(特集「20世紀の建築防災-災害と技術(17)」)

当協会の機関誌「建築防災」(月刊)の紹介
No.275 2000/12月号(特集「20世紀の建築防災-災害と技術(17)」)

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◆防災随想 「阪神大震災から」/戸原基行(都市基盤整備公団管理業務部住宅保全課専門役)(1ページ)

◆特集「20世紀の建築防災-災害と技術(17)」
◇特集「20世紀の建築防災-災害と技術」おわりにあたって/坂本功(建築防災編集委員長・東京大学大学院工学系研究科教授)(1ページ)
 1999年7月号から連載してきたこの特集も、20世紀の最後の号であるこの2000年12月号で終わることになりました。最初に「始めるにあたって」に書きましたように、20世紀の災害とそれに対する技術は、きわめて多様でかつ多面的なので、あらかじめ体系的な構成は考えませんでした。そのため、案じていましたように、ややとりとめもなく連載した形になったことは否めません。しかし、個々の原稿は執筆者の方に相当自由に書いていただいたので、それぞれ力作揃いの興味深い記事になったと思っています。
 全体の内容は、きちんとは分類できないにしても、おおむね次のようジャンルに分けられると思います。

◇1968年十勝沖地震と鉄筋コンクリート造建物/岡田恒男(芝浦工業大学工学部教授・(財)日本建築防災協会理事長)(6ページ)
 1981年濃尾地震による災害が耐震工学研究の、また、1923年関東大震災が耐震設計規準導入のきっかけとなったように、1968年十勝沖地震による被害、特に、当時の耐震規準により耐震設計された鉄筋コンクリート造(以下、RC造と略記)建物の被害は、その後の耐震工学の発展に非常に強いインパクトを与えた出来事であった。耐震工学の研究者として駆け出しであった筆者にとっても、極論すれば一生の研究生活の方向が定まったと感じたほどの地震被害であった。この地震による被害の報告、被害原因究明のための分析、解析、実験などは多く発表されているが、あらためてこの地震被害を振り返り整理してみたい。

◇我国のSRC幸三の設計技術とSRC規準の変遷/南宏一(福山大学工学部建築学科教授)(7ページ)
 1999年度日本建築学会大会(中国)で開催された鋼コンクリート合成構造(略称SCCS:SteelConcreteComositeStructures)運営委員会によるPDで「SRC構造の80年に学ぶ」というテーマがとりあげられた、)。このPDの主旨は、わが国にSRC構造が、信頼性のある耐震構法として、誕生する契機となったのが、1923年の関東地震であったが、そのSRC構造のもつ耐震性が問われたのは、1995年の兵庫県南部地震であり、その結果、耐震構法として考えられていたSRC造建築物に、32棟にも及ぶ数の建物に、中間層崩壊を合めた崩壊を生じた事実を、どう受けとめるべきかについて考えてみようとするものであった。筆者は、SRC構造の発展過程は、まさしく、わが国の高層建築物の耐震設計技術の変遷に強い関連をもつものと考えているが、本論では、SRC構造の耐震設計技術の発展に対して、日本建築学会のSRC構造計算規準がはたした役割を概説する。

◇守谷先生に導かれて/本杉省三(日本大学理工学部教授)(1ページ)

◇劇場火災/故守谷秀夫(元昭和音楽大学教授)(2ページ)
 19世紀の劇場火災
 20世紀の劇場火災をみる前に、19世紀の劇場火災について概観しよう。
 19世紀末にニューヨークで出版された「ModernOperaHousesandTheatres」という大著がある。この第3巻には、世界における劇場火災のリストと分析が載っている。これによれば、1797年から1897年にかけての100年間に世界では1,115件の劇場火災が起きたと記録されている。とくに19世紀後半に多く、1879年から1897年の20年間で669件と、実に年間30件以上の火災が発生した勘定になっている。この本では火災の発生原因も分析しているが、裸の照明(まだ電灯は発明されたばかりである)やガス設備(ガス灯が使われていた)によるものが半数を占めている。

◇防災理念の形成とその実現が劇場建築にどのような影響をもたらしたか/本杉省三(日本大学理工学部教授)(11ページ)
 私たちが今日劇場設計に適用している防災についての考え方は、今世紀初頭のヨーロッパにおいてその骨格が形作られていた。その後100年を掛け細かな修正が次第に加わり、より安全な劇場が作られるようになってきた。とはいっても、火災や人身事故の心配がなくなった訳ではない。バルセロナのリセウ・オペラ劇場やヴェネツィアのテアトロ・フェニーチェあるいはフランクフルト市立オペラ劇場でのように、建築や設備の改修工事中に溶接の火花が引火し、取り返しのつかない大きな被害をもたらしたり、劇場に忍び込んだ失業者が寒さに耐え切れず舞台上で焚き火をして大火災を引き起こしたなどという悲しい話は相変わらずある。歴史的な建築物を次の時代にも末永く生かして行くことは、その時代に生きる者の務めであると考えれば、現代を生きる私たちの責任は過去から未来に対しても連続的であると思い知らされる。ただ、それらは劇場固有の災害というよりも、どのような種類の建築にも共通の課題である。

◇20世紀の災害年表/今泉晋(1ページ)

◇連載特集「20世紀の建築防災-災害と技術」総目次1999年7月~2000年12月(2ページ)

◆建築保全のための建築物調査の基礎知識⑦
◇屋上・屋根防水の概要/佐藤紀男((株)NTT建築総合研究所FM技術部担当部長)(5ページ)
 建築物に求められる最も根幹に関わる性能は、人間の生命・財産を護ることにあり、雨露を凌ぐこともこの中に合まれる重要な要求性能である。
 特に、先進諸国の中でも日本は多雨地域に属し、さらに国土が南北に細長いため、亜熱帯から寒帯までの気候や気象の変化に備えるための防水性能・雨仕舞などが求められている。

◆災害報告
◇有珠山噴火のその後-建物被害状況/林勝朗(北海道立寒地住宅都市研究所環境科学部長)(5ページ)
 有珠山は2000年3月31日、西山山麓でマグマ水蒸気爆発を起こした。前回の噴火(1977~1978年)から、およそ23年ぶりの噴火である。4月1日には金比羅山山腹からも噴火を開始した。歴史時代以降(1663年以降)、確実な記録の残っている大噴火は、今回で計8回を数える。有珠山噴火による災害は、従来、山頂や山麓での火砕流、火砕サージ、降下火砕物の噴出、火口周辺ドーム隆起とそれに伴う地盤変動及び2次的な泥流・土石流によるものであった、しかし、今回の噴火は、火口が住民の生活圏や主要交通路に近接していたことと、地盤変動が顕著であったため、建物や土木施設など、生活上の基盤施設に大きな被害を引き起こしている。本報では主として建築物の被害について述べる。

◆「建築防災」総目次(1997年1月~1998年12月)(6ページ)


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