(特集「建築物と防災-商業施設編-」)

当協会の機関誌「建築防災」(月刊)の紹介
No.298 2002/11月号

特集「建築物と防災-商業施設編-」 

シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識30」

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◆防災随想 
◇屋外タンクの保安/大前光昭(危険物保安技術協会タンク審査部長)(1ページ)

◆特集「建築物と防災-商業施設編-」
◇商業施設の防災計画/吉田克之((株)竹中工務店設計本部)(6ページ)
 ひとくちに商業施設といっても小規模な店舗から大規模な百貨店、あるいは小売店舗から卸売店舗などがあり、また建物の形態の面からは単独用途から他の用途と複合しているものなど、実に多様である。防災計画の考え方も本来は、規模・形態に応じて考えられるべきであるが、ここでは比較的規模の大きい物品販売店舗を中心として、建築計画上の防災計画、すなわち避難階段の配置と防火区画のあり方を考えてみた。

◇物品販売業を営む店舗と建築基準法/小林秀行(東京都都市計画局市街地建築部建築企画課主任)(3ページ)
 最近の物品販売業を営む店舗(以下「物販店」という。)は、大型化、建築設備等の複雑化、高度化の傾向にある。また、異なった種類の用途が混在する建物も多くなってきており、災害時における避難経路の確保を含めた建築物の安全性の向上が一層求められている。
一般的に、物販店とは、百貨店、マーケット、八百屋、魚屋等の個人用または家庭用消費のための物品を販売する施設をいう。
建築基準法には、物販店の定義はなく、百貨店、マーケットでも物販店の規定が適用されるのが妥当と思われる規定が多い。
なお、「百貨店」は、スーパーマーケット、ショッピングセンター等の大規模な小売店の出現により、昭和48年に「百貨店法」が廃止された。これに伴い、建築基準法施行令の一部の規定は、「百貨店」から「物品販売業を営む店舗(床面積の合計が1,500m2を超えるものに限る)」に改められたが以前として「百貨店」という名称を使用している規定があるので法令の適用については注意を要する。ここでは、物販店に関する建築基準法及び東京都建築安全条例の規制内容にについて説明する。

◇商業施設と消防法令/東京消防庁予防部予防課(6ページ)
 近年においては、建物の高層化、大規模化が進み、再開発計画等として複合用途化した建築物が商業施設として生まれ変わるケースもあり、その使用形態から火災等の災害時に不特定多数の人々が危険に遭遇する可能性が高くなっている。
商業施設には物品販売施設、飲食サービス施設及び各種サービス施設等があるが、ここではその代表的な一例として飲食店及び百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗に係る消防関係規制等について紹介する。

◇商業施設の火災/東京消防庁予防部調査課(4ページ)
 東京消防庁管内の過去5年間の火災件数は、6,500件から7,000件の間で上下に推移しており、平成13年中は6,933件となっています。そのうち、毎年、百貨店では30件か50件程度、物品販売店舗では70件から90件程度の火災が発生しています。
ここで述べる百貨店等や物品販売店舗は、消防法施行令別表第1(4)項に従って分類されています。百貨店等には、百貨店と売り場面積が1,000m2以上の物品販売店舗が含まれ、物品販売店舗には、売り場面積が1,000m2未満の物品販売店舗が含まれています。百貨店等と物品販売店舗の火災について、過去5年間の火災発生状況と事例を紹介し、両者の火災の特徴を取り上げていきます。

◆さまざまな商業施設の実例
◇立川共同ビルディング(伊勢丹立川店)の防災計画/広田正之、水落秀木((株)清水建設)(10ページ)

 雑然とした都市景観を呈していたJR立川駅周辺では、立川市を中心に再開発計画が近年進んでいる。
本建築物は、立川市が施行する土地区画整理事業の一環として、JR立川駅の北側に計画された百貨店・飲食店舗・金融店舗・事務所・駐車場からなる大規模複合商業施設である。様々な関係者(数十年に渡りこの地で生業してきた地権者10社・地域発展を願う地元住民・21世紀に向けて新しい都市整備を図る地元行政・本店に次ぐ旗艦店の出店を狙うキーテナントの老舗百貨店等)の夢を託し、構想から18年を経て完成した。 一方、本建築物は、旧建築基準法第38条を適用し、性能的な防火設計によって避難安全性を確保し、大臣認定を平成10年1月に取得している。
防災計画の主な特徴は、防火区画によって売場を大きく分割した上で、出火した売場(以下、火災ゾーン)に隣接する売場(以下、非火災ゾーン)・屋内階段・火災階直上階の圧力を火災ゾーンより高め、煙が侵入しにくいようにしている点にある。これによって、水平避難や消防活動拠点に供する安全な空間として広いスペースの非火災ゾーンを利用できるようにしている。非火災ゾーンが水平避難で一時滞留可能な避難場所となるため、建築基準法で規定される階段合計幅員等について、旧建築基準法第38条によって適正化し、売場の有効面積の増大を実現している。

