(特集「マンションの長期耐用化技術3・マンションの維持管理・前編」)

当協会の機関誌「建築防災」(月刊)の紹介
No.307 2003/8月号
特集「マンションの長期耐用化技術Ⅲ・マンションの維持管理・前編」 
シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識38」

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◆防災随想 
◇シックハウス規制の扉が開かれた/藏 眞人((財)建材試験センター理事・性能評価本部長)(1ページ)

◆特集「マンションの長期耐用化技術Ⅲ・マンションの維持管理・前編
◇マンションのストックの現状と課題/中野野昌司((社)高層住宅管理業協会マンション保全診断センター)(10ページ)

 一昨年、「マンションの管理の適正化に関する法律」が施行され、また昨年には「マンションの建て替えの円滑化等に関する法律」、「区分所有法の一部改正」などが相次いで施行、公布され、既存のマンションストックに対する行政の指導とともに、マンション管理組合の維持管理に対する認識も変化してきている。そうした現状と今後のマンションストックの課題について述べることとする。

◇マンション管理適性化法等の概要及び区分所有法の一部改正について/佐藤敏明((財)マンション管理センター企画・業務部長)(6ページ)

 土地の高度化の進展に伴い、マンションの重要性は増大しているが、マンションの管理に当たるそれぞれの管理組合が必ずしも管理業務に精通していないこと、管理組合と業務を委託している管理業務者が契約内容や金銭処理等のトラブルを起こす例があること、マンションの管理に関する専門的知識を持った人材、相談体制が不十分であること等、適切なマンション管理の推進に当たっての課題が存在している。
このような状況に対処するため、平成13年8月「マンションの管理の適正化推進に関する法律(法律第149号)」(以下「マンション管理適正化法」という。)が施行された。
以下で、本法律の概要と併せて、国土交通省が定めた「マンション管理適正化指針」についてその概要を記述する。

◇既存住宅に係る性能表示制度について/澁谷浩一(国土交通省住宅局住宅生産課課長補佐)(7ページ)

 住宅の品質確保の促進に関する法律(以下、「住宅品確法」という。)に基づく既存住宅に係る性能表示制度は、既存住宅の円滑な流通や住み替え、住宅ストックの質の確保・向上を目的として、新たに創設された制度である。
「中古住宅の検査及び性能表示等に関する検討委員会」(委員長:巽和夫京都大学名誉教授)等における約1年間にわたる集中的な検討を経て、平成14年8月20日付けで、根拠となる関連施行規則、日本住宅性能表示基準、評価方法基準、その他の告示が変更又は新設され、即日施行された。同年12月には、既存住宅の性能評価を担う住宅性能評価機関の第一弾の指定を行い、運用を開始したところである。その後、シックハウス対策関連の住宅性能表示制度の改正がなされ、若干の変更をみている。
本稿では、既存住宅に係る性能表示制度の背景と全体概要を紹介する。

◇マンションの建替えの円滑化等に関する法律及びマンションの建替えか修繕かを判断するマニュアルについて/元木周二(国土交通省住宅局市街地建築課課長補佐)(7ページ)

マンションという住宅形式は都市における居住形態として広く普及しており、全国のストック総数は、約427万戸にのぼる。
そのうち、老朽化等により、安全面又は居住環境面から建替えが避けられないマンションは今後急増すると見られており、その建替えの円滑化を図ることは、都市再生や居住環境の向上の観点から急務となっている。
このような状況を踏まえ、平成14年12月にマンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下、マンション建替え円滑化法という)、また平成15年6月に建物の区分所有等に関する法律及びマンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律(以下、区分所有法及びマンション建替え円滑化法の一部改正法という)がそれぞれ施行され、マンションの建替え円滑化のための、一定の法制度が整備された。
また、平成15年1月には、建替えの合理性や必要性を客観的に評価し、区分所有者間の合意形成を支援するため、「マンションの建替えか修繕かを判断するマニュアル」が公表された。
以下では、それらの法制度及びマニュアルの内容についてご紹介する。

◇マンションの定期調査報告制度とマンション健康診断技術者について/(財)日本建築防災協会(3ページ)
 マンションは、毎年約15~20万戸前後が供給され、現在のストックは400万戸を超えていると思われます。このストックは益々増大し、経年マンション(建物の老朽化・スラム化、住民の高齢化・滅少等)の適正な維持管理が今後の大きな社会的問題となっていくものと思われます。
建築物の適正な維持保全のきっかけとなるものして、建築基準法第12条に基づく定期調査報告制度があります。
一方、マンションは他の建築物と比較して、意志決定の際に複雑な手続きの必要な多数の区分所有者の存在や建築に必ずしも詳しくない管理組合による運営等の問題があります。
これらに対応するため、本会では特殊建築物等調査資格者を対象に、マンションの建築構造として大多数を占める鉄筋コンクリート系マンションの適正な維持保全を行う際の管理組合をサポートすることを目的として、「鉄筋コンクリート系マンション健康診断技術者」を養成しています。
特殊建築物等調査資格者におかれましては是非「鉄筋コンクリート系マンション健康診断技術者」としての知識を収得され管理組合をサポートしていただくとともに、管理組合におかれましては是非この技術者の方々を活用され、マンションの適正な維持保全を行っていただきたいと願っております。

◇BELCA「マンションドック」がスタート/田中定八((社)建築・設備維持保全推進協議会総合企画部長)(3ページ)
 BELCAは本年4月1日付で、かねてより準備を進めて来た既存マンションを定期に診断する仕組「マンションドック」をスタートさせました。マンションドック(BELCAの登録商標)と言う名称は、今では一般に普及・浸透している「人間ドック」に倣ってが考案したもので、既存マンションのロングライフ化を目的としています。
「マンションドック」とは、一定の要件を満たし当協会の登録を受けた診断事業者のことです。
「マンションドック」の行う診断の大きな特徴は①当協会が定めた標準診断メニューに従い、②ビルデイングドクター等診断の専門技術者がチームで診断を行い、どこのマンションドックに依頼しても、一定の品質が確保される仕組になっていることです。

