特集「2004年の強風による被害」

月刊「建築防災」
No.330 2005/7月号
特集「2004年の強風による被害」 
シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識61」
 
※執筆者名の後の( )内の数字はその記事のページ数を表す
 
◆防災随想 
◇安全と安心の値段/ 仲谷一郎(建材試験センター)(1ページ)

 
◆特集「2004年の強風による被害」
◇2004年の台風について/ 富沢勝(日本気象協会)(5ページ)

 2004年は、一年を通じて全国的に高温状態が持続し、日本の地上気温は統計開始以降2番目に高くなりました。台風の発生数は表1にもありますように、平年より2個ほど多いくらいでしたが、接近数は平年の2倍近い19個となり、上陸数は平年の2.6個を大幅に更新し、またこれまでの最多6個を上まわる、史上最多の10個の上陸となりました。また活発な梅雨前線による集中豪雨などにより、新潟・福島豪雨に福井豪雨などがあり、日本各地に甚大な被害が発生しました。個々の台風については、その概要を後述し、その中で防災上注目したい点について、いくつか取り上げて見たいと思います。
 
◇中国、四国、近畿地方の台風被害/西村宏昭、松井正宏(日本建築総合試験所・東京工芸大学)(4ページ)
 2004年にわが国に上陸した台風の数は観測史上最多の10個で、日本の各地で甚大な被害をもたらした。特に西日本では、被害を受けなかった府県はないほどである。筆者らは、中国、四国、近畿地方における建築物が受けた台風による強風被害の調査を行った。被害では住家の数が多いが、比較的新しい大規模の建築物の被害も多く発生した。調査した範囲では、いずれの場所でも建築基準法の基準風速を超えた風速は観測されておらず、耐えうるべき想定風荷重以下で被害が発生している。
 建築物の強風による被害で最も多いのは屋根の被害である。これまでも建築物における強風被害の多くは屋根ふき材の被害であったが、材料や構法の進歩により比較的大きい屋根ふき材が用いられるようになったことで、被害が狭い部分に留まらず、広い範囲に及ぶことが最近の強風被害の特徴である。 
 
◇北海道の台風18号被害/植松康(東北大学未来科学技術共同研究センター)(4ページ) 2004年台風18号は北海道に「洞爺丸台風」(1954年)以来の強風をもたらし、多くの気象官署で最大風速や最大瞬間風速の極値を更新した。この強風によって、北海道の日本海側を中心に大きな被害が発生した。確かに記録された強風は九州や中国地方に準ずるものではあるが、建築物の耐風性に対する認識や台風時の強風に対する防災意識が低かったことが被害の拡大を招いたと推定される点も多々ある。ここでは、被害調査結果に基づき、北海道での被害実態を示すと共に被害発生要因を考察する。
 
◇たつまきによる佐賀市の被害/前田潤滋(九州大学大学院人間環境学研究院)(4ページ)
 たつまきと言えば、アメリカのトルネードによる被害の凄まじさが日本でも毎年大きなニュースになって報道されますが、台風と違って突然襲ってくるたつまきの恐怖は日本でも他人事ではありません。2004年6月に佐賀県を駆抜けた突風は佐賀市や鳥栖市の住宅街を通過したため、住家や学校校舎をはじめとするたくさんの建物が被害を受け、大きなニュースになりました。
 
◇建築物の屋根の被害/奥田泰雄、喜々津仁密((独)建築研究所)(4ページ)
 建築物の強風被害は、窓ガラス等の開口部、外壁、屋根の被害が多いことが特徴的である。屋根の被害は、屋根ふき材の破損から屋根(小屋組)の破損まで様々であり、破損した屋根材が飛散すると周辺の建築物や交通さらには歩行者にも被害を与える場合がある。  2004年は台風が10個も上陸するなど強風被害の頻発した年であり、建築物の屋根に関する被害事例が数多く見られたのも特徴的であった。
 ここでは2004年に見られた屋根の被害の代表的な事例を住宅等の小規模な建築物と体育館・文化施設といった大規模な建築物に分けて紹介する。
 
◇厳島神社の台風18号による被害/丸山敬、 河井宏允(京都大学防災研究所)(4ページ)
 2004年は気象庁の観測史上最多である10個の台風が日本に上陸した年で、9月初めに来襲した台風18号は全国的に強風被害をもたらした台風であった。台風の中心が広島に最も近づいた9月7日には広島県全域が暴風域に入り、宮島の厳島神社でも被害が発生した。以下に当時の気象状況および厳島神社の被害の実態について述べる。
 
◇2004年の主要な強風災害と損害保険/召田幸大(日本損害保険協会)(4ページ)
2004年は、7月の新潟・福島豪雨/福井豪雨災害をはじめ、過去最多の10個の台風本土上陸による風水害、そして10月の新潟県中越地震による被害等、全国各地で自然災害が多発した。これらの影響により、この1年間の損害保険の自然災害による保険金支払総額(見込み含む)は7,400億円以上と過去最高を記録した。
 本稿では、日本損害保険協会(以下、損保協会)が調査した2004年の主要な台風等による保険金支払状況と、風災害に対する主な保険の補償内容について紹介する。 
 
◇中華人民共和国での台風被害/曹曙陽、田村幸雄(東京工芸大学) (3ページ)
 2004年8月12日午後8時ごろ、台風ラナニム(Rananim)は中国浙江省温嶺市石塘鎮に上陸後、同省の台州、温州、麗水、衢州を約13時間かけて通過した。8月20日までの台風ラナニムによる同省内の死者数は164名、24名が行方不明になっている。死者の多くは、倒壊した建物の下敷きになったためである。
 
◆シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識61」
◇建築物の劣化現象と調査機器(その5)/佐藤紀男(佐藤建築事務所)(5ページ)

 鉄筋コンクリ-ト造の建物は、躯体の保護および美観上の理由から、タイル張りあるいはモルタル塗り、塗装などの仕上げが施されている場合が多い。  中でも、タイルは耐久性に富み、しかも張り上がり後の高級感を印象づける外装材料として多くの建物に使用されてきた。
 しかし、平成元年11月北九州で発生したタイル剥落事故から、それまで剥落は大規模地震時に起こるものと考えられがちであったが、日常的な状態でもタイルの落下に遭遇する危険性のあることが認識されるようになった。差異を耳で聞き分けることにより、健全部か浮き部かの判断を行い
 
◆定期調査報告関係地域法人紹介コーナー
◇ 「建築物等定期報告調査者協会」の設立/青山 巖(静岡県建築住宅まちづくりセンター 専務理事) (4ページ)

 静岡県における建築物等の定期報告の現状 (1)低迷を続ける報告率  本県における建築物及び建築設備の定期報告の報告率は、表1のとおり。平成15年度まで、建築物は60%前後、設備は50%前後と低迷を続けてきた。とりわけ、旅館ホテルにおいては(隔年で平成12年、14年、16年)平均30%にも満たない報告率で、観光県でもある本県においては、危機感を持たざるを得ない。
 
 
 

*情報交流制度にお申し込みいただいた方には、当協会の月刊誌である「建築防災」をお配りしています。

——————————————————————————————————————-

その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。
一般財団法人 日本建築防災協会 建築防災編集係
東京都港区虎ノ門2-3-20 虎ノ門YHKビル
電話:03-5512-6453 FAX:03-5512-6455
mail:kenbokyo@kenchiku-bosai.or.jp

バックナンバー