(特集「特集「レジャー施設の安全対策」、
特集「21世紀の建築防災の展望(その2)」)

当協会の機関誌「建築防災」(月刊)の紹介
No.277 2001/2月号
特集「レジャー施設の安全対策」
特集「21世紀の建築防災の展望(その2)」
シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識⑧)」

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◆防災随想 「性能設計の新世紀を迎えて」/福井潔((株)日建設計東京本社防災計画室長)(1ページ)

◆特集「レジャー施設の安全対策」
◇エキスポランドの遊技施設/小川清((株)エキスポランド相談役)(12ページ)
 1970年3月15日から9月30日までの会期で、日本で初めて開催されました日本万国博覧会のアミューズメントゾーンとして、5本のコースが同時出発同時帰着のコースターとして大人気のダイダラザウルス外13機種の遊戯施設と、ミュンヘン館、ラテナマジカ館など5館のパビリオンが設けられ、万博会場全入場者6500万人のうち2600万人がアミューズメントゾーンに来場するという好評を拍しました。会期終了後は万国博覧会のルールで撤去される予定でしたが、大阪北部7都市(吹田、豊中、池田、箕面、摂津、茨木、高槻)の市民の強い要望で特別に遊園地として残ることになり(株)エキスポランドが設立され運営されております。
 遊園地再開した年は230万人の入場があり、以後は200万人前後の来場者を毎年お迎えしております。
 園内敷地面積25万㎡、駐車場9万㎡で、今日では再開時の遊戯機は無くて、新らしいものが44機種あります。ただしダイダラザウルスのみが2コースを1本に繋ぎ全長2340m、新らしい車両に改造されて現在も人気を保っております。

◇観覧車付きの複合ビル(HEP FIVE)/川嶋泰裕((株)竹中工務店大阪本店設計部第三設計)、中野渡晴夫(同 設計部第三設計部門)、河野隆史(同 設計部第一設計部門)(6ページ)
 HEP FIVEは、観覧車と建物が一体となったアミューズメント性の高い複合商業施設である。都心で観覧車に乗るという新しい楽しみの創出と、若い人達を中心に幅広い層を対象にした時代の先端を行くファッション小売店舗の集積が相乗効果を生み、より高い集客性をもたらすことを狙っている。
 今回のように、高層建物上にこれほど大規模な観覧車が設置されたことは世界的にも類例がない。したがって、観覧車の設計にあたっては通常の観覧車としての設計だけでなく、建物との一体化による相互作用の影響を考慮した高い安全性の確保が必要であった。
 なお、本建物は日本建築総合試験所における建築技術安全審査委員会の構造評定を受けるとともに、観覧車は㈱日本建築センターにおける昇降機・遊戯施設等評定委員会の評定を受けている。

◇よこはま動物園ズーラシアの安全対策について/松嵜尚紀(横浜市緑政局公園部横浜動物の森公園建設事務所)(6ページ)
 動物園に皆さんは、どのようなイメージを抱かれるだろうか。そのイメージを良くも悪くもきっと変えるだろう動物園が平成11年春、横浜に一部オーブンした。よこはま動物園、愛称「ズーラシア」(以下略ズーラシア)である。面積は約29ha、将来、約53haまで拡張する計画で国内最大級の動物園になる予定である。
 ズーラシアの特徴は、人と動物のいる空間を一つの情景として整備し、可能な限り動物の生息環境を擬似再現したことである。従来の動物園と言うより、動物のテーマパークというイメージを持つ。
 興味のある方は、是非一見していただくとして、ここでは、ズーラシアを裏側で支えている、動物の脱出防止など様々な安全対策や施設について御紹介する。

