(特集「私の住む家」)

当協会の機関誌「建築防災」(月刊)の紹介
No.289 2002/2月号
特集「私の住む家」 
シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識21」

※執筆者名の後の( )内の数字はその記事のページ数を表す
◆防災随想 
◇人間を信じて/齋藤秀人(清水建設(株)技術研究所主任研究員)(1ページ)
◆特集「私の住む家」

◇わが家の防災/坂本功(建築防災編集委員長・東京大学大学院工学系研究科教授)(2ページ)
 建築家なら、その自邸を雑誌などで紹介するのは、仕事の一部と言えますが、同じ建築の専門家でも、技術的なことを専門にしている人にとっては、自分の家のことは、個人的なことだと思います。それで、この特集の企画をしたとき、皆さん本当に書いてくれるかなと、ちょっと心配でした。しかしそれは杷憂で、原稿をお願いした人のほとんどが、快諾してくださいました。
ところで、この特集の「まえがき」は、編集委員会の委員長である私が書くことになっていました。編集委員会では、坂本も自分の家のことを書いてみたらというわけではなかったのですが、「まえがき」を坂本にという提案の裏には、それをそそのかす意図もあったと解釈して、書いてみることにしました。

◇我家建替えの前後/秋山宏(日本大学教授・日本大学総合科学研究所)(2ページ)
我家は目黒区の目黒線(旧目蒲線)の西小山と洗足の中間の線路に近い低地に建っている。現在の建物は1993年に建替えられたものである。前の家は親が建てたもので、1954年に坪13000円で両親がやっとの思いで購入した僅か30坪の土地に建てられた公庫仕様の木造2階建てであった。

◇我が家の構造の設計と施工/神田順(東京大学大学院新領域創成化学研究科教授)(3ページ)
 現在私の住む家は、自分でフリーハンドの絵に描いて、出来上がったものである。2度に分けた基本計画を、図面化する過程で、構造についても施工についても、いろいろ思いをめぐらした。第1期は、浴室、台所、食堂の補強コンクリートブロック造。その10年後の第2期は、地下と半地下をRC、その上部を木造でスキップフロアの構成にした。構造安全性を施主と設計者を兼ねて、決断するのは悩ましいものである。関東ロームの上でもあり、耐震性は標準以上には確保できていると考えている。その中で、現在も、家族の皆が快適に住めていると、自分では思っている

◇雨も嬉し、晴れも好し/鈴木有(秋田県立大学木材高度加工研究所)、鈴木ゆみ(9ページ)
 表題は東洋的自然観を詠った漢詩に拠っている。わが家では、太陽エネルギーと雨水の恵みを存分に活用して暮らしている。川の水を砂や炭の層を通して濾過し飲用にしていた子供の頃を思い起こし、雨水の浄化装置を自前で開発した。合併浄化槽で処理した全ての生活排水を家内に循環再利用するシステムも、屎尿は畑に、洗濯や台所の排水も庭に撒いて大地に返していた昔の水利用のいわば現代版である。エネルギー供給と水資源循環の自家システムを住居内に組み込むことは、非常時にも自立可能な防災生活拠点の構築という意味を持つ。こうして自然とともに生きた先人の智恵に学ぶことは、消費文明への反省に繋がり、環境破壊をくい止める一歩になり得ると思う。

◇軟弱地盤に20年/関松太郎(大林組技術研究所建築振動制御研究室長)(3ページ)
 我が家の防災対策は事前にきちんと計画を立ててスタートしたものではない。つまり、防災意識も低く、建設時の予算も少ないという初期条件に加えて立地条件が悪いというマイナスの要素が加わり余迂曲説の結果何とか建設の運びとなったからである。今から振り返ってみれば、結果的には人並みの防災(地震)対策を施したと自認している。その経緯は、あまり他人に自慢できるような内容ではないが、何かの参考になるかもしれないと思いあえて我が家の体験話を紹介したい。

◇自邸の防災設計/瀧口克己(東京工業大学教授)(4ページ)
 震災、火災、風害、水害等、普通に用いられる意味より少し広く、例えば床が大きく変形する、あるいは、建物の維持に通常のものより多くの費用を要することもその一種であると、災害を広義で考える。そうすれば、建築構造設計は建築防災設計とほとんど同義となる。建築構造設計者および研究者はすべて建築防災専門家ということになる。本稿は、鉄筋コンクリートを専門領域の一つとする一研究者の自邸の構造設計に関する。
建物は地上2階、地下1階の鉄筋コンクリート壁式構造である。耐震設計の基本方針、クリープ変形対策、詳細設計上の工夫、等を述べる。失敗とその処置についても言及する。

◇建築物は、ときに殺人の下手人である/林昌二(建築家)(3ページ)
・建築物は、ときに殺人の下手人である。
・市民の側からみると、二重ローンも大災害だ。
・日本は白然災害国家。災害対策こそ国防だ。
・わが家の防災順位の一位は泥棒。国はしっかりして。
・二位は地震、三位火災、四位雪、五位台風…。

