(特集「鳥取県西部地震」)

当協会の機関誌「建築防災」(月刊)の紹介
No.278 2001/3月号
特集「鳥取県西部地震」、シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識⑨

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◆防災随想 「やさしく強くリフォーム」/神谷敏之((株)山下設計設計監理本部第一構造設計部長)(1ページ)

◆特集「鳥取県西部地震」
◇鳥取県西部地震における木造建築物の被害について/槌本敬太、河合直人、山口修由、宮村雅史(国土交通省建築研究所)(6ページ)
2000年10月6日に発生した鳥取県西部地震では、揺れの大きかった地域に鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建築物が比較的少ないこともあり、主として木造建築物に被害が生じた。建設省建築研究所では鳥取県の被害原因調査要請を受け、10月16~17日と11月5~8日の2回に渡って筆者を含むのべ8名の調査団を結成し、米子市、境港市、西伯町、日野町における木造建築物の被害状況、特定地域内の被害分布、被災建物の構造・構法に関する調査を実施した。ここでは、2回の調査で収集した情報をもとに、被害の概要、被害の特徴、推定被害要因について記す。

◇鉄筋コンクリート造・鉄骨造建築物の被害/上之薗隆志(国土交通省建築研究所基準認証研究センター)(5ページ)
鉄筋コンクリート造(RC造)及び鉄骨造(S造)の建築物について、米子市、境港市、溝口町、日野町の建築物の被害調査を、平成12年10月16日と17日の2日間で行った。特に県有施設で耐震診断が行われた建築物の被害状況を調査した。調査期間が短かったため、日本建築学会による調査結果などインターネットで公開されていた被害については、調査を省いた。

◇鳥取県西部地震における基礎・地盤の状況について/井上波彦(国土交通省建築研究所第3研究部基礎研究室)(8ページ)
鳥取県西部地震においては、多くの建築物が被害を受けたが、基礎・地盤についても、建築物と同様に多くの被害が見られている。鳥取県西部地震による基礎及び地盤の被害は、①弓ケ浜半島沿岸部の造成地等での砂質地盤の液状化に伴う住宅の不同沈下及び傾斜等の障害、②山間部における斜面地の擁壁の崩壊などに起因する障害に大別できる。境港市から米子市に至る弓ヶ浜半島は、地表面付近が緩い砂質地盤に覆われており、地震後は噴砂が随所に認められ、沿岸部の埋立地や造成団地で大きな亀裂・隆起や地盤変動が生じていた。一方、国道180号線及び181号線沿線の内陸部では、擁壁で支持した宅地の崩壊や変状により、住宅の傾斜や構造的な損傷が数多く認められた。

◇地震動から見た鳥取県西部地震の特徴/大川出(国土交通省建築研究所第4研究部施工技術研究室長)(4ページ)
平成12年10月6日午後1時半ごろ鳥取県米子市近傍の山間部を中心にかなり大きい地震があった。震源地近くでは計測震度で6強を観測するなど、地震直後から大きい被害が懸念されていたが、幸いにも死者はなく、予想を下回る地震被害にとどまったのは、不幸中の幸いというべきであろう。従来からよく言われていたように、観測では相当大きな加速度を記録したが、それが必ずしも大きな構造被害に結びつかないということを実証した形となった。地震の規模では同等であった平成7年兵庫県南部地震と地震動がどのように違っていたのかを見てみる。
阪神淡路大震災以降、急速に全国の強震観測網は充実した。加えて、気象庁や各自治体が主体となって、主要都市に震度計が置かれ、日本のどこかで地震が起これば、たちまちにしてその周辺の強震計、震度計が記録を開始し、短時間のうちにどの程度の揺れであったかを教えてくれるようになった。特に科学技術庁のK-netでは観測点の間隔が20~30㎞とどこに地震が起ころうとも10~20㎞の距離での地震動を見ることができる。鳥取県西部地震でも、米子市周辺でのいわゆる震源域の地震動が多数得られている。

◇鳥取県西部地震における応急危険度判定の実施状況について/前嶋義樹(鳥取県土木部建築課)(7ページ)
平成12年10月6日午後1時30分頃鳥取県西部を震源とする大規模な地震が発生して、境港市、日野郡日野町で震度6強等を記録し、重軽傷者106人、全・半壊家屋約3,000棟の被害が出ました。
この地震発生により、地震の翌日から西部地域の14市町村で、鳥取県建築士会の支援を得て応急危険度判定(当初は安全パトロールと称していました)を実施しました。
応急危険度判定は、延べ約300人以上のボランテイア判定士の方々に参加していただき、約1週間で3,800件の建物について判定調査を実施しました。

