(特集「重要施設の地震防災対策」)

当協会の機関誌「建築防災」(月刊)の紹介
No.314 2004/3月号
特集「重要施設の地震防災対策」 
シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識45」

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◆防災随想 
◇耐震性と建物の寿命/神谷敏之((株)山下設計)(1ページ)

◆特集「重要施設の地震防災対策」
わが社の大地震対策/佐々城孜(河北新報社総務局長)(4ページ)
 河北新報社は昨年、創刊以来初めて、本社から離れた場所に新しい印刷センターを建設した。遠くない将来に宮城県沖地震が再来するといわれている上、従来の2ヵ所での印刷から一局集中印刷になるとの事情もあり、大地震対策として免震構造を導入し、各種設備のバックアップ機能も可能な限り充実させた。編集・制作部門が入っている本社新館は幸い硬い地盤に恵まれており、ハード面での不安は少ない。むしろ、大地震発生でインフラが途絶するほどの被害が出た場合、社員が出社のための手段を確保できるのかどうかが、不確定要素としてクローズアップされている。

◇静岡朝日テレビの地震防災対策/内藤正明((株)静岡朝日テレビ総務部シニアマネージャー)(3ページ)
 「駿河湾を震源とする大規模地震の発生が予測される。そのエネルギーは最大規模のマグニチュード8クラス」というショッキングな学説が発表されて30年近くが経過した。歴史的に見れば東海地震は100年~150年の周期で繰り返し発生している。
また発生のメカニズムであるプレートの歪みの蓄積にも異常が観測されているが現在震源域とされるこの地域にはこれといった地震の発生はない。しかしその静寂さがかえって北海道、東北と地震が頻発する中で不気味さを増幅させるものとなっている。
現在行政、自治組織を始めとして県民挙げての防災活動が展開されていることは読者の衆知する処である。ここではマスメディアの一翼を担うテレビ局としての静岡朝日テレビが「その時に向けどう備え、どう対応するか」を紹介する。

◇宮城県庁の地震防災対策/樋口政志(宮城県土木部建築宅地課長)(5ページ)
 平成15年5月26日、7月26日の2度にわたり宮城県では大きな地震にみまわれ、多くの被害をこうむった。特に、7月26日の地震では、1日に震度6弱以上の地震が3回もあり被害を拡大させることになった。宮城県庁舎はこのような災害時に災害対策本部となり、災害対策の中枢をなすべき建築物となる。この宮城県庁舎の設計・施工時からの耐震対策や災害時の業務体制等について、今回の地震時の対応を含めて報告します。

◇静岡県庁舎の地震防災対策/岩田俊昭(静岡県総務部財務総室庁舎管理室)(8ページ)
静岡県では昭和51年8月、東海地震説発表以来、約28年間地震対策及び建築物等の耐震対策の推進を図ってきている。
今回は、地震災害時に防災拠点となる県庁舎の体制、及び災害対策本部となる別館、本部を補佐、支援する東館、本館、西館の耐震対策について紹介する。

◇消防庁舎の耐震対策-仙台市消防局-/石井正昭(仙台市消防局総務部管理課施設装備係長)(3ページ)
 昭和53年6月12日に発生したマグニチュード7.4の宮城県沖地震。仙台では震度5を観測し、現市域で死者16人、負傷者約1万人、住家の損壊約9万棟の被害が生じるなど、人口50万人以上の都市がはじめて経験した都市型地震災害といわれ、建築基準法を満たさないブロック塀や宅地造成等規制法以前の造成住宅の危険性が大きな社会問題となった。
あれから今年で26年が過ぎ、すでに市民はあの地震による大惨事を過去の出来事として忘れ去られている。

