(シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識(16)」)

当協会の機関誌「建築防災」(月刊)の紹介
No.284 2001/9月号
  シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識16」

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◆防災随想 「防火・人命安全と環境問題のはざま」/三浦宏(総務省消防庁予防課設備係長)(1ページ)

シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識16」
◇目地の役割と維持管理/佐藤紀男(㈱NTT建築総合研究所FM技術部担当部長)(4ページ)
現代の建築物は、多数の部位・部材と設備機器類などによって構成されている。中でも、部材などは金属と金属、金属と木材、金属とコンクリートあるいは合成樹脂製品など異種材料がジョイント(目地、継目、継手等)によって様々な形に組み合わされている。
このジョイントは、使用されている材料や部品などの数に比例して増加するため、目地、継目、継手で建築物が構成されているといっても過言ではない。
目地の語源は石積みやれんが積みなどに由来している。
古代エジプトにおける目地の役割は石やれんがの積み方が問題であり、構造体をしっかりと固めることであった。
我が国においては、古来から木材の継手や仕口が使われており、これも構造上の役割であった。また内・外装は殆ど継目のない左官仕上げであったので、いかにきれいに仕上げるかが問題であった。
しかし、近年になって目地という概念が確立し、要求性能なども明確になってきている。その背景には、建築材料が多様化し、部品や部材の継目に対していろいろな性能が要求されるようになってきたからである。特に、外壁に複合材料で構成されたカーテンウォールなどが使用されるようになってから、強度のほかに水、風、音、火、熱など、様々な性能について検討が加えられ、建物自体の品質向上が図られてきた。
このように、目地に期待される役割が複雑となってきている。
そこで今回、目地の重要性。(役割)とその維持管理方法などについて紹介する。

◆行政ニュース
◇静岡県第3次地震被害想定の概要/小澤邦雄(静岡県総務部防災局防災情報室長)(7ページ) 
地震被害想定実施の経緯と目的
昭和51年に東海地震説が発表されて以来、静岡県では東海地震対策を県政の最重要施策の一つとして取り組んできた。この間およそ25年、国内外で発生した様々な地震災害から多<の教訓を学んできたが、近年では平成5年7月の北海道南西沖地震から津波災害を、平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災から近代都市型災害に関して多くのものを学んだ。特に阪神・淡路大震災は、6,400名余の尊い命を一瞬にして奪った未曾有の大災害として、ここから得られた多くの教訓をもとに、静岡県では直ちに地震対策の総点検を行い、平成7年5月に、地震対策を見直す行動計画「地震対策300日アクションプログラム」を取りまとめ、対策の充実強化を図ってきた。
今回、21世紀の新たな地震対策を積極的に推進するための基礎資料として、阪神・淡路大震災から得られた貴重な教訓を改めて認識し、最新の地震防災に関する研究成果などを取り入れた被害想定を実施した。想定は平成10年度から平成12年度まで3年かけて実施し、平成13年5月30日、静岡県防災会議に報告、公表された。

◆全国ネットワーク委員会ニュース
◇既存建築物耐震診断・改修等推進全国ネットワーク委員会 平成13年度第1回全体委員会開催報告(1ページ)
既存建築物耐震診断・改修等推進全国ネットワーク委員会(略称「全国ネットワーク委員会」;委員長岡田恒男東大名誉教授・芝浦工大教授)は6月27日に虎ノ門パストラル桔梗の間において平成13年度第1回全体委員会を開催しました。

