(シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識(17)」)

当協会の機関誌「建築防災」(月刊)の紹介
No.285 2001/10月号
  シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識17」

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◆防災随想 設計レビューでの会話/川口誠(㈱アスクエンジニアリング常務取締役)(1ページ)

◆安全のちしき
◇スケルトン賃貸・分譲の現状と防災上の問題点/本田広昭((株)オフィスビル総合研究所代表取締役)、千葉幸雄(東京都都市計画局建築指導部調査課課長補佐)(5ページ)
スケルトン賃貸・分譲の現状
二ーズが高まるスケルトン賃貸・分譲方式
わが国では、飲食店や物販店舗等の建物を賃貸(分譲)するときに、最終使用者に引き渡される手法として“スケルトン貸し(分譲)”が普及している。
目的は、最終使用者が営業しようとする店舗に応じて、内装や設備を自由に選択できるようにするためである。
従来、このような店舗に限られていたスケルトン貸しの手法が、建物内装の自由度に着目して、分譲住宅やオフィスにまで広がりつつある。賃貸住宅では、間取りや内装を標準化するほうが入居者確保が容易であり、賃貸借期間との関係でもスケルトン貸しの二一ズは低いが、分譲住宅の分野では、商品価値を高めるため、スケルトン分譲とし、購入者に間取りや内装の自由度を与えるケースもみられるようになってきた。
一方、賃貸オフィスビルの分野では、標準内装で仕上げられた部分を、受付や応接、会議室、役員室、カフェテリアなど事務室以外の用途(全体の1/3)に使われるスペースに改装するための工事が頻繁に行われ、一度も使われないまま捨てられる未使用の標準内装廃棄物の間題や、内装の自由度向上による個性的なオフィスづくり等の二一ズが高まり、わが国でも、米国の賃貸オフィスでは一般的な”コア&シェル”貸し(スケルトン貸し)普及の兆しが現れ始めている。ちなみに、わが国には分譲オフィスはほとんど存在していない状況にある。
構造(スケルトン)と設備や内装(インフィル)など寿命や使用目的の異なる部分を分離して設計し、その最終用途の二一ズに対応しやすく、また、将来の用途変更をも容易にするスケルトン貸し(分譲)方式が注目されていると同時に、建物の完了検査前に、建物の一部を使用するための手続きとして、仮使用承認制度の二一ズもますます高まるものと思われる。

◇スケルトン状態の防火対象物の防火安全対策と課題/鈴木和男(危険物保安技術協会業務企画部長)(6ページ)
防火対象物の未使用部分をスケルトン状態のままで、防火対象物の他の部分の使用を開始する場合における当該スケルトン状態の部分の火災危険性、管理状況、消防用設備等の設置状況や防火対象物全体としての防火安全性の確保方策について解説する。さらに、当該防火対象物の消防用設備等の設置・維持や各種手続きに関する消防法令の運用に、ついての考え方を紹介する。

シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識17」
◇避雷設備の基礎知識と保守点検/松島利守(全日本避雷設備工業会理事(エースライオン㈱社長)(5ページ)
1990年以降、我が国で建設される建築物は、経済の成長・土地の有効利用とあいまって、技術の進歩により高層化・大規模化の傾向が顕著になり、数量的にも増加しており、ビジネスの効率化・グローバル化の急速な大きな波が到来し、建築電気設備のインテリジェント化・IT化の要求が益々高まっています。
一般的に、落雷は高い建物ほど雷雲に近く、雷撃を受ける確率が高いと言われています。
建築基準法・消防法等により避雷設備の設置義務が規定されています。
また、その技術的基準は「JIS A4201建築物等の避雷設備(避雷針)」に基づき規定されています。法の規制は、言うまでもなく、最低の基準を定めたものであり、また、最近では、国際的協力によって雷現象もかなり解明されてきており、IEC(International Electrotechnical Comission(国際電気標準会議))では合理的な雷保護手法も確立されています。建築物等の防災設備の一つとして、十分な配慮をする必要はいうまでもありません。
IEC規格の研究が盛んになるにつれ、従来のJIS規格の建築物等を直撃雷から如何に保護するという外部雷保護概念(避雷針)のほか、新たに直撃雷または誘導雷・侵入雷を含めた雷撃から如何に建築物内の人間・電気設備・機械設備等を保護するかという内部雷保護概念(雷電流アレスタ・サージアレスタ・等電位ボンディング)が確立されてきています。この内部雷保護慨念は、電気設備のインテリジェント化・IT化が進めば進むほどますます重要な分野になっております。しかし、ここでは従来からの外部雷保護の観点から述べておきたいと思います。

