特集「実大三次元振動破壊実験施設」

当協会の機関誌「建築防災」(月刊)の紹介
No.319 2004/8月号
特集「実大三次元振動破壊実験施設」 
シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識50」

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◆防災随想 
◇火災安全安全のコミュニケーションそしてバランス/佐藤博臣((株)イー・アール・エス リスクマネージメント部)(1ページ)

◆特集「実大三次元震動破壊実験施設」
◇実大三次元震動破壊実験施設整備計画/大谷圭一(防災科学技術研究所技術参事)(4ページ)
 阪神・淡路大震災の教訓  平成7年1月17日未明に発生した阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)は、6千4百余名の尊い犠牲者の発生、何万という構造物の崩壊や損壊、約10兆円の経済的損失を引き起こしました。この地震が発生するまで、地震防災や地震工学に携わる者は、日本の都市は地震に対して十分強くなっており、このように大規模の地震災害が起こるとは予想していませんでした。もし、万一起こることがあったとしても、それは関西地域ではなく、首都圏であろうと思っていました。1970年前後から日本の構造物の耐震性は大いに向上してきました。しかし、ほぼ同じ頃に、日本の各都市はその中に古い構造物を抱えたまま、急激に膨張していきました。今、冷静になって考えてみると、これら都市化していった地域は、破壊的な地震の揺れを経験していなかったのに、新しい構造物の耐震性を高める努力を続けることで、日本の都市は地震に対して強くなったと考えていたのです。

◇「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」
「テーマ震動台活用による構造物の耐震性向上研究」の概要/佐藤正義・井上貴仁(防災科学技術研究所 特定プロジェクトセンター
「実大三次元震動破壊実験施設の利用に関する研究」プロジェクト)(4ページ)
 防災科学技術研究所(以降、防災科研と称す)が、現在兵庫県三木市に建設中の「実大三次元震動破壊実験施設(ニックネーム:E-ディフェンス、以降ニックネームで示す)」は、実際に想定される地震により実大の構造物を破壊させ、大規模地震におけるその挙動を再現することが可能であり、実験研究の成果を構造物の耐震性向上に役立てることを目的としている。本稿では、防災科研がE-ディフェンスの有効利用を目指し取組んでいる「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」の「テーマ震動台活用による構造物の耐震性向上研究」の概要を報告する。

◇木造建物実験/坂本 功(東京大学大学院工学系研究科教授)・箕輪親宏(独立行政法人防災科学研究所流動研究員)・腰原幹雄(東京大学大学院工学系研究科助手)(5ページ)
 大大特における木造建物実験では、既存木造住宅の耐震性、特に倒壊のメカニズムを解明することを目的としている。これまでにも,数多くの木造住宅実大振動台実験が行われてきたが、これらは、比較的健全に建てられた住宅、新築の住宅を対象としたものが多く、しかも、住宅を完全に倒壊させた例は少ない。
既存木造住宅と新築木造住宅で大きく異なる点は、その構法と経年変化である。
本プロジェクトでは、こうした既存木造住宅の特性を把握した上で、実大振動台実験、実大静加力実験などを通して、その耐震性能の評価法を確立し、大災害時の安全性を確保することを目的としている。

◇地盤基礎実験/時松孝次(東京工業大学大学院理工学研究科建築学専攻教授)(4ページ)
 大大特プロジェクト、「II.震動台活用による構造物の耐震性向上研究(3)地盤基礎実験」では、地盤・基礎構造物系の地震時挙動の解明のため、既存中規模震動台による振動実験及び三次元数値シミュレーション解析を実施し、地盤・基礎構造物系の地震時挙動を把握し、E-ディフェンスでの実大実験を実施するための基礎資料を得るとともに、地盤・基礎構造物系の地震時挙動を高精度に予測できる手法の確立を目指しています。また、基礎構造の耐震性向上のため、杭頭半剛接合工法や液状化時側方流動対策の各種技術など新工法・新技術の開発・評価も行っています。さらに、E-デフェンスでの実大震動実験に向けて、施設整備及び実験計画について検討しています。これらの地盤基礎実験に関する研究業務を円滑に進めるため、防災科学技術研究所内に地盤基礎実験委員会を設置し、各研究項目の計画・実施・結果などについて審議・検討を行っています。

◆ぼうさいさろん

◇写真に見る関東大地震(その1)/塩原 等(東京大学工学系研究科)(3ページ)

