(特集「20世紀の建築防災-災害と技術(8)」)

月刊「建築防災」
No.266 2000/3月号(特集「20世紀の建築防災-災害と技術(8)」)

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◆防災随想 定期報告と耐震改修/斉藤彰(東京都都市計画局)(1ページ)

◆特集「20世紀の建築防災-災害と技術(8)」
◇ホテル・旅館火災と防災技術の変遷/矢代嘉郎(清水建設(株)技術研究所)(7ページ)
旅館あるいはホテルの火災は数多く、少なくとも防火上特異なものとして記録に残されている火災のうちおよそ1/4を占めている。住宅同様、就寝用途であり、かつ個室であるなど防火上厳しい特性をもっているからであろう。火災事例の多いこともあって、ホテルあるいは旅館の火災は時代背景をもっており、建築の、そして社会の発達との関わりがみられる。建築基準法ならびに消防法の改正には多くの死者をだした火災が関わっているが、昭和40年代、50年代の大規模なホテル・旅館火災も防火規定改正に影響を及ぼした。その結果、規制強化と防火技術の発達により、近年、多くの死者をともなう火災が発生していないものと考えられる。
本稿では、主に50年間のホテル・旅館用途の火災の特徴を概観し、防災技術の発達をまとめてみた。

◇免震・制震/和泉正哲(清水建設(株)和泉研究室・東北大学名誉教授)(9ページ)

日本では地震を無視して建物を設計することは出来ない。地震を考慮して設計された建物は、その性格に応じ下記のように呼ばれるが、実質は名前から受ける印象とは必ずしも一致していない。
1.耐震建築:強い地震に対し崩壊せずに持ちこたえられる建物を言う。(地震時に破損しないとは保証していない。)柱、梁、壁、ブレース(筋かい)、床などの構造部材が地震の力に抵抗し、或いは、建物が変形することで地震力を緩和して建物を崩壊から護り、人命を保全する。
2.免震建築:建物と地面とを切り離し地震力が建物に伝えられないことを意図した建物を言う。英語でも免震をBase Isolation(基礎絶縁)と呼んでいる。実際にはなかなか理想通りに行かないが、条件によっては非常に効果的であることは、本文で説明する。
3.制震建築:地盤から建物に入って来た力(正しくはエネルギー)を熱に変え、建物を破壊しようとするエネルギーを減少させる機構(ダンパー)を備えた建物を意味する。1.の耐震建物も部分的な破損の際にエネルギーを熱に変えているし、2.の免震建築も通常ダンパーを付設する。つまり、良い所を集め建物の総合的な耐震安全性を高めようとしている。なお、制振建築は建物を揺らす原因を地震に特定して居らず、風、交通、機械等による振動の制御が考慮されている建物を指す。建築以外の構造物でも大体同様の定義を用いており、例えば免震建築を免震構造と呼んでも支障はない。地震に対し安全な建物であるための5原則は
1.良い地盤
2.軽い建物
3.強く且つ粘り強い構造
4.地震動の周期と離れた周期を持つ
5.高いエネルギー消費能力を持つ
であり、免震・制震構造は、特に第4および5の原則を強調している構造である。
 

◆災害報告

◇台湾集集地震(台湾中部地震)/熊谷仁志(清水建設(株)技術研究所)(5ページ)

1999年9月21日1時47分(現地時間)、台湾中部の南投県集集付近(北緯23.85°、東経120.78°)を震源とするマグニチュードMs=7.7の地震が発生し、死者2334人、負傷者約10000人、倒壊建物約10000棟(10月14日現在)の甚大な被害をもたらした。筆者は日本建築学会災害委員会被害調査団の一員として、10月13日から21日まで被害の大きかった台中県と南投県を中心に調査を行った。本報告は被害状況、強震観測記録、ならびに台湾の耐震規定の概要を記したものである。

◇台湾集集地震(1999年9月21日)の建物応急復旧・恒久補強の現状(速報)/関松太郎((株)大林組技術研究所)(4ページ)