◆行政ニュース
◇災害に係る住家の被害認定基準の改定について/宇野雅憲(内閣府防災担当政策統括官付災害復旧・復興担当参事官付補佐)(8ページ)
まず、内閣総理大臣官房審議室長通知「災害の被害認定基準の統一について(昭和43年6月14日総審第115号)」により定められた現行の被害認定基準のうち住家の全壊及び半壊に係る認定基準(以下「現行基準」という。)の見直しを行った背景について説明させていただきます。
災害の被害認定基準は、当初災害時の被害状況の報告のため、関係各省庁がそれぞれの通達等により定められていたものであったが、その判断基準に差異があり行政上の混乱が生じていたことから、その重要性にかんがみ、昭和43年6月に統一されたものであります。
しかしながら、被害認定基準は統一されてから、既に30数年が経過し、この間、生活様式の変化に伴う居住者の住宅に対する要求内容の高度化などから、建築技術の進歩とともに住宅の構造や仕様も変化し、それに伴い被害の態様も多様化してまいりました。
その結果、最近の災害に係る住家の被害認定については、豪雨等による被害で床上浸水と判定された住家の一部について、床板、壁材や断熱材に大きな被害が出て居住が困難なものがあることや、地震等による被害で半壊と判断された住家の一部について、内部が破壊されたり、傾いていることにより居住が不可能となっているものがあるなど、実状に合わないのではないかとの指摘がなされております。

◇既存住宅の地震保険料率割引のための耐震診断による耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)評価指針について/今泉晋((財)日本建築防災協会専務理事)(8ページ)
平成7年1月17日の兵庫県南部地震による建築物の倒壊・大破の被害が多数に上ったこと、しかも、昭和56年以降に建設された建築物に比べそれ以前の建築物(俗に「新耐震以前の建築物」といわれている。)に特に倒壊・大破の被害が多かったことなど、建築物の耐震性によって被害の有無・程度に有意な差があることが理解されるようになり、この地震をきっかけとして既存建築物の耐震性が大きく注目されるようになった。
既存建築物の耐震性については、㈱日本建築防災協会が中心となって昭和50年代前半から各構造別に耐震診断基準を開発し、東海地震の予知と並行して静岡県を中心に少しづつ普及しつつあった。しかし、兵庫県商部地震以降は、全国各地で既存建築物の耐震診断・耐震改修に対する関心が高まった。

◆災害報告
◇下方排気方式焼肉用機器(無煙ロースター)における火災の現況及び火災予防対策について/東京消防庁予防部予防課(4ページ)
まず始めに、無煙ロースターとは、煙を客席に出さない下方排気方式の焼肉ロースターのことで、焼肉のにおいが、服などに付かないことから会社帰りのサラリーマンや女性客からも多く好まれています。
この機種は、昭和55年頃に開発され、昭和60年ごろから普及し始めているもので、いまでは、多くの焼肉店がこの「無煙ロースター」を設置しています。
しかし、今年に入り、この「無煙ロースター」から出火する火災が急増しました。
なぜ、無煙ロースター火災が増加してしまったのでしょうか、その原因等について、探っていきたいと思います。

◆ぼうさいさろん
◇火災安全性能を考える/原田和典(京都大学工学研究科生活空間学専攻助教授)(5ページ)
建築物の火災安全に関しては、平成10年6月の建築基準法改正に伴う性能規定の導入、平成12年4月の住宅性能表示制度の創設にみられるように、最近の変化の多くは「性能」をキーワードとして語られる。法令関係の一連の改革が一段落しつつある今、一連の動きを振り返って、火災安全性能とは何かを考えてみるのが本稿執筆の目的である。
話の順序としては、そもそも性能とは何かということから始め、次に法令で性能を「規定」したり「表示」したりすることの意味を考え、最後に火災安全性能の今後について些少ではあるが私見を述べさせて頂く。

◇自然災害を切手で語る(その2)/登坂宏(日本郵趣協会正会員)(2ページ)
(風による災害)
今月号では、風による災害を見てみましょう。私たちの住む地球は大気(空気)と水が存在していることは皆さんご存知ですね。
この大気と水が、太陽エネルギーと地球の公転・自転によって、「大気の循環」(風)と「水の循環」(雨、晴)という運動を起こし、天気の変化となるのです。
風の中でも一番恐ろしいのは、東南アジアで「台風」(最大風速17m/秒以上)中米で「ハリケーン」(最大風速33m/秒以上)、西アジア・太平洋で「サイクロン」と呼ばれている熱帯低気圧です。

◆戸建て住宅耐震改修の工法・事例等の募集について(2ページ)


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