(特集「耐震改修」)

当協会の機関誌「建築防災」(月刊)の紹介
No.288 2002/1月号

特集「耐震改修」 

シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識20」

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◆防災随想 
◇阪神大震災、7年後の常識/山口修由(独立行政法人建築研究所)(1ページ)

◆特集「耐震改修」
◇既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準・耐震改修設計指針の改訂について/村上雅也(千葉大学工学部デザイン工学科教授)(5ページ)

耐震診断・耐震補強は1968年の十勝沖地震で鉄筋コンクリート造建物が大きな被害を受けて行われた被害原因の究明、被災建物の復旧を通して具体化される。大学、研究所等で被害・無被害建物の判別法や復旧方法が検討され、それらが1977年の「既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準・耐震改修設計指針・同解説」(財団法人日本特殊建築安全センター、現日本建築防災協会、以後「耐震診断基準・耐震改修指針」と略記)に集大成され、此の度「耐震診断基準・耐震改修指針」に2度目の改訂が行われた。この機会にこれまでの耐震診断・耐震改修の歩みについて振り返えるとともに今回の改訂の概要について述べる。

◇日本武道館の耐震補強/藤村勝((株)竹中工務店東京本店設計部)(8ページ)

日本武道館は1964年、東京オリンピックの柔道会場として完成した。我が国伝統の武道を国民特に青少年の間に普及奨励することを目的に建設されたものであるが、最近ではコンサート会場としても利用されており、1万人を超える観客を収容することができる。

本建物について、1997年に耐震診断を実施した結果、屋根構造の耐震性能は良好であるものの、屋根を支える構造体の性能が現行法レベルの性能に達していないことが判明したため、耐震改修を行うことになった。主要な耐震補強工事は2001年の1月から3月の約2ヶ月間で行われた。

◇中央合同庁舎第3号館の免震レトロフィット工事概要/佐藤彰芳(国土交通省大臣官房庁営繕部建築課)、山田剛(国土交通省大臣官房庁営繕部建築課)、神谷敏之((株)山下設計第一構造設計部)、早瀬元明((株)山下設計第一構造設計部)(7ページ)

国土交通省が入居する中央合同庁舎第3号館は、地上11階、地下2階、塔屋2階、高さ約54m、延べ床面積約7万㎡の鉄骨鉄筋コンクリート造の建物である。昭和41年に地下2階から地上7階が建設され、昭和48年に8階以上が増築されている。この間、昭和56年の新耐震設計法の施行、平成7年の阪神・淡路大震災を踏まえた耐震に関する各種基準等の改定が行なわれている。これらの状況を踏まえ、本庁舎については、災害応急対策活動拠点(いわゆる「防災拠点」)施設として必要とされる耐震性能の確保を図るため、免震工法や制振工法の新技術の活用を含めた耐震改修工法に係る各種技術的検討を行い、耐震性能、コスト、工期、施工性、施工中の庁舎機能、改修後の執務機能等を総合的に評価して、基礎下を掘削し建物全体の免震化を図る、いわゆる基礎免震形式の免震レトロフィットを選定した。

◇国立国会図書館国際子ども図書館の耐震改修/原田和幸(国土交通省関東地方整備局営繕部建築第一課営繕設計官)(6ページ)
国際子ども図書館は、明治39年に旧帝国図書館として建設され、昭和4年には明治期の設計図書を基に再検討され増築がなされた。戦後は国立国会図書館支部上野図書館として利用されてきた建物である。
関東地方整備局では平成8年度より子ども図書館への用途変更に伴う改修・増築のための検討を進めてき、平成10年より工事に着手、平成14年1月に完成予定である。本稿はこの増築・改修工事で不足する耐震性能確保のために採用された基礎免震工法による耐震改修についての報告である。