◇東京都葛西臨海海水族園の防災対策/渡辺仁史(早稲田大学理工学部建築学科教授)(7ページ)
 レジャーの多様化に伴って、日本全国にその需要に対応すべき施設が増えている。水族館もその例外ではなく、各地に新設の水族館が計画されており、またこれまでの水族館も新しい時代の要請に応えるべくリニューアルや増築が行われている。美術館、博物館、水族館など観覧施設へのレジャー人口は年間約4000万人で、各種レジャーの中では上位に位置するほど人気がある。このように不特定多数の人間が集まる施設においては、日常時はもちろんのこと、災害時における安全対策をあらかじめ充分検討しておく必要がある。
 ここでは、1989年に開園した東京都葛西臨海水族園で行った観客動線計画の中から、水族館での安全対策に関連する項目を取り上げ、その特質や具体的な対応について概説する。建築計画段階で人間の安全を検討する最も重要なファクターは、正確な来館者数の予測および館内滞在者数の予測である。水族館などのレジャー施設での危険は、連休などで一時的に予想を上回る観客が入場した場合に想定されるので、その数をあらかじめ把握しておくことが、安全対策の主要な要因の一つであることが明らかになった。その上で、施設各所に対応した避難計画を立てることが望まれる。

◇シネマコンプレックス(マイカル小樽)の防災対策/吉田進(大成建設(株)設計本部)、廣川昭二( 同 )、伊藤啓子((有)けいプランニング)(5ページ)
1999年、3月11日、北海道小樽市に、延床面積約34万㎡の巨大な複合商業施設「マイカル小樽」がオープンした。20世紀最後の超大型商業開発として注目を集め、オープン初日に12万5千人を集めるなど、上々のスタートを切った。来店客数は年間1200万人となり、当初の予想を大きく上回った。この開発に設計という立場でかかわることができた者として、このレポートでは現状の消費動向と複雑・大型化する商業施設、マイカル小樽の施設概要と設計コンセプトを紹介するとともに、この中にもある近年、増加著しいシネマコンプレックスの防災対策について考えてみたい。

◆特集「21世紀の建築防災の展望(その2)」
◇規則と個人の責任/和田章(東京工業大学教授・建築物理研究センター長)(2ページ)
 熊本の通潤橋に行ったことがありますか。サイフォンの原理で川を挟んだ反対側の台地の水田に水を送るために江戸時代に作られた石造の美しいアーチ橋です。山道を上がって行くとこの橋の上を歩いて渡ることができます。長さは数10M、幅は数Mあったと思いますが、手摺はありません。それでも、通潤橋から人が落ちたというニュースは聞いたことはありません。人々の安全のためには手摺があった方が良いのでしょうが、藩ちる人は手摺を乗り越えてでも落ちますから、なくても良いのでしょう。江戸時代の美しいアーチ橋に手摺がついていたら興醒めです。アメリカに旅行するとき、少し気張ってHyatt HotelやMarriott Hotelに泊まることがあります。サンフランシスコ、ニューヨーク、アトランタ、ボストンなどいろいろな都市にありますが、内部が大きなアトリウムになっていて、廊下がそれに面して回り、その外側に部屋が並んでいる形式が多いと思います。この内側に面している廊下に腰壁と手摺はついていますが、ガラス窓は入っていません。新宿のNSビルなど日本にも素晴らしいアトリウムがありますが、ほとんどガラス窓があり、アトリウムと廊下の空間が分離されるため、アメリカの建物のように空中を歩いているような印象は感じられません。過密都市の中で大きな建築物を建て、なおかつ火災時等の安全性を守ろうとするとこのようなルールが必要になるのでしょう。しかし、日本橋三越のような例もありますからすべてがだめと言うわけでもないのかも知れません。でも、やはり日本の建築には自由がないように思います。

◇建築防火にも漢方医学の道を/室崎益輝(神戸大学都市安全研究センター教授)(2ページ)
 20世紀が近代化により便利さを獲得した時代だとすれば、21世紀は近代化の超克により安らぎを獲得しようとする時代である。つまり21世紀には、物質的法則から場所的法則へ、あるいは機械的原則から生物的原則へ、さらには標準化主義から多様化主義へとギアチェンジをはかる中で、効率性から安全性への転換がはかられるものと、期待している。
 ところで、この近代化超克の動きは、政治、経済、文化のあらゆる分野で、既に始まっている。建築の分野とて例外ではない。建築の分野での20世紀は、19世紀後半に誕生した近代建築が大きく花開き、やがてそれが全世界を制覇した時代、と位置づけることができる。まさに、20世紀は近代建築の時代、近代主義の時代であった、といえよう。
◇今後の予防行政の方向について/坂本森男(総務省消防庁予防課長)(1ページ)
 消防法は、火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害に因る被害を軽減し、もって安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的としている。
 このため、消防法は、建築物等の関係者に対し、建物の規模・用途に応じて、消防用設備等(消防の用に供する設備(消火設備、警報設備、避難設備)、消防用水及び消火活動上必要な施設(排煙設備、連結送水管、非常コンセント等))の設置を義務付けており、これらの設備等は、消防設備士による工事、消防設備士・消防設備点検資格者による定期的な点検が義務付けられている。

