(特集「津波」)

月刊「建築防災」
No.336 2006/1月号
特集「津波」 
シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識67」
 
※執筆者名の後の( )内の数字はその記事のページ数を表す
 
◆防災随想
◇だれのための火災安全なのか、そして誰が守るか/佐藤 博臣((株)イー・アール・エス(NPO日本防火技術者協会理事長)(1ページ)

 ここ数年、火災の発生件数やそれに伴う死傷者の発生数は、概ね一定である。そして、それらの被害が住宅や、高齢者など災害弱者に被害が集中していることにも変化はない。いずれにしても、不幸にも火災を起こした場合、如何に本人の過失だとしても、馬鹿を見るのは当事者である。
 
◆特集「津波」
◇2004年インドネシア国スマトラ島地震津波の最大被災地にみる津波の法則/都司 嘉宣(東京大学地震研究所)(3ページ)

 2004年12月26日に、インドネシア国スマトラ島北部西方沖を震源とするマグニチュード9.0の超巨大地震が発生した。この地震によって巨大津波が引き起こされ、スマトラ島北部、タイ、スリランカ、インド、およびアフリカ東部海岸を襲った。この津波によって地球全体として約23万人と見積もられる死者を生じた。この津波の直後からタイ国の国際保養地であるプーケットやカオラック、あるいは最大被災地となったスマトラ島北端のバンダ・アチェ市の市街地に襲いかかる津波のビデオ映像がテレビと通じて報道され、改めて津波という自然災害の恐ろしさがなまなましく伝わってきた。
 
◇大規模地震と津波対策/中村 政道(内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(地震・火山対策担当)付主査)(5ページ)
 我が国は地震国であり、これまで数多くの地震による被害を受けてきた。また、沖合を震源とする大きな地震に伴う津波によっても多大な被害を数多く受けている。津波は、沖合を震源とする地震により、海底の地形が変形し、海面の上下変動が生じることにより発生するものである。特に、日本の南の相模トラフや駿河トラフ、南海トラフ、日本の東の日本海溝、千島海溝等の海溝において発生する海溝型地震は、マグニチュード7から8の非常に大きいもので、震源域が広く、地震に伴う海底地形の大きな変形により、大きな津波が発生する場合が多い。このような海溝型地震を含め、1700年以降の地震のうち、津波を伴った主な被害地震を表1に掲げた。
 
◇津波ハザードマップの役割とその作成の現状/小澤 盛生(国土交通省 港湾局 海岸・防災課調査係長)(4ページ)
 我が国は、ご存じの通り、大地震による津波の被害を数多く経験してきています。また、今後いつ発生してもおかしくない災害として、東海地震、東南海・南海地震等大規模地震とそれに伴う大津波の可能性が指摘されています。内閣府が行った検討結果によると、これら三つの地震が同時に発生した場合、揺れによる被害、津波による被害ともに過去最悪の事態となり、死者数約2万5千人、うち津波による死者数は9千人を上回る可能性があるとされています。
 
◇津波荷重と津波避難ビルの構造設計法について/岡田恒男((財)日本建築センター 建築技術研究所 所長、東京大学 名誉教授、菅野 忠((財)日本建築センター 建築技術研究所 審議役)、石川忠志((株)鹿島建設 建築設計本部 構造設計部(前、(財)日本建築センター 建築技術研究所 研究員)、高井茂光・舘野公一((財)日本建築センター 建築技術研究所 研究員(9ページ)
 近年、東海地震や東南海・南海地震とそれに伴う津波の発生が懸念されており、津波への対策が急務となっている。これまでの津波対策は津波情報の提供や防波堤の整備など土木分野での対策が主であり、建築分野においてはほとんど検討されていないのが実状であった。津波対策の基本は高台への避難が考えられてきたが、高台の無い場所や、高台へ避難する際に相当な時間を費やす平野部等、津波が到達するまでに高台へ避難することが困難となる地域も存在する。このような地域には、津波から避難可能な高さがあり、安全な建物である「津波避難ビル」が必要である。
 
