(特集「素材的に見たガラスと防災」)

当協会の機関誌「建築防災」(月刊)の紹介
No.290 2002/3月号
特集「素材的に見たガラスと防災」 
シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識22」

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◆防災随想 
◇木質構造の夜明け/村上雅英(近畿大学理工学部建築学科助教授)(1ページ)

◆特集「素材的に見たガラスと防災」
◇メゾンエルメスのガラスブロック外装/吉田克之、古平章夫、二宮 孝((株)竹中工務店)(6ページ)
1階から最上階までガラスブロックで覆われたユニークなビルが、昨年6月に銀座に誕生した。数寄屋橋交差点に近い晴海通りに面したメゾンエルメスで、かの有名なファッション・ブランド“エルメス”の直営店である。開店当日の建物周りは多数の買物客や見物客で賑わい、その様子はマスメディアでも大きく報道された。基本設計はイタリア人の建築家、レンゾ・ピアノ氏によるもので、竹中工務店が実施設計と施工にあたった。ピアノ氏はパリのポンピドーセンターをはじめ、ヨーロッパを中心に活躍している建築家で、わが国では関西国際空港ターミナルビルの設計者として知られている。氏はメゾンエルメスでは、当初から外装にことのほか思い入れが深く、実施設計や官庁手続きをお引き受けした当方としては戸惑う場面も少なからずあった。ここではピアノ氏のイメージする外装をどのようにして実現したかを紹介したい。

◇せんだいメディアテークの防災計画/古林豊彦(伊東豊雄建築設計事務所)(4ページ)
せんだいメディアテーク(以下Smt)は、図書館、ギャラリー、映像メディアセンター、そして視聴覚障害者のための情報提供の4つの機能を融合させ、「メディアテーク」としての一体的な運営を理念として持ち、日々変化する情報環境や利用者のさまざまな要求に応えることをめざして、2001年1月にオープンを迎えた。敷地は、けやき並木で有名な仙台市の中心、定禅寺通りに面し、延床面積約21,600㎡の規模をもつ地下2階・地上8階の施設である。Smtは、メディアの種類や形式にとらわれずに、収集、保管、展示、提供を行い、さまざまな活動やサービスを通じて、あらゆる利用者の文化的活動や、学習をサポートする21世紀型の公共文化施設である。この多様に変化する活動を可能にしているのが、チューブ、プレート、スキンのシンプルな3つの建築の構成である。

◇ガラスと防火/佐藤睦生(板硝子協会)(4ページ)
木造建築物の多い日本では、これまで多くの都市災害や戦災を経験してきたことから、建築基準法・同施行令では、火災に対して厳しい規定が設けられている。ここではガラスに関連した防火関係の法規について述べる。

◇網入板ガラス/倉橋正則(セントラル硝子(株))(4ページ)
火災により発生した炎と煙を一定時間遮断する各種防火ガラスの内、網入板ガラスは最も古くから使用され、一般に広く知られている。板ガラス(ソーダ石灰ガラス)の中に鉄製網を入れることによって、火災時にガラスが破損しても鉄製網でガラスを保持し、脱落防止をすることで防火性能を確保するガラスである。

◇耐熱強化ガラス/稲田定博(サンゴバン(株))(3ページ)
耐熱強化ガラスは、建築用板ガラスとして通常使用されているフロート板ガラスに特殊なエッジ加工と特殊な熱強化処理を加えた防火用の強化ガラスである。耐熱強化ガラスは網のないクリアな意匠性に加えて、同じ厚さのフロート板ガラスの約5倍から6倍、一般の強化ガラスの約2倍もの曲げ強度があり、さらに万一破損した場合でも、フロートガラスと比較して小さな破片になる安全ガラスである点が大きな特徴である。

◇低膨張防火ガラス/竹内嘉彦(旭硝子(株))(3ページ)
ここで紹介する低膨張防火ガラスは、硼珪酸ガラス(建築用板ガラスとして通常使用されているソーダ石灰ガラスに対し、ソーダ、石灰を減らし、主に硼酸を用いたガラス)を熱処理して防火用に使用されているガラスを示す。

