(特集「宮城県北部連続地震における応急危険度判定」)

当協会の機関誌「建築防災」(月刊)の紹介
No.313 2004/2月号
特集「宮城県北部連続地震における応急危険度判定」 
シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識44」

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◆防災随想 
◇住宅火災に思う-高齢社会の安全安心-/矢代嘉郎(清水建設(株)技術研究所副所長)(2ページ)

◆座談会「耐震対策とこれからの建築防災を考える」/坂本功(東京大学大学院工学系研究科教授)、小川富由(国土交通省住宅局建築指導課長)、岡田恒男((財)日本建築防災協会理事長)、司会:杉山義孝(本誌編集委員、(財)日本建築防災協会専務理事)(11ページ)

◆特集「宮城県北部連続地震における応急危険度判定」
宮城県北部連続地震における応急危険度判定業務/樋口政志(宮城県土木部建築宅地課長)(12ページ)
 今回の地震では被害状況が把握し切れなかったこともあって、県外の応急危険度判定士に応援要請をしなかったものの、多くの行政庁、関係団体からボランティアで判定業務に従事して頂きましたことに厚くお礼申し上げます。次第に平静を取り戻しているかに見えますが、まだこれから本当の宮城県沖地震が来ると言われており、今までの教訓を速やかに実行に移すべく体制を整えております。応急危険度判定とは、大地震により被災した建築物を調査し、人命にかかる二次的災害を防止することを目的としたもので、この業務が十分浸透していない当県での対応について、今回遭遇した表記地震の当時を振り返り書きしたためますので少しでも皆様の参考になれば幸いです。

◇応急危険度判定で感じたこと/石田政道(宮城県土木部建築宅地課)(2ページ)
今回の宮城県北部連続地震で被災なされた方々に、お見舞い申し上げます。日常生活が一日も早く戻ることを心から願っております。
「備えあれば憂いなし。」誰でもわかっていることですが、それを実際行なっている人は残念ながら多いとはいえません。家具の転倒事故によるけが人が多かったことも、そのひとつのあらわれだと思いました。大規模地震は建物のみならず、弱いところを露わにしました。

◇応急危険度判定が終わって!/中村龍造((社)宮城県建築士会副会長)(4ページ)
応急危険度判定に参加して、月並みながら実感した事は何をさておいても火災と死者の出なかった事の不思議です。現地に入り、原状を確認し歩けば、歩く程、先ず最初にこの事を感じなかった判定士はいなかったでしょう!
海岸に近く、里山風景の残る田園地帯に散在する当地域はこの地震での被害を受けるまでは穏やかな気候と農作物、海産物の両方が都市への供給地域として緑豊かに暮らしやすい地域として、近年の経済不況を除けば暮らし易い事では評価されてきた土地柄です。
平成15年5月26日の地震があったばかりの衝撃が抜けきらないうちに7月26日又の地震です。
5月の地震は正直な話、宮城県三陸沿岸の方々は被害に合われ辛い思いをした事でしたが、石巻湾岸地域や仙台湾岸地域の方々は、この震度の割には被害が少なく、この程度で良かったと思われた方々が多いのではないかと思います。

◇宮城県北部地震の応急危険度判定について/高橋章弘(北海道立北方建築総合研究所)(3ページ)
 平成15年7月26日午前7時13分頃に宮城県北部を震源とするM6.2の地震が発生し、広範囲にわたって被害がみられました。しかし、北海道では太平洋沿岸域において震度1が確認された程度で、震源から遠隔地であったため震動が減衰し、道内では顕著な被害発生はありませんでした。平成15年は偶然の一致とはなりましたが5月26日に宮城県沖地震、9月26日には十勝沖地震が発生し、月は異にしますが年間3度の大規模地震が26日という日に発生し、記憶に残る1年となりました。北海道庁は、発災後に応急危険度判定調査のために職員2名の派遣を行いました。北海道庁では、平成7年兵庫県南部地震以降、毎年、北海道防災訓練の一環として道内各支庁の持ち回りで応急危険度判定訓練を実施しており、今回の震災はその訓練経験を十分に活かす場となりました。

◇応急危険度判定体験記/佐藤明(秋田県建設交通部建築住宅課)(2ページ)
平成15年7月26日、宮城県北部で発生した地震で被害を受けた地域の応急危険度判定を実施することになり、秋田県からは2名が参加した。両名とも判定を行った経験はなく、緊張と不安が入り交じった中で対策本部へ赴いた。判定に参加した期間は8月1日から2日までの2日間だけではあったが、多くのことを経験することができた。そこで、今回体験し、感じたことを簡単ではあるが紹介する。