◇ザ・モールみずほ16と近年のショッピングセンターの傾向/加藤峯男((株)エンドゥ・アソシエイツ)(4ページ)
 ザ・モールみずほ16は、東京都西多摩郡瑞穂町の国道16号沿いに位置し、敷地面積約6.5ha、延べ面積約65,000m2、駐車台数1,941台の大型店、専門店及び大型専門店からなるロードサイド型総合ショッピングセンターである。
このショッピングセンターは、建築主である極東開発工業㈱とショッピングセンター運営者である㈱西友の共同事業により建設されたものである。

◇複合性への配慮JR東急目黒ビルの防災計画/酒井誠、大谷守孝、酒井良仁((株)東急設計コンサルタント)(7ページ)

 本計画(JR東急目黒ビル)は乗換え駅の線路上空を利用したオフィス・店舗・駅舎の複合ビルである。
1987年に東急東横線の混雑緩和策として特定都市積立金制度の適用を受け、東横線の複々線化、目黒線および営団南北線、都営三田線との相互直通運転の方針が決定した。これを契機に、JR目黒駅及び山手貨物線の線路用地と地下化された東急電鉄用地とを一体的に高度利用する計画となった。駅利用客の利便を図り、同時に地域の核として街づくりに貢献しよう、との目的である。
工事の概要は、地下化した駅の上に地上17階の高層部、掘割状の山手線上部に人工地盤をかけて地上6階の低層部を建設、さらに南側には人工地盤を延長して駐車場およびミニパークを設ける、というものであった。
東急目黒線は1991年に地下化工事に着手、1997年7月地下化開業、2000年9月営団南北線及び都営三田線との相互直通運転を開始した。地下化開業後、上部建物工事に着手し、2002年3月建物全体の開業を迎えた。

◇横浜赤レンガ倉庫改修における防災計画/大井立夫((株)新居千秋都市建築設計)(5ページ)
 横浜赤レンガ倉庫は、明治時代の建築家、妻木頼黄の作で、1号倉庫は大正2年(1913年)、2号倉庫は明治44年(1911年)に竣工した。その後、大正12年の関東大震災により、2号倉庫は倒壊を免れたものの、1号倉庫は半壊した。1号倉庫は、ほぼ半分の大きさに縮小され、内壁に鉄筋コンクリートの補強壁が付け加えられた。2号倉庫も耐震性改善のため、起重機の廃止、開口部の改善など手直しが加えられた。

◇広島紙屋町地下街「シャレオ」の防災計画/倉崎伸雄、鳥居英計(日建設計)(6ページ)

 広島市紙屋町地区は、行政・文化・商業・業務機能が集積した都市の拠点地区であり、また、バスターミナル、新交通システム、路面電車などが乗り入れる交通結節点としても重要な役割を担う地区である。その中心に位置する紙屋町交差点の地上交通の輻輳緩和と同時に、市街地の連担性を確保し、都市機能の活性化を図ることを目的に「シャレオ」は全国初の国道下地下街として計画された。
 この計画は1992年に地元経済界によってまとめられた「紙屋町地下街構想」を受け、翌1993年広島市及び県の出資による第三セクターとして、広島地下街開発株式会社が設立され本格的に設計がスタートした。その後、各種協議をはじめ防火・安全評定委員会における安全性の確認、五省庁通達による詳細協議等の許認可を経て2001年3月に広島紙屋町地下街「シャレオ」として完成した。当時、地下街の新増設は五省庁通達により原則禁止という非常に厳しい状況におかれており、防災面においても厳しく規制されていた。その後、2001年6月には地方分権化により五省庁通達が実質的に廃止されることになり、結果的に「シャレオ」は五省庁通達による最後の地下街となった。このため、今後の地下街計画においては、様々な意味で一つの基準となるべき存在ではないかと思われる。

◆シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識30」
◇木質系床板の施工床面の維持保全等について(2)/星 通(文部科学省公認木材加工技術士、星技術士事務所)(13ページ)
 フローリングの日本農林規格材面の品質基準・試験方法の概要
前号では紙面の関係から、フローリングの日本農林規格の材面の品質基準等を省略しましたので、本号の始めにその概要を記載する。表面及び裏面について次のように規定されている。

その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。

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