(特集「サッカー場」)

当協会の機関誌「建築防災」(月刊)の紹介
No.295 2002/8月号
特集「サッカー場」 
シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識27」

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◆防災随想 
◇あの「防災の日」から一年/梨本雅久(東京消防庁)(1ページ)

◆特集「サッカー場」
◇現在および未来のサッカースタジアムにおけるセキュリティ/(財)日本サッカー協会施設委員会(4ページ)

スタジアムは将来的に拡張されることを考慮し、できるかぎりゆとりあるスペースに建設することが重要です。また観客が短時間でスタジアムに訪れ、安全に帰宅できるよう、建設用地はできる限り公共交通機関や幹線道路に近いところに選択されるべきです。また、駅、駐車場、バスターミナル等、観客の主要アクセスからの動線について、道路の幅員、案内看板、照明等、安全性の配慮がなされることが必要です。
建設当事者は、スタジアムが建設されることにより、周辺環境及び住民に及ぼす可能性のある影響について、十分検討の上、できる限りの配慮をし、理解を得ることが重要です。この問題は大変微妙な問題であり、しかも複雑な社会問題を誘発する可能性があるので、慎重な対応が望まれます。

◇札幌ドームの防災計画/茶谷明男((株)竹中工務店東京本店設計部)(5ページ)
 札幌ドームは、プロスポーツや多様なイベントを開催する大空間の創出と、2002年FIFAワールドカップの開催を目的として札幌市内羊ヶ丘地区に計画された。1996年度に実施された国際建築設計・技術提案コンペにより、原広司グループが最優秀案に選出され、/997年4月より設計期間1年、工期3年を経て2001年5月に竣工した。コンペ時に提唱した①「ガードニング」(庭作り)②「デュアルアリーナ」③モビールシステム④アミューズメントコンプレックス⑤クロープンシェルという基本コンセプトに基づき、羊ヶ丘の農耕地との連統性への配慮から5つの領域に分節された親自然的な「スポーツの庭」創りをめざした。

◇宮城スタジアム/柳澤陽子((株)針生承一建築研究所・宮城スタジアム総括)(9ページ)
 2002年FIFAワールドカップサッカー韓国・日本大会も6月30日のブラジル・ドイツ戦にてプラジルが優勝し幕を閉じました。
本大会において宮城会場での最終戦は日本チームを迎えておおいに盛り上がりました。
日本全国からの熱い声援と世界中の視線を集めて雨の中両チームの熱戦が繰り広げられ、日本チームは惜しくも敗退したものの、そこには大きな感動がありました。
「宮城スタジアム」は平成3~4年に掛けて、宮城県初の「全国公開コンペ」により最優秀賞となった「針生承一建築研究所十阿部仁史」案が採用され実施に至ったものです。

◇新潟スタジアムの防災計画/大泉道郎(日建設計東京)(4ページ)
 新潟スタジアム「ビッグスワン」は2002年FIFAワールドカップの会場及び2009年の新潟国体のメイン会場として計画された観客席約43,000席のスタジアムである。建設地は新潟市中心部の鳥屋野潟に沿った広大なスポーツ公園内に位置する。
2001年2月に竣工して以来FIFAコンフェデレーションズカップ会場として使われたほか、J2アルビレックス新潟のホームグラウンドとしても活用されてきた。
本スタジアムにおけるワールドカップの試合は6月15日のデンマーク対イングランド戦で無事完了した。今後はフィールド面が第1種陸上競技場として再整備される予定である。
また、スタジアムの併設施設として健康づくり総合センター(仮称)とスポーツ医科学研究所(仮称)が設けられており、県民の健康とスポーツライフの拠点となる予定である。

◇茨城県立カシマサッカースタジアム防災計画/武藤郁生(日建設計東京設計主管)(6ページ)