◆シリーズ「建築保全のための建築物調査の基礎知識⑧」
◇屋上・屋根防水の維持管理/佐藤紀男((株)NTT建築総合研究所FM技術部担当部長)(5ページ)
 屋根の防水層は、太陽光線の直射熱、大気、風雨などの気象作用、下地の伸縮、コンクリートのアルカリ成分などの物理的・化学的作用などにより、経年劣化して行くので、適当な時期にその劣化状態を点検し、適切な時期に補修・改修対策を施す必要がある。
 鉄筋コンクリート造などにおける雨漏れの原因としては、コンクリート躯体に欠陥がある場合、防水材料の経年劣化、パラペットの立上り部分のひび割れなど様々なことが考えられるが、その多くは設計上の問題や施工に起因するものが多い。
 ここでは、2000年12月号に引き続いて屋上・屋根に使用されている「メンブレン防水」について、劣化現象と要因、調査方法、補修対策に区分して紹介する。

◆災害報告
◇伊豆諸島近海地震における建築行政職員の対応/大竹正司(東京都都市計画局建築指導部副参事(建築防災担当))(2ページ)
 伊豆諸島の三宅島は、雄山の噴火により、全島避難という事態となっており、村民の苦労は大変なことであり、一日も早い帰島を願うものである。最近は、小休止という状態であるが、7~8月は、神津島、式根島、新島、三宅島近海で、震度6弱4回も含め、何百回という有感地震が発生している。一方、日本列島では、桜島の噴火や鳥取県西部地域に震度6強の地震が発生し、地震により、5千棟以上の建築物が被害に会っている。
 東京都では、南関東地域の直下地震の切迫性が指摘され、それへの対応がなされてきている。今回、神津島で震度6弱の地震が発生したとき、伊豆諸島という特殊性はあるが、建築物にかなりの被害が発生し、その対応をどうしたら良いのか心配したものである。しかし、実際は、村民には大変なことであったが、建築的には大した被害ではなかった。これは、火山性地震の周期が短いという特殊性、地質的には岩盤であり、台風が毎年くるため丈夫な構造といったことによるものと思われる。
 ここでは、東京都の建築行政の一責任者として、実際に、村や村民の人と接して、感じたこと、行政として留意すべきことを、神津島の例を基本に、まとめてみることにした。

◆行政ニュース
◇鉄筋コンクリート構造物耐久性検討委員会の提言(平成12年12月)/建設省(現・国土交通省)(7ページ)
背景と経緯
 コンクリートは、耐久性の高い建築材料として一般に認識され、そのような信頼のもとに広く活用されてきた。現在、コンクリートを使用した建築物は社会のストックの重要な部分を形成しており、それゆえ、コンクリートの信頼性の確保は、社会的な安心感を維持する上でも重要である。
 昨年、トンネル内で発生したコンクリートの崩落事故等を契機として、改めてコンクリート構造物の信頼性に対する国民の関心が高まった。このような背景を踏まえて、平成11年9月、建設省、運輸省及び農林水産省は共同で「土木コンクリート構造物耐久性検討委員会」を設置した。
 同委員会は、土木構造物におけるコンクリートの耐久性を維持・向上する観点から今後のあり方の検討を行い、平成12年3月に「土木コンクリート構造物の耐久性維持・向上等に関する提言」をとりまとめた。
 一方、建築物に係るコンクリートについても、こうした惰勢にかんがみ、この機会に改めて現状を再点検する必要があるとして、平成11年9月に建設省において本委員会を設置した。本委員会では、建築物の場合、建設や維持管理の主体の相当部分を民間が占めることから、このような特徴を踏まえて、建築コンクリートに関する今日的課題の認識や今後のあり方について審議を重ねてきた。,


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