特集「新潟県中越地震速報」

月刊「建築防災」
No.326 2005/3月号
特集「新潟県中越地震速報」 
シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識57」
 
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◆防災随想 
◇東京消防庁における地下駅舎に対する安全対策の推進 火災予防条例の一部改正/青木 浩(東京消防庁予防部予防課)(1ページ)

 
◆特集「新潟県中越地震速報」
◇新潟県中越地震について/井筒宥二(新潟県土木部都市局建築住宅課)(2ページ)

 昨年10月23日に発生した新潟県中越大震災では、ご多忙の中、多くの皆様からご支援をいただき誠にありがとうございました。応急危険度判定等の活動概要をまとめましたので、ご報告いたします。
  1 地震の概要  平成16年10月23日午後5時56分頃新潟県中越地方を地震が襲い、新潟県北魚沼郡川口町では震度7を観測しました。  その後たびたび震度5程度の余震が発生しました。
 
◇地震動について/大川 出( (独)建築研究所構造研究グループ主席研究監)(6ページ)
 新潟県中越地震の本震は、10月23日17時56分に発生した。気象庁により震源の深さは13km、地震のマグニチュードは6.8と推定されている。気象庁の観測点では、川口町川口(なお、地震後の町村合併によりいくつかの地区名は現在変更されている。本稿では、旧地区名を用いている。)で1995年兵庫県南部地震以来となる震度7が観測されたほか、山古志村竹沢、小国町法坂、小千谷市城内の3点で震度6強の極めて強い揺れが観測された。このほか多数の地点で震度6弱の揺れが観測されている。
 この地震では震源周辺の広い範囲で極めて大きい地震動が観測された。マグニチュードが6.8と内陸地震としては大きく、また震源が浅かったことから大きな加速度振幅が記録されている。観測を実施した機関は、主として気象庁、各自治体および防災科研のK-NET、KiK-net強震観測網である。本震で震度7とされた川口町観測点については、最大加速度振幅が東西方向が1675cm/s2、南北成分が1141cm/s2、上下動も869cm/s2と、従来の大振幅記録を上回るレベルの大きな加速度振幅が観測されている。
 
◇地形・地質と地盤の被害/保坂吉則(新潟大学工学部)(5ページ)
 新潟県中越地震では、最大震度7の強い地震動と活発な余震活動によって建築や土木施設が甚大な被害を受けたことに加えて、斜面や盛土・造成地の崩壊や沈下、液状化等の地盤被害が多発したことが特徴である。この地域は、北北東-南南西軸に沿った山地・丘陵の連なりと信濃川の形成した平野からなる褶曲地形が形成されており、広く分布する新第三紀層の脆弱な地質が被害の素因のひとつとなっている。平野部では砂レキ層の河岸段丘面にある小千谷市や十日町市の被害が甚大であったのに対して、沖積低地の長岡市街の被害は比較的軽微であったことは、従来の沿岸、河口域における被害形態とは異なっている。  本稿では、このような中越地域の地形・地質的な特徴と地震被害の関係について述べ、直前の豪雨の影響の考察を交えながら、斜面崩壊や盛土地盤、段丘地形での地盤災害の特徴と液状化被害について報告する。 
 
◇木造建物の被害/五十田 博(信州大学工学部)(6ページ)
 本報では、まず木造住宅の被害の概要として、日本建築学会北陸支部災害調査委員会(委員長田守伸一郎信州大学助教授)が実施した悉皆調査の結果に基づいて木造住宅の被害の全体像を総括する。ついで、現時点でわかっている住宅の被害状況の整理と、住宅以外の被害の状況について述べる。さらに、激震地で得られた加速度に対して地震応答解析をおこなった結果や被災地に数多く見られた鉄筋コンクリート造などの高基礎に木造2階建てを重ねた併用構造の振動特性について、これまでの検討結果を整理し、震度や得られた加速度の割には被害が小さかったとされる事実に対する見解を、現地調査やこれまでの実験や解析な検討に基づいて、論じることとしたい。
 
