(特集「超高層マンションの構造・防災設計」)

月刊「建築防災」
No.337 2006/2月号
特集「超高層マンションの構造・防災設計」 
シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識68」
 
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◆防災随想
◇防災設備技術の進歩/松浦龍之介(ホーチキ(株)システムエンジニアリング部)(1ページ)

 
◆特集「超高層マンションの構造・防災設計」
◇長周期地震動に対する高層建物の耐震問題/西川 孝夫(首都大学東京大学院工学研究科建築学専攻教授)(2ページ)

 2003年9月26日の十勝沖地震(M=8.0)は改めて巨大地震の脅威を知らしめた。新潟地震以来明らかになっていた石油タンクのスロッシング現象に対する充分な対策が未だたてられていないことも露呈した。また、免震構造建物の免震層の変形がレベル2地震動に対する設計限界変形を超えて応答したことも判明した。さらに、2003年5月(M=7.1)と7月(M=7.2)の宮城県沖地震、2004年9月の紀伊半島沖地震(M=7.4)、2004年10月の新潟県中越地震(M=6.8)等で、首都圏の高層ビルが大きく揺れ、エレベーターが停止したり、極端な例ではエレベーターのケーブルが破断するなどの被害が生じ、マグニチュードの比較的大きい地震に対して震源から相当離れた地点でも深部の地下構造の影響で、地震動の長周期成分が励起し、長周期構造物が大きく応答することが一般に注目されるようになった。これらの現象はすでに1983年の日本海中部地震(M=7.7)で新宿の高層ビルが大揺れしたころから専門家の間では注目されていたが、今回の十勝沖地震での石油タンクの火災事故で俄然脚光をあびたといえる。図1に2003年5月の宮城県沖地震の際東京の超高層建築で観測された記録を示した。地震の主要動の後から建物が反応し、相当長く揺れている様子が見て取れるであろう。これは加速度記録であるが、変位に直すと主要動近辺よりむしろ後半ので囲った部分の変位の方が大きい。これが長周期地震動に対する高層建築の反応の特徴である。なお、この建物には制震装置が取り付けられており、もし制震装置がないとしたときの応答変位の計算値は約2倍になるとのことである。また、近年地震の発生予測、それに伴う地震動そのものの予測に関する研究が急速にすすみ、表1に示すような30年以内の東海地震、南海地震、宮城県沖地震等海洋型巨大地震の発生確率が発表されるにおよび、巨大地震発生に伴う長周期地震動とそれに対する高層建築等の耐震問題がマスコミ等にも大きく取り上げられるようになった。
 
◇Wコンフォートタワーズ/和泉 信之(戸田建設(株)構造設計部)(5ページ)
 著者らは、フレキシブルな住まい、安心できる住まい、長寿命の住まいをテーマに、高品質の超高層スケルトン・インフィル住宅を実現できる「Super HRC(スーパー・エイチアールシー)システム」を研究開発してきた。このシステムを本格的に適用した超高層RC住宅がWコンフォートタワーズである。本建物は、54階建と45階建のツインタワーであり、その骨組は、制振デバイスを設置した超高強度プレキャストRC構造である。
 
◇東京ツインパークス/木村 正人、前田 英邦((株)三菱地所設計住環境設計部(5ページ)
 東京ツインパークスは汐留地区再開発地区計画区域に立地し、住戸数1,000戸、地上47階建ツインタワーの大型プロジェクトであり、都心でありながら浜離宮庭園・東京湾を眺む稀少な立地に計画された。本物件のもっとも大きなコンセプトは、21世紀は良質なストック形成の時代であるとの認識に立ち、100年を超え200年住宅を目指すことであった。また、都心居住者の多様なライフスタイル、ニーズに柔軟に対応できるよう、高性能なスケルトンと高品質なインフィルを併せ持つ魅力あるサスティナブルな集合住宅の形の実現であった。
 