◇消防庁舎の耐震対策-名古屋市消防局-/名古屋市消防局総務部施設課(5ページ)
 名古屋市消防局では、出動部隊として名古屋市内に16消防本署(1行政区に1署)、44出張所、5方面特別消防隊の合計65施設を有しています。また、隣接する西春日井郡豊山町の名古屋空港には、消防航空隊を設置しています。
ところで、従来から東海地震の発生が憂慮されるなか、名古屋市は、政令指定都市では初めて、平成14年4月24日大規模地震対策特別措置法第3条に定める地震防災対策強化地域に指定されました。
喫緊の課題として、地域の防災活動拠点として消防庁舎の耐震化が重要な課題となっております。
そこで今回、上記の65施設の耐震対策の現況等について、紹介させていただきます。

◇石油コンビナート等特別防災区域の地震防災対策/井鍋進(静岡市消防本部指導課長)(9ページ)
 静岡市消防本部管内の石油コンビナート等清水特別防災区域は、清水港北部の総面積114万m2の区域が昭和51年7月に県内唯一の特別防災区域に指定されている。
また、石油コンビナート等防止法の適用を受けている特別防災区域は全国で85ヶ所に及びますが、その中で唯一、昭和53年12月に施行された大規模地震対策特別措置法の適用を受けた特異な区域でもある。
51年の特別防災区域指定当初は、石油精製、石油貯蔵、高圧ガス貯蔵と、製材関係の事業所が主要なものであったが、その後、昭和62年に石油精製プラントが廃止され、内陸側に立地していた製材関係や、石油貯蔵関係の事業所の多くが移転、廃止され、現在の特定事業所は東燃ゼネラル石油地区と袖師第2埠頭地区にそのほとんどが集約されている。
特定事業所は14事業所で、4事業所が第1種事業所・10事業所が第2種事業所に指定されている。
石油の貯蔵・取扱量については、702,899klで全国の防災指定区域の中で39番目、高圧ガス処理量は45,902,938Nm3で27番目に位置する石油コンビナート等防災区域の地震防災対策について概要を紹介する。

◇東京消防庁渋谷消防署新庁舎における免震構造について/野村敏幸(東京消防庁総務部施設課課長補佐)(5ページ)
 平成15年11月に竣工した渋谷消防署の新庁舎は、当庁ではじめて免震構造を採用した消防庁舎である。東京都震災対策条例では、消防庁舎は防災上特に重要な建築物として位置づけられ、耐震性及び耐火性についての強化が求められている。消防庁舎は、構造設計指針に基づき、構造計算における必要な耐力にさらに用途係数を乗じて耐震性能を高めている。
近年、免震構造は様々の技術開発が行われ、優れた耐震安全性及び機能維持性が認められてきている。免震構造の特長として大地震に対する施設や収納物の高い機能維持・保全があげられる。
そこで、渋谷消防署新庁舎の設計にあたっては、構造形式として免震構造を取り上げ、従来の耐震構造との比較の中で、採用の適否について検討を行った。その結果、各種条件が免震構造に十分に適したものであることから、採用に至ったものである。本稿では、免震構造の効果、設置状況、採用条件などについて紹介する。
2 免震構造の概要

◇災害に強い通信サービスを目指すNTT東日本/田中啓行(東日本電信電話(株)サービス運営部災害対策室担当部長)(6ページ)
 NTT東日本では、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモ等と災害発生時には、NTTグループと連携した対応を実施している。NTT東日本はその方針に基づき、復旧と支援活動の展開、地方公共団体との連携による防災対応をおこなっています。
地震などの災害発生時にこそ、通信手段の確保が重要な問題となってきます。「災害に強い通信サービス」を目指すNTT東日本について、その災害対策の必要性から使命、具体的な防災対策・安否確認システム(171)を紹介致します。

