特集「2003年十勝沖地震」 

当協会の機関誌「建築防災」(月刊)の紹介
No.315 2004/4月号
特集「2003年十勝沖地震」 
シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識46」

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◆防災随想 
◇なぜ説明が必要なのか/竹市尚広((株)竹中工務店設計本部)(1ページ)

◆特集「2003年十勝沖地震」
2003年十勝沖地震と北海道周辺の地震活動/笠原 稔(北海道大学理学研究科地震火山研究観測センター教授)(4ページ)
 平成15年9月26日4時50分(日本時間)、十勝沖を震源とするMj8.0の地震が発生した。気象庁による震央位置は、北緯41.78°、東経144.08°で、昭和27年(1952年)3月4日の十勝沖地震、Mj8.2と、ほぼ同じ位置であった。この地震で、北海道の日高・十勝・釧路地域では、最大震度6弱を記録すると共に、直ちに、津波警報が北海道太平洋東部・中部に、津波注意報が北海道太平洋西岸から東北地方青森県から福島県までにだされた。この地域では、歴史的に知られている19世紀中ごろから、津波を伴う大地震が繰り返し発生しており、その原因は、太平洋プレートと北海道を載せたオホーツクプレートの相対運動にあることが知られており、必ず繰り返すことは明白であった。同年3月、地震調査研究推進本部・地震調査委員会(2003)は、過去の活動を中心とした長期評価を行い、十勝沖の領域では、今後30年間でのM8クラスの大地震の発生確率は、60%を超えると発表していた。今回の地震は、その領域内で発生したM8の地震であり、まずは、想定内の地震だといえるものであった。しかし、細部においては1952年十勝沖地震とも異なり、必ずしも、想定地震に対応するものではないことが明らかになりつつある。ここでは、十勝沖の地震活動の特徴と共に、今回の地震から見えてきた今後の問題点について簡単に報告する。

◇平成15年十勝沖地震の被害状況とその対応について/北原武夫(北海道建設部建築指導課建築基準グループ主査)(3ページ)
 平成15年(2003年)9月26日午前4時50分に「平成15年十勝沖地震」が発生し、本道の太平洋沿岸のほぼ全域と内陸の一部に甚大な被害を受けた。
ここでは、この被害状況全般と、各種支援措置、罹災証明並びに応急危険度判定実施の検討状況などについて報告する。
なお、被害状況の件数等は、平成15年12月10日現在の数値である。

◇2003年十勝沖地震における建築物被害-十勝地方の被害について-/井上圭一(釧路工業高等専門学校助教授)、石山祐二(北海道大学大学院工学研究科教授)(5ページ)
 2003年9月26日4時50分ころに発生した「平成15年(2003年)十勝沖地震」はマグニチュードが8.0であり、震源は「1952年十勝沖地震」とほぼ同じ場所であった。北海道の根室地方、釧路地方、十勝地方、日高地方において、最大で震度6弱まで観測された。各地で観測された震度と比べると、建物の被害は大きくなかったと報告されているが、ここでは、十勝地方におけるいくつかの建物被害、建物周辺の地盤被害についてまとめる。
この報告は、日本建築学会北海道支部が行なった地震被害調査をもとに、十勝地方における建築物に関わる被害を中心にまとめたものである。

◇日高地方における平成15年十勝沖地震の建築物被害調査/高橋章弘(北海道立北方建築総合研究所都市防災科長)(8ページ)
 平成15年9月26日(金)の早朝に発生した十勝沖地震は、北海道から東北地方までの広い地域で被害をもたらしました。平成15年は5月26日に宮城県沖地震、7月26日に宮城県北部地震が発生し、年間3度の大規模地震が発生した年となりました。北海道においてマグニチュード8クラスは、1994年北海道東方沖地震以来です。本報では、特に被害が大きかった日高地方を中心に、当研究所が行った現地調査について、その概要を紹介します。