◇RC造建物被害について/加藤大介(新潟大学工学部)(5ページ)
 今回の地震被害は広範囲にわたっているだけでなく、交通網が被害を受けたことにより、当初調査不可能だった川口町、山古志村を除いても、東京方面から入ることのできる堀之内地域、新潟市方面から入ることのできる長岡、小千谷地域、長野市方面から入ることのできる十日町地域、に分断された。筆者が所属する新潟大学は被害地域に近いところに位置するが、この交通事情や宿泊施設の閉鎖によりまとまった調査は困難であり、調査は日帰りにて行った。本報告では、鉄筋コンクリート造建物の被害について、特に木造建物については被害の大きかった震度Ⅶ地域の被害(1章)、建築物の主な被害(2章)、耐震補強の効果(3章)に分類して報告する。また、本報告の中心となる2章は、構造体の被害、施工不良に起因する被害、病院建物の被害および基礎構造の被害という観点で報告する。 
 
◇S造建物被害について/土井希祐(新潟大学工学部建設学科教授)(4ページ)
 新潟県中越地震の被災地は、48市町村に災害救助法適用が適用されたことからもわかるように広範な地域に渡っている。しかし、人口約19万人の長岡市を除いて比較的規模が小さい市町村が多く、学校体育館以外に規模の大きい鉄骨造建物が比較的少ない地域である。また、学校体育館については建物内部への立入調査を行うことができたものが多かった。そこで、本稿では、学校体育館を中心として、鉄骨造建物の被害の概要を述べる。
 
◇非構造部材の被害/脇山善夫(東京工芸大学工学部建築学科助手)、清家 剛(東京大学大学院新領域創成科学研究科助教授)(7ページ)
 1.非構造部材の耐震性について  地震などによって建物が被災した時には、一般の目は建物の倒壊被害など構造部分の損傷に集まりがちである。しかし、建物が倒壊に至らなくとも、非構造部材の故障・損傷状態によっては、建物内における避難が困難になったり、あるいは、建物外で人命を危険にさらすことにもながりかねない。
 本稿では、新潟県中越震災で見られた非構造部材の被害について、被害事例を中心に被害概要を構法別に報告する。なお調査は筆者らの現地調査に加えて各種調査報告を参考としてとりまとめた。特に湿式外壁や塀などの部分で古賀一八氏の報告を大いに参考とさせていただいている。 
 
◇国連防災世界会議の概要と国土交通省の主催によるテーマ別セッションの報告/瀬良智機(国土交通省住宅局建築指導課国際基準調査官)(4ページ)
 2005年1月18日から22日までの5日間にわたり、神戸市において「国連防災世界会議」が開催された。参加機関は、国連加盟国168カ国に加え、国連機関等の国際機関78機関、NGO161団体、計4000人以上が参加し、一般公開されたパブリックフォーラムには4万人以上が参加したとされている。
 本稿では、国連防災世界会議開催の経緯、目的やその構成、成果について概要を紹介するとともに、特に1月19日に、国土交通省が国連地域開発センター(防災計画兵庫事務所)と共同で開催した建築防災分野のテーマ別セッションの議論の概要を報告する。
 
◇国連防災世界会議(阪神淡路大震災総合フォーラム) における建築研究所の取り組み/楢府龍雄((独)建築研究所国際協力審議役)(4ページ)
 阪神・淡路大震災から10年となる2005年1月に、兵庫県神戸市において、国連主催で国連加盟国、国際機関、NGO等が参加する「国連防災世界会議」が開催された。その一環として開催された広く一般に公開される行事(総合フォーラム)において、独立行政法人建築研究所は、地元地方公共団体、関係公益法人、国際機関、研究機関等数多くの機関と連携して、シンポジウムの開催、振動台の実演およびパネル展示を行ったので、その概要を紹介する。
 
