特集「さまざまな地震動とネットワーク」

当協会の機関誌「建築防災」(月刊)の紹介
No.323 2004/12月号
特集「さまざまな地震動とネットワーク」
シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識54」

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◆防災随想 
◇リスクファイナンスによる地震リスクの処理/佐藤一郎(東京海上日動リスクコンサルティング(株))(1ページ)
◆特集「さまざまな地震動とネットワーク」
◇耐震設計と入力地震動の考え方の変遷/石山祐二(北海道大学大学院工学研究科教授)(5ページ)
 耐震設計で想定している地震動やその大きさは時代と共に変化している。例えば、1924年の市街地建築物法改正による「水平震度0.1」、1950年に制定された建築基準法の「水平震度0.2」、1964年の高さ制限撤廃後の超高層建築物の設計に用いられている強震記録(エルセントロ波など)の最大加速度や最大速度、1981年から用いられている新耐震の標準せん断力係数の0.2と1.0、2000年から用いられている限界耐力計算の応答スペクトルなどは、地震動というものを耐震設計に取り入れるためどのように考えているかを反映している。また、最近では過去の大地震の際に記録された地震動を用いるのではなく、地震動の時刻歴を目標とするスペクトルや想定する地震に基づき、模擬地震動として作成し、それを設計に用いることもある。ここでは、地震動というものが耐震規定や耐震設計の中でどのように扱われ・考えられてきたのか、また関連する出来事などについて振り返ってみる。
◇日本建築センターの模擬地震動/松島 豊(筑波大学名誉教授)(4ページ)
 日本建築センターが提案した2つのレベルの模擬地震動(BCJL1及びBCJL2)の特性を、高層建築物の設計によく用いられる観測地震動や建設省告示の地震動などのそれと比較しながら考察する。とくにBCJL2について、その擬似速度応答スペクトルの特徴、地震動の継続時間の問題、エネルギー応答スペクトルの評価、ホワイトノイズとの相似性などに焦点を当てて述べる。
◇気象庁における強震観測/気象庁地震火山部 (文責)地震津波監視課強震解析係-石垣祐三(3ページ)
 気象庁の強震観測は、明治時代後期から全国的に行われ、デジタル記録が得られるようになったのは、1988年からである。1990年に世界に先駆けて震度が計測化されて以降、強震観測と震度観測は、ほぼイコールの関係になり、現在は、全国約600点で観測が行われている。
強震観測記録や震度データは、建築分野のみならず、地震現象の理解や防災教育など、様々な場面で利用されている。
◇防災科学技術研究所の強震観測網K-NET・KiK-net/刀 卓(独立行政法人 防災科学技術研究所)(3ページ)
 1995年の阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震の際、震度7の激しい揺れに襲われたいわゆる『震災の帯』の中では、壊滅的な被害があったにもかかわらず、強震計による地震動の記録をほとんど得ることができなかった。これは、密度の高い全国規模の強震観測網の整備がなされていなかったことによる。この事例を教訓として、防災科学技術研究所では、日本及び周辺で起こる地震による地震動を確実に記録するために、K-NETおよびKiK-netと呼ばれる大規模強震観測網を構築し運用している。これらは、日本全国をおよそ20km間隔で均質に覆う強震観測網であり、観測された強震データを、インターネット上で広く一般に公開することを特徴としている。
◇建築研究所における観測ネットワーク/鹿嶋俊英(独立行政法人 建築研究所 国際地震工学センター)(4ページ)
 建築研究所は実地震時の地盤震動や建物の挙動を観測し、その分析結果を耐震設計技術の向上に役立てることを目的として、建物を対象とした強震観測を行っている。このため表層地盤の増幅効果、建物と地盤の相互作用効果、及び建物の地震時の応答を適切に捉える必要があり、建物内や地盤上に複数のセンサーを設置した観測となっていることが特徴となっている。
1957年の強震観測の開始以来50年近くの間に建築研究所の観測網は新しい技術の導入や観測地点の拡充を着実に進めてきた。現在日本全国に77ヶ所の観測地点を展開し、記録の収集、整理、及び分析を行っている。本稿では建築研究所の強震観測の歴史と現況、及び最近の観測事例について紹介する。
◇ 全国を概観した地震動予測地図とその活用に向けて/翠川三郎(東京工業大学都市地震工学センター)(6ページ)
 平成7年阪神・淡路大震災を契機に、地震に関する調査研究を政府として一元的に推進するため、政府の特別の機関として、地震調査研究推進本部が設置された。これにより、平成11年に、今後10年間程度にわたる地震調査研究の総合基本施策が策定され、4つの主要な課題が設定された。それらの一つに、活断層調査、地震の発生可能性の長期評価、強震動予測等を統合した地震動予測地図の作成があげられ、平成16年度末を目途として、「全国を概観した地震動予測地図」の作成が開始された。ここでは、全国を概観した地震動予測地図の概要とその活用について述べる。なお、地震動予測地図の詳細については、地震調査研究推進本部HP(www.jishin.go.jp)を参照されたい。
◇写真に見る関東大地震(その5)/塩原 等(東京大学工学系研究科)(4ページ)
 関東大地震によって、東京全市の人口の65パーセントにあたる約130万人が住む家屋を失った。主な避難地に集まって来た群衆の数は、例えば上野公園では50万人、宮城外苑では30万人に達した。さらに、横浜市は東京より震源により近く東京と同様に大火災が発生して、罹災率で東京をしのぐものとなった。横浜市では平地が少なく、罹災者は命からがら最寄りの公園・広場又は丘陵地に避難して、燃え盛る火を眺めながら何のあてもなく夜になるのを待った。避難地の主な場所は、横浜公園、山手公園、新山下町の埋め立て地などで、横浜市全体でその数は40万人に上った。
これらの避難民は親戚・知人に頼ったり、警察や市の指示で次第に学校や寺院などの収容所に移って行ったが、大半は寝る場所もない状態で野宿を余儀なくされた。東京では日比谷公園、宮城前広場、上野公園などに天幕が配布されたが、これらの天幕に収容できた者はその一部に過ぎなかった。警視庁では、避難民の収容が可能な建物の状況調査を行い避難民を分散させるとともに、鉄道や連絡船の運賃や無料にして地方に行くことを奨励した。当時の唯一の輸送機関である鉄道は、東北線・信越線を除いて、復旧にかなり手間取っていたので、信越線の始発駅となった日暮里や東北線の始発駅となった田端に殺到した。さらに、鉄道省や海軍は、連絡船を出して芝浦や横浜と静岡県清水港、大阪港などを往復して、関西方面に罹災者の輸送を行った。

