(特集「20世紀の建築防災-災害と技術(7)」)

月刊「建築防災」

No.265 2000/2月号(特集「20世紀の建築防災-災害と技術(7)」)

◆防災随想 防災分野における2000年問題/山田常圭(自治省消防庁消防研究所)(1ページ)

◆特集「20世紀の建築防災-災害と技術(7)」

◇我が国の耐火構造の変遷/佐藤博臣(鹿島技術研究所)(9ページ)

 建築物に火災安全対策を施すことの目的は、日常火気に対しての出火防止、安全な避難や消防活動の保証など人命安全、火災拡大の防止や建物倒壊防止などの財産の保全、容易に延焼拡大しないなど敷地周辺への危害防止などに要約される。これらの目的を達成するための方法を仕様書的に規定したものが建築基準法や消防法などであり、これらは災害事例の教訓を基に徐々に充実してきたことは否めない。

◇戦後の我国における火災の変遷/関沢愛(自治省消防庁消防研究所)(8ページ)

 わが国では、毎年約6万件の火災が発生して貴重な人命が失われ、莫大な財貨が焼失している。これらの個々の火災事例における火災原因や拡大過程は多種多様ではあるが、今後の対策に活かすべき重要な情報を多数含んでいるはずである。したがって、火災による損害の軽減に役立てるために、多くの火災事例を統計的に解析し火災の実態や傾向を見極めることは、きわめて重要な意義を有している。

◇耐風設計基準/大熊武司(神奈川大学教授)(8ページ)

 技術分野における21世紀のキーワードは、環境、防災といわれている。ここでは、建築物の強風災害問題について、21世紀を論じるに先立ち、20世紀における我が国の建築物の耐風設計法の変遷・充実について、レヴユーする。

 耐風設計の研究は1889年完成したエッフェル塔の「耐ゆべき風力」の紹介(1891年)始まり、1993年の横浜ランドマークタワーの完成により、一つの頂点を迎えた。この間、基準、規準、指針等の整備により、建築物の強風災害は着実に減少しつつあるが、屋根葺き材を中心とした外装材の被災の減少は鈍い。建築基準法の改正による性能規定型設計の普及に期待するところが大きいが、外装材に拘わらず、「復興から成熟」の段階に入った我が国では、基規準等の整備だけでなく、「防災」についての意識改革が求められている。

◆ぼうさいろん

◇地震災害における建物所有者の損害賠償責任を考える/大森文彦(弁護士・東洋大学教授)(3ページ)

 兵庫県南部地震により数多くの建物が倒壊し、多数の死傷者を出した悲惨な事件はまだ記憶に新しい。その後震災に起因して数多くの法的紛争が生じたが、建物の倒壊によって死亡した人々に対する建物所有者の法的責任といった人身事故に関する紛争例はほとんど見当たらなかった。ところが、最近、宿泊していたホテルが震災により崩壊し、宿泊していた客が死亡したという事故について所有者の責任を認める判決が出されたため、この判決を基に、建物所有者の法的責任について若干の解説を加えたい。

◇’99海外防火建築事情視察調査団(その1)/防火材料等関係団体協議会(文責 今泉晋:(財)日本建築防災協会)(5ページ)

 防火材料等関係団体協議会では、建築防火、主に防火材料に係る海外の現状を調査するために、平成3年から「海外防火建築事情視察団」を企画し、過去7回視察団を各国に派遣してきた。今回の視察団は2年ぶり、8回目の派遣である。

 平成11年度は、菅原進一東京大学教授に団長になっていただき、防火材料等関係団体協議会及びそれらの会員会社等から計11名が参加した。

調査の目的は、基準認証制度の先進地であり、EC統合に向けて規格の見直しを進めている欧州を視察対象とし、その中でも特に活発な検討を行っているドイツの現状を把握することとし、また、パリで行われる世界一規模の大きな建築材料見本市であるBATIMATを各自の視点から建築材料の動向を把握することとした。

 今回の視察も短期間で充分に情報を収集できたとは言えないが、訪問先から極めて誠実、熱心な説明を受け、最近の貴重な情報を知り得たことは有益であった。

 今回のレポートは11月8日に訪間したベルリン消防局及びダイムラーシテイー(工場現場)について報告する。

◆災害報告

◇トルココジャエリ地震による建築構造物の被害の調査概要/壁谷澤寿海(東京大学教授)、藤田香織(東京都立大学助手)(7ページ)

 1999年8月17日、トルコ共和国西部でマグニチュード7.4の大地震(コジャエリ地震)が発生し、イズミット市などトルコ国西部の主要都市とその周辺地域において、極めて甚大な人的被害と構造物被害が生じた。日本建築学会では、発生直後からの災害委員会での検討にもとづいて、土木学会および地盤工学会とともに、合同調査団を派遣することを決定した。日本建築学会による調査の目的は、特に建築構造物に関する被害の実態を科学的・統計的な手法により調査し、人類共通の経験として伝えていくために、正確な記録として残すことであり、さらに、調査結果にもとづいて被害の発生要因を分析することによって、トルコあるいは世界の地震災害軽減に貢献することである。また、この調査研究をトルコの研究機関と共同して行うことにより、トルコ・日本両国の研究者あるいは実務者の協力関係はより強固なものとなることが期待できる。

◆建築防火材料コーナー

◇建築用仕上塗材と関連防・耐火材料、構造について/日本建築仕上材工業会(5ページ)

 建築用仕上塗材とは、建築物の内・外壁又は天井の表面に模様、着色などをする材料で、その施工は吹付け、ローラー塗り、コテ塗り等により凸部の厚さ0.3mm以上の各種テクスチュアー、パターンに仕上げるもので、JIS・A-6909の規格に基き製造される各種の材料のうち、防火性能をもち、建築基準法に定められる内装制限箇所に使用する「無機質砂壁状塗料」40品種を基材同等0003号、「有機質砂壁状塗料」151品種を基材同等0004号、  「複合型化粧用仕上材」55品種を基材同等0005号、「繊維壁材」68品種を基材同等0008号にそれぞれ該当する通則的認定材として登録し、工業会にて品質管理ならびに施工管理を実施しています。

◆定期調査報告関係地域法人紹介コーナー

◇(財)石川県建築住宅総合センター(7ページ)

 石川県は、加賀・能登と優れた自然と歴史、伝統文化の誇れる県です。また、災害の少ない県としても知られているところですが、平成7年1月の阪神淡路大震災をはじめ平成9年のロシアタンカーによる重油流出事故、平成5隼2月7日能登沖地震、台風19号には農村や建物への被害、さらには記憶に新しいトルコや台湾の大地震被害を見ると建築にかかわる者として、建築防災の業務の重要性と責任の重さを痛感するところです。


その他詳細につきましては、下記事務局までお問い合わせ下さい。

財団法人 日本建築防災協会 機関誌係
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