◇「国連防災世界会議 総合防災展」/出展:本誌編集部 (1ページ)
 国連では、21世紀における新たな防災戦略を決定し世界の防災対策のさらなる充実強化を目指すため、阪神・淡路大震災から10年目にあたる本年1月に、阪神・淡路大震災の被災地である兵庫県で「国連防災世界会議」が開催されました。 この世界会議の関連事業として、平成17年1月18日から22日に神戸ポートアイランドの国際展示場で総合防災展が開催されました。
 総合防災展では、阪神・淡路大震災からの復興の歩み、世界の災害、行政等の災害の取り組み、企業の震災対策技術、防災教育等の展示のほか、防災に関する実演、体験、交流等が行われました。  総合防災展の出展団体数は国内外から国の機関、公共団体、企業等合計189団体、来場者数は約2万2千人(主催団体調べ)でした。
 
◆シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識57」
◇建築物の劣化現象と調査機器(その2)/佐藤紀男(佐藤建築事務所)(5ページ)

3.2 劣化診断と調査機器  3.2.1 中性化  中性化深さは、コンクリートの品質、仕上げ材の有無及び環境条件によって大きく異なるため、できるだけ多数の箇所で測定する必要がある。  しかし、現状では非破壊機器で中性化深さを測定する方法が確立されていないため、代表的な環境条件にある部分の破壊調査となる。  調査は、コンリートの中性化深さを直接測定するとともに、中性化の進行に影響を及ぼす環境条件、その箇所のコンクリートの状況及び仕上げ材の種類と厚さなどを確認する。
 
◆定期調査報告関係地域法人紹介コーナー
◇北海道建築設計事務所協会/小町屋一則(社団法人北海道建築設計事務所協会特別委員長)(3ページ)

 当協会は、昭和27年5月28日、北海道内で建築設計監理を業とする者を以って組織し、会員の権利の擁護、業営の進歩改善に関する共通する問題を有効且つ強力に推進し、広く社会に貢献することを目的として社団法人北海道建築設計監理協会の名称で設立されました。
 その後、社団法人北海道建築士事務所協会、北海道建築設計事務所協会と名称を変更して現在に至っており、平成14年には創立50周年を迎えております。  当協会は、定期調査報告関係地域法人として設立されたものではなく、設計監理を業とする建築士事務所の協会として設立されたものです。
 主な事業内容は次のとおりですが、広大な面積を有する北海道という特殊性から、当協会の組織は、19支部と支部を統括する本部とで構成され、各地域の実情に合わせた活動を行っております。
*建築設計工事監理業務の進歩改善に関する調査研究
*設計監理業務内容の宣伝・建築に関する指導啓蒙
*設計等を委託する建築主等からの苦情処理
*関係機関、団体等に係る代行業務・受託事業の実施
*建築に関する証明・鑑定・仲介
*調査・検査資格者等の紹介  等
 
◆地域法人ニュース
◇ひょうご住宅耐震改修技術コンペの実施結果 <主催 兵庫県、兵庫県住宅建築総合センター>(2ページ)

 
◆地域法人ニュース
◇「木造住宅の耐震診断と補強方法」の質問・回答集/日本建築防災協会(19ページ)

この質問・回答集は、講習会や本会に寄せられました質問を項目ごとに整理して回答するものです。なお、次の要領で作成しております。
1.同じ趣旨の質問はまとめて回答しています。
2.本書を理解する上でポイントとなる質問に対する回答です。
3.本書に直接関係ないと思われる質問は掲げていません。また他の法令や他の出版物に関する質問は立場上回答できませんので、回答を示していません。
4.正誤表で示したものは、掲載されておりません。(正誤表及び差替えをご覧下さい。)
5.質問及び回答部分にページの記載がありますが、これは、「木造住宅の耐震診断と補強方法」の参照ページになっています。
 
 
 

*情報交流制度にお申し込みいただいた方には、当協会の月刊誌である「建築防災」をお配りしています。

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その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。
一般財団法人 日本建築防災協会 建築防災編集係
東京都港区虎ノ門2-3-20 虎ノ門YHKビル
電話:03-5512-6453 FAX:03-5512-6455
mail:kenbokyo@kenchiku-bosai.or.jp

 

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