◇東京消防庁における震災時の職員参集計画等について/竹内吉彦(東京消防庁警防部警防課課長補佐兼計画係長)(3ページ)
 東京に大地震が発生した場合、都内に同時多発する火災、救助、救急事象に対応するため、東京消防庁(以下「当庁」という。)では全庁の組織を挙げて震災消防活動を実施するための震災消防活動計画、職員の招集計画等を策定している。
また、毎年秋には庁を挙げて大規模な震災消防演習を実施し、消防職・団員の震災消防活動について演練している。
震災時の当庁職員の参集要領、消防活動要領等については、東京消防庁震災警防規程(以下「震災規程」という。)に規定されている。震災規程に定める職員の参集計画により東京都23区、東京都多摩東部及び東京都多摩西部(以下本稿では「都内」という。)のいずれかに震度5強以上の地震が発生すると自動的に管下全域に震災非常配備態勢が発令され、休日・夜間であれば勤務中の当務職員(約4千人)を除く職員(約1万4千人)及び全消防団員が所定の消防署等に参集し、消防活動を行なうこととしている。
阪神淡路大震災時の参集についても消防職員がいち早く消防署に参集したという記録があるが、当庁職員も非番、週休日(公休日)等常日頃から災害対応や震災に備えた迅速な参集に備えている。
また、震災時の迅速な職員参集確保を目的とした管内への職員居住を促進するため、消防庁舎等の改築等に併せて消防待機寮(家族寮・単身寮)を併設するなど消防待機寮の整備を促進している。

◆建築保全のための建築物調査の基礎知識45
◇建築物周辺舗装の維持管理について(その1)/小林良太(前田道路(株)技術部)、光谷修平(大林道路(株)技術研究所)(3ページ)
 人や車両の通行に便利なように、道路面をアスファルト混合物やセメントコンクリートあるいはブロック等で固めたものを舗装という。
舗装の原始は、今にいう歩道舗装であり、歩行の快適さの恒久的維持を目的にしたものであった。その後、舗装は自動車交通の発達と使用者のニーズの多様化や価値観の変化に伴って広まりをみせ、今日では道路をはじめ各種施設などで多岐多様な舗装が用いられるようになってきた。
当然のことながら、建築物の周辺においても、構内道路、歩道、駐車場、広場等でその場所に必要な機能を有する各種舗装が施工されている。
本文では、今月から2回に分けて建築物周辺に使用される舗装の概要や維持管理について紹介するが、これまで舗装への関わりが少なかった読者にも理解しやすいよう、先ず今月号では一般的な舗装と建築施設で使用される舗装の概要について紹介し、来月号では後者の舗装の維持管理について紹介する。したがって、高速道路など重交通道路用の舗装については対象としていないので、それらについての詳細な説明は参考文献1)、2)に譲るものとする。

◆防火材料等関係団体及び材料・構造紹介コーナー
◇硝子繊維協会(グラスウール)/菅井富男(硝子繊維協会)(4ページ)
 硝子繊維協会は、ガラス繊維工業の健全なる発達をはかることによりわが国産業の発展に寄与することを目的に昭和36年に設立された。その事業活動は「短繊維」「長繊維」「織物」の3部会体制が三位一体となってガラス繊維の発展、共通の解決すべき問題を話し合い、産・学・官のご協力を仰ぎながらその解決策を実行に移しています。平成16年1月現在の会員数は12社でガラス繊維製品の製造、販売を行う法人をもって組織されています。
・上記の目的を達成するために行う事業は次のとおりです。
1)ガラス繊維工業に関する諸資料の調査及び集録
2)ガラス繊維工業に関する諸統計の定期的集録及び配布
3)ガラス繊維工業に関する諸規格の設定並びに協力
4)関係業者及び需要者との懇談並びに関係官庁及び諸団体との連絡
5)ガラス繊維製品の普及及び需要分野の開拓
6)機関誌“硝子繊維”の発行
7)その他、目的達成に必要な事業

◆うごき
◇耐震改修工事費調査について/橋本真一((財)建設物価調査会総合研究所課長)(1ページ)

◆投稿
◇法基準と設計者-随想”火災と地震”を廻って-/前川喜寛(元建設省建築指導課長)(3ページ)

その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。

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