 カシマサッカースタジアムは、3年後にJリーグ発足を控えた1990年に計画が開始された。敷地は「ト伝の郷運動公園」の中心に位置し、スポーツ振興のみならず地域コミュニティによるスポーツ文化創造の拠点となるよう考えられた。
このスタジアムはJリーグ発足の理念を具現化したものであり、プロスポーツとして観客に視点をおいた劇場空間のスタジアムを目指した。Jリーグスタジアムの条件として、①屋根つき競技場で、収容力15,000人以上、②1年中青々とした西洋芝のフィールドの実現、③選手・観戦者・メディアに対する安全性等が挙げられた。
ワールドカップ開催にあたりFIFAより提示された会場の条件は、①収容人数4万人以上②観客席の2/3以上に屋根をかける、③天然芝のフィールドの3点であった。
そこでこの条件を満たす既存のスタジアムの増築計画が図られた。

◇埼玉スタジアム2002の防災計画/雨谷豊秋((株)梓設計マスターウランナー・理事)(11ページ)
埼玉スタジアム2002は、2002年日韓共同開催ワールドカップサッカー大会のメイン会場のひとつとして、予選3試合と準決勝が行われた。施設の特徴は、選手には最高のプレーを引き出すピッチ環境、観客には安心感と臨場感ある観客スタンド、報道関係者には感動のシーンを情報発信できるメデイア機能、そして大会運営者には安全性とインテリジェント機能を提供できるハイクオリティ(高性能)・ハイファンクション(高機能)のスタジアムとしたことである。設計のコンセプトは次の6項目を掲げた。
①エキサイトメント…興奮と感動の劇場型スタジアム
②コンフォート…誰でもカ喉適なスタジアム
③コミュニケーション…世界への情報発信とロビー交流機能
④セイフティ…安心・安全な施設
⑤エコロジー…環境への配慮
⑥アイデンテイテイ…記憶に残る個性あるデザイン

◇次世代のスーパースタジアム空間の創出-横浜国際総合競技場-/木全三治((株)松田平田設計)(6ページ)

 横浜国際総合競技場は「かながわゆめ国体」のメイン会場として計画されると共に、ワールドカップサッカー大会にも対応できる施設として建設された。
臨場感を伴った観戦のしやすさを可能にするため、2層式スタンドと方円形スタジアムを採用により、7万人という大規模にもかかわらず、スタジアムのコンパクト化を可能にすると共に観客席とフィールドとの距離の短縮化をめざした。スタジアムの3/4を覆う金属屋根は周辺に対する騒音、光を影響の低減を図ると共に観客の歓声がスタジアム内にこだまし選手の好プレーを後押しさせる環境を提供する。ピット方式はフィールド内への観客の流れ込みを防ぎ、選手がプレーに集中できる環境を提供する。更に悪天候でもプレー可能な排水性能の高いフィールドは、試合の中断、中止を阻止する。報道しやすさを追及した結果、高速空気圧駆動式走行式カメラを設置し迫力あるアングル映像が配信と共に、大屋根下全周にカメラ用バルコニーを設け様々な角度からのカメラ映像を可能とした。かくして次世代のスーパースタジアムは既設の陸上競技場の概念から脱皮し、「観戦しやすい」「プレーしやすい」「報道しやすい」をキーワードとした劇場空間として誕生した。

◇静岡スタジアムエコパの防災計画/横田三二((株)佐藤総合計画静岡事務所)(7ページ)
 エコパは2002年の日韓共催ワールドカップサッカー等の国際大会、平成15年(2003年)の静岡国体を始めとする大規模大会が開催可能な施設として特別第一種公認サッカー場・第一種公認陸上競技場の要件を満足している。従来の競技施設と異なり、サッカーの国際試合が安全に開催でき、観客や選手、大会関係者の混乱を招かない施設計画が求められている。また観客席を屋根で覆う構造であることから、屋内施設に準ずるものとして、建築基準法や、消防法を摘要した。

