(特集「建築物と防災-駅編-」)

当協会の機関誌「建築防災」(月刊)の紹介
No.303 2003/4月号
特集「建築物と防災-駅編-」 
シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識34」

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◆防災随想 
◇建物も あなたと同じ 健康診断/森田高市(独立行政法人建築研究所)(1ページ)

◆特集「建築物と防災-駅編-」
◇駅ビルと防災/渡邉 聡(JR東日本東京工事事務所事業推進課長)(5ページ)

 近年、JR各社をはじめ鉄道会社による駅ビル計画は、複合機能を持った大規模な開発計画が増えています。従って、駅ビル及び併設する駅施設の安全性確保は極めて重要であり、火災安全についても防災計画に基づく防災システムの整備が重要な課題となっています。
 JR東日本は、民営化以降恵比寿駅ビルや立川駅ビルなどの大規模な線路上空利用建物の開発を行っており、その立地特性から1階又は2階に線路階を有し、その上層階に人口地盤を設け自由通路等を経て避難する防災計画を採用しています。そのために、線路上空特有の防災計画・構造計画上の制約を受けることとなり、これらの問題をクリアするために行政や所轄の消防署との協議を行い防災評定を取得し、必要により構造等の認定取得を得て計画を進めており、性能設計の導入等、防災関連法規の整備と共に、最新技術の導入等が必要となってきています。

◇SSP(札幌駅南口開発)/富松太基((株)日本設計 情報・技術センター シニアエキスパート)(7ページ)

 いわゆる「駅ビル」と一般的な「ビル」の違いを防災的に述べるのはかなり難しいが、立地という点では大きく異なる。「軌道敷」あるいは「駅」が接したり、建物の下に抱えるなどの複合要素がある。特にいざ避難という時に列車が通る線路に下りることはまず許されない。また、そう簡単にプラットホームに避難することも出来ない。このことから避難経路の確保ということが課題になる。さらに消防隊などの活動場所の確保も容易ではない。
 また駅は線路に沿って造られるのが通常であるため、必要なスペースを確保するために横長となるのも多い。駅ビルも同様になれば様々な課題を抱えることになる。
 交通の要衝となるため、他の交通機関との関連や地下街との接続なども通常のビルとは条件が異なるだろうし、商業施設をベースに「不特定多数」の利用するものとなることは免れない。これらの諸問題を解決してはじめて安全な駅ビルはできあがるのである。

◇東京駅の防災計画/渡部能理雄(JR東日本東京工事事務所 東京駅開発プロジェクト)(4ページ)

JR発足後、駅は当社の貴重な経営資源として、単に停車場としての機能に加えて、地域と一体となった駅スペースの活用や商業開発を行っている。
このような状況下において、東京駅については、不特定多数のお客様の安全を確保することを目的に、関係行政及びJR東海、㈱鉄道会館、JR東日本(以下、3社)との協議を重ね「東京駅防災計画書」を作成し、防災設備の増強・防火管理体制の強化を順次進めてきたところである。
以下に、この経緯及び計画の概要について紹介することとしたい。

◇大阪シティエアターミナル(OCAT)/大田俊美、東堤孝夫((株)湊町開発センター)(8ページ)
 当建物は、関西国際空港の建設計画に対応して、鉄道、高速道路で直緒する大阪の南の玄関口となる建物として計画されたものである。この建物の特徴は、地下1、2階には連続立体交差化事業で地下化されたJR難波駅を抱かえ、2階には高速道路のオフランプから直接進入できる公共バスターミナルを抱かえた公共性の高い駅ビルであるとともに、航空会社や海外の政府観光局等のオフィスやレストラン、物販の商業施設も入居した多機能複合のビルとなっていることである。
本稿では、このような多機能複合ビルにおける防災対策の観点から、建築計画、バスターミナル、設備計画、および、防災計画について紹介することとする。

◇ソラリアターミナルビル/阿武寿志(西日本鉄道(株)建築課課長)(7ページ)
 1999年4月、福岡天神の街の中心部の再開発「天神ソラリア計画」は完成した。
「天神ソラリア計画」とは、西鉄大牟田線終着駅である西鉄福岡天神駅、西鉄天神バスセンター、福岡スポーツセンターの3地区に、総床面積約185,000㎡の再開発計画で、天神地区の都市環境向上と商業活性化を図る街づくりである。また、鉄道駅、バスセンターを営業しながらの工事のため13年の歳月と1200億円の費用を要するものであった。
当計画においては、以下の3つのビルが主要施設となる。

◆特集「建築物と防災-続・ホテル・旅館編」
◇ホテル火災/須川修身(諏訪東京理科大学システム工学部教授)(9ページ)

