(特集「建築に使われる木」)

当協会の機関誌「建築防災」(月刊)の紹介
No.282 2001/7月号
  特集「建築に使われる木」

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◆防災随想 「聞きかじりストックマネージメント」/中島修一(ダイケンエンジニアリング(株)常務取締役)(1ページ)

◆特集「建築に使われる木」
◇林業生産から内外木材の生産・流通について/西村勝美((財)日本住宅・木造技術センター研究開発部長)(5ページ)
林野庁統計によると、最近におけるわが国の木材消費量は年間1億数千m3(丸太換算材積)と示され、したがって国民一人当たり毎年約1m3(事務机1つ分の容積に相当する)の消費量となる。また消費量の内訳は輸入材が約80%で、国産材は僅かに20%となっている。しかしこのほぼ半分は海外依存率が高い製紙用の木材チップであるため、主に建築用に向けられる木材について限ると、年間の国内消費量は約5千万m3となって、国産材と輸入材の比は、55:45と表すことができる。
建築用に向けられる木材は針葉樹材が主体で、国産材ではスギやヒノキ、カラマツなどであり、しかも今日ではその殆どが人工林材である。これに対して輸入材は、北米やロシアからの天然林材が主体で、一部に北欧やニュージランドからの人工林材が充当されている。
小稿では、これら建築用に向けられる国産材について、林木の仕立て段階から丸太の生産と流通、製材の生産と、流通に焦点をあてて概説し、輸入材についてはその流通経路に限って述べることにする。

◇構造材としての木材・木質材料について/腰原幹雄(東京大学大学院工学系研究科建築学専攻助手)(5ページ)
大昔から、石材とともに最も身近に存在する建築材料であった木材は、誰でも手軽に使える材料として重宝されてきた。しかし、鋼やコンクリートなどの工業材料の出現により、木材は、材質的にバラツキが大きい工学的でない材料とレッテルを貼られてしまった。しかし、木材のもつ不思議な魅力は、エンジニアの心をくすぐり、集成材をはじめとするエンジニアードウッドとして工学的な材料として復活させた。

◇住宅用内装材として木質系材料に要求される性能/佐藤雅俊(東京大学大学院農学生命科学研究科助教授)(5ページ)
木質系材料(製材品や木質材料を含む)を内装材料として用いる場合には、その用途から床材、壁材、天井材に区分される。各部位に要求される性能は、それぞれ異なるが、防火性(燃焼性、難燃性、不燃性、着火性、火炎伝播性、発煙性、ガス有毒性等)、吸音性、遮音性、断熱性、調湿性、清掃容易性(汚染、変色等)などの他、、耐久性(防水・防湿性等)、美的要素(美観、テクスチャー)、施工性の良さ、性能とバランスした経済性の高さ、補修の容易性などがあげられ、これらの条件が整って木質系の材料を内装材料として使用することが可能となる。一方、性能に関しては、昨年に施行された住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下:品確法と略す)、その骨子である「日本住宅性能表示基準」において、住宅(戸建て、共同住宅)の性能評価基準が示され、その中で各性能毎に木質系材料に要求される性能が示されている。
そこで、ここでは木質系材料が内装材料等として多用されている住宅に使用する際に考慮されなければならない性能について、昨年施行された住宅性能評価基準等を基に概説する。

◇防腐・防蟻・耐久性について/鈴木憲太郎(独立行政法人森林総合研究所複合材料研究領域長)(6ページ)
腐れは、きのこの仲間によって起こされ、栄養、酸素、温度、水の4条件が必要で、このうち水が一番重要である。防腐は加圧処理材が性能がよい。塗るタイプのものは定期的な塗り直しが必要である。シロアリは食害速度が早いので、怖れられるが、ヤマトシロアリは、腐朽対策と同様である。イエシロアリは巣の駆除が重要である。防蟻処理には、材料の使い方に加え、木部処理と土壌処理がある。近年、薬剤を減らした防蟻措置が提案されている。木造住宅の耐久性については、水対策が第一で、木を水に漏れないようにするか、ぬれてもすぐ乾くようにすれば、腐らなくできる。また、維持管理が重要で、管理会社のようなシステムの構築が望まれる。

◇特殊な処理をした木材/今村祐嗣(京都大学木質科学研究所教授)(6ページ)
木材は天然に設計されたハイレベルな構造と機能をもつすぐれた材料であるが、まわりの湿度変動によって生じる形状の変化、寸法の制約、物性の異方性やばらつき、あるいは燃える、腐る、虫害を受けるなど、材料という視点からは用途が制限されることも多い。
ここでは、難燃処理、樹脂などの注入処理、化学的な改質処理、マイルドあるいはファジーな処理、注入処理の方法、物理的な処理、風化と塗装処理など特殊な処理をした木材について述べる。

