(シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識(14)(15)」)

当協会の機関誌「建築防災」(月刊)の紹介
No.283 2001/8月号
  シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識⑭⑮」

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◆防災随想 「耐震計算と耐震診断」/前田匡樹(東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻助教授)(1ページ)

◆安全のちしき
◇官庁施設における建築非構造部材の耐震診断と耐震改修/長谷川直司(国土交通省国土技術政策総合研究所住宅研究部住宅生産研究室長)(7ページ)
官庁施設の多くは、地震災害時に、応急復旧、復旧・復興等の地震防災機能を発揮することが期待されている。そのためには、施設の構造体、建築非構造部材、建築設備について、一般の施設に比べて耐震安全性を十分に確保する必要がある。このことは、既存施設についても同様である。平成7年1月の阪神・淡路大震災では、特に、新耐震設計法による構造となっていない昭和56年以前に建設された建築物に大きな被害が生じている例が少なからず見られる。こういったことを未然に防ぎ、要求される機能を発揮させるためには耐震診断を総合的に行い必要に応じて耐震改修を施す必要がある。ここでは、建築非構造部材の扱いについて紹介する。

◇家屋の浸水対策に関する調査研究の成果/今泉晋((財)日本建築防災協会専務理事)(17ページ)
治水事業は着実に進み、一級河川の破提等による大洪水は殆どなくなってきているが、人口と国民資産の集中する都市部においては、用地確保が困難な中小河川等の整備の遅れ、都市化による雨水の流出量、流出速度等への影響などから都市部における浸水被害のシェアーが大きくなってきています。
さらに近年100㎜を超える一時間降雨量が各地で記録されており、特に昨年の9月には東海豪雨により26,655戸もの家屋が床上浸水をし、多大な生活被害と多額の家屋被害を受けたことは皆様の記憶に残られていることと思います。
これらの地区は過去に浸水被害の経験が無かった地区も多く、浸水被害に何の対応もしていないのが実態であり、また浸水被害を過去に体験した人でなければ浸水対策について殆ど意識していないのが実態です。
このような状況に対して、今年の6月に水防法が改正され、今後浸水についてのハザードマップを整備し、地区の居住者に対して浸水の危険性を認識してもらう方向に進んできています。このように浸水危険性を意識することにより、それぞれの家屋が浸水に対して被害を軽減することが可能となります。
国土交通省では、平成12年度調査として河川局と住宅局とが共同で「家屋の浸水対策」について日本建築防災協会に委託し検討してきました。

◆災害報告
◇鳥取県西部地震にみる被災者対応の地域性/鈴木有(秋田県立大学木材高度加工研究所教授)(9ページ)
筆者は鳥取県西部地震の主要被災地で現地調査を2回行った。初めは、発災十日後の2000年10月16~18日に鳥取県日野町と溝口町へ、次は凡そ5ヶ月後の2001年3月12~14日に、上記の2町に加えて、鳥取県米子市と岡山県新見市に赴いた。また、発災後1ヶ月間、鳥取・島根両県の圭要地方紙「日本海新聞」と「山陰中央新聞」を講読して、被災・復旧・復興の関連記事を検索、更に2回目の現地調査時に、被災地の図書館で現地新聞の関連記事スクラップ集にも目を通した。
●この震災の「地域性」とは何か?何時の震災でもそうだが、普通の庶民や地域社会には、住居の回復が震災復興の基盤になる。とりわけ今回の地震被害は中山間地の住宅に集中したので、被災特性の分析ではこの観点が特に重要である。前記のように収集した資料と現地での聞き取りを基に、主として住宅の復旧と復興に関わる被災者への対応の地域的な特徴について考察した結果を、本稿では報告する。以下では、本地震による上述の「地域性」を次のように考えている。
①国に対する「地方」からの政策発信
今回の震後対応で最も話題を呼んだのが、個人財産の住宅の建て替えや補修に、実質的に公費助成が実現したことである。言わば、国政の壁に風孔を空ける地方からの政策発信で、第1の論点を、「国に対する地方の対峙」として捉えよう。
②「地方」自治体による対処の差
この住宅復興支援制度は、県によって大きく色合いを変えたし、県内の自治体毎にも微妙に実施内容が変わっている。第2の論点として、「自治体による地域差」に注目しよう。
③「地域」の個性と対処の相異
同一行政区内でも、地区による事前のまちづくりの取り組み状況が震後の応急対応や復興に強く影響している。第3の論点として、典型事例を通して、「地域の個性と震後対処の差」に注目したい。
④発災「地域」と発災時期の相乗作用
時代は高齢化社会への対応を大きく変えながら推移している。今の時期に高齢化が進んだ中山間地を襲った地震という側面から、最後の論点として「発災地域と発災時期の相乗作用」を考える。

◆シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識⑭」
◇ドアの維持保全(その2)金物編/田中收(三和シャッター工業(株)、カーテン・ウォール・防火開口部協会防火区画ドア委員会委員長)(7ページ)
前号「ドア編」に続き、「ドア金物編」として、保全の為の基礎を解説する。

◆シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識⑮」
◇屋外広告物の安全性/山口光彦((株)日塔設計事務所取締役会長)(12ページ)
屋外広告物が老朽化や、積雪、地震、強風により、倒壊落下して、公衆に被害を与える事がある。
屋外広告物法(昭和24年6月3日、法律第189号)最新改正平成11年7月16日法律第87号
(目的)
第1条 この法律は、美観風致を維持し、及び公衆に対する危害を防止するために、屋外広告物の表示の場所及び方法並びに屋外広告物を掲出する物件の設置及び維持について、必要な規制の基準を定めることを目的とする。
公衆に対する危害本法にいう「公衆に対する危害」とは、単に屋外広告物又は屋外広告物を表示若しくは掲出する物件の設置管理の瑕疵等により生ずる倒壊等の物理的現象による直接的な危害のみならず、屋外広告物又は屋外広告物を表示若しくは掲出する物件の設置により、見通しの不良又は信号機、道路標識の妨害等によって生ずる危害も含まれる。
以上の様に、本法は美観風致と並び公衆に対する危害の防止が最優先されている。


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