望まれている。100万都市仙台では、次の宮城県沖地震の際には緊急地震速報の警報が出てからS波の到達までの時間(余裕時間)は約15秒と想定され、制御系の対応から報知系の対応まで各分野での利用が期待される。
 
◇東京ガスの地震防災システムSUPREME(シュープリーム)とその活用事例/細川直行(東京ガス防災・供給部)(4ページ)
 都市ガスは、快適な都市生活のために重要なエネルギー源である。一方で火災等の二次災害を防ぐためには地震の被害が大きな地域へのガス供給を速やかに停止する必要がある。これまでにも東京ガスではリアルタイム地震防災システムの構築に取り組んでいたが、阪神大震災を受けて既存のシステムをさらに進化させた地震防災システムSUPREMEを導入した。本稿ではこのSUPREMEの概要について説明するとともに、2005年7月23日の千葉県北西部地震での活用事例を紹介する。
 
◇緊急地震速報を活用した列車制御システム/芦谷公稔((財)鉄道総合技術研究所)(4ページ)
 日本のような世界有数の地震国において鉄道の地震災害を軽減するためには、施設の耐震性を向上することはもちろん必要であるが、地震発生時には迅速かつ適切に列車運行を制御することにより事故を未然に防ぐことが重要となる。そこで、鉄道では早期地震検知・警報システム(ユレダス)を開発し実用化してきた1)。ユレダスが実用化して10数年になるが、この間、1995年の兵庫県南部地震を契機に、気象庁など公的機関の全国ネットの地震観測網が整備され、その即時情報(緊急地震速報)を配信する計画が進められている2)。鉄道総研は、この緊急地震速報を活用する汎用的で経済的な列車制御システムの開発に気象庁と共同で取り組んできた3)。ここでは、これまでの開発成果について紹介する。
 
◇リアルタイム地震防災システムの概要/吉岡献太郎(宮城沖電気(株)代表取締役社長)(6ページ)
 1980年代の日本半導体急成長の時代に、全国に多くの半導体工場が建設された。一方、1995年以降、阪神・淡路、三陸南、新潟中越と数多くの地震が日本列島を襲い、超精密産業である半導体工場に大きな被害をもたらし、企業の存続自体に影響を与える程になっている。
 
◇大成建設のリアルタイム地震防災システム/長島一郎(大成建設(株)技術センター)(3ページ)
 大成リアルタイム地震防災システムは、地震発生時に気象庁の緊急地震速報を受信し、その地震速報を利用して、地震の大きな揺れが到達する前に、揺れの大きさと到達時刻を予測・配信するシステムである。大成建設技術センターでは、2005年3月から本システムの試験運用を開始し、現在まで多くの実証データを取得するとともに、様々なノウハウを蓄積している。以下では、本システムの概要、効果の検証事例、今後の課題と展開について紹介する。
 
◇清水建設における緊急地震速報活用システム/高橋郁夫、南部世紀夫(清水建設(株)技術研究所)(4ページ)
 気象庁の緊急地震速報はこれまで試験配信という形で提供されてきたが、近々、特定の利用者に対する先行的な配信が開始される予定となっている。新聞やテレビでもたびたび取り上げられ、世の中の周知の度合いも徐々に高まってきているように思われる。
 当社では試験配信の初期の段階から緊急地震速報の配信を受け、その活用方法の具体化と有効性について検討を重ねてきた。本稿では、当社で開発した緊急地震速報活用システムを紹介し、具体的な活用事例を紹介するとともに、活用上の課題について言及する。
 
◇「リアルタイム地震情報活用システム」の実用化―地震発生時の人的被害軽減に向けて―/大金義明(東京海上日動リスクコンサルティング(株)開発グループ)(3ページ)
 東京海上日動リスクコンサルティング株式会社(以下「TRC」)は、安心と安全の提供を通じて豊かで快適な社会生活と経済の発展に貢献することを社是とする東京海上日動火災保険株式会社の子会社として1996年に設立され、爾来、企業を取り巻くあらゆるリスクに的確かつ迅速に対応できるよう、国内外の専門機関との連携を含め体制を強化してきた。
 
◆シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識73」
◇建物の寿命/小松幸夫(早稲田大学)(5ページ)

 環境問題がクローズアップされるにしたがい、わが国では建物の寿命についての関心も高まってきているように思われる。スクラップアンドビルドから長寿命化へと方向転換が進む中で、実際に建物の寿命はどのくらいなのかということについては案外知られていないようである。本稿では建物の寿命を統計的に調べる方法を述べると共に、個々の建物の寿命には何が影響するかという点についても考察してみたい。
 
 
 

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