◆シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識⑬」
◇ドアの維持保全(その1)ドア編/田中收(三和シャッター工業、カーテン・ウォール・防火開口部協会防火区画ドア委員会委員長)(8ページ)
建物には多くの部屋や区画があり、用途に応じて多くの種類のドアが使われている。JISには、ドアセット=「枠」と「戸」と規定されている。実際には、「枠」と「戸」および「付属部品・金具」で構成されているが、「付属部品・金具」については、次号に廻す事として、枠と戸に関した部分を中心に紹介していく。
ドアは①構造・仕様による分類や②機能・用途による分類がされ一般的には両者が混在して使われている。
①構造仕様による分類では戸の構成から開き戸、引き戸あるいは使用材料から木製ドア、鋼製ドア、アルミドア、ガラスドア等また、鋼製ドアでは材厚により、重量ドア(鋼製建具)、軽量ドア(鋼製軽量建具)などに分類される。
②機能・用途による分類では、機能面から防火戸(防火設備)や耐震ドア、防音ドア、X線遮蔽ドア、水密ドア、框ドア等々、また用途面から玄関ドア、点検口、リビングドア、スタジオ用ドア、劇場用ドア、病院用引き戸などがある。これらは目的や用途に応じて使い分けられており、その維持管理のポイントも異なっている。
今回は建築防災という本誌の主旨から防火戸(防火設備)、耐震ドアあるいはバリアフリーという見地から使用例が増えている引き戸等を中心に、それぞれの代表的なドアについて解説を行う。

◆安全のちしき
◇伝統的木造構法に見る防災の知恵(その2)/鈴木有(秋田県立大学木材高度加工研究所教授)(10ページ)
■始めに-現代の耐震構造を見直す
本シリーズの初回として、前回は「雪に備える伝統民家の智恵」を体系的に識ることをテーマに据えた。そして、その基盤にある自然観や生活観を探り、現代の住まいや暮らしを見直しながら、設備に頼りがちな現代防災の有りようを考え直す契機とした。
その論考から見えてきたのは、「自然との共生」を第一義とする先人の生活観である。人の営みより自然の振る舞いを上位と見て、自然を正しく畏れる。それ故に、自然の摂理に人間の営みを沿わせることを旨とするのが、伝統民家の家づくりの智恵であった。自然の振る舞いを正しく畏れるなら、雪への備えも、決して単体では考えない。先ずは個々の家の構造で備えるが、周辺の設えで、更には街並みで、と多段階に備える。その謙虚で懐深い営みの蓄積が、雪国の「土縁」(ドエン或いはツチエン)に代表されるわが国固有の優れた建築空間を生み出した。また、「コミセ・ガンギ」が連続する、或いは平入りの町家が続く美しい街並みや屋敷林を備えた緑豊かな集落を形成してきた。葭や薄も植生生態に合わせた茅の利用が、例えば茅葺き屋根の葺き替え共同作業を通して、村落共同体「結」の結束を確認する場に繋がるなど、人の絆も強めた。自然の災害に傭える伝統民家の家づくりは、人と自然・人と人との「共生の文化」に昇華していたのであった。
2回目の今回は、「地震に備える智恵」を取り上げよう。家の構造だけでなく多重に備える考え方は、雪備えの場合とも共通しているが、地震の場合は特に、個々の家の構造においても多段階に備える、という構法に特徴がある。今回は後者の視点を中心に、構造力学的側面からも解説し、現代木造の耐震構造を再考する契機にしたい。

◆定期調査報告コーナー
◇特殊建築物等調査資格者講習制度の改正について/(財)日本建築防災協会(3ページ)
昭和46年度から平成12年度まで30年間にわたり実施されてきました建築基準法第12条第1項及び第2項に規定される定期報告制度に係る特殊建築物等調査資格者、昇降機検査資格者及び建築設備検査資格者の各講習制度が、このたび大きく改正されました。改正項目は各講習とも同様のものですが、本稿では、特殊建築物等調査資格者講習制度の改正を中心に紹介します。昇降機検査資格者及び建築設備検査資格者の講習制度改正の詳細につきましては、(財)日本建築設備・昇降機センター(電話:03-3591-2422(設備)3591-2423(昇降機))にお問い合わせ下さい。
なお、改正前に既に資格者となっていた方は、今回の改正後も資格者とみなされます。


その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。

財団法人 日本建築防災協会 機関誌係
東京都港区虎ノ門2-3-20 虎ノ門YHKビル8階
電話:03-5512-6451 FAX:03-5512-6455
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