(特集「20世紀の建築防災-災害と技術(14)」)

月刊「建築防災」
No.272 2000/9月号(特集「20世紀の建築防災-災害と技術(14)」)

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◆防災随想 家具の耐震対策/加藤準一(都市公団東埼玉住宅管理センター保全課長)(1ページ)


◆特集「20世紀の建築防災-災害と技術(14)」

◇関東大震災における火災/塚越功(慶應義塾大学大学院政策メディア研究科教授)(6ページ)
 関東大地震の火災は全世界的に見ても20世紀最大の地震火災であるだけでなく、その被害の状況は、まさに未曾有の災害と言える。最近は、阪神・淡路大震災を教訓とする対策がいろいろ実施されつつあるが、これをはるかに上回る災害の存在を記憶に刻印しておくことも必要であり、また、まれに発生する大災害に対処するための基本的考え方を整理することで災害対策全般の位置付けが可能になる。さらに、関東大地震の火災現象は今日でも未解明な部分があり、これを十分に解明するような火災工学の発展を期待して、この歴史的大災害を振り返ってみたい。

◇関東大地震による災害経験を未来に生かすために/武村雅之(鹿島建設㈱小堀研究室地震地盤研究部次長)(4ページ)
  昨年に引き続き9月号で1923(大正12)年の関東大地震について書かせて頂くことになった。昨年は、関東大地震の震源断層が相模湾直下を中心に広がり、特に神奈川県西部の小田原付近と南東部の三浦半島付近の下では10m近くもすべった部分があったこと、それらを反映して南関東各地で継続時間が30秒以上にもなる長くて強い揺れがあったこと、さらには本震発生後5分以内に2度もマグニチュード7クラスの余震があり、各地に強い揺れの追い打ちをかけたこと等、最近の研究で新しく分かった事実を紹介した[武村(1999)]。今年は多少おもむきを変えて、関東大地震による被害、特に一般住家の全潰数のデータから何が言えるのか、またこれらの被害の経験を貴重な教訓として将来の防災対策に活かすための課題は何かについて考えてみたい。

◇戦後復興期における防災研究の一側面-創設期の建設省建築研究所-/菊岡倶也(建設文化研究所)(2ページ)
  第二次大戦後の建築防災研究において建設省建築研究所(現在はつくば市。以下、建研という)が果たした役割は大きいものがある。それは、建研の前身は戦災復興院総裁官房技術研究所→建設院第二技術研究所で、ここでは戦災で焼失したビル診断とともに火災や各種災害から建物を守る研究が至上命令でおこなわれたこと、敗戦で行き場を失った研究者たちが新しい職域として防災研究を志したこと、などによる。この時期、大学は復興未だしで建研は防災研究の牙城の観があった。

◆ぼうさいさろん
◇災害被害の軽減-関係性としての防災/村上廬直(工学博士、防災都市計画研究所名誉所長、元横浜国立大学教授)(9ページ)
 都市環境や建築環境の災害被害を考えると、災害現象そのものよりも、災害を受ける側、すなわち受動体側の条件が大切で、受動体側の関係性が崩れないようにして行くことが被害の軽減につながる。そのためには現実に発生した災害の現場から如何に関係性を読みとり、それを計画に活かしていくかを述べ、さらに情報技術の支援の大切さについても述べている。

◆災害報告
◇化学薬品製造工場-日進化工工場爆発火災/横山節夫(群馬県土木部建築課)(3ページ)
 群馬県新田郡尾島町の化学薬品製造会社「日進化工㈱群馬工場」で爆発に伴う火災が発生した。この工場は世界的にも数少ない「フリーヒドロキシルアミン」を製品として製造している工場である。このフリーヒドロキシルアミンは、主に半導体、医薬品及び原子炉のウランの再処理に利用されているものである。この薬品を蒸留精製している課程で爆発事故が起きた。この爆発により、爆発現場に近い食堂棟及び2棟の倉庫に火災が発生した。敷地内の他の建物は、火災は発生しなかったが爆風により全てが被災している。なお、周辺の建物については、2km以上におよび半径500m以内のほぼ全ての建物がガラスが割れるなどの被害を受けた。

◇1999年台湾集集地震による被災地の復旧状況/中埜良昭、李康硯(東京大学生産技術研究所)(7ページ)
  1999年9月21日1時47分(現地時間)台湾中部の南投縣集集付近(北緯23.85度、東経120.78度、深さ7.5㎞)でマグニチュード(Ms)7.7(USGS)の地震が発生し、台湾台中縣および南投縣を中心に巨大な被害をもたらした。台湾行政院の資料(1999年12月3日現在)によると、この地震で死者(行方不明含む)2,458人、倒壊建物約50,450棟、半壊建物約46,387戸に及んだ。
 一般に被災地震が発生した直後は現地調査が精力的に行われるが、その後の復旧・復興状況については十分な情報が提供されないことが多い。そこで、地震後約6ヶ月後および約10ヶ月後の被災地を再度訪れその復旧状況を追跡調査した。本報告は、その調査結果を写真によりまとめたものである。

◆建築保全のための建築物調査の基礎知識④
◇擁壁・がけ等の安全性/佐藤紀男((株)NTT建築総合研究所FM技術部担当部長)(4ページ)
 擁壁は敷地に段差部があるときに、土砂がくずれないように築いたものであり、がけは擁壁と同様に土砂流出等のおそれのある敷地に法面を保護し災害防止のために必要なもので、自然のものと人工のものがある。
 近年の日本では、山は削られ、谷は埋め立てられ、急激な宅地開発などが行われてきたため、梅雨時期の長雨や台風シーズンの豪雨などによって、地すべり、がけ崩れといった災害が多く発生するようになってきている。

◆全国ネットワーク委員会ニュース
◇全国ネットワーク委員会開催報告平成12年度第1回全体委員会開催報告(6ページ)
◇特別講演「地震災害と地震保険」/大門文男 

◆「建築防災」総目次(1991年1月~1992年12月)(7ページ)
◆行政ニュース
建築物防災週間の侍史委について(1ページ)


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