◇静岡県庁東館の耐震改修/岩田俊昭(静岡県総務部財務総務室庁舎整備室)(5ページ)
平成13年4月3日、深夜ドスンという激しいゆれを感じ跳び起きた。前日、少し飲みすぎた頭には一瞬、何がおきたかわからなかったが少し時間が経つにつれ、地震の揺れであることが分かった。しかし次の行動まで時問がかかった。
家族全員起きだし、大騒ぎとなり、家中パニックとなった。次の瞬間、ポケットベルがけたたましく鳴り出し、その表示を見ると“震度5強の地震”となっていた。ベルを止めるのが精いっばいでどうしたらよいか、まったくわからず、バタバタするばかりであった。
4月2日に新しい職場に転勤になり、2日目の出来ごとであった。
上司と連絡をとり合い、又家の中に被害がないことを確かめ、県庁へ駆けつけた。夜中にもかかわらず県庁のどの部屋にも電気がついており、ドタバタ職員が中へ入っていくさまは異常な光景であった。“地震時の対応、それぞれの役割”等の説明会を行う前の出来事であり、駆けつけたはいいが、何をするのかまったくわからず、またもやバタバタするばかり。
しばらくして、駆けつけた職員と県庁舎全体を見回り、損傷を受けたヶ所、危険なヶ所がないか調査した。まだ県庁舎内のことはまったく知らない状態で本館、別館、東館と調査していくうちに、すっかり(二日)酔いはさめてしまったが、不安でいっぱいであった。
本館は昭和57,58年に耐震補強はしてあるももの、昭和12年竣工で最も古く、外壁、瓦等の落下が心配であったが損傷はなかった。
別館は防災本部が設営される建物であり、竣工年も平成8年と新しいので問題はなかった。
東館は平成9年~平成11年に耐震補強し、リニューアルした建物であるが、特に心配であった。制震ブレース、ボルトの破断がないか、非構造部材の破損はないか、夜中であり、懐中電灯たよりの点検であるので、後日改めて調査することとなった。
設備関係も地震管制が正常に働き、それぞれの機能を発揮していた。
東館については、数日後、職員、設計者、施工者3者で耐震補強したヶ所を中心に詳細にチェックした結果、特に問題となる点はなく、ホットした。
以下、その東館の耐震補強について紹介する。

◇オーナーから見た耐震改修/河部誠(日本生命保険相互会社不動産部技術長補)(3ページ)
本社では、全国に所有する建物の耐震改修を実施するに当たり、耐震認定手続きを行う中で、判定委員会による第三者チェックを受けることにしている。ところがそれぞれの委員会の耐震判定基準が統一されておらず、その結果、円滑に耐震改修を進められない状況にしばしば直面している。ここではその具体的例を述べ、今後それらの点が改善されることを期待したい。又建物所有者として、耐震改修の実務を行っている中で得られた感想、並びに事例等を紹介したい。

シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識20」

◇壁層材料の維持保全/芦田恵袈雄(壁装材料協会特別会員)(6ページ)
1.手入れと張替えと
壁紙の役割は、内装材料の表面を化粧し、インテリアを壁紙が表現する色・柄・テクスチャーの美しい空間につくることです。その概念の中には、化粧がくずれたら張替えて美しいインテリアを維持・継続させることも含まれています。壁紙が簡単に剥がせて張替えしやすいように品質設計がされているのもそのためです。そういう壁装材料の維持保全を考えるのですから、ここでは、美観を長もちさせるための手入と、張替えの両方の問題について触れてみます。

◆ぼうさいさろん
◇自然災害を切手で語る(その5)/登坂宏(日本郵趣協会正会員)(2ページ)
(水の循環による災害-3)
本格的な冬になり雪が楽しみでもあり、心配でもある季節になりました。白銀が招くスキー、スノーボードが楽しめるわくわくする時期です。
雪の結晶、はファンタジックで、私も子供の頃黒い紙に空から舞い落ちる雪を乗せて観察した思い出があります。昨年のNHK大河ドラマ「北条時宗」の主役を務めた和泉さんの扇の家紋は雪の結晶です。北陸--富山県の学校では、校章に雪の結晶が使われています。お隣りの石川県小松市からは「雪は天から送られた手紙」で有名な中谷宇吉郎博士が誕生しています。
雪はある意味ではロマンチックですが、苦寒の象徴でもあります。
雪国の生活は思いのほか大変です。1836年に鈴木牧之が書いた「北越雪譜」の雪国の生活は現代にも当てはまります。


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