東京大地震は必ず起こる
プレート理論や活断層に基づく地震発生のメカニズムの解明によって、首都圏に大地震が近い将来必ず起ることを誰しもが当然のこととして認める時代がやってきた。片山恒雄先生の最近の著書に「東京大地震は必ず起きる」がある。この著書ではやがて東京を襲う大地震の状況を想定して、阪神・淡路大震災などの被害例に学びつつその対応策についての提言が示されている。

◆建築保全のための建築物調査の基礎知識49
◇地中埋設物の維持管理/佐藤紀男(佐藤建築事務所)(5ページ)
 敷地内の地中には、建物としての機能や快適な執務・生活環境などを維持するために必要な引き込み配管(給水、ガス、電気、電話等)や排水管(雨水、汚水、雑排水等)及びそれらに付随する弁類やマスなどが埋設されている。
この中の一つでも、故障や不具合が発生して使用できない状態になると、建物に要求される機能が失われることとなる。
特に、通路、排水溝、マンホール、配管等の周囲は、一旦掘り起こした土で埋め戻されている場合が多いため、長い間には埋戻土が締め固められ、圧密を起こして沈下する場合がある。
地中埋設物は地表から見ただけでは、何が埋まっているか、そのルートはどうなっているかが分からない場合が多い。
そのため、不用意な掘削や重量物を積んだ車輌の通行などにより、配管が折損したりしてガス漏れ、漏水などの事故を引き起こすことがある。
建物管理者は、設計図面やマンホール位置などから、どこに何が埋まっているかを把握しておく必要がある。
また、マスの清掃状態や舗装表面のひび割れや盛り土部分の地割れなどの兆候を発見した場合は、早急に各種の機器類を使用して地盤沈下の有無などを確認するとともに、常に良好な状態を維持するための補修・改修対策が必要である。  ここでは、地中埋設物の維持保全に関する事項について取りまとめて見た。

◆定期調査報告関係地域法人紹介コーナー
◇福井県建築住宅センター(3ページ)
 当センターは、住宅需要者の保護、建築関連業会の健全な発展及び建築物の防災対策の推進を図り、もって県民の快適な生活を実現することを目的として昭和59年4月に福井県知事の認可を受け福井県建築住宅センターとして設立されました。
設立当初は、昭和55年に創設された、住宅性能保証制度による住宅性能保証機構の地方事務機関の業務を中心に業務を開始し、県が住宅取得者に「福井県持ち家づくり支援事業」で行う住宅金融公庫融資の利子補給の事務を合せて行っておりましたが、その後、建築基準法第12条に基づく、定期調査報告業務、すまい情報センターの住宅に関する各種相談事業、住宅の品質確保の促進に関する法律に基づく指定住宅性能評価機関としての業務、完成保証制度の導入等と、事業を拡大してまいりました。

◆定期調査報告関係地域法人ニュース
◇中学生向け小冊子「いえづくり・まちづくりと 建築防災」発刊について/岡部光男(大阪建築防災センター事務局次長)(3ページ)
 大阪建築防災センターではかねてから児童向け防災啓発の事業に積極的に取り組んで来ております。平成7年1月に勃発した阪神・淡路大震災以後は、小学生向け小冊子「みんなで考えよう 地震 かみなり 火事 台風
」を作成し、主に大阪府内の希望のある小学校に無償配付して現在33万部をこえる部数になっております。<本機関誌掲載:建築防災2003.10月号、児童向け建築防災の指導啓発に関する取り組みについて>

◇小学生向け防災冊子 『みんなで考えよう』の発行について/埼玉県建築住宅安全協会(2ページ)
 私どもの協会では、今年2月末に小学3年生を対象に、防災冊子『みんなで考えよう』を発行しました。この冊子は、建築物に絡んで起こり得る事故などに対する防災意識を育んでもらうことを目的にしています。身近なエレベーターやエスカレーターなどの昇降機、落下物及び転落事故に対する注意喚起、また、火事、地震などの災害と近年目立つようになってきた「都市型水害」について、普段から気をつけることや、万一のときの対応などをまとめたものです。
A5判、20頁もので、各市町村教育委員会を通じて、公立小学校719校、6万6千名の児童に配付させていただきました。内容を見直しながら、今後も引き続いて発行していく予定です。

その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。

財団法人 日本建築防災協会 機関誌係
東京都港区虎ノ門2-3-20 虎ノ門YHKビル8階
電話:03-5512-6451 FAX:03-5512-6455
mail:kenbokyo@kenchiku-bosai.or.jp

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