◇2003年十勝沖地震の室内被害について/岡田成幸(北海道大学大学院工学研究科助教授)(3ページ)
 今回の地震の負傷者は重軽傷者を含め847名が報告されている。少なくない数字である。症例は骨折などの重傷が69例報告されており、既往の実験式から重傷者率を算定してみてもこれまでの地震と比較し決して小さな値ではない。
負傷者はその大部分が、自宅内で発生したものである。室内被害は、その発生時間にも依るが、人的被害に直結している。室内被害対策は基本的に個人の問題であり、適切な対策を施せば軽減化は可能であろう。しかし、多くの住人は対策をとろうとはしない。そこに室内被害対策の難しさがある。適切な対策とはどのような対策を言うのであろうか。どのような条件が揃うと人的被害に繋がるのであろうか。
本論は、2003年十勝沖地震で震度5強以上を記録した市町村の中から、被害が際立った浦河町・静内町・釧路市について実施した戸別世帯の室内被害状況ヒアリング調査を基に、上記問題について考察する。

◇2003年十勝沖地震における釧路空港の天井落下被害状況調査報告/西山 功(国土技術政策総合研究所住宅研究部長)(5ページ)
 平成15年9月26日午前4時50分頃に十勝沖を震源地とする気象庁マグニチュード8.0の地震(2003年十勝沖地震)が発生した。この地震により、釧路市(震度5強)の空港ターミナルビルにおいて大規模な天井落下が発生した。本報告では、被害調査の概要報告をする。
なお、調査結果を受けて、国土交通省住宅局建築指導課から都道府県及び関係機関あてに「大規模空間を持つ建築物の天井の崩落対策について」(技術的助言)が通知されたので、その内容についても紹介する。

◆建築保全のための建築物調査の基礎知識46
◇建築物周辺舗装の維持管理について(その2)/小林良太(前田道路(株)技術部)、光谷修平(大林道路(株)技術研究所)(3ページ)
 一口に舗装といっても、使用場所や求める性能によって多種多様である。例えばアスファルト舗装は、比較的安価で補修しやすい舗装である。コンクリート舗装は、アスファルト舗装の弱点である油や高温に強く、耐荷性に優れた舗装である。インターロッキングブロックやレンガ,平板などを用いるブロック系舗装は、美観・景観上の適応性が高く、補修工事や復旧工事が容易である。また、塗布系舗装は、無味な感もあるアスファルト舗装やコンクリート舗装に着色や描画を施すことができる。前編では、これら各種舗装の構造や特徴を紹介した。
本編では、建物廻りに施した各種舗装に顕在化する代表的な不具合の特徴とその補修方法や対処方法等、維持管理に必要な手法を紹介する。

◆定期調査報告関係地域法人紹介コーナー
◇(財)石川県建築住宅総合センター/(財)石川県建築住宅総合センター(5ページ)
 当センターは、建築物、建築設備及び工作物に関する建築基準関係規定との適合性の確認並びにその適正な維持管理の推進を通じて調査、研究及び指導を行うことにより、地域住民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって地域社会に貢献することを目的として昭和53年4月に石川県知事の認可を受け石川県建築防災センターとして設立されました。
設立当初の業務は、建築基準法第12条に基づく、定期調査報告を中心に業務を開始し、平成8年1月には石川県住宅センターと統合し現在の石川県建築住宅総合センターに改組・改称いたしました。
近年、国の建築・住宅行政の転換、社会ニーズの変化により、当センターの役割が大幅に拡充され「建築基準法」の改正に伴い指定確認機関の指定、住宅金融公庫審査業務委託、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」にもとづく住宅性能評価機関の指定をうけ、建築・住宅の確認・検査機関としての新たにな事業展開が図られました。
また、高齢者住居の安定確保に関する法律に基づく「高齢者円滑入居賃貸住宅の登録、閲覧」など住宅の情報提供の事業も実施しています。
なお、石川県、住宅金融公庫、住宅関連業界団体などと共に、建築・住宅・まちづくりに関する知識の啓発・普及・調査研究等を通じ住宅取得者の保護、住宅の質の向上、住環境の向上及び関連業界の資質の向上に寄与しています。今後とも建築・住宅・まちづくり等での新制度の創設や制度の改変の中で、その社会ニーズ・時代の要請に対応する事業展開を図り、建築住宅行政、住宅関連団体などと協力しながら、当センターが果たさなければならない課題に応えてまいります。