◇鳥取県西部地震における判定士の召集と判定活動の実施/先本和民(鳥取県建築士会判定本部代表)(4ページ)
去る10月6日1時30分頃、鳥取県建築士会は第43回建築士全国大会を10月26,27日に、米子市コンベンションホール〈鳥取県西部〉にて開催予定を真近に、20日後に迫った大会の重要事項を審議すべく、大会現地事務局で理事会の真っ最中であった。これまでに体験したことの無い大きな地震に襲われ、異様なきしむ音に、天井から冷暖房のパッケージが落下する音に、現地事務局(鉄骨造、2階建て)は倒壊しそうに感じた。理事会は大混乱となり、夫々に、連絡を取って見たが、地震の詳細は判る訳が無い。外に出て状態を観察するに、倒壊した建物の被害はなさそうに感じた。皆が大きな不安を抱えたまま、それでもと、20日後に迫った全国大会のため、理事会を続行することになった。
しばらくすると、鳥取県米子土木事務所建築住宅課長より、建築士会西部支部長に(鳥取県建築士会は東部、中部、西部の3支部に分かれている)「判定士の召集が予想されるので至急米子土木事務所まできて欲しい」との第一報が入った。西部支部の支部長、副支部長、事務局員と、理事会の書類は机に残したまま、鳥取県西部総合事務所(土木事務所ほか西部出先機関が入居)に駆けつけた。
そこで、始めて阪神淡路大震災をうわまわるM7.3、震源地は西伯町の活断層を震源とし、震源地周辺は相当の被害が予想されることを聞く。判定士の召集に備えて欲しいとの連絡を受けた。判定調査の指示が出るまでの時間を利用し、判定士名簿の準備と、調査の全体像が掴めるまで西伯町を中心に被害状況の巡回に出ることにした。
西伯町、会見町を巡回したが、目に付いたのは屋根瓦の棟が崩れた民家、墓石の倒壊が一様に目に付いた。阪神淡路大震災の民家が倒壊した姿を想像した頭には、震源地が近いのにそれほどのことも無い光景に、不安を抱きながらも安心感が走る。宵闇が追り、西部総合事務所へと帰った。

◇鳥取県西部地震における応急危険度判定活動に参加して/高村和也((有)ヒノ設計)(4ページ)
平成12年10月6日(金)午後1時30分頃、鳥取県西部(西伯町山間部)を震源としたマグニチュード7.3(暫定値)の地震が発生した。その被害状況を見て「大地震の割に被害が小さい」と感じた人は少なくないと思う。(私もその一人である)しかし、やはり壊れるべき建物は壊れているのが実態である。そして、私自身が被災者になろうとは…。まして応急危険度判定活動に参加しなければならないとは夢にも思っていなかった。被災地の被災者が、初動の判定活動に参加する事はやはり厳しいものがある。
今回の判定活動の実施に当たり、県の判断及び対応はマニュアルに沿っていなかったかもしれないが、非常に迅速ではなかっただろうか。いろいろな反省点はあるだろうが、応急危険度判定の目的を十分に果した事は評価すべきだと思う。また、地震の規模の割には火災の発生もな<、死者が”ゼロ”であった事は不幸中の幸いであり、本当に運が良かったの一言に尽きる。
地震から4ヶ月が経とうとしているが、未だに我が家の屋根には防水(ブルー)シートが掛かったままである。

◇応急危険度判定雑感/井手添正((社)日本建築家協会中国支部鳥取建築家の会代表幹事)(3ページ)
地震発生から判定士招集まで~判定士の心構え
地震発生10月6日1時30分、私の生活拠点は鳥取県中部で震源より直線距離で約50㎞、この距離は直接の地震被害は無く判定活動をするのにはそう遠くは無い距離といえます。当日は建築士会の全国大会直前の理事会が米子で開かれており震源近くで地震を体験する事になりました。
会議の場所は古い鉄骨造の建物で揺れは相当激しく、壁掛け時計は落下、天吊型空調機の吹出口のカバーは垂れ下がり、吊下型の照明器具も同様です。早速に付近の建物を確認しましたが外見上の被害は殆ど無く、当初はあまり深刻には考えておらず、ラジオ等の報道でM7.3を知らされ、これは大変だという事になりました。この時点では電話は非常に繋がり難い状態です。
理事会を中途退場して被害の大きいと報道された境港市の竹ノ内工業団地へ行って見る。埋め立て地の噴砂現象はかなりの物で、道路や護岸は相当の被害を受けていましたが、建物はそんなに傾いたりはしている様には見えず、内部に入って見れば酷いことに成ってるのかなとは思いながら引き上げました。此は一週間後に入らせて頂いた時その酷さに驚く事に成ります。
この行動中に同行の建築士事務所協会専務に県から判定士の出動要講の連絡が入り(PM5:00)、その足で米子総合土木事務所で出動準備の打ち合わせを行う事に成ります(PM6:30)この頃には電話も通じる様に成って居ました。地震発生から相当の時間が経過しています、電話が通じ難かった事と、判定士としての認識の甘さです、少なくとも震度6以上の地震が有れば直ちに出動準備をする様な日頃の心掛けを徹底する必要が有ります。

