(特集「建築とセキュリティ」)

当協会の機関誌「建築防災」(月刊)の紹介
No.286 2001/11月号
特集「建築とセキュリティ」 
シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識18」

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◆防災随想 
◇進まない戸建て住宅の耐震改修/松本規好(東京都敏計画局建築指導部調査課)(1ページ)

◆特集「建築とセキュリティ」
◇防犯から見た建物とまちづくり/小出治(東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻教授)(6ページ)
日本は世界一安全で安心な国であるという神話が近年急速に崩れようとしている。犯罪発生件数の増加、検挙率の低下に加え、外国人犯罪にみられるような手口の凶悪化などがその兆しとなっている。こうした状況のなかで、都市や建物という物的環境整備を防犯に役立てようという試みが、警察庁と旧建設省の共同の研究会として組織され、防犯まちづくりの指針や共同住宅の防犯設計指針としてまとめられ、警察庁からは通達という形で普及が促されるにいたった。共同住宅も合め、都市の物的環境の整備と防犯とどのような関係があるのか、また、どのような具体的手法があるのか以下簡単に説明しつつ、より安全で安心なまち、都市が形成されるよう広範な人々の知恵が結集されることを強く望むものである。

◇防犯に配慮した共同住宅の設計指針について/小川陵介(国土交通省住宅局住宅生産課企画専門官)、小澤敏成(国土交通省住宅局住宅綜合整備課課長補佐)(15ページ)
近年、わが国の犯罪の状況は悪化が進み、平成12年中における刑法犯の認知件数は、前年を大幅に上回る約244万件と戦後最悪を記録した。特に、マンションやアパー、トなどの共同住宅においては、特殊な工具で不正に鍵を開けるピッキングによる盗難やわいせつなどの被害が急増している。
犯罪防止に配慮した構造、設備等を有する共同住宅のあり方については、昨年(平成12年)2月に、警察庁より、「安全・安心まちづくり推進要綱」並びにこれに基づく「共同住宅に係る防犯上の留意事項」(以下、「留意事項」という。)が示されたところであるが、犯罪の状況を踏まえつつ共同住宅の多様性を配慮したより実効性の高いものとするため、警察庁と国土交通省との間で共同の検討を加え、本隼(平成13年)3月23日付けで、両省庁より新しい「留意事項」を示した。また、併せて、国土交通省より、「留意事項」を踏まえた共同住宅の設計等を行う際の具体的手法等について「防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針」(以下、「設計指針」という。)を示した。ここでは、防犯に配慮した共同住宅の企画・計画・設計に当たっての基本的な考え方を中心に、設計指針の慨要を述べることとする。

◇共同住宅における防犯上の留意事項/岩間益郎(警察庁生活安全局生活安全企画課都市防犯担当課長補佐、警視)(12ページ)
「犯罪に対する国民の不安感増大…」、新聞紙上等で最近この言葉が目に付く。残念ながら、それを裏付けるように日本の犯罪情勢は、年々量的増大、質的変化の傾向が顕著にみられ、しかも特にここ数年の道路、公園等の公共空間や住居における強盗、性犯罪等の急増は、市民の身近な安全を脅かし、体感治安悪化の大きな要因となっている。更に、最近、動機・背景が判然としない凶悪・特異な犯罪の発生がみられ、治安に対する不安感に一層の拍軍をかける状況がある。

◇集合住宅の防犯について/中村雅一(綜合警備保障(株)開発技術部長)(6ページ)
地価の高い都心部では、必然的に土地利用の効率を上げるためにマンションが建設されてきた。近年では高層建築のマンションも増えている。マンションは鍵一つだけで防犯が徹底されるという利点が認識されているが、一方で構造、コミュニティの問題点の方は意外に知られていない。
本稿では、マンションの防犯を多角的に考察した。環境設計、防犯設備、住民のコミュニティの3つの防犯には不可欠な要素を各々概観する

◇学校のセキュリティ/瀬渡章子(奈良女子大学生活環境学部助教授)(4ページ)
子どもたちが登下校時に誘拐やいたずらの被害を受けることはあっても、他者の侵入によって学校内でこれほどまでに多くの子どもたちの命が危険にさらされたことはかつてなかった。今回の事件にたいしては、めったに起きない特殊な事件だからそう神経質になる必要はない、という考えもあるだろう。また、今回のような事件は犯罪者がその気になれば容易に実行できるものなので中途半端な対策では防止できない、という意見も聞かれる。確かに両者の意見に同意できる点もある。しかし、これまで学校があまりにも無防備であったことを考えると、「犯罪を未然に防ぐ」と同時に、犯罪が起きてしまったら「被害を最小限に抑える」という観点からも学校の安全性が追究されることが大事である。学校は、地域コミュニティの核としての役割がますます期待されているが、安全な地域づくりの中心としても重要な役割が期待できる。このような視点から、以下では学校のセキュリテイに関わるいくつかの課題をとりあげたい。

◇鍵のセキュリティについて/徳山信徳((株)ゴール技術部主事)(11ページ)
住宅は生活の基盤であり、住む人の安全を確保するとともに財産を保護するための重要な場である。そして、そこに使用される錠の担う役割は非常に大きいものである。また豊かな住環境とは、セキュリティ(安全性・防犯性)、アメニティ(快適性)、そして経済性の三つの要件が必要とされているが、セキュリティは住宅が満たすべき最も基本的な要件であるといえる。
ところで従来、住宅を選ぶ際にキッチンなどの設備機器やあるいは扉や錠のハンドルデザインなどに関してはある程度の関心が払われるものの、住宅のセキュリティ特に錠のセキュリティについては充分な考慮が払われることが少なかったようである。
その原因の一つに、従来、我が国の治安水準が極めて高く保たれてきたために、「水と安全はタダ」という考え方が根強くあることが挙げられる。しかしながら、近年の地域住民の連帯意識の希薄化や匿名性の増大化、あるいは急激なボーダーレス化に伴う来日外国人による組織的な犯罪の発生などによって、我が国の治安状況は著しく悪化しつつあり、従来の安全神話は大きく崩れようとしている。

シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識18」
◇照明器具の維持保全/五十嵐賢治(東芝ライテック(株)施設・HID事業部)(7ページ)
環境負荷を低減することは極めて重要である。このような社会的要求に呼応して、建築物・建築設備の長寿命化に関する技術開発はますます注目されている。建築物の耐用年数はおよそ60年から100年といわれている。照明設備は10年から15年であり、数回の更新が必要になる。ここに記した耐用年数はあくまでも、適正な維持管理が行われていることを前提とするものであり、適正な年月安全に使用するためには、環境に則した照明器具の選定とその設備に適切な維持管理が重要である。
こごでは、照明器具、特に屋内用途として用いられる一股用照明器具、非常用照明器具、誘導灯について、さまざまな機能低下(劣化)の要因を解説し、これら照明設備の維持管理を適正に行うためのポイントを示す。
なお、一般照明用器具とは、本文では広く使用されている施設用蛍光灯器具(使用条件;定格電圧、5~35℃の常温、45~80%の常湿)を主対象とする。

◆ぼうさいさろん
◇自然災害を切手で語る(その3)/登坂宏(日本郵趣協会正会員)(2ページ)
(氷の循環による災害一1)
地球は表面の70%が海という水惑星です。太陽光や地熱で「水・水蒸気・氷」の三相(液体・気体・固体)が熱収支を伴って変化しています。

◆Q&Aコーナー
◇耐震等級評価指針・評価マニュアル質問・回答(4ページ)


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