◇災害現場に学んだ防災専門家の住む家・住みたい家/村上盧直(防災都市研究所代表)(3ページ)
 私は1962年に都市計画の研究室で防災間題の研究に従事するようになって、計画的側面の防災を考えてきたが、計画的防災は人間の存在を中心にして時間・空間のいろいろな危険現象を考える必要があり、実際に発生した事故や災害の現場が私の師となり、そのような体験から住まいはどうあるべきか、自分はどのような住まいに住みたいかを考えている。しかし日本の都市で本当に地球環境に配慮した、住みたい家を見つけることは難しい。

◇分譲アパートに30年/村上雅也(千葉大学工学部デザイン工学科教授)(1ページ)
 私は中野区の分譲アパート(白鷺ハイム)に住んでいます。西武新宿線鷺宮駅から歩いて約十分、JR阿佐ケ谷駅から約20分の所に位置しています。ハイムはルーテル神学校が三鷹に、武蔵野教会が近くに移転した後に、当時のパンフレットで確認すると、住友商事建設不動産本部が分譲したもので、企画・設計は日建設計工務、施工は鹿島建設となっています。十勝沖地震の翌年、昭和44年に契約し、昭和45年に入居しているので、すでに30年以上経過しています。

◇災害調査の拠点となった家/室崎益輝(神戸大学都市安全研究センター教授)(4ページ)
 「建築防災専門家の住む家」というテーマをいただいて、あまり気乗りがしないまま執筆を引き受けてしまった。今となっては、心から後悔している次第である。というのも、専門家として誇れるような立派な家に住んでいるわけではない、からである。まあ、専門家といってもこの程度か、といった軽い気持ちでお読みいただければ幸いである。

◇これが構造設計者の家?/矢野克巳(矢野建築コンサルタンツ、世界構造技術者会議会長)(2ページ)
 自分の家を語るのは好きでありません。理由は上手く設計できていないからです。編集委員の浜田さんの誘導に載せられて書く事となってしまいました。止む無く開き直って、恥を晒す事と致します。我が失敗の記です。
自分の家を語る事は、私の場合は失敗を語る事になります。自已所有の家は都合3軒です。夫々の建物は私の家族の人生遍歴そのものです。最初の家は張りきって建てたRC壁構造です。問題は撓みの軽視と増築時のアンカーボルトの不足です。2番目の家は、大工さんの建売です。使いやすかったのですが、家族構成や人生の変化を考えると、気分転換がしたかったので25年余で取壊しました。バリアフリーが目的でした。3番目の家は木造建築です。基本設計は自分でして、後は工務店任せです。構造的には先ず先ずですが、工務店が途中で倒産したのが誤算でした。工事中の設計変更への備えは何とか対応可能範囲でしたのでやれやれでした。

◇我が家/山口昭一((株)東京建築研究所代表取締役)(4ページ)
2人の友人の評価“やあ山口さんずいぶん汚い家に住んでいるのですね。”天真燗漫の笑顔と共に渡部丹さんが我が家の玄関に立たれたのは十数年前である。たまたま、渡部さんの友人が我が家の隣に家を買いそこに新しい家を建てることになった。建築学会の耐震連絡会議の席で、渡部さんからそのことを聞かされた。その友人は隣にがめつい建築士が住んでいる”という。“誰かと聞かれたら山口さんだと分かってびっくりした”。と彼が言う。実はびっくりしたのは私の方で、ちょうど同席していた大学生以来の親しい友人である大沢胖君に助けを求めた。“僕のどこが、がめついのかね”私の問いに大沢胖君は猛然と弁護に回って、あっという間に隣家側の誤解であるという結論になった。

◇耐震壁のあるマンション/和田章(東京工業大学教授)(1ページ)
 建築を考えるとき「用・美・強」の3点が重要だと専門家は誰でも言う。もちろん、経済的にこれが可能なら誰でもそうしたい。われわれは建築の「強」に関係する仕事をしているが、建築の構造安全性を第三者として議論するときには、免震構造が最も良い、それがだめならダンパーを入れて制振構造にすると良いなどと簡単に言える。しかし専門家として免震構造を推奨していて、免震構造に住んでいる人は数えられるほどしかいない。ライフサイクルコストで考えれば経済効果は大きいと分かっていても、先だつものがなければ、10年先、50年先の計算をする余裕はない。

シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識21」
◇ALCの維持保全/ALC協会(9ページ)
 ALCパネルは北欧で生まれ、既に60~70年を経過する。わが国では本格的に生産され、実用に供されたのは1966年頃である。これまで8000万m3近くが出荷され、ALCの特長である軽量・断熱性等が、建築を取り巻く要求条件をみたすものとして、多くの用途の建物に普及し、ALC建築物が建てられてきた。導入当初は耐力壁、屋根・床や間仕切壁用のパネルとして多用されたが、現在では、図1のように外壁(縦、横使いとも)の部位に最も多くが用いられている。また、建物用途としては、住宅、事務所、工場、店舗がほぼ80%を占めている。

◆ぼうさいさろん
◇自然災害を切手で語る(その6)/登坂宏(日本郵趣協会正会員)(1ページ)

その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。

財団法人 日本建築防災協会 機関誌係
東京都港区虎ノ門2-3-20 虎ノ門YHKビル8階
電話:03-5512-6451 FAX:03-5512-6455
mail:kenbokyo@kenchiku-bosai.or.jp

バックナンバー