◇「アクティ汐留」における耐震設計/秋重博之((独)都市再生機構)、上田忠男((株)竹中工務店)(6ページ)
 RC造建築物は、耐火性・遮音性・経済性に優れており、集合住宅に適した構造である。都市再生機構(以下、UR都市機構という)では、日本住宅公団の発足(1955年)より多数のRC造集合住宅を建設・供給している。近年、社会のニーズや技術開発の成果によって、RC造集合住宅の高層化が進んでおり、UR都市機構においても1984年以降、100棟近くの超高層RC造集合住宅を供給している。本報では、2004年2月に竣工した地上56階建ての超高層RC造集合住宅「アクティ汐留」(写真1)の耐震設計について報告する。なお、本建築物は2000年5月末に設計完了・工事着工し、2004年2月に竣工している。
 
◇小田急海老名分譲マンションB・C街区(VINA MARKS)における耐震・防災設計/丸山 東(鹿島建設(株)建築設計本部構造設計統括グループ(7ページ)
 高い安全性と安心の確保、そして超高層という市場へのアピール性に加え、全住戸南向きの重視、敷地形状から、板状のPCaPC建物形状で超高層建物とすることが発注者のニーズであった。その解決策として本建物は超高層板状免震を採用した。また、資産価値を高めるフリープラン・高品質・高耐久をクリアーする架構として「PCaPC+免震構造」を提案した。現在、小田急線海老名駅前に22階と23階のツインタワーとして建設され、全313戸が全て南面住戸となったこの分譲マンションは居住者に高い安心と資産価値を提供している。
 
◇赤坂タワーレジデンス Top of the Hill/太田博章、川原井 大((株)竹中工務店 設計部)(5ページ)
 近年、建築防災への認識が益々高まる中で、都心の一等地に計画された本建物は、群を抜く眺望と秀でた居住性を実現しながら、第一級の耐震性安全性・防災安全性を確保した計画としている。さらに日常のセキュリティーを重視した設備計画を行うと共に、震災時には居住者の生活を最低限維持できるよう設備対応を行っている。
 本稿では、これらの高い性能を実現するスーパーフレックスウォール(SFW)制震架構システムを用いた本建物の構造設計及び防災設計の概要について述べる。
 
◇六本木ティーキューブの防災計画/徳弘晴信、富松太基、土田伸二、宮崎 淳((株)日本設計)(5ページ)
 六本木ティーキューブは、三方を高速道路に囲まれた非常に視認性のよい場所に建つ、オフィス・住宅・商業の複合施設である。オフィスの上に住宅が積まれるという建物構成となっているが、住宅部分の避難計画を避難シャフト方式とすることでオフィスと住宅を同じ表情にしている。また、オフィスと住宅の間に構造切換階を設けることで、異なる柱位置への対応を可能とし、制振装置の採用により住宅部分の居住性の向上を目指している。それらの手法により、この特徴的な敷地に建つ建物にふさわしい、象徴的な建物形状と存在感のある外観でランドマークとしての建物デザインを実現した。
 
◆ぼうさいさろん
◇社告品・リコール車両の火災事例/東京消防庁予防部調査課(3ページ)

 私たちの生活において、電気、ガス、石油は欠くことのできないものであり、これらをエネルギーとする電化製品やガス機器が私たちの生活を支えています。さらに日々新しい製品が開発され、生活に豊かさと潤いを与えています。
 しかし、普段何気なく使っているこれらの製品から突然火災が発生したら。
 
◆シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識68」
◇衛生器具の種類と維持管理/土井 延宣((株)INAX設備事業部)(5ページ)

 衛生器具とは、給水栓などの「給水器具」、便器・洗面器など従来から衛生陶器と呼ばれているものに、流しや浴槽などを加えたものを総称した「水受け容器」、「排水器具」のことをいい、これらの衛生器具は近年、防汚・抗菌技術の開発、使いやすさを指標としたユニバーサルデザインの導入、節水や節電を代表としたエコ商品開発などの環境への取組みにより大きく進化した。ここでは、衛生器具の種類と維持管理について述べる。
 
 
 

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