1999年9月21日に台湾南投県集集を中心にマグニチュード7.3(台湾中央気象局)の地震が発生し人命や建物などに甚大な被害が生じた。9月21日の本震のあと、9月26日にマグニチュード6.8(台湾中央気象局)の余震等が発生しさらに被害が増えている。今回の地震での被害の特徴は、1995年に発生した我が国の兵庫県南部地震でも同様な指摘がされたように旧い耐震基準(1987年以前)で設計された建物に被害が集中したとされている。被災直後の台湾では被害を受けた建物の復旧が大急ぎで進められている段階である。
本稿では、被災後2ヶ月を経過した時点における被災地をまわり、被害を受けた建物について特に目についた応急復旧や恒久補強の紹介を行なう。

◆ぼうさいろん


◇’99海外防火建築事情視察調査団報告(その2)/防火材料等関係団体協議会(文責 今泉晋:(財)日本建築防災協会)(5ページ)

防火材料等関係団体協議会では、建築防火、主に防火材料に係る海外の現状を調査するために、平成3年から「海外防火建築事情視察団」を企画し、過去7回視察団を各国に派遣してきた。今回の視察団は2年ぶり、8回目の派遣である。
平成11年度は、菅原進一東京大学教授に団長になっていただき、防火材料等関係団体協議会及びそれらの会員会社等から計11名が参加した。
前回のレポートでは11月8日に訪問したベルリン消防局及びダイムラーシティー(工場現場)について報告したので、今回は11月9日に訪問したドイツ建築技術研究所、連邦議員会館(工事現場)及びパリで開催されていた世界一の規模を誇る建築材料見本市であるBATIMATとINTERCLIMAについて報告する。

◆建築防火材料コーナー


◇金属サイディング/日本金属サイディング工業会(5ページ)

金属サイディングは主としてカラー亜鉛鉄板を成型加工したものを表面材とし、硬質プラスチックフォーム(ウレタン樹脂、ヌレート樹脂、フェノール樹脂など)の発泡体や、石膏、ロックウールを裏打ち材とした乾式工法用の外壁材である。一貫した製造ラインで工場生産され、仕上がりが均一、軽量で取り付けが容易、塗装仕上げが不要などの特徴を持つ外壁建材である。金属サイディングのJISは昭和54年にJIS A 6711(せっこう複合金属サイディング)で制定されたが、断熱性、施工性に優れる硬質プラスチックフォームを裏打ちしたものが大部分を占めるようになり、金属サイディングの実態に合わない部分が多くなってきたため、名称を“複合金属サイディング”と改め、平成9年にJIS A 6711を改正した。また、建設省より、通則認・指定を受けている材料並びに構造は以下の通りである。その他にも個々の金属サイデイングメーカーが取得している個別認定が多数ある。 

◆定期調査報告関係地域法人紹介コーナー


◇(財)福井県建築住宅センター(4ページ)

 (財)福井県建築住宅センターは、昭和59年当時の社会的経済的状況を背景に、住宅需要者の保護と建築業会の健全な振興及び建築物の防災対策を推進し、もって県民の快適な生活を実現するため、官民一体となり当センターを設立いたしました。
当初は、福井県の指導を受け、建築基準法に基づく定期報告制度の受託業務及び住宅性能保証業務を主たるものとして開始しました。

◆「連続繊維補強材を用いた耐震改修設計・施工指針講習会」質問・回答集

  /連続繊維補強材を用いた既存鉄筋コンクリート造及び鉄骨鉄筋コンクリート造建築物の耐震改修設計・施工指針作成委員会(5ページ)
昨年10月福岡、東京、静岡、大阪で開催いたしました「連続繊維補強材を用いた耐震改修設計・施工指針講習会」において、受講者の方々から寄せられました質問と回答を掲載いたします。

◆「建築防災」総目次(1979年4月~1980年12月)(5ページ)


その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。

財団法人 日本建築防災協会 機関誌係
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