◇津波に関する図記号について/藤田 和久(総務省消防庁国民保護・防災部防災課震災対策専門官)(2ページ)
 消防庁では、平成16年11月から、「防災のための図記号に関する調査検討委員会」を開催し、津波関係の避難標識の図案、設置条件等の検討を行いました。
 この委員会の目的は、これまで、地方公共団体の取り組みに委ねられてきた津波避難標識の標準化を図り、地域住民はもとより、旅行者、観光客、外国人にもわかり易い情報伝達を可能にすること、標準図記号が示されることにより地方公共団体による標識の設置が促進されることにあります。
 
◇津波予報・津波警報の基準について/富沢 勝((財)日本気象協会 気象予報士)(2ページ)
 平成7年(1995年)の兵庫県南部地震、平成16年(2004年)新潟県中越地震、また海外では2004年スマトラ島西方沖の地震によるインド洋大津波等近年大きな被害を出した地震(津波)災害以外にも、我が国では震度4~5クラスの地震の起きる頻度が高まっています。
 
◇スマトラ沖津波によるスリランカの建築物の被害について/奥田 泰雄(独立行政法人建築研究所 上席研究員)(11ページ)
 2004年12月26日、インドネシア・スマトラ島沖で発生したM9.0の地震により、インド洋沿岸で大規模な津波が発生した。スリランカでは地震発生後約1時間から1時間半で津波が東部海岸に到達し、その後に東南部海岸に到達したとのことである。2005年2月現在、死者・行方不明者はインドネシアでは約23万6千人、スリランカでは約3万5千人、インド洋周辺諸国全体で29万人を超えている(注)。
 
◆災害報告
◇平成17年(2005年)台風14号の概要/富沢 勝((財)日本気象協会 気象予報士)(3ページ)

 今年3つ目の上陸台風となった台風14号は、そのスピードが遅かったために長い時間台風の大雨、暴風、高波の影響を受け、そのことが被害をより一層大きくしました。被害の結果からみればどちらかというと「雨台風」といった感じでしたが、ここでまず指摘しておきたいのは、風台風、雨台風ということです。今回の台風もそうでしたが、台風の来襲前にマスコミの方が、(とくにテレビ報道にその傾向が見られます)解説する気象キャスターに「今回の台風は雨台風ですか風台風ですか」という問いかけをする場面がありました。
 
◆シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識67」
◇建築物の劣化現象と調査機器(その8)/佐藤 紀男(佐藤建築事務所)(3ページ)

 従来、環境問題といえば、建設工事に伴う騒音・振動あるいは交通騒音、空調音などが大半であったものが、最近は、建材としてのアスベスト問題、室内環境としてのシックハウス症候群などが含まれるようになり、調査機器類も多種多様なものが使用されている。
 
◆関係団体ニュース
◇防火材料等関係団体協議会「欧米の防火試験・評価機関の現地調査」に参加して/成瀬 友宏(独立行政法人建築研究所防火研究グループ上席研究員(6ページ)

 防火材料等関係団体協議会(会長:菅原進一東京理科大学教授以下、防団協といういう)では、平成16年6月から住宅内外壁等防火性能分科会を発足させ、現行の建築防火試験法や評価認定制度と整合を図りつつ、これらをより合理的なものとし、建築物の防火安全性の向上とユーザー情報の充実に資するために、建築材料の防火試験法及び防火性能表示法を提案することを目的として、任意に活動を行っている。
 
◆ネットワーク委員会ニュース
◇耐震診断判定委員会へのアンケート結果について(平成17年6月末日現在)/全国ネットワーク委員会(2ページ)

 阪神・淡路大震災から10年という節目の時期に、各地域の耐震判定委員会の実情をとりまとめ、課題等を整理し、検討していくことは、今後のあり方や運営方法等にも有益な参考となり、わが国の既存建築物の耐震性の向上に資するものと考えられます。このたび全国ネットワーク委員会では、全国の耐震判定委員会に対しアンケート調査を実施いたしました。
 
 
 

*情報交流制度にお申し込みいただいた方には、当協会の月刊誌である「建築防災」をお配りしています。

——————————————————————————————————————-

その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。
一般財団法人 日本建築防災協会 建築防災編集係
東京都港区虎ノ門2-3-20 虎ノ門YHKビル
電話:03-5512-6453 FAX:03-5512-6455
mail:kenbokyo@kenchiku-bosai.or.jp

バックナンバー