(特集「20世紀の建築防災-災害と技術(13)」)

月刊「建築防災」
No.271 2000/8月号(特集「20世紀の建築防災-災害と技術(13)」)

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◆防災随想 振動台の振幅は小さい/箕輪親宏(防災科学技術研究所流動研究官)(1ページ)


◆特集「20世紀の建築防災-災害と技術(13)」

◇1964年新潟地震による建築物の被害/広沢雅也(工学院大学建築学科教授)(7ページ)
 1964年6月16日午後1時過ぎ、新潟県粟島東方沖を震源とするM=7.5の地震が発生、新潟市を中心とする新潟県北部や山形県、秋田県の沿岸部の各地で多くの土木、建築構造物に被害をもたらした。また、地震後約15分で津波が各地に来襲した。新潟市の石油基地では火災が発生し、7月1日まで燃え続けた。
 各地の震度は最大5止りであったが、各地で大規模な砂質地盤の液状化が発生し、これにより土木建築物には傾斜や沈下ならびに不同沈下による被害が発生した。
 この地震による建築物の振動による被害は比較的少なかったために、設計用地震荷重の見直しや耐震設計規準の改定は行われなかったが、著しい傾斜や沈下を生じた建物が多かったために、日本建築学会により、これらの建物の復旧のために技術指導が行われた。また、この地震を契機に砂質地盤の液状化に関する研究が広く行われ、その成果は1974年の日本建築学会、建築基礎構造設計規準(第2次改定版)および1988年の同規準(第3次改定版)に反映された。
 以下、本稿では、地震被害の概要の他、建築物に生じた傾斜や沈下に関する資料ならびに建築構造体の被害状況について紹介する。

◇住宅の防災/菅原進一(東京大学工学部建築学科教授)(5ページ)
 火災安全に限定して防災という用語を使う場合は、建築と消防の両面から火災害を防止することを意味する。建築防火は、火災による人命および財産の保護を建築的措置によって図ることであり、以下のように分けられる。
 ・出火防止:難燃材料などを用いて火災予防を図る。
 ・拡大防止:内装や建具などを燃え難くし火災拡大を抑止する。
 ・避難救助:屋外へ至るルートを避難時間の間、人命に危険なレベルの火煙から保護できる居室・廊下・付室・階段とする。また、逃げ遅れた人が脱出できるタラップ、非常用進入口、排煙設備などを設ける。
 ・延焼防止:火熱が拡散しないように防火性のある区画で囲う。同一階内より階段室など縦穴の囲いの防火水準をより高くするのが一般である。
 ・耐力保持:火災でビルや住宅が容易に倒壊しないような構造・工法とする。

◇建築物の維持保全技術の現状と変化の流れ/峰政克義((財)住宅総合研究財団専務理事、東洋大学大学院工学研究科客員教授)(5ページ)
 建築物の維持保全技術は、建築物にさまざまな利用のしかたがあり、利用していく上で、機能や性能を維持していかなければならない建築物の部分も、さまざまなものがあるように、多種・多様とならざるを得ない。
 しかも、実際の維持保全業務は、いわゆるビル・メンテナンス業をはじめ、多様な業種で、前述のさまざまな技術を持つ人々によって行われている。
 本論ではまず、その多様な技術の展開を実際の維持保全業務、それを支える技術、およびそれを保有する資格者の全体像を明らかにし、現在、多様化する社会的な二一ズと情報通信技術をはじめとする技術進歩の狭間で、起こりつつある維持保全技術の主な流れについて述べ、今後のあり方について展望する。

◆建築保全のための建築物調査の基礎知識③
◇コンクリートブロック塀の安全性/佐藤紀男(㈱NTT建築総合研究所FM技術部担当部長)(3ページ)
 敷地の周囲には、鉄筋コンクリート塀、鉄筋コンクリート組立塀(万代塀)、空洞コンクリートブロック塀(以下、ブロック塀という)、鋼管柵や金網柵、簡易な板塀、有刺鉄線柵あるいは生け垣などが見られる。
 これらは、防犯上の目的もあるが、境界石などを含め隣地所有者といたずらな紛争を避けるために設置されることが多い。
 中でもブロック塀は、比較的簡単に施工できるため、古い物から耐震対策を施した物まで混在した状態で、地域性を問わずかなり設置されている。
 しかし、ブロック塀は、過去の地震において倒壊などにより重大な事故を引き起こしているので、調査に当たっては十分な注意が必要である。

◆安全のちしき
◇雷の災害について/新藤孝敏(電力中央研究所狛江研究所電気絶縁部長)(5ページ)
 これまで雷により、人工建築物の破壊や火災、人身事故など多くの災害が生じてきた。18世紀中頃に避雷針が発明され、それ以降、建物への雷撃による災害は大幅に滅少したが、最近の高度情報社会の発展に伴い、新しいタイプの雷害が懸念されるようになっている。一方、人身事故については、未だに毎年少なくない数の人命が、雷により失われている。ここでは、ある大学の先生(T)とかつての教え子(S)が、それらについて話した記録を紹介する。

