特集「各種の事故とその防止対策」

当協会の機関誌「建築防災」(月刊)の紹介
No.322 2004/11月号
特集「各種の事故とその防止対策」 
シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識53」

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◆防災随想 
◇建築構造における他分野概念の導入について/森田高市(独立行政法人建築研究所)(1ページ)

◆特集「各種の事故とその防止対策」
◇自動回転ドアの事故とその防止対策について/直井英雄(東京理科大学教授)(3ページ)
 平成16年3月に発生した自動回転ドアの事故を受け、国土交通省および経済産業省の共同で「自動回転ドアの事故防止対策に関するガイドライン」が策定された。
本稿は、その策定のために設けられた検討会で委員長を務めた者として、策定の経緯等を報告するとともに、このような事故を包含する日常災害の研究者として、日常災害問題全体のなかでのこの事故の位置づけや意味、今後の教訓などについて考えてみようとするものである。

◇自動回転ドアの事故防止対策に関する ガイドラインについて/国土交通省住宅局建築物防災対策室(4ページ)
 平成16年3月26日に六本木ヒルズで男子が大型の自動回転ドアに頭部を挟まれ、死亡するという痛ましい事故が発生しました。
大型の自動回転ドアは最近になって導入されはじめたものであり、これまで死亡に至るような重大事故の発生という社会実態がなかったこと、また、事故情報が十分に報告されなかったことから、メーカーの自主的な取組に委ね、安全基準等が定められていませんでした。
しかし、今回の重大事故の発生を契機として、大型の自動回転ドアの設置に伴う危険性が認識され、大型の自動回転ドアの事故防止対策に関して設計者や管理者などが守るべきガイドラインの策定が必要となったため、国土交通省と経済産業省の共同で「自動回転ドアの事故防止対策に関する検討会(委員長:直井英雄東京理科大学教授)」を設置しました。
検討会は計4回開催し、自動回転ドアの事故防止対策に関するガイドラインを含む報告書が取りまとめられました。
国土交通省及び経済産業省では、この報告を踏まえ、6月29日に「自動回転ドアの事故防止対策に関するガイドライン」を定めました。

◇駐車場における自動車転落事故防止対策について/国土交通省住宅局建築物防災対策室(4ページ)
 平成14年9月18日に、名古屋市の幼稚園で、園舎の屋上に設けられた駐車場から園庭に自動車が転落し、園庭にいた園児が死亡する事故が発生しました。
報道によれば、自動車は、駐車場の車止めを乗り越え、転落防止用の鉄さくを突き破って園庭に転落したとのことです。
駐車場の安全基準については、昭和50年代から60年代にかけて立体駐車場における自動車の転落事故が相次いだことから、昭和61年に日本建築センターと日本駐車場工学研究会により「立体駐車場における自動車の転落防止に関する調査報告書」が取りまとめられ、それを受けて建設省(当時)建築指導課から自動車転落事故防止のためのガイドラインを発出していました。
しかしながら、このガイドラインが立体駐車場を対象としていたことから、今回の事故を踏まえ、国土交通省としては、屋上駐車場についての技術的な対策が不十分との認識の元、このガイドラインの見直しに着手しました。
翌年2月に、ガイドラインを「駐車場における自動車転落事故を防止するための装置等に関する設計指針」に改め、各都道府県をはじめとした建築確認関係機関や、設計・施工の関係団体、駐車場の関係機関にあてて通知するとともに、インターネットを通じた周知を図りました。
本稿は、本ガイドラインに係る主な改正点について紹介するものです。

建築物の解体工事における外壁の崩落等による 公衆災害防止対策に関するガイドライン/国土交通省住宅局建築物防災対策室(2ページ)
 国土交通省では、平成15年3月13日に静岡県富士市において建築物の解体工事現場における外壁等の崩落による重大事故が発生したことを受け、「建築物の解体工事の事故防止対策に関する検討会(委員長・石山祐二北海道大学大学院工学研究科教授)」を設置して検討を実施しました。
同検討会において標記ガイドラインの案がとりまとめられたことを受け、国土交通省総合政策局長及び住宅局長から、同案について7月3日付けで国土交通省のガイドラインとして、関係業界、地方公共団体等に対し通知を行いました。
本稿では、当該ガイドラインについて解説とともにご紹介します。

◇大規模空間を持つ建築物の天井の崩落対策について/国土交通省住宅局建築物防災対策室(1ページ)
 平成15年9月26日に発生した十勝沖地震では、空港ターミナルビル等の天井が崩落する被害が生じました。その被害について、国土交通省国土技術政策総合研究所及び独立行政法人建築研究所により、「2003年十勝沖地震における空港ターミナルビル等の天井の被害に関する現地調査報告」がとりまとめられました。国土交通省では、この報告において示された崩落原因の可能性を踏まえ、建築基準法施行令第39条第1項の規定の適用に当たって参考となる対応についてとりまとめ、通知を行いました。
なお、平成13年6月1日に国住指第357号で都道府県建築行政担当部長あて通知した「芸予地震被害調査報告の送付について(技術的助言)」の内容については、今回の十勝沖地震の被害状況に鑑みても引き続き概ね妥当なものと考えられましたので、今回新たに得られた知見を追加して改めて通知しています。