◇鳥取県西部地震における被災建築物応急危険度判定活動に参加して/山下卓治((株)山下設計工房)(3ページ)
鳥取県西部地震は、大地が鳴動し震央に近い日野町、境港市で震度6強という激しい揺れをもたらし、西日本一帯に阪神大震災以来のマグニチュード7.3という大きく強い地震がありました。鳥取県西部を震央とする地震は、平成9年にマグニチュード5.1の地震以来のことであり、地震後2週間での余震回数は無感のものも含めて3942回以上とのこと、被災地の住民の不安は幾何であったと推測します。最初の地震につづき余震による倒壊の危険性、及び落下物による危険性をいかに早急に対応できるか、二次的な災害を防止することを目的に応急危険度判定はあるものです。日頃建築業界で生活させていただいている者としては、この様な時こそ、住民の皆様の一助になればとの気合で今度の被災建築物応急危険度判定へ参加させていただきました。

◆シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識⑨」
◇感知器(その1)/竹本太三(ホーチキ(株)システム営業部設計担当部長)(11ページ)
感知器は、自動火災報知設備のセンサーとして使用される他、建築防火設備や消火設備の起動・連動用として設置される。また今後は住宅品質確保促進法(品確法)等に基づいたものとして設置される例も多くなると思われる。
今回は主に消防法に定められた感知器の種類、構造、原理、及び設置場所、維持管理の留意点等を説明する。建築防火・消火設備用のものは消防法上の検定品が使用され、品確法にはこれらの他に”住宅用火災警報器”等の鑑定品も使用される例も有るので、相違点・特性等も理解しておきたい。
火災の発生時には、一般的には可燃物が発熱させられ煙が発生し、炎が生じ更には急激な温度変化を生じて高温状態に至る。現在のところ、感知器として一般的に販売・設置されている機器としては上記4種類の現象を感知するもので有り、今後は臭気・火災音感知等も考えられる。最近では感知器の電子回路化が進み、感知器の状況が一定点信号の出力だけでなく、連続的に信号を取り出せるアナログ式感知器や、常時機能監視できる自動試験機能付のものや、感知器を直接加熱・加煙したりしなくても遠隔で試験する遠隔試験機能(戸外試験機能付)のもの等が設置される傾向になっている。ここでは基本的なものについての説明をしたい。

◆定期調査報告関係地域法人紹介コーナー
◇(財)静岡県建築住宅まちづくりセンター(8ページ)
当センターは、建築物、昇降機及びその他の建築設備並びに工作物等の安全牲を確保するために、その適正な維持管理の推進等の事業を行うことにより、地域住民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的として、昭和49年9月30日、静岡県知事の設立許可を受けて、センターの前身である「財団法人静岡県建築安全協会」として設立された。
主要な事業としては、建築基準法第12条の規定に基づく定期報告制度に関わるものであり、次のとおりである。
①建築物等の安全性についての指導、調査・検査
②建築物等の定期調査・検査資格者の把握、指導育成
③建築物等の適正な維持管理についての啓発及び普及
④関係行政庁及び関係団体との連絡調整
協会設立26年経過した平成12年3月、組織、事業の拡大強化に伴い「財団法人静岡県建築住宅まちづくりセンター」に改組し、定期調(検)査報告、建築確認、住宅金融公庫、住宅性能評価及び住宅性能保証等の業務を取り入れ、現在に至っている。


その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。

財団法人 日本建築防災協会 機関誌係
東京都港区虎ノ門2-3-20 虎ノ門YHKビル8階
電話:03-5512-6451 FAX:03-5512-6455
mail:kenbokyo@kenchiku-bosai.or.jp

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