入学試験や年度末の多忙な時期になると、都心のホテルは忙しい状態になるが、この頃のホテル火災として最初に名前が出てくるのは多くの場合「ホテルニュージャパン」(昭和57年2月8日発生)であろう。このホテルは、東京の中心部(千代田区永田町)にあって当時5つ星がついていた知名度の高い、交通至便な地に在ったホテルであり、しかもその延焼中の状態や在館者が窓で救助を待つ状態がテレビで茶の間に中継された事や犠牲者が33人と大きかった事もあって、未だに記憶が生々しい。この跡地には火災から約20年を経て、高層の「プルデンシャルタワー」(38階建ての事務所と住居のコンプレックスビル)が建てられたが、多くの火災を教訓として、世界的に見ても高い火災安全性が付与されている。ホテル火災が残した教訓はいくつも考えられるが、主たるものは、①適切な消防設備の設置、②的確で迅速な情報の伝達、③避難路の確保、④煙排除(あるいは分煙)、⑤防災意識の理解と向上であろう。
さて、もう少し詳細に当時のホテルニュージャパン火災を振り返って考えてみる。

◆シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識34」
◇畳の知識と特性について/佐藤忠夫(全日本畳事業協同組合副理事長)(10ページ)

畳の名称は、“たたむ”ということを意昧した語源によるとしており、古書には、“広く敷物”のすべての意昧を表したと記されている。
古事記には菅畳、皮畳、絹畳として記されており、その歴史の深かさを知るのである。やがて現在使われている畳の原形となったのは、寝殿造りを経て、書院造りが完成した室町時代から桃山時代において部屋全体に敷き詰められ、様々な敷様が発生し、畳縁によって座る人の地位や身分を規制する作法が定められた。そして一般庶民にまで普及したのは、江戸中期以降であり、農村部においては明治に入ってからである。このように、畳は古代のロマンスに生まれ、権力の象徴の具として栄え、やがて生活の必需品として定着したのである。この長い時間に形を変えることもなく天然素材によるシンプルな床材として、我国の気侯風土、生活風習に深く入り込んだ敷物なのである。

◆防火材料等・関係団体紹介コーナー
◇繊維強化セメント板/せんい強化セメント板協会(4ページ)

 繊維強化セメントは大正3年に生産が始まり、時代のニ-ズに合わせ波板、ボ-ド類、けい酸カルシウム板と新しい製品の開発を行って参りました。
 昭和25年建築基準法の制定と同時に全品目不燃材料として認定され、煙や有毒ガスが発生しない完全な不燃材料として不燃建築のあらゆる部門で使用されており、また、防火構造、準耐火構造、耐火構造、遮音構造の構成材料としても大いに使用されています。
 JISは昭和25年にJISA5403石綿スレ-トとして制定され、平成7年に関連JISの統合とノンアスけいカル板が追加され、JISA5430維強化セメント板となりました。また、平成13年には耐火被覆板の追加とISOの整合化が図かられました。

◆定期報告調査報告関係地域法人紹介コーナー
◇(財)東京都防災・建築まちづくりセンターの定期報告業務/小野幹雄((財)東京都防災・建築まちづくりセンター建築防災事業部長)(4ページ)

財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターは、木造住宅密集地域の整備、住宅の品質の向上、建築物の安全性の確保等、幅広い事業を総合的・一体的に推進するため、2つの財団を統合することで設立され、今年で5周年になります。
事業は、大きく分けると「住環境に関する事業」と「建築防災に関する事業」の2つになります。このうち、定期報告業務は、建築防災に関する事業の柱として、東京都内32の特定行政庁と連携しながら実施しています。財団の運営としては、お客さま第一主義の徹底、経営基盤の確立などの目標を掲げ、民間企業と変わらない意識で、職員一丸となって業務に取り組んでいます。

◆定期調査コーナー
◇鉄筋コンクリート系マンション健康診断技術者講習会について/(財)日本建築防災協会事務局(2ページ)
 鉄筋コンクリート系マンション健康診断技術者講習会は、特殊建築物等調査資格者を対象に平成13年度より実施し、既に942名の方が修了しています。
平成15年の講習会では、292名の方が新たに修了し、累計では1234名の方が鉄筋コンクリート系マンション健康診断技術者として登録されております。
マンションの適切な維持保全実施のため、マンションの管理組合におかれましては、定期調査に是非このマンション健康診断技術者をご活用いただくとともに、特殊建築物等調査資格者におかれましては、是非マンション健康診断技術者講習会を受講されますようお願いいたします。
今後も、特殊建築物等調査資格者講習の終了後に、定期的な開催を予定しております。
なお、平成16年については、2004年1月から3月の開催予定です。

◆建築基準法第12条第1項及び同施行規則第4条の20に基づく特殊建築物等調査資格者
◇平成15年2月10日・3月12日(認定書交付)(4ページ)

その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。

財団法人 日本建築防災協会 機関誌係
東京都港区虎ノ門2-3-20 虎ノ門YHKビル8階
電話:03-5512-6451 FAX:03-5512-6455
mail:kenbokyo@kenchiku-bosai.or.jp

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