特集「防災計画の性能規定化-施行から5年-」 

月刊「建築防災」
No.325 2005/2月号
特集「防災計画の性能規定化-施行から5年-」 
シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識56」
 
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◆防災随想 
◇今、既存ビルの安全性が求められている/関 五郎(日建設計理事技師長)(1ページ)

 
◆特集「防災計画の性能規定化-施行から5年-」
◇「防火規定の性能規定化とは/河野 守(国土交通省国土技術政策総合研究所)(5ページ)

 平成12年(2000年)に完全施行された改正建築基準法は、建築規制基準の性能規定化がなされたことが特徴のひとつとされる。5年目を迎えようとしている性能規定について、まず、そこに至った背景、目指したものを簡潔に振り返る。さらに、従来型の仕様基準と性能基準の法適合のための手続きについて紹介した上で、防火関係規定で新たに導入された2つの性能検証法(避難安全検証法と耐火性能検証法)に関して概要を解説する。最後に、性能規定の今後の目指すべき方向について論じる。
 
◇性能規定の適用状況/佐藤雅史(日本建築センター評定部)(4ページ)
 建築基準法の改正により、2000年6月から主要構造部の耐火性能(法第2条、令第108条の3第3項、以下「耐火性能」という)、開口部の遮炎性能(令第108条の3第4項、以下「防火区画」という)、階避難安全性能(令第129条の2第1項、以下「階避難安全」という)、全館避難安全性能(令129条の2の2第1項、以下「全館避難安全」という)がそれぞれ定義され、求められる性能が明確化された。それに伴い、告示に定められた方法による検証法(以下「ルートB」という)と高度な専門的な知識にて性能を確かめる方法(以下「ルートC」という)が設けられ、これまでに4年数ヶ月が経過し、それぞれの方法を適用する案件が増えてきている。本稿では、これまで適用されてきたルートB及びルートCの件数を挙げその傾向を示す。また、ルートCの適用状況については文献1)にて示しているが、これを加筆することによりルートCの傾向及び適用時の注意事項を示す。
 
◇性能規定の実施と技術/池田憲一(清水建設設計本部)(4ページ)
 建築基準法(以下「法」と略す)の性能規定化は、性能規定の追加だけではなく、法全体を性能の観点から見直した広義の性能規定化となっている。性能という共通尺度を設定し、これに対する判断基準を明確にして法の運用の透明性を追求したのが今回の性能規定化の姿である。従って耐火性能検証法や避難安全検証法だけでなく、仕様規定や認定試験についても新しい概念が登場した。これに伴い、旧法下では不可能であった技術が次々と実現している。ここでは、法改正の前後の技術開発や設計環境の違いを分析し、それに伴って発生した新しい技術を解説する。
 
◇プラダ ブティック青山店/吉田克之、竹市尚広(竹中工務店)(2ページ)
 世界中のブティックが集まる青山表参道地区に水晶のような形態のプラダ ブティック青山店が出現して1年半が経過した。この建物は建築基準法が性能規定に移行する過渡期に計画され、その制度を利用して実現した初期の建物である。スイスの建築家ヘルツォーク・ド・ミューロンによるデザインコンセプトを実現するために、この建物には建築・構造・設備・防災面で数々の工夫が盛り込まれている。その防災設計の概要を報告する。 
 
◇清水建設技術研究所新本館/池田憲一、広田正之(清水建設)(2ページ)
 建築基準法の性能規定化を受けて、清水建設技術研究所新本館に、「火災フェイズ管理型防災システム」、「ドレンチャー水幕型防火区画システム」、「新しい耐火設計概念・耐火設計システム」の3つの技術を、性能評価ルート(ルートC)による防火設計によって実現した。 
 
◇高層事務所-日本橋一丁目ビルディングの防災計画/崎山 茂(日本設計チーフアーキテクト)(2ページ)
 本計画は、東急百貨店日本橋店跡地(A街区)とその裏の配送センター・駐車場跡地(B街区)の2つの敷地から成る。5000m2を越える長方形に整った敷地の利点を活かし、できる限り広く整形で機能的な基準階オフィスフロアを設けることが計画初期から課題となっていた。当初から外資系金融企業をキーテナントとしてその本社ビルとして使われることが想定されており、3000m2に近い出来る限り整形のトレーディングルームを3層設けること、窓に面して3.6m角程度の個室事務室が多く並ぶ可能性があることが計画の条件になっていた。
 
◇ビビットスクエア/服部光宏、林 広明(大成建設設計本部)(2ページ)
 建築計画の概要  JR南船橋駅の北側に位置する延床面積約10万㎡の大型商業施設計画である。上空をブリッジやエスカレータが行き交う、自然光に包まれた半屋外の巨大な4層吹抜空間(本建物ではグランチャンバーと称する)を中央に内包することにより、猥雑な都会の喧騒を逃れた非日常空間を創り出し、新たな空間体験を提起するとともに、「体感する建築」と「消費」が生み出すシナジー効果を期待している。
 また、全館避難安全検証法による性能評価を取得し、吹抜け部分の外部扱いをはじめ数々の法的な規制緩和を実現し、それにより、利用しやすい平面計画とするとともに、コストダウンを図ることで事業性の向上にも寄与している。  デザイン面では米国のゲンスラー設計事務所を環境デザイン基本構想に起用し、サイン・グラフィックと合わせて自然をモチーフとした独自の世界観を創り出している。また、外観や吹抜けも素材感を重視し、様々な色でにぎわいを創ってきた従来のショッピングモールとは一線を画した、落ち着いた雰囲気を演出している。
 