◇耐熱結晶化ガラス/浅井喜代志(日本電気硝子(株))(3ページ)
一般的に「ガラス」は、ケイ砂、長石、石灰石、ソーダ灰などの原料混合物が千数百度の坩堝やタンク窯の中で完全に溶解されて粘りの有る液体となり、板や容器または管などに成形される。成形の際に冷却されると粘性が急激に増大して、常温では固体になる。この「ガラス」という固体の構造を電子顕微鏡で観察すると、結晶のような原子配列の規則性がない。従って「ガラス」は、溶融体を冷却して、その間に結晶を晶出すること無く、固化することのできる無機物質である。このような「ガラス」に対し、特殊な金属酸化物を含有する組成のガラスを用い、ガラスとして成形し、成形物を再び加熱して無数の結晶核を均一につくらせ、更に温度を上げて結晶核のまわりに結晶を成長させることにより、結晶性を持ったガラスができあがる。これが結晶化ガラスである。

◇積層ガラス/高原正弘(日本板硝子(株))(3ページ)
ヨーロッパでは、防火区画や廊下、階段など避難通路のパーテイションやドアの防耐火ガラスに、火災時の避難上「遮熱性」が義務付けられていることが多い。このため遮熱性のある「積層ガラス」が各種ビル建築に20数年の実績と年間数十万㎡と普及している。日本でも数年前、旧法の甲種防火戸から採用が始まったが、現在では画期的な遮熱性によって従来不可能だった透明な「耐火間仕切壁」へと拡大し注目されている。

◇ガラスブロックの耐震設計/尾崎秀朗(日本電気硝子(株)建材事業本部)(6ページ)
建築物において、地震に対する安全性は最も重要な問題の一つである。ガラスブロックの設計においても、地震発生時に生じる地震力や建物の層間変位に対して、十分安全な設計をする必要がある。ここでは、これまで行われてきたガラスブロック施工方法の歴史と耐震性能について簡単に触れるとともに、過去に発生した大規模地震時の調査報告を基に、ガラスブロックを使用する場合に押さえておかなければならない耐震設計のポイントを述べる。

◇ガラスと防犯/高原正弘、大久保洋常、倉橋正則(板硝子協会)(8ページ)
近年の犯罪発生件数の増加を受け、防犯の重要性が高まっている。住宅、建物にかかわる侵入盗も年々増加傾向にあり、その中でもガラス開口からの侵入は、戸建て住宅で約65%、共同住宅で27.7%と非常に高い割合を占めている。侵入盗の増加を未然に防ぐためにはガラス廻りの防犯が必要不可欠である。欧米諸国にあるガラスの防犯性能に関する規格や基準がわが国には存在しないことや、一般生活者のみならず業界関係者においてもガラスの防犯性能についての認識が低かったこともあり、現在板硝子協会では、防犯性能を期待できるガラスの普及活動を行うと共に、ガラスの防犯性能に関する自主基準作りを進めている。本稿では、ガラス破りの手口、欧米の規格や国際規格の動向を紹介すると共に、現在板硝子協会において検討中の業界基準の考え方について説明する。

◆シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識22」
◇建築ガラスのメンテナンスについて/新井建一(セントラル硝子(株))(3ページ)
現代建築においては1970年代からフロート法という画期的な製造方法が本格的に普及し始めました。フロート法によるガラス(フロートガラス)は建築の窓や開口部のデザインに劇的な変化をもたらしました。それまでの製造方法での板ガラスは畳一帖の大きさもままならず、しかも薄っぺらくて透視像にゆがみも多く、軟式野球のボールで簡単に割るれるほど強度も弱いものでした。建築のガラスが大きくて強いフロートガラスが主流になりますとガラスのメンテナンス方法もずいぶんと変化しました。以前はガラスの掃除はウエスで「みがく」ものとされていましたが、フロートガラスになってからはゴムヘらの専用道具(「スクイジーあるいはワイパー」と呼ぶ)で「汚れを滑るように取り除く」という概念になりました。これもフロートガラスの出現により窓ガラスが大きくなったことと表面が美しいまでに平滑で汚れが落としやすくなったことによる恩恵といえるでしょう。また、大きくて強くなったフロートガラスなので以前よりも私達の日常生活で窓ガラスが割れるという体験も少なくなっています。しかし、一方では大きなガラスは万一割れた時に破片が致命的な凶器になり、またサイズが大きく重量もあり取り替えが大変になるという新しい問題も提起されてきました。本稿では昨今ますます多用され、また仕様も高度化している建築ガラスのメンテナンスについてガラスメーカーの立場から考察したいと思います。

◆ぼうさいさろん
◇自然災害を切手で語る(その7)/登坂宏(日本郵趣協会正会員)(2ページ)

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