◆シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識38」
◇雨樋の維持管理/佐藤紀男(佐藤建築事務所)(3ページ)

 近年、建物の外観に雨樋を見ることが少なくなったように感じる。
この背景には、建物の高層化に伴い、カーテンウォールなどで外壁が構成されるようになったため、雨樋により建物の顔としての外観デザインが阻害されるという考え方があるように感じられる。
そのため、雨樋は殆ど建物内部に収納する内樋となり、柱の内部やパイプシャフト内などに設置されるようになってきている。
雨樋を内部に設置すると、曲り箇所が多くなり、横引き管も長くなるため、複雑な配管構造となり、それだけ内部は詰まりやすく、清掃を行ううえでも困難な状態となってきている。
外観から見られてる雨樋としては、かろうじて戸建て住宅やかなり経年した勾配屋根の建物に見られる程度である。
雨樋には、屋根に降った雨水をスムーズに地上にまで排水する役目を担っているが、勾配屋根と陸屋根ではその仕組みが若干異なっている。
勾配屋根の場合は、屋根が受けた雨水を屋根勾配に沿って流れ、それが軒樋を伝わって、竪樋に流れ、地中の排水管に誘導される。屋根の形状により、軒樋・竪樋・はい樋及び谷樋(隅谷樋)が使用されている。
陸屋根の場合は、屋上面に降った雨水は排水溝を流れ、ルーフドレーンでゴミ等を取り除き、それからは勾配屋根と同様に竪樋を経由して地中排水管に誘導される。
雨樋に付属するものを、屋上面から列記すると、ルーフドレーン・呼樋・飾桝・竪樋・支持金物等があり、場合によっては防露被覆を施すことがある。
なお、ルーフドレーンには、屋根に溜まったゴミや木の葉などが排水管に入らないよう目皿が付いている。また、飛来した土砂、屋上仕上げ材からの「あく」などによって、樋が詰まり漏水を起こすこともあるので定期的な点検と清掃が必要となる。

◆定期調査報告関係地域法人紹介コーナー
◇(財)愛知県建築住宅センター/半澤洋二((財)愛知県建築住宅センター専務理事)(5ページ)
 当センターは、昭和48年12月に、愛知県・名古屋市をはじめ県下の特定行政庁と建築関係団体の出えんにより設立されて以来、「建築物等の安全及び住宅の資質向上に関する各種の事業・啓発事業」と謳われている設立目的に沿って県民の皆様の安全な住まいと良好な住環境の向上に寄与してまいりました。この間、経済・社会の進展と共に、建築物に対する要求も多様化、高度化の一途をたどり事業内容の整備を図ってまいりました。最近の建築・住宅の分野に於いても、新制度の創設や旧制度の改変など目まぐるしく行なわれております。愛知県内の58市町村が、新たに東海地震の防災対策強化地域に指定され建築物の耐震診断・改修等が一層促進されることなど、この時代の要請に的確に対応して行かなければなりません。一方、当センターでは、平成16年度より確認検査の対象建築物の制限をなくすなど、建築確認検査機構の充実強化を図ってまいりたいと考えています。愛知県の建築物、住宅の安心、安全な居住環境の整備に微力ながら貢献してまいります。

◆防火材料等関係団体及び材料・構造紹介コーナー
◇窯業系サイディング/日本窯業外装材協会(7ページ)

現在 住宅の外装材として、モルタル、窯業系サイディング、ALC、金属サイディング等が用いられているが、窯業系サイディングは昭和40年代に上市された住宅用外装材である。当時、モルタルが60%強のシェア-を占めていたが、その後、防火性、意匠性、耐久性、施工性等が評価され、また、防火構造に加え、準耐火構造の認指定等を取得したこともあって、窯業系サイディングは順調に成長し、
現在、住宅外装材シェア-の約70%強(約1億1千万㎡/年)にまで成長して来た。
窯業系サイディングはセメント、けい酸質原料、繊維質原料などを混合、板状に成型し、養生硬化させた乾式外装材で、組成的に大別すると
木繊維補強セメント板系、繊維補強セメント板系、繊維補強セメント・けい酸カルシウム系がある。

◆災害報告
◇韓国地下鉄火災が投げかけた課題/辻本 誠(名古屋大学大学院環境学研究科教授)(4ページ)

 韓国テグ市での地下鉄火災事故については、既に消防研究所の山田常圭ら、森田
武による詳しい報告があるので、本稿では事故そのものは概略を示し、筆者の視点を中心に事故の投げかけた課題を説明することとする。なお、本稿の情報源は取材先の韓国・行政自治部消防局 諸辰珠氏、同行した市民防災研究所 岡島 醇氏、青野文江氏及び上述の文献である。

◆投稿
◇”既存不適格への適用除外は「法不遡及」の大原則から”とするのは誤/前川喜寛(元建設省建築指導課長)(2ページ)
 建築基準法が既存建築物(工事中を含み)について、新法に適合しないものにはその条文を適用除外にしているのは、「法は遡及せず」の大原則からだとする誤が横行しているようである。この誤解に加えて基本である安全から考えないで、法律からだけしか物を見ない悪弊から、既存建築物の安全への対応が全く不充分であると思われる。本誌5月号でもこの誤解が見られるので敢えて指摘したい。

その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。

財団法人 日本建築防災協会 機関誌係
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