◆防火材料等関係団体及び材料・構造紹介コーナー
◇GRC(硝子繊維補強セメント板)/日本GRC工業会(4ページ)
 GRCはセメント又はセメントモルタルを耐アルカリガラス繊維で補強したガラス繊維補強セメント(Glassfibre Reinforced Cement)の略称で、引張強度及び靱性に劣る無機質セメントを引張強度に優れたガラス繊維で補った複合材料です。
昭和43年、耐アルカリガラス繊維が開発されて以来、繊維補強コンクリートの先駆けとしてGRCの開発が進められてきました。
ダイレクトスプレー法による大型パネルの製造・設計・施工技術の開発や、流し込み法、押出し法、プレス法等プレミックス技術の開発が進み、またGRCの優れた特性が認められて、建築内外装材料・景観材料・土木用材料等に広く使用されています。
一方、地球温暖化防止等環境負荷の低減・環境保護・エコ材料等が大きく取り上げられておりますが、GRCはライフサイクルアセスメント(LCA)でも他の材料に比べ優れているといえます。

◆災害報告
◇水槽近くの電気配線にはご用心!-海水魚が跳ねコンセントに-/村橋信男(東京消防庁野方消防署予防課主任調査員)(4ページ)
 平成15年8月23日(土)14時43分ごろ、東京都中野区内にある準耐火造3階建て二世帯住宅の2階・3階を所有する会社員(37歳)の玄関付近から出火し、内壁4m2、天井4m2、観賞用水槽4基などが焼損した火災が発生しました。
この火災は、玄関正面に置かれていた4基の観賞用水槽の裏側から出火しており、付近に火の気はなかったが、水槽の裏側に釘によりぶら下がっていた照明用6口テーブルタップの差し込みプラグが激しく焼けていた。
出火原因は魚の飛び跳ね又は、水中ポンプ式ろ過装置による飛沫により海水がテーブルタップにかかり、差し込みプラグ間でショートスパークしてテーブルタップの樹脂に着火したか又は、コンセントの受け刃の緩みにより発熱、出火したの両面から当署では原因調査を進めた。

◆行政ニュース
◇建築物の安全性及び市街地の防災機能の確保等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案について/国土交通省(4ページ)
 この法律案は、建築物の安全性及び市街地の防災機能の確保等を図るため、建築物に係る報告・検査制度の充実及び強化、防災街区整備事業の推進のための支援措置の拡充等の措置を講じようとするものである。
.概要

◇ハロン消化剤について-ハロン消化剤は限られた資源です。有効に使いましょう-/総務省消防庁予防課(4ページ)
 ハロン消火剤は、通信機器室、美術品展示室等のように他の消火設備では有効な消火が困難な場所に設置されるハロゲン化物消火設備に用いられる消火剤で、むやみに大気中に放出するとオゾン層を破壊することから、平成6年1月1日以降、その生産が禁止されました。
ハロン消火剤は、むやみに大気中に放出されないようにする必要がある一方で、他の物質で代替することのできない限られた資源であることから、国際的な合意のもとに回収・再利用等の徹底した在庫管理が行われており、真にその設置が必要な場所(クリティカルユース)であれば引き続きその設置が認められています。
ハロン消火剤については、不正確な情報により、その使用が禁止されていると誤解されている方が多数いらっしゃるようなので、本稿では、正しい情報をお伝えしたいと思います。


その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。

財団法人 日本建築防災協会 機関誌係
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電話:03-5512-6451 FAX:03-5512-6455
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