◆シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識 53」
◇ 給水・排水通気設備の維持管理/山崎和生(西原衛生工業所技術部)(5ページ)
 給水・排水通気設備は主として、飲食・排せつなどの生活するために必要な水を扱う設備であり、建物を利用する人々の健康保持および生命維持にかかわる衛生的環境を実現することが目的となる。そのためには、衛生性の確保が大原則であり、給水設備における飲料水の汚染防止、排水通気設備におけるすみやかな排出・下水ガスの室内への侵入の防止などが基本である。このためには、給水・排水通気設備の設計・施工もさることながら、適切な維持管理が重要となる。本稿では、給水・排水通気設備の基本事項と衛生性を保持するための給水・排水通気設備の維持管理について述べる。

◆定期調査報告関係地域法人紹介コーナー
◇鹿児島県住宅・建築総合センター(2ページ)
 鹿児島県は、南端は珊瑚礁と星砂で有名なトロピカルアイランドの与論島、北端はスキー場建設も可能と判断された寒冷地の大口市です。
この2点間の距離は約600kmあり、広大な県域を形成しています。ちなみに地図上でこの2点間をコンパスでクルリと差し廻すと、コンパスは京都を指します。

◆ぼうさいさろん
◇写真に見る関東大地震(その4)/塩原等(東京大学工学系研究科)(4ページ)
 我国で最初にライフラインの地震被害に対する注目が高まったのは、1978年の宮城県沖地震の時に都市ガスが場所によって1ヶ月近くも止まる被害が起きたことだと言われている。しかし、ライフラインの被害は古くから報告されている。1906年のサンフランシスコ大地震では、ケーブルカーが運行を停止し、一部の路線の復旧に2年、完全な復旧には9年の歳月を要したことが記録に残っている。関東大地震においても、当時既に鉄道・電気・水道・電信電話のライフラインの被害が記録されている。

行政ニュース
特定都市河川浸水被害対策法と地下街浸水対策について -地下街等浸水時避難計画策定の手引き-/緒方和之(国土交通省河川局治水課都市河川室)(4ページ)
 本年5月15日に施行された特定都市河川浸水被害対策法は、都市部を流れる河川を特定都市河川等に指定し、浸水被害対策の総合的な推進のための流域水害対策計画の策定や雨水の流出を抑制するための規制等により、浸水被害対策を推進するものである。本法では、都市洪水想定区域等の地下街管理者等に対して、洪水時の利用者の避難計画作成を努力義務として規定している。このため国土交通省では、地下街等浸水時避難計画策定の手引きを6月に作成し公表した。
住宅用火災警報器の設置義務化等による 住宅防火対策の推進 ―火災予防条例(東京都条例第65号)の一部改正―
/大前光昭(東京消防庁予防部参事)(5ページ)
 先般、火災予防条例の一部が改正され、住宅用火災警報器を住宅に設置することが義務付けられました。本改正条例は、本年10月1日に施行されることとなっています。
そこで、条例改正までの検討経緯や規制の概要等について紹介します。

◆協会だより
住宅の耐震改修技術等の評価制度について (住宅等防災技術評価制度)/日本建築防災協会(2ページ)
 平成7年の阪神・淡路大震災では地震被害に直接的に関わって約5,500人もの命が奪われましたが、そのうちの約9割が木造住宅の倒壊等による圧死でした。近年、宮城県沖地震、東海・東南海・南海地震等大地震の再来の逼迫性が指摘され、木造住宅の耐震性の向上が喫緊の課題となっています。
木造住宅の耐震診断、改修方法については、近年さまざまな方法が開発されており、耐震改修実施の際に使われ始めていますが、その性能については十分な検討が行われていないものもあります。住宅の所有者等がこれらの新しい方法を採用しようとしても、その効果について客観的な評価が分からないなどの問題が生じており、このようなことが所有者等が耐震改修に踏み切れないことの原因の一つになっていると考えられます。
これらの状況を鑑み、本会では、住宅の耐震診断、改修技術等の評価を実施することといたしました。評価に当たっては、学識経験者・技術者で構成する「住宅等防災技術評価委員会」(委員長 坂本
功 東京大学大学院工学系研究科教授)を設置し、主として既存住宅の耐震性能等防災性能の低下の防止、回復または向上を目的とする技術で、調査・検査、設計・施工、維持管理に関する技術等を評価対象としています。
技術評価した技術については、さまざまな方法で公開し、広報していく予定です。住宅の所有者等が耐震改修を検討する際、また、地方公共団体が耐震改修を住民に呼びかける際に是非参考としていただきたいと考えています。また耐震改修に係る新技術の開発者には、開発目標を定めることができることとなり、この評価制度を通じてさまざまな技術が新たに生まれてくることも期待しています。
この制度は2004年11月1日に発足いたします。
制度の概要は下記の通りですが、ホームページでもご覧いただけます。
URL http://www.kenchiku-bosai.or.jp
問い合わせ先  日本建築防災協会企画調査部  電話03-5512-6451

その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。

財団法人 日本建築防災協会 機関誌係
東京都港区虎ノ門2-3-20 虎ノ門YHKビル8階
電話:03-5512-6451 FAX:03-5512-6455
mail:kenbokyo@kenchiku-bosai.or.jp

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