◇特別報告「耐震改修促進への取組み」
横浜市の住宅耐震化施策について/保坂研志(横浜市建築局民間住宅課係長)(2ページ)
横浜市は木造住宅については横浜市木造住宅耐震診断士派遣事業及び横浜市木造住宅耐震改修促進事業、分譲マンションについては横浜市マンション耐震診断支援事業を、そして平成13年度より横浜市マンション耐震改修促進事業を新規に制度を立ち上げます。
地震時の木造住宅の倒壊による被害を未然に防いで、地震に強い安全な街づくりを進めるために、横浜市木造住宅耐震診断士派遣事業を平成7年10月から開始しています。横浜市が市長が認定した診断士を無料で派遣して木造住宅の耐震診断を実施します。
プロジェクト「TOUKAI-0」/小澤徹(静岡県都市住宅部建築住宅総室建築安全室主幹)(7ページ)
静岡県は古くから耐震対策に取り組んできましたが、新しい取り組みとして、「「東海地震」今こそ立ち向かおう全県民で!」というスローガンで、新しいブロジェクト「TOUKAI-0」を立ち上げました。
昨年度末に「「東海地震」今こそ立ち向かおう全県民で!」ということでスタートし、今年度を防災元年と位置づけました。昨年は有珠山や三宅島の噴火、鳥取県西部地震、東海豪雨などの自然災害が頻発しました。そのような状況の中で、静岡県では東海地震の切迫性が非常に高まってきているとの報告が出ました。東海地震については1976年の石橋説から事が始まり、25年経過しています。石橋説が出た直後に、この耐震ネットワーク委員会委員長の岡田先生に静岡県に来ていただき、耐震診断のやり方、地震対策の進め方などを総合的にご指導いただきスタートしました。この耐震ネットワーク委員会のメンバーとして本日ご出席されている静岡県建築士事務所協会と一緒になって、.非常に多<の勉強会を重ね、技術習得をし、耐震対策を実施してきました。
住宅の耐震診断・耐震改修の促進について/岡崎健二(国土交通省住宅局建築物防災対策室長)(3ページ)
横浜市と静岡県から先駆的な耐震改修への取り組みの報告がございました。そのご努力一特に財政当局等への説得については大変苦労されたと思います一に敬意を表します。他の公共団体も同様の取り組みをしていただけることを期待します。もちろん国も全面的に応援していきたいと考えております。

◆災害報告
◇2001年芸予地震による建物被害と強震記録の性質/境有紀(東京大学地震研究所)、藤井賢志(東京大学生産技術研究所)(13ページ)
2001年3月24日に発生した芸予地震(Mj:6.7)の主として建築物を対象とした被害調査、および観測された強震記録の性質、被害との対応関係について報告する。なお紙面の都合で写真などは一部しか載せていないので、詳しくは以下のURLをご覧いただきたい。ここには、K-net,KIK-net強震観測点周辺の写真も掲載している。
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/yuuki/geiyo/geiyo.htm

◇インド西部地震災害への復旧技術支援/上之薗隆志(国土交通省国土技術政策総合研究所危機管理技術研究センター建築災害対策研究官)(4ページ)
2001年1月26日にインド西部Gujarat州において発生した地震により、同州Bhuj市、Anjar市、Bachau市等は甚大な被害を受けた。2001年2月26日から年3月6日において、被害状況の把握、支援二ーズの確認及び他ドナーの動向等を調査し、今後の復旧・復興支援のための基礎的な情報を収集することを目的した日本政府調査団に参加した。ここでは、日本からインドヘの復旧・復呉支援及び関連した技術協力の可能性について述べる。筆者の担当した範囲は耐震/建築分野であるが、他の調査団員の分担した範囲についても紹介する。

◇建築物の被害と補修2001年1月26日インド西部地震/河野進(京都大学工学研究科建築学専攻助手)、田中仁史(京都大学防災研究所教授)(6ページ)
2001年1月26日午前8時46分(現地時間)に、インド西部のGujarat州Bhachau付近で大規模な地震(インド西部地震またはGujaratEarthquake)が発生し、Gujarat州に極めて甚大な人的被害と構造物被害が生じた。USGSによれば、震源位置は北緯23.40度・東経70.32度、震源の深さは17㎞、Mwは7.5であり、インドプレート内部に発生した逆断層型の巨大地震であった。インド政府が2001年3月20日発表した情報によれば、死者20,005人・負傷者166,000人(うち重症は20717人)、全壊家屋187,000戸、半壊家屋501,000戸となっている。また、経済損失はおよそ6000億円(50億ドル)に達する見込みである。
被害がもっとも大きかったのは震源であるKutch地方であり、中でもBhachau,Bhuj,Anjarなどの地方都市における一般家屋の被害は甚大であった。鉄筋コンクリート多層住宅の崩壊は、震源に近いBhujやgandhidhamではもちろん、震源からかなり距離があるMorbi(震源より約125㎞)・Rajkot(同150㎞)・A㎞edabad(同300㎞)等の都市でも多数報告されている。被害地域の建築物は、大きく2種類に分けられる。

◆ぼうさいさろん
◇自然災害を切手で語る(その1)/登坂宏(日本郵趣協会正会員)(2ページ)
(天災は忘れた頃にやってくる)
有名な「天災は忘れた頃にやってくる」は、物理学者の寺田寅彦先生の言葉です。天災が発生したら、被害を最小限に止める防災に重点を置く立場から「地震研究所」設立(大正14年)に尽力されています。

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