◇「震度6強」被災建築物の応急危険度判定/橋階正治((社)岩手県建築士会一関支部長)(3ページ)
 7月26日(土)未明からその日の内に、震度6級の地震が、三度も襲った宮城県北部地震から三日後、岩手県県土整備部建築住宅課より、宮城県北部地震により、被災した家屋の応急危険度判定活動への参加要請が有り、一関支部では、私を含めて5名の方が参加する事になりました。
8月1日、小山りつ氏、河南町方面
8月2日、阿部鐵吉氏、河南町方面
8月3日、瀧澤順昭氏、鳴瀬町方面
同 高橋幸喜氏、矢本町方面
同 橋階正治矢本町方面
主に、8月3日、矢本町方面の応急危険度判定活動について概要を報告いたします。

◇応急危険度判定士奮闘記/本名仁(福島県土木部建築領域主任建築技師)、大和田茂憲(福島県土木部建築領域副主任建築技師)(2ページ)
 去る平成15年7月26日、宮城県北部で「震度6」の地震が連続して3回発生した。
局所的ではあったが、矢本町、河南町、鳴瀬町、鹿島台町、南郷町の5町で被害が大きく、現在も余震で安心できない状況である。全壊の建物が900棟近くあり、被害は大きかったが、幸いにも死者が出ていないのが救いである。
今回、福島県からは4名の判定士が作業に参加した。
判定士は、被災した建物の2次災害を防ぐため、建物が安全か否かを判定し、住人や通行人に知らせることを目的としている。2人一組となり、用意しているチェックシートをもとに「危険」「要注意」「検査済」の3種類のどれに該当するかを判定する。危険であると判定した建物や構造物には、どこが危険なのかを記載した紙を貼り、注意喚起をする。

◇宮城県北部地震の応急危険度判定に参加して/渡瀬久仁雄(神奈川県県土整備部建築指導課主任技師)(3ページ)
 平成15年7月26日未明に、宮城県北部を震源とする強い地震が発生した。神奈川県からは私を含め3名の応急危険度判定士の派遣を決め、8月1日から3日までの3日間(前後の移動日を含め5日間)の判定活動に従事した。3日間での判定結果は、木造95棟(危険16棟、要注意25棟)、S造20棟(危険3棟、要注意3棟)、RC造7棟(危険3棟、要注意2棟)である。

◇宮城県北部連続地震応急危険度判定に参加して考える今後の東海地震対策への取り組み/松倉強(静岡県都市住宅部建築安全推進室技師)、仲亀史和(静岡県富士市都市整備部建築指導課主査)(4ページ)
 平成15年7月26日宮城県北部において震度6規模の地震が連続して起こり、これにより多くの建物に被害が生じた。直後から各報道にて被災状況の映像が写し出され、東海地震の切迫性が指摘されている静岡県においては、行政のみならず、住民の関心は非常に高いものであった。今回、静岡県内の建築行政職員及び(社)静岡県建築士会会員が、宮城県により行なわれた応急危険度判定活動に協力した。また、あわせて今後甚大な被害をもたらすと予想される東海地震の対策へ向け実地研修を行ない、今後の静岡県内の応急危険度判定の実施体制整備へ向けた課題を探った。

◇はじめての応急危険度判定/久保剛司(久保剛司建築研究室)(2ページ)
 7月26日の宮城県北部地震については、ニュース等で見聞きしていましたが、被害もさほど大きくないようで、静岡県から、まさか自分が応急危険度判定士で行く事など全く考えていませんでした。静岡県内に居住していると、もう20年前から東海地震がすぐに起きてもおかしくない状況におかれているので、県、市町村、建築士会(当方会員)、マスコミ(週間地震新聞)等で、毎日のように地震という言葉を聞かない日はありません。日々の仕事(設計)はもちろんの事、ボランティアのTOKAI-0(倒壊ゼロ)の耐震補強相談士等でも、いやがゆえにも日常的に地震という事が入り込んでいる状態であります。応急危険度判定士としても、建築士会員であれば当然のごとく受け持ち、早11年が経とうとしています。しかしながら、いざ本番となりますと、建築士会員(静岡県小笠支部)としては、阪神淡路大震災以来(当方は実践なし)かと思います。そんな訳でありますので、はじめての応急危険度判定士として、どのように実践していくのか、また受け入れ側はどう対処してくれるのかを感じたまま本音で述べたいと思います。