◇長居陸上競技場/森崎生也((株)昭和設計企画・設計部)(5ページ)
 本施設は長居公園の一画に既存する陸上競技場(23,000人収容)を全面取壊し5万人収容規模のスタンドを有する新競技場として計画した。今回新たに2002年ワールドカップ開催の為、大屋根の設計を行った。(屋根面積≧観客席面積×2/3)
新競技場は、長居公園内の中心施設として、広く市民に親しまれる競技場を目指し、国際都市大阪のスポーツ施設のシンボルとして、さらに国際交流の舞台として位置づけるという基本方針に基づき、下記事項を主要課題として計画した。
1)日常利用から国体及び国際大会まで幅広く対応できる競技場とする口
2)競技場デザインは国際都市大阪にふさわしいシンボル性を持ち、市民に親しまれる施設デザインとする。
3)スタンドは5万人収容とし、安全性、利便性、快適性及び管理運営等を十分配慮する。
4)フィールドは第1種公認陸上競技場の条件及びサッカー国際規格を満たし、小規模大会から国際大会まで幅広く対応できるものとする。
5)公園内の豊かな緑と調和した施設とする。
6)隣接する住環境と調和した施設とする。

◇神戸ウイングスタジアム/(株)大林組本店建築設計部(5ページ)
 1995(平成7)年に発生した、阪神・淡路大震災。甚大な被害を受けた被災地神戸において、2002FIFAワールドカップ皿(W杯)の開催は震災から復興した神戸の姿を国内外にアピールするためのプロジェクトとして位置づけられた。そのW杯の神戸会場として計画されたのが神戸ウイングスタジアムである。
スタジアム全体の整備スケジュールは、1999(平成ユ1)年10月に着工、2001(平成13)年10月に1次整備が完了した。ユ次整備では、南北に増設スタンドを設置し、約4万2000人の収容人数を確保する。そしてW杯終了後には、増設スタンドを撤去し、開閉式可動屋根の設置を主内容とする2次整備を行ない、2003(平成15)年春に、収容人員約3万人のドーム型球技場としてグランドオープンする予定である。

◇大分スポーツ後援総合競技場(ビッグアイ)防災計画について/白木孝志、吉屋英行、小川洋充充、上原茂男((株)竹中工務店)(4ページ)
 この計画は、「大分県スポーツ公園基本構想」に基づき、21世紀に向けて「2002年の6月ワールドカップサッカー」の招致と「二巡目国民体育大会」の開催を大きな軸に生涯スポーツと競技スポーツの振興を実現するためのスポーツ公園の中核施設となっている。
ビッグアイの建設地は、大分市内の南東部に位置し、緩やかな地形で周辺環境に恵まれ、将来の周辺計画が予定されている野球場、テニスコート等の施設とも密接な動線が形成されている。さらに、自然の地形を活かして街のスポーツエリアと一体に計画され、人・車の分離、観客と関係者の動線処理を含めて自然にやさしい環境となっている。
建物の用途は、「2002年ワールドカップサッカー」「Jリーグ・県民大会等」のためのサッカー場、「国民体育大会」の陸上競技施設のほか、コンサート、展示会、集会・式典等の多目的利用に対応する事を前提としている。この施設計画においては、国際サッカー連盟(FIFA)基準を100%みたし、国体の陸連第1種競技場基準にも対応可能としている。
大空間を覆う屋根は開閉式とし、屋内・屋外の両空間としての利用を可能にしている。また、可動する屋根材には高透光性の膜材を使用している為、閉鎖時でも競技のための十分な明るさが確保でき、イベント利用時におけるランニングコストの低減も図っている。

◇韓国の2002ワールドカップ競技場/金容善(東京大学大学院工学系研究科)(3ページ)

ソウルワールドカップ競技場
アジア初のワールドカップが開幕する韓国の第一の都市ソウル。ソウルワールドカップ競技場は伝統的な小皿と豊かさを象徴する八角皿を形状化した。屋根は一つの大きな四角いの盾凧と黄布帆船のイメージを表現した。屋根の材料となった幕の構造から伝統建築のやわらかな曲線美を表現し、自然的な曲線に施した。

◆シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識27」
◇事務所ビルの給排水衛生設備の点検と診断/高草木明((株)エヌ・ティ・ティ建築総合研究所FM技術部長兼環境技術部長)(5ページ)
 給排水衛生設備は建物居住者に不可欠な機能を担っている重要な設備である、日常保全において機能を維持し、また、適切な劣化回復処置によって長寿命化をはかることが必要である。いずれにも診断が重要な役割を担う。本稿では、事務所ビルの給排水衛生設備を対象として、日常保全における診断や、デューデリジェンスあるいはコミッショニングとして行われる調査診断について概説する。

その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。

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