◇小規模商業施設における防災性能評価の適用/本井和彦(竹中工務店設計部)(2ページ)
「札幌シャンテ」は札幌の商業地区の歴史的な基点である南1条地区に位置し、市民に長く愛された映画館「東宝日劇」の跡地に建設され、2004年12月にグランドオープンした商業施設である。  この施設は各テナントのブランドイメージを表現できる路面性、メッセージ性の高い施設作りを目指し、建物のコンセプトを内部のさまざまなアクティビティを発信するガラスキューブのイメージとしている。透明感の高い架構とダブルスキンの採用により、周囲の町並みに暖かさときらめく光のメッセージを送ることで新しい都市環境の創造を目指した。
 さらにこの施設の大きな特徴の一つとして加圧防煙システム、避難安全検証による防災性能評価の採用が上げられる。これにより小規模商業施設において、高い防災性能を確保しながら種々の区画免除を図ることで開放的なスペースを確保し、高い有効率を実現することが可能となった。以下にその計画と実施の概要を述べてみたい。 
 
◇コウヅキキャピタルウェスト/福井 潔(日建設計防災計画室)(2ページ)
 耐火性能検証法は、主として大規模建築物の構造部材の耐火時間を軽減し、それによって耐火被覆の性能を階に関係なく1時間耐火程度に抑えることによって、コスト削減を達成することに用いられることが多い。ここで紹介する例はそうしたコスト削減ではない。建物は13階建ての中規模ビルで、耐火被覆の軽減によって実現できる細く繊細な柱をデザインの主題にすえることによって、他では見られない斬新な外観の建物を実現した事例である。 
 
◇理想の音響実現のための階避難安全性能 ―コンサートホールの事例(軽井沢大賀ホール)/小菅克己、井田卓造(鹿島建設建築設計本部) (2ページ)
 音楽家としても知られるソニー株式会社名誉会長大賀典雄氏が軽井沢町に寄付するコンサートホールである。建設地は軽井沢駅近く約4.5haの矢ヶ崎公園内に位置し、遠くに浅間山を望み、目の前に公園池がひろがる風光明媚な潤いのある場所である。 大賀氏の考える音響的理想を実現するために、世界的にも類例の少ない5角形プランを採用し、初期反射音が理想的な分布を得るような様々な工夫がなされた。
 蓄煙により排煙設備を設けない計画としているが、外部騒音の遮音や適切な室内音響の実現を追求したためである。階避難安全性能を有することについて大臣認定を受ける(ルートC)ことで全館に渡り排煙設備を設けない計画としている。 
 
◆シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識56」
◇性能規定の適用状況/佐藤雅史(日本建築センター評定部)(4ページ)

 建築基準法の改正により、2000年6月から主要構造部の耐火性能(法第2条、令第108条の3第3項、以下「耐火性能」という)、開口部の遮炎性能(令第108条の3第4項、以下「防火区画」という)、階避難安全性能(令第129条の2第1項、以下「階避難安全」という)、全館避難安全性能(令129条の2の2第1項、以下「全館避難安全」という)がそれぞれ定義され、求められる性能が明確化された。それに伴い、告示に定められた方法による検証法(以下「ルートB」という)と高度な専門的な知識にて性能を確かめる方法(以下「ルートC」という)が設けられ、これまでに4年数ヶ月が経過し、それぞれの方法を適用する案件が増えてきている。本稿では、これまで適用されてきたルートB及びルートCの件数を挙げその傾向を示す。また、ルートCの適用状況については文献1)にて示しているが、これを加筆することによりルートCの傾向及び適用時の注意事項を示す。
 
◆定期調査報告関係地域法人紹介コーナー
◇東京都における定期報告制度の改正について/東京都防災・建築まちづくりセンター(6ページ)

 東京都防災・建築まちづくりセンターは、東京都・特別区・関係市・関係団体等の出捐によって設立された、建築物の安全性の確保に向けた諸事業を行う「財団法人東京建築防災センター」(昭和58年設立)と、良質な住宅及び住環境の整備推進に向けた支援事業を行う「財団法人東京都住宅・まちづくりセンター」(平成4年設立)を統合し、平成10年に設立された団体です。
 「まちの安全・安心」「住まいの安全・安心」「建物の安全・安心」をテーマに、大都市東京にとって大きな課題である木造住宅密集地域の整備、住宅の品質の向上、建築災害の防止等に関する広範な事業を、総合的・一体的に展開することによって、災害に強いまちづくり、安全で快適なまちづくりの一層の推進を図ることを目的としています。
 
 
 

*情報交流制度にお申し込みいただいた方には、当協会の月刊誌である「建築防災」をお配りしています。

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一般財団法人 日本建築防災協会 建築防災編集係
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