◇宮城県北部地震の応急危険度判定に参加して/石原徳夫(愛知県建設部建築指導課技師)(2ページ)
 愛知県では、地震発生4日後に全国協議会からの案内を頂き、判定の最後の2日間(地震発生7、8日後)に、現在判定制度に携わっている一人ということで、私が判定活動に参加することとなりました。
日頃は、担当ということで、判定士講習会において建築士の方々に制度等について説明を行う機会があるのですが、実際の活動に従事した経験がないことから、なかなか実感を持つことができませんでした。
今回の判定業務に従事して、判定活動の実地体験が少なからずできたこと、また、判定士の受入側の判定実施本部、判定支援本部の業務について垣間見ることができ、改めて判定士の受入準備の重要性等について考えさせられ有意義なものとなりました。

◇応急危険度判定活動を通じて/鈴木章弘(三重県北勢県民局桑名建設部建築開発チーム技師)(2ページ)
 平成15年7月に起きました宮城県北部地震は、5月に起きた宮城沖地震の直後でもあり、地震対応に関して、関係官庁および民の力が、様々な面で迅速に作用する最中に、建築に携わる者として応急危険度判定活動に参加させていただきました。
私の判定活動は、最終日を含め二日間で、42棟の判定を実施いたしました。うち危険判定が5棟、要注意判定が9棟、残りが調査済判定という結果であり、現地へ入る前の予想よりは調査済判定が多く、判定につきましては、各危険度項目を判定し、総合判定するものであるか否か、二極化される場合が多いと言った方が良いかと思われます。
私は、土日の二日間、判定活動に参加したこともあり、住民の方々は復旧作業中にも関わらず、手を止め、判定活動にご協力頂き、様々な質問をしていただきました。
今回の判定活動を通じ、判定士としての使命感を強く感じるに至りました。

◇はじめて応急危険度判定に参加して/青木英治(大阪府建築都市部建築指導室建築企画課)、下窪義文(大阪府建築都市部建築指導室審査指導課)(2ページ)

 突然、応急度危険判定士として明日、宮城県に行って欲しいと言われたときは、現地の被災状況も判らなかったし、応急危険度判定に不安もありましたが、現地に行くと出発前の不安も吹き飛び、我々2人は町役場の職員の方と一緒に必死で判定業務に走り回っていました。

その中で、被災建物の入居者の方と短い時間でも、お話をし、被災状況を説明し、また、アドバイスをすることが非常に重要だと感じました。
我々が調査に参加できたのは、わずか2日間でしたが、被災建物を調査し応急判定を行うことにより、微力ながらでも、お役に立てたことは良かったと思います。
また、調査業務をしていると、忘れかけていた阪神淡路大震災の記憶が鮮明に思い出され、建築技術者として、何をすべきかを、改めて考え直さなければならないと思いました。我々が、宮城県北部地震に伴う被災建築物応急危険度判定に参加して貴重な経験になりました。

◆建築保全のための建築物調査の基礎知識44
◇維持保全計画の策定と普及(その2)-計画策定のポイント-/野々山光邦((社)建築・設備維持保全推進協会)(8ページ)
 前回(前半)では、維持保全計画の作り方について、建築基準法等の法令上の位置づけや、計画作成の考え方について整理してきた。今回(後半)では、計画を作成するときの重要ポイントとなる維持保全の実施体制や業務の進め方を中心に説明する。また今後の維持保全計画のあり方等についても触れてみたい。

◆定期報告関係地域法人紹介コーナー
◇(財)福岡県建築住宅センター/岡崎豊明((財)福岡県建築住宅センター安全推進担当部長)(3ページ)
 財団法人福岡県建築住宅センターは、県民の高度化・多様化する住まいづくりに応えるため、建築・住宅行政の補完的役割を果たす機関として昭和53年に設立されました。
住宅に関する知識の普及、住宅相談、住宅性能保証制度の普及等を通じて消費者の保護を図るとともに、モデル住宅の展示、住宅惰報プラザの運営や住宅フェアの開催等を通じて、的確な住情報の提供を行っています。また、工務店等の技術者に対する研修会の開催、建築技術に関する調査研究等を行い、併せて定期報告業務並びに福岡県の指定確認検査機関として建築確認等や国の指定住宅性能評価機関として住宅性能評価の諸業務を行っています。

 


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財団法人 日本建築防災協会 機関誌係
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