◆シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識54」
◇建築物とネズミ・昆虫等/田中生男(日本環境衛生センター)(4ページ)
 人間が生活する地球上には他の多くの生物も生息する。建築物内でも例外ではない。これらは屋内の環境に適応した種類である。偶発的に侵入するものも含めれば、とくに昆虫では、自然界に生息する種類のうちのほとんどを見ることができる。適応が起きるためには、巣場所、餌以外にも、活動場所や温湿度といった環境条件などが満たされていなければならないし、侵入する種類に関してもそれなりの理由がある。したがって多くの建築物では、この様な条件を人が作り出していると考えるべきである。生息が見られれば当然被害も起きる。ここでは誌面の都合で、建築物内で見られるネズミ、昆虫、ダニ等(図1)のうち、普遍的に見られる主要種だけについて、種類、それらによる被害、発生要因、対策に関して総括的に取り上げる。

◆定期調査報告関係地域法人紹介コーナー
◇新潟県建築住宅センター/佐藤 肇(新潟県建築住宅センター専務理事)
(4ページ)
 当センターは、建築基準法に定める特殊建築物等の安全牲の確保と防災対策に係る諸施策の推進及び適正な維持管理の重要性についての啓発活動を行うことを目的として、昭和49年に新潟県知事の許可を受け、財団法人新潟県建築防災センターとして設立されました。
その後、社会的要請に応じて住宅関連業務の振興を図る事業を推進するため、名称を財団法人新潟県建築住宅センターに改称しました。
現在は、設立当初の業務のほかに、財団法人住宅保証機構の住宅性能保証制度、完成保証制度及び既存住宅保証制度の事務取扱機関、指定確認検査機関、指定住宅性能評価機関、住宅金融公庫工事審査機関並びに証券化支援事業の適合証明機関としての業務を展開しています。

全国ネットワーク委員会ニュース
◇平成16年度第1回全体委員会開催報告 既存建築物耐震診断・改修等推進全国ネットワーク委員会
事務局日本建築防災協会(文責 杉山義孝)(6ページ)

その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。

財団法人 日本建築防災協会 機関誌係
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