◆災害報告
◇米沢市・白布温泉火災状況/松田誠(山形県土木部建築住宅課建築指導専門員)(5ページ)
 米沢市の白布温泉は、山形県の南部(置賜地域)、福島県の県境に位置し、ブナの自然林等多くの自然資源を有する磐梯朝日国立公園内にある。JR米沢駅より南へ車で40分程の距離である。古くから蔵王(山形)、信夫(福島)とともに奥州三高湯の1つとして知られてきた名湯で、標高850メートル、開湯700年の古い歴史をもち、天元台スキー場や白布大滝などが近く、夏季は避暑地として、また、冬季は多くのスキー客でにぎわう。
 今回、火災のあった中屋旅館、㈱東屋旅館は温泉街にある旅館、宿泊施設合わせて十軒の中でも、しにせの宿で、西屋旅館と合わせ、三軒は、築三百年を数える茅葺き屋根、入母屋造りと白壁が美しい、由緒ある湯治場として人気がある。
 市の観光課の資料では、最盛期には年間24万人の観光客があったが、1998年度は19万人台になり、減少傾向になってきている状況である。また、観光客の7割は県外からの客が占めており、三軒の旅館が醸し出す独特の景観は、重要な観光資源となってきた。
 火元の中屋旅館は、創業約三百年で本館と別館の「不動閣」からなる。茅葺き屋根と白壁が特徴。ロの字型の回廊式の造りと、高い吹き抜けの天井と太い梁(はり)が観光客の人気を呼んでいた。また、樹齢二百年を越すといわれるシャクナゲが有名で、1997年に別館や本館浴室などを改装、最大250人を収容できる。
 類焼した㈱東屋旅館は約七百年前、祖先が温泉の「湯の司」を命じられたとの伝えがある。約三百年前に建てられ、収容人数は八十七人。藩政時代は上杉歴代藩主の定宿で、特に日本庭園の見事さが評判となっていた。
 今回の火災は、白布の三本の柱のうち二本がなくなってしまうという、米沢(白布温泉)の観光にとっても大きな打撃となった。

◆建築防火材料コーナー
◇日本セルローズファイバー工業会(2ページ)
一般名称……………セルローズファイバー
通則認定番号………準不燃第2013号
構成材料……………セルローズファイバー、ホウ素系防火薬晶、アクリル系樹脂
 セルローズファイバーとは、天然木質線維のこと。なぜ天然繊維が無機繊維より優れているのか。
 その秘密は自然がつくった小さな空気の粒にあります。太さが均一で、固い針のような無機繊維に比べてセルローズファイバーは、さまざまな太さの繊維が絡み合っています。この繊維の絡み合いが空気の層をつくることはもちろん、1本1本の繊維の中にも自然の空気胞が存在しているのです。この存在がよりいっそう熱や音を伝えにくくします。さらに木質繊維特有の吸放湿性で、適度な湿度を保ちます。自然の恵みが私たちに快適な暮らしをもたらしてくれる。まさに天然の力です。又セルローズファイバーはリサイクル紙を利用してつくられた天然木質繊維の断熱材です。限りある資源を有効に活用しながら、自然の力を自分たちの生活に生かすこと。それが自分たちの使命と考えています。

◆定期調査報告関係地域法人紹介コーナー
◇(財)宮城県建築住宅センター(5ページ)
 宮城県は、東にリアス式海岸で有名な南三陸金華山公園、西に栗駒国定公園及び蔵王国定公園を抱え、海の四季、山河の四季、更には名湯・秘湯など、自然の恵みを十二分に享受している反面、昭和37年の宮城県北部地震、昭和53年の宮城県沖地震など、建築基準法改正の契機ともなった災害を経験している県でもあります。
 さて、当センターは、県民の住宅相談を業務目的とする財団法人宮城県住宅相談所として、昭和42年に発足し、昭和49年には、新たに公営住宅管理業務を事業に加えて、財団法人宮城県住宅管理公社と名称を変更、昭和57年には、県営住宅・公団賃貸住宅・公社賃貸住宅の管理を通して、住生活の改善と生活環境の充実を図り、名実ともに県民に親しまれる機関となるため「財団法人宮城県住宅管理センター」と改称しました。
 更に昭和62年には、建築基準法第12条に基づく特殊建築物等定期報告予備審査・公共等建築物の設計及び工事監理等を業務とし昭和48年に創設された財団法人宮城県建築指導センターと統合しました。
 その後、建築設備定期報告予備審査、公的施設の耐震診断、建築確認、住宅金融公庫工事審査等の業務拡充を図り、今日に至っています。
 近年、住宅に関する需要は豊かさとゆとりのある質的充足の時代に入っており、特に長寿社会の到来に対応した安全便利でかつ、快適な住まいづくりなど良好な住環境の形成が求められています。
 このことから、県民と直ちに接している当センターの果たす役割はますます大きくなっており、その重責を果たすためにも、常に県民の二一ズに応えられる組織でありたいと考えています。

◆協会だより
◇建築物等の防災技術評価事業における評価終了技術(1ページ)

◆「建築防災」総目次(1989年1月~1990年12月)(6ページ)


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